ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

「自営業の両親と甘やかされた兄」(相談者:32歳 女性 A子)について考えてみました

2018-09-19 21:01:52 | 思うこと


AERA連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」「家族なんだから」の呪縛に、鴻上尚史が出した“厳しい結論”とは

リツイートされたのを読んでちょっと慌てて書いております。相談者A子さんがここを読むことはないでしょうけど、気になりました。
鴻上さんはA子さんは自分なりの結論を出しておられてぼくに背中を押して欲しいだけなんじゃないか、と書かれていますが本当にそうなんでしょうか。本当にあなたは迷っておられるのではないでしょうか。
でなければ、結論が出ているのに相談しなくてもいいはずです。それも自分にとってとても辛い子供時代の思い出を伝えてまで。

ほんとうにあなたが求めていることはなんでしょうか?親と兄の呪縛から逃れた自由な生活でしょうか。過去のことはすっかり忘れた自分だけの人生でしょうか。
私が気になるのは「みんな兄のことばかり心配するけど私の人生には興味がないんだと空しくなりました」という言葉です。あなたはこの短い相談文のなかに自分のキャリアの大切さより母親がいかに兄を愛してきたかを何度も書かれています。あなたはほんとうはお母さんにもっと甘えたかったのではないのでしょうか。あなたがあまりにも出来が良くてお母さんに甘えることがなさすぎた。本当はあなただってお母さんにもっとかまってほしかったはずですよね。お兄さんは世話を焼かないと何もできない弱い子で、あなたはなんでも自分でできる子だと言われ続けた。そうありたかったわけじゃないのに。

そうは言っても腹が立ちますよね。ずっと求めていた時には気にもしてくれず、無視されて、困ったらとたんに「帰ってこい」勝手すぎます。しかもあなたは食品メーカーで10年も務めてきた実績を捨てなければならない。そんな不合理を簡単に言ってもらっては困ります。

ただこれはひとつの良い機会だとは言えませんか。
両親と兄は今心底困っているのかもしれません。あなたを欲してしまうほどに。
突然あなたの手にすがりたくなってしまったのです。
臆面もなく。

「エデンの東」という映画をご存知でしょうか。あのお話はあなたの場合とそっくり同じなわけではないのですが、兄ばかり可愛がる父親と父親の愛情をずっと欲している次男坊キャルのお話です。
キャルの父への愛情は父には理解してもらえず冷たく突き放されてしまいます。そして兄がおかしくなった時父はショックで倒れ、初めて次男キャルの手を求めるのです。
キャルは父のそばに寄り添うことを決めました。

現実は映画とは違うかもしれません。
でもあなたの話を読んであなたがほんとうに欲しいのはあなたを求める手なのでは、と思えてならないのです。
あなたには食品メーカーでの10年の実績があります。それはものすごいことです。
あなたの家は造り酒屋です。あなたの知恵は生かされるのではないでしょうか。
私の住む町でも若い女性が古い造り酒屋の社長さんとなって活躍しています。若い女性の感性が古い伝統の中で生かされているのです。
そうそう簡単に傾きかけた会社を立て直せるわけではないし、鴻上さんの言う通りたくさんの苦難があるとは思います。
でも家族が今あなたの手を欲しているのです。
あなたはあなたの人生を選ぶ権利があります。
10年の実績のある職を捨てるのは大変なことです。

無論あなたは家族にその重みを話し、これからの自分の立場や報酬をきちっと要求すべきです。もしかしたらそれすらも大変な状況になってしまってるのかもしれませんが、そこはそれで兄の給料や立場に劣らない、もしくはあなたにふさわしいものを要求してください。
そのうえでもあなたの手を求めたいと言われたならその手を握り返してみませんか。家族と仲直りすることは決して間違ったことではないと思うのです。

鴻上さんに言う通り、決断しなければなりませんね。
家族に襲い掛かったこの困難はあなた方をもしかしたら結び付けてくれるチャンスかもしれません。
そして一度おかあさんに靴下をはかせてもらったらいかがでしょうか。



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