芸能人女子フットサル応援団!(つんくさん、ハロプロ関連)

つんくさん、ハロー!プロジェクト関連

水神少女あいりん(17)

2011-12-27 | 水神少女あいりん
マイは、気を失っていました。


いつのまにか、夜になっていました。

木宇戸家では、サキが学校から帰ってきていました。
舞美も仕事を終え、家にいました。

そしてチサトと3人で、内職のひとつである『妖怪おまじないカード』の袋詰めをしているところでした。

恒例の、ホチキスで留める前にやる『買ったつもり引き』は、今日はサキの番でした。

えい、これにしようっ
サキの引いたカードには、こう書かれていました。


鱗蛇(りんだ)
呪縛妖怪。
蛇の妖怪で、人の動きを封じ込める魔力を持つ


なにこいつ、キモーい
サキはカードを元に戻すと、他のカードと一緒にホチキスで留めました。



はーい、すみませんでしたぁ。わかりましたよ、もう来ませんよう
愛理は無料求人誌を読んでいた店の親父から突然怒られ、ふてくされながら出てきました。
べーっ、だ

愛理はあてもなく、ただ歩きました。
そして時々、舞美の手料理を思い出しては、腹の虫が鳴いたのでした。

と、突然、頭のてっぺんがムズムズとし始めました。
近くに……いるっ!
愛理は空腹を我慢して、走り出しました。

500メートルほど走ると、一軒の家の前で立ち止まりました。
愛理の頭のムズムズは、その場所でピークを迎えていました。

家の前には、石像が置いてありました。
よく見ると、それはマイでした。

マイちゃん、今助けてあげるからねっ
愛理は、家の中へ入っていきました。

家の中では、長永井さんが入浴中でした。

「いやーん」
長永井さんが言いました。

いやーん、じゃない!
愛理が怒鳴ると、長永井さんはおびえた表情になりました。

「あなたは、姫様。
どうか命だけは。お許しくださいませー」
長永井さんは、蛇の妖怪、鱗蛇へと姿を変え、正体を表しました。

長永井さんは銭狸とは違い、すぐに愛理に従いました。
蛇は元々、水神の遠い親戚みたいなものですからね。

愛理は、さっき木宇戸家で火を消す時に食べたキュウリの感触を歯に感じました。
そして奥歯でそれを噛み、飲み込むと、変身して魔力を使い、長永井さん、いや鱗蛇を『妖怪おまじないカード』へと変えました。
人間の姿に戻ると、ポケットにカードを入れ、家を出ました。


マイは、意識を取り戻しました。
ゆっくり目を開けると、去っていく愛理の後ろ姿が見えました。
きっと、あの子が助けてくれたんだ
マイは、そうつぶやくと自分の家へと帰っていきました。


それからの話は、こんな感じです。

マイが、他の姉妹に、何だか知らないけど愛理が助けてくれたと報告しました。
チサトやサキは、愛理がボヤを起こしたことを怒っていましたが、マイの話で許すことに決めました。
4姉妹は、手分けして出ていった愛理を捜しました。
夜遅くに、舞美が噴水公園で愛理を発見しました。

そうです。
愛理は、また一緒に暮らすことになったのです。
よかったですね。

(つづく)
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水神少女あいりん(16)

2011-12-27 | 水神少女あいりん
マイは半月ほど前、イエローマメファイターの塗装を手伝っていました。
しかし、その部品をどこかに無くしてしまいました。

責任を感じたマイは他の完成品とともに、商品チェック担当の長永井さんの家へ一人で持って行き、渡しました。
もちろん数百ある完成品の他に、一つだけ部品を無くしたものがあることを謝りながら。

すると長永井さんは、こういいました。
「部品を一個無くしたって?
じゃあ、報酬は払えないね、一円たりともだよっ。
さあ、お帰り」

そんな、ひどいです
マイは泣きそうな声でいいました。
姉妹が合計50時間くらいかけて作ったものが、すべて台無しになってしまうというのですから。

「お金を払ってほしけりゃ、あと一ヶ月以内に見つけておいで。
見つけたらちゃんと報酬をやろう。
しかし、見つけなければ逆に罰金を貰おうかねえ、ヒヒヒ」
長永井さんに睨まれると、誰も反論することはできませんでした。
長永井さんは、瞳の大きな、不気味なお婆さんでした。

一ヶ月ほど前までは、商品チェックの担当者は優しそうなお爺さんでした。
しかし、急にそのお爺さんが辞めることになり、かわりの担当者として現れたのが長永井さんでした。


やったあ。これで働いた分のお金、貰えるよ
マイはチサトの手を取り、喜びました。
きっと、このタンスのどっかに入り込んでたんだね。
燃えなきゃ、絶対見つからなかったよ。
ひょっとして、愛理のお陰?


