胃のESD適応などで潰瘍瘢痕の有無が問題になりますが、実際のところ潰瘍瘢痕の有無はどのように判定されるのか教科書には載っていません。当院では癌細胞の広がりだけでなく、伝統的に潰瘍や潰瘍瘢痕の領域もマッピングしています。一例を紹介したいと思います。
見出し写真(クリック)は0-IIc病変で癌組織の辺縁にUl-IIs(+)と診断した症例です。写真の中央部3/4~2/3くらいの領域では粘膜筋板の構造が読めません。癌は写真の左上の粘膜内に少量みられるだけです。
潰瘍瘢痕の領域は「粘膜筋板の断裂」を最も重視してマッピングしています。消化性潰瘍によって断裂した粘膜筋板のところは膠原線維で置き換えられてきます。平滑筋も再生しますが、元通りのきれいな平行線にはなりません。この潰瘍瘢痕の左側では筋板の断裂部が比較的わかりやすいですが、右側はやや難しいです。
粘膜筋板の断裂に伴って粘膜下層に線維化が広がりますが、逆に粘膜下層の線維化=潰瘍瘢痕領域と読んでしまうと、広く読みすぎてしまい、肉眼像とは合いません。
また、がっつりした上手な生検部位でも粘膜筋板が断裂しますが、生検瘢痕を消化性潰瘍瘢痕と読んではいけません。
私はきれいな粘膜筋板のことを京都・草津間複々線と呼んでいます。
見出し写真(クリック)は0-IIc病変で癌組織の辺縁にUl-IIs(+)と診断した症例です。写真の中央部3/4~2/3くらいの領域では粘膜筋板の構造が読めません。癌は写真の左上の粘膜内に少量みられるだけです。
潰瘍瘢痕の領域は「粘膜筋板の断裂」を最も重視してマッピングしています。消化性潰瘍によって断裂した粘膜筋板のところは膠原線維で置き換えられてきます。平滑筋も再生しますが、元通りのきれいな平行線にはなりません。この潰瘍瘢痕の左側では筋板の断裂部が比較的わかりやすいですが、右側はやや難しいです。
粘膜筋板の断裂に伴って粘膜下層に線維化が広がりますが、逆に粘膜下層の線維化=潰瘍瘢痕領域と読んでしまうと、広く読みすぎてしまい、肉眼像とは合いません。
また、がっつりした上手な生検部位でも粘膜筋板が断裂しますが、生検瘢痕を消化性潰瘍瘢痕と読んではいけません。
私はきれいな粘膜筋板のことを京都・草津間複々線と呼んでいます。
潰瘍では新快速が走れないということですね。
いつも勉強になります。
ありがとうございます。