「危ないって、まあさ!」
イエロー佐紀が言葉をかけるが、レッド茉麻、裏切られ悔しい思いを止められず、リュニアの前へ歩み寄っていく。
しばらく睨んだ後。
「いつから?」
真剣な目でレッド茉麻が問う。
しかしリュニア、何も言わない。
代わりにおトミさんが口を開く。
「Berryz仮面になりたての頃、須藤さんと熊井さんで
原宿に行ったことがあるでしょう。
そこで二人のアルタカ星人を見かけ、それぞれ別れて尾行した。
須藤さんは見事アルタカ星人をやっつけたようですが、そのリュニアを追いかけた熊井さんは尾行がバレて眠らされ、我々の地下アジトまで連れてこられた、そういうわけです」
「じゃあ」と、レッド茉麻。
おトミさん、頷き
「そうです、本物はずっとここで眠ってました。
Berryz仮面として一緒に戦ったそのほとんどは、本人よりそのリュニアなのですよ。
元々変形変身が得意なアルタカ星人ですから、『必殺伸びる手足』もわけなくマネできましたし。
もちろん、その間コンサートやイベントに参加してたのも、リュニアです。
今までよくバレずに、私に情報を送ってくれました」
思わずリュニアを引っぱたく、レッド茉麻。
「今までずっと信じてたのに。友達だと思ってたのに!」
リュニア、無反応。
「あの、清富様……」
今まで黙っていた女王イマミコが口を挟む。
おトミさん、突然怖い表情になり
「あなたは黙っていなさい。今までの努力が無駄になってもいいのですか」
イマミコ、黙り込む。
沈黙の中、Berryzロボが現れる。
表情が明るくなるBerryzメンバー。
Berryzロボ、アルタカ星人から奪うように友理奈の眠るカプセルを持ち上げる。
「ナイス、Berryzロボ!」
ホワイト桃子、拍手する。
「どう、オッサン。降参しなさい!」
そこへ、はたけ司令、よっすぃ~、梨華、あさ美が到着。
「すまん。えらい迷惑かけたな」
と、Berryzメンバーに話しかける、はたけ司令。
Berryzメンバーの安心した顔。
「遅いですよ~」
と、力の抜けた声を出す雅。
「ところで、ロボを操縦してるのは誰ですか」
「ロボ、なんのことや!」
はたけ司令、上を見てBerryzロボを発見する。
「あ、あんなとこに……俺、知らんぞ」
不安な顔に戻るBerryzメンバー。
ピンク千奈美、泣きそうな声で
「どういうことですか?」
おトミさん、再び得意の高笑い。
「あれを操縦してるのは、私の部下です。防衛関係にも私の味方は潜入してますから」
Berryzロボ、友理奈のカプセルを握るように持つ。
ちょっとでも指を動かせば、カプセルは潰れてしまう。
「一通り怪人の破壊も終わったようですし、あなた達にも消えてもらいましょうかね。皆さんお揃いのようですしね。
その役目はあのBerryzロボにお願いしましょう。
なに、あっという間です。怖がることはありません」
おトミさん、ニヤケ顔で語る。
「ふざけるな」
よっすぃ~、おトミさんへ向かっていく。
「ストップ!」
おトミさん、余裕の表情。
「これ以上動くと、Berryzロボが熊井さんのカプセルを握り潰すことになってます。
つまりこれ以上、あなた方にできることはないのです」
落胆するBerryzメンバーら。
と、今まで黙っていたリュニアがレッド茉麻に顔を向ける。
「茉麻ちゃん、傷付いてるでしょうね。
私は女王様の為に生かされてる身だから、ああするより仕方なかったし、後悔はしていません」
「今更、なにも聞きたくない」
レッド茉麻、顔をそむける。
リュニア、話を続ける。
「あなた達は敵だと聞かされていたから、最初はなんの罪悪感もなかった。
でも一緒にバスで移動したり、レッスンをしたり、ゲームで遊んだり、コンサートで歌ったり踊ったり。
なにより、たわいもないお喋りをしたりすることが、とっても楽しくなっていったの。
茉麻ちゃんとは、買い物にもよく行ったよね。
お洋服選んで、おいしいスイーツ食べて。
渋谷、原宿、ちょっと背伸びして代官山に、高円寺なんかにも」
「知らない……」
レッド茉麻、ぶっきらぼうに返事する。
リュニア、笑顔で話す。
「本当に楽しかったの。
私、戦闘員として作られた人間だから、オシャレとか、女の子らしいこと全然してこなかったし。
あのね、私、気が付いたらいつのまにか敵であるはずのBerryzのみんなが大好きになってた。
千奈美ちゃんに差し入れのケーキ食べられちゃったのも、今となってはすごくいい思い出。
レッスンは大変だったけど、コンサートで歌うことも気持ちよかったしメンバーのみんなと目が合った瞬間なんて、こんな幸せなことってあるんだなと思えるくらい楽しかった。
ありがとう、みんな。
私、ちょっとでもBerryzでいられて、よかった。
生まれてきてよかったって、実感した。
みんなで一緒に楽しんだり悔しがったり、すごく充実してた。
でもこんな造られた幸せ、いつまでも続くわけないんだよね。
本当の私は、熊井さんじゃないんだから。
私は、女王様の為に生まれてきた。
でも、みんなが不幸になるの嫌だし、みんなの友達が傷つけられるのも許せない。
あのね、戦闘員って戦うために作られた人間だから、生まれつき自爆装置が付いてるの。
敵に捕まったときの為に、ね。
茉麻ちゃん、あなたの大切な友達のこと、受け止めてあげて! 頼んだからね!
バイバイ、ありがとう。
Berryz工房、大好きよ」
と、突然Berryzロボの足下へと駆け込んでいくリュニア。
リュニア、Berryzメンバーに笑顔を見せながら、自爆。
Berryzロボ、爆発による振動により足がぐらつく。
体勢を整えようとして、握っていた友理奈のカプセルを落としてしまう。
あ然とし、ショックで動けないBerryzメンバー。
『茉麻ちゃん、大切な友達のこと、受け止めてあげて! 頼んだからね!』
リュニアの声が耳に響き、我に返ったレッド茉麻、落ちてくる友理奈のカプセルをキャッチする。
「リュニアさん。いやグリーン! ウチ、しっかり受け取ったから!」
友理奈入ったカプセルを、強く抱きしめるレッド茉麻。
「今までの思い出をありがとう。楽しかったよね!」
友理奈、カプセルの中でスヤスヤと平和な笑顔で眠っている。
(つづく)