するとチサトは、真顔になり
それは、どうかな」とつぶやきました。

マイは、そんなチサトを気にせず、小躍りしながらイエローマメファイターの部品を握りしめると、長永井さんのところへと向かいました。


ごめんください
マイがノックし戸を開けると、すぐ目の前に長永井さんは立っていました。
ひぇぇ
相変わらず、迫力ある眼力の持ち主です。

無くした部品、見つけました!
マイは長永井さんに、イエローマメファイターを渡しました。

長永井さんは静かに
「ふん。確かに」
と言い、奥へと一旦引っ込んでいきました。

再び現れた長永井さんの手には、封筒が握られていました。
そして、その封筒をマイに投げるように渡すと、勢いよく戸を閉めてしまいました。

マイは急いで封筒の中を確認しました。
すると、約束のお金の十分の一くらいしか入っていませんでした。
マイは再び戸をノックし、長永井さんを呼びました。

「なにか用かね。私は忙しいんだよ」
しばらくして、怒った表情の長永井さんが現れました。

あの、お金が足りないんですけど
マイは、怖がりがならも勇気を出して訴えました。

「うるさい子だね。
私に迷惑をかけたんだ、当然だろう!」
長永井さんの目が光ると、マイは石のように硬くなり、動けなくなりました。

長永井さんは、それを見て口元だけで笑い、戸を閉めてしまいました。

誰か、た、す、け、て
本当に石の像のように固まってしまったマイは、声が出なくなっていました。

実際、そばを通った人がいたとしても、マイを見て「よくできた石像だな」と思ったことでしょう。


(つづく)
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水神少女あいりん(15)

2011-12-27 | 水神少女あいりん
学校の授業が終わったチサトとマイが、家に帰ってきました。
家の中は、妙に静かでした。

するとマイがテーブルの上で見つけたという置き手紙を持ってきて、チサトに見せました。
『サガサナイデクダサイ』
チサトは、すぐに愛理の書いたものだとわかりました。

『イ』の字が左右、反転していたから?
そうではありません。
朝、愛理にちょっと強く言い過ぎたかな?
と、チサトなりにずっと気にしていたのです。

なんか変な臭いしない?
マイに言われ、チサトは慌てて二階へと上がっていきました。
マイも後からついてきました。

二人は自分の部屋のドアを開け、しばらく立ちつくしていました。
水浸しの床。
黒い物体となった、タンス。

マイは泣きながらタンスに駆け寄り、中にまだ使えるものはないか調べ始めました。
チサトは、ちょっとでも愛理に同情したことが悔しくなって、怒りで震えていました。


その頃愛理は、いかがわしい本やアダルトグッズを販売しているお店の前に置いてある、無料の求人誌を立ち読みしていました。

その求人誌ももちろん、いかがわしいものでした。
『コンパニオン』『キャスト』『なんちゃらレディ』募集とありましたが、具体的な仕事内容は書かれていませんでした。

しかし愛理にとって『高時給』『住み込み可』とたくさん書いてある、その求人誌は魅力でした。
まだまだ人間界に慣れていない愛理にとっては、いかがわしい仕事であるということも想像できませんでした。

店の親父は、かれこれ2時間くらい店の前で立ち読みを続ける愛理を注意したかったのですが、勇気が出ませんでした。
「き、君のような若い娘が働けるようなところは載ってないよ」
小声で練習を重ねますが、店の親父はとてもシャイだったのです。
でもどうにかして言わないと、他の客も愛理に遠慮して入ってこないので、商売になりません。

どんな仕事内容なのかわかるのが一つもないじゃない!
でも、応募だけはしてみようかな

愛理の決心は、堅いようでした。


一方その頃、木宇戸家では。

チサトは
今度愛理の奴、見かけたらただじゃおかない
と思いながら、濡れた床を一生懸命拭いていました。

マイは、タンスの中から使えるものと使えないものを分けていました。
すると
あああっ!
突然、マイが叫びました。
これはああああ!
マイの手には、黄色く光る丸い物体がありました。

