眼流から逃げのびたモエと使い魔を乗せたボートは、漂流を続けました。
備えてあった水や食料もとっくに無くなり、魔法で空をとぶこともできないモエにとって、できることといえば眠ることくらいでした。
その日もウトウトし始めたモエでしたが、突然の豪雨でそれどころではなくなってしまいました。
「もう、最悪!」
モエがつぶやきました。
「でもモエちゃん、上を向いて口を開ければ水分不足は補えるよ、あーん」
使い魔のオス猫、うーろんがのんきに言いました。
「モエ船長、何か見えた!」
真面目に周囲を観察していたせいらが叫びました。
「船じゃない? おーい、おーい、ここよー」
モエは備え付けの簡易望遠鏡を取り出し、せいらの示す方向を見ました。
「あれは!」
たっぷりと時間を使ってから、モエはボソっと言いました。
「誰がどう見ても、ただの岩だね」
どんどん激しくなる雨。
3匹はモエの身体の下に身を寄せてじっとすることにしました。
使い魔といっても、やっぱり猫は水に濡れることが苦手なのです。
「風邪ひいちゃうね」
モエが弱々しく言いました。
「モエちゃん、あっちのほう晴れてるよ」
使い魔のメス猫、はなの目線の先には、確かに一部だけ晴れているところがありました。
「本当だ、不思議。雨雲のなかにポッカリと穴が開いてるみたい!」
モエがしばらく見ていると、その穴がゆっくりとこちらに近づいているように感じました。
「ちょっと待って。晴れ間の下に、誰かいる!」
モエは再び簡易望遠鏡を取り出し、覗いてみました。
「ホウキに乗ってる! あの人、魔法使いだ!」
(つづく)
備えてあった水や食料もとっくに無くなり、魔法で空をとぶこともできないモエにとって、できることといえば眠ることくらいでした。
その日もウトウトし始めたモエでしたが、突然の豪雨でそれどころではなくなってしまいました。
「もう、最悪!」
モエがつぶやきました。
「でもモエちゃん、上を向いて口を開ければ水分不足は補えるよ、あーん」
使い魔のオス猫、うーろんがのんきに言いました。
「モエ船長、何か見えた!」
真面目に周囲を観察していたせいらが叫びました。
「船じゃない? おーい、おーい、ここよー」
モエは備え付けの簡易望遠鏡を取り出し、せいらの示す方向を見ました。
「あれは!」
たっぷりと時間を使ってから、モエはボソっと言いました。
「誰がどう見ても、ただの岩だね」
どんどん激しくなる雨。
3匹はモエの身体の下に身を寄せてじっとすることにしました。
使い魔といっても、やっぱり猫は水に濡れることが苦手なのです。
「風邪ひいちゃうね」
モエが弱々しく言いました。
「モエちゃん、あっちのほう晴れてるよ」
使い魔のメス猫、はなの目線の先には、確かに一部だけ晴れているところがありました。
「本当だ、不思議。雨雲のなかにポッカリと穴が開いてるみたい!」
モエがしばらく見ていると、その穴がゆっくりとこちらに近づいているように感じました。
「ちょっと待って。晴れ間の下に、誰かいる!」
モエは再び簡易望遠鏡を取り出し、覗いてみました。
「ホウキに乗ってる! あの人、魔法使いだ!」
(つづく)