コメント書きが終わり、ダンスレッスン室に戻ってきたメンバーとマネージャー玄子。
「それじゃ、今日は終わり。着替えて帰っていいよ」
「お疲れ様でした」
メンバー、それぞれの荷物を手に取る。
再び、千奈美の悲鳴。あきれ顔のキャプテン。
「今度は何」
「ない。Tシャツ」
千奈美の隣にやってくる玄子。
「異臭の出る袋なら、私捨てておいたけど」
「ひどい。お気に入りだったのに」
「いや。あれは捨てて正解でしょ」
苦笑いしながらツッコむ友理奈。
涙目になる千奈美。
困り顔の玄子。
「ごめんごめん。今ならまだ一階のゴミ箱にあると思うから、私取ってくるよ」
「いいです。自分で行きます」
怒って出ていく千奈美。
同情的な目線を玄子に向けるメンバー。
一階。
廊下の隅にゴミバケツが2つ設置されている。
蓋を開け、中を見る千奈美。
「あった」
Tシャツ入りの袋を発見、と同時に泣きそうな顔になる。
事務所一階はカフェになっており、そこから出たスパムむすびの食べ残しやら果物の皮やらとTシャツがミックス状態になっている。
「ちっくしょ~、ヘブンめ~」
おそるおそる親指と人差し指でTシャツを持ち上げるが、かなりのシミになっている。
「もう、いらねっ!」
Tシャツを戻し、力強く蓋を閉める。
千奈美が去ろうとした瞬間、不気味な音が聞こえてくる。
「……なにこれ。怖いんだけど」
耳を塞ぐが、しばらくしてまた聞こえてくる。
おそるおそる音のするほうへ近づく千奈美。
ゴミバケツの隣にある、頑丈そうな扉。
その奥からの音だと確信する。
悲鳴をあげ、走り去る千奈美。
走って走って、ダンスレッスン室に到着。
ドアを開ける。
雅の笑顔。
「ちい、待ってたよ。一緒に帰ろう」
-他にも全員、私を待っていてくれた。
-優しいメンバー。
-私は幸せ。
いや、今はそれどころじゃない。
「違うの」
「いきなり違うのって言われても……」
「一階のゴミ箱の横に扉あんじゃん。あそこから変な音がするの!」
キャプテン、桃子に話しかける。
「あそこって地下の入口でしょ」
「昔のCDとか資料とかが置いてある倉庫だってきいたことあるけど」
「誰かか資料を探してるだけでしょ。人騒がせな……」
千奈美、首をぶるんぶるん振る。
「違うの、そういう音じゃないの!」
「どういう音だよ」
顔を見合わせ笑う、茉麻と友理奈。
「とにかく一緒に来てみてよ」
他のメンバー、全員一斉に「やだ!」
「ウチ、見たいテレビあるし」
「犬の散歩……」
「ママと買い物の約束が」
「友達とお茶……」
うるうるした目で雅を見る千奈美。
「一生のお願い」
「これで3度目だ、ちいの一生のお願い」
メンバー、千奈美の横を通り過ぎ帰ろうとする。
千奈美、ドア前に駆けていき、両手を広げる。
「一緒に来てくれるまで、通さないからっ!」
「ガキかこいつ……」キャプテンが呟く。
「一応、行ってみようか。どうせ帰るのに一階通らなきゃいけないわけだし」
しぶしぶ納得するメンバー。
「ありがとう、桃」
桃子に抱きつく千奈美。
(つづく)
「それじゃ、今日は終わり。着替えて帰っていいよ」
「お疲れ様でした」
メンバー、それぞれの荷物を手に取る。
再び、千奈美の悲鳴。あきれ顔のキャプテン。
「今度は何」
「ない。Tシャツ」
千奈美の隣にやってくる玄子。
「異臭の出る袋なら、私捨てておいたけど」
「ひどい。お気に入りだったのに」
「いや。あれは捨てて正解でしょ」
苦笑いしながらツッコむ友理奈。
涙目になる千奈美。
困り顔の玄子。
「ごめんごめん。今ならまだ一階のゴミ箱にあると思うから、私取ってくるよ」
「いいです。自分で行きます」
怒って出ていく千奈美。
同情的な目線を玄子に向けるメンバー。
一階。
廊下の隅にゴミバケツが2つ設置されている。
蓋を開け、中を見る千奈美。
「あった」
Tシャツ入りの袋を発見、と同時に泣きそうな顔になる。
事務所一階はカフェになっており、そこから出たスパムむすびの食べ残しやら果物の皮やらとTシャツがミックス状態になっている。
「ちっくしょ~、ヘブンめ~」
おそるおそる親指と人差し指でTシャツを持ち上げるが、かなりのシミになっている。
「もう、いらねっ!」
Tシャツを戻し、力強く蓋を閉める。
千奈美が去ろうとした瞬間、不気味な音が聞こえてくる。
「……なにこれ。怖いんだけど」
耳を塞ぐが、しばらくしてまた聞こえてくる。
おそるおそる音のするほうへ近づく千奈美。
ゴミバケツの隣にある、頑丈そうな扉。
その奥からの音だと確信する。
悲鳴をあげ、走り去る千奈美。
走って走って、ダンスレッスン室に到着。
ドアを開ける。
雅の笑顔。
「ちい、待ってたよ。一緒に帰ろう」
-他にも全員、私を待っていてくれた。
-優しいメンバー。
-私は幸せ。
いや、今はそれどころじゃない。
「違うの」
「いきなり違うのって言われても……」
「一階のゴミ箱の横に扉あんじゃん。あそこから変な音がするの!」
キャプテン、桃子に話しかける。
「あそこって地下の入口でしょ」
「昔のCDとか資料とかが置いてある倉庫だってきいたことあるけど」
「誰かか資料を探してるだけでしょ。人騒がせな……」
千奈美、首をぶるんぶるん振る。
「違うの、そういう音じゃないの!」
「どういう音だよ」
顔を見合わせ笑う、茉麻と友理奈。
「とにかく一緒に来てみてよ」
他のメンバー、全員一斉に「やだ!」
「ウチ、見たいテレビあるし」
「犬の散歩……」
「ママと買い物の約束が」
「友達とお茶……」
うるうるした目で雅を見る千奈美。
「一生のお願い」
「これで3度目だ、ちいの一生のお願い」
メンバー、千奈美の横を通り過ぎ帰ろうとする。
千奈美、ドア前に駆けていき、両手を広げる。
「一緒に来てくれるまで、通さないからっ!」
「ガキかこいつ……」キャプテンが呟く。
「一応、行ってみようか。どうせ帰るのに一階通らなきゃいけないわけだし」
しぶしぶ納得するメンバー。
「ありがとう、桃」
桃子に抱きつく千奈美。
(つづく)