それはあああ、『モデル探偵ERICA』のおおおおおっ!
チサトも思わず叫びました。


-モデル探偵ERICA。
東京13チャンネルで月曜深夜放送中の、所謂『萌えアニメ』。
普段モデルとして活躍する主人公ERICAが、身分を隠し、鋭い推理力で様々な事件を解決していくという陳腐な内容である。

ERICAが悪者と戦う時に使うのが、枝豆型の武器『マメファイター』。
マメファイターは色の変化と同時にその形状を変化させる。
赤=ナイフ、緑=ヌンチャク、茶色=棍棒、青=銃などなど全12種。

ミニチュアにした12種のマメファイターはガチャガチャで販売、主に『大きなお友達』から人気の商品となっている-



木宇戸家ではこのガチャガチャの塗装を、内職として請け負っていたのでした。

(つづく)
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水神少女あいりん(14)

2011-12-27 | 水神少女あいりん
愛理は、電気掃除機を持って意気揚々と隣の部屋へと入っていきました。
ここは普段、チサトとマイが使っている部屋でした。

部屋にはボール紙でできたタンスと、ちゃぶ台が置いてありました。

床を見ると食べ物の包みや使えなくなった筆記用具、書き損じの紙などが置いてあり、他の部屋と比べると明らかに汚れていました。

愛理は腕をまくると
しょうがないわねあの子達。よし、お姉さんにまかせなさい!
と得意げな様子で独り言をつぶやきました。
実際は、チサトと同じくらいの年齢に見えましたけどね。

愛理は慣れた手つきで電気掃除機のスイッチを入れ、掃除を始めました。
すると、床に置かれた箱に目が止まりました。
その箱には『ラ・フランスとインゲンのカラシ醤油和えの香り』と書いてありました。

気になって取り出すとそれは、使いかけのアロマキャンドルでした。
マイが昨年の誕生日に次女のサキからプレゼントでもらったもので、もったいないからと毎晩、寝る前に1分間だけ使っていたのでした。

愛理は、勝手に使っちゃいけないと思いながらも『ラ・フランスとインゲンのカラシ醤油和えの香り』がどんな匂いなのか、気になって仕方がありませんでした。

一度は箱に戻しましたが、やっぱりどうしても気になり、横にあったマッチで火を付けてみました。

くっせー
愛理は思わず倒れそうになりました。
この臭いは、アレに似ている。
そう、小さい頃、庭の石をひっくり返した時の、あの臭い。
ダンゴムシとハサミムシが混じり合った、あの臭い!


愛理はなんとか臭いに堪え、掃除を続けようとしましたが、電気掃除機が何かに引っかかったようで、動きません。
思い切り電気掃除機を引っ張ってみると、タンスが倒れてしまいました。

タンスに引っかかってたのか、やれやれ
愛理がタンスを起こそうと近寄ると、焦げ臭い臭いがしてきました。

よく見るとボール紙でできたタンスは、『ラ・フランスとインゲンのカラシ醤油和えの香り』のアロマキャンドルの炎によって、燃えていたのでした。

焦った愛理は、またまた銭狸を呼び出しました。

タンスを見た銭狸はあわてて愛理の部屋へ行き、風呂敷から百均で買った2本入りキュウリの、残り1本を取り出しました。
そして火事の起こった部屋へ引き返すと、愛理にそれを食べさせました。

すると愛理は、頭に皿が表れ、手足に水かきが表れ、本来の姿へと変身しました。
水神拳
愛理が叫ぶと手から勢いよく水が飛び出し、タンスの火は無事に消えました。

安心した銭狸はカードへと戻り、愛理も人間へと姿を変えました。
しかし冷静になり、黒こげのタンスを見た愛理の顔は真っ青になっていました。

愛理は自分の部屋に戻り、落ち込んだ表情で風呂敷を担ぎました。
そして一階のテーブルの上に『サガサナイデクダサイ』と書いた紙を置くと、家を出ていきました。

(つづく)
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水神少女あいりん(13)

2011-12-24 | 水神少女あいりん
掃除用具は、二階の廊下奥にある収納スペースに、まとめて置いてありました。
愛理は、木宇戸家の4姉妹が用具を出し入れしている姿を度々見ていたので、知っていたのでした。

あった。これこれ
電気掃除機を見つけると、それを引きずりながら愛理はまず自分の部屋へと入っていきました。

この部屋は元々舞美の一人部屋でした。
愛理が住むようになってからも、舞美が隙を見て掃除をしていたので室内は清潔に保たれていました。

でも、とにかく掃除機をかけてみようと、愛理は電気掃除機を手に取りました。
しかし全く動く気配がありません。

どうしちