胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

Crohn's rosary クローンのロザリオ

2009-02-28 | 小腸非腫瘍
 クローン病を診断する上で重要な所見のひとつに「全層性炎症」があります。この用語からは、消化管壁にびまん性に慢性炎症細胞浸潤があるという印象をもってしまいますが、実際のところはリンパ球集簇巣が飛び飛びにみられることがほとんどです。
 欧米の教科書にはCrohn's rosary「クローンのロザリオ」という西洋文化的な表現があり、クローン病を病理学的に診断する上で重要な所見であると記載されています。ロザリオは主にカトリックの方がお持ちの数珠のことです。
 さて、この標本は縦走潰瘍のところにはうまくヒットしていませんが、腸間膜付着側の固有筋層直下に膿瘍(穴のあいたところ)がみられます。粘膜面では浮腫性でプクプクになった絨毛が目立っていると思いますが、上から見ると敷石に見えたりします。
 IBDやその類縁疾患では、潰瘍と血管の関係などをしっかり観察する必要があるので、基本的にはこのように消化管が輪切りになるように切り出してくださいね。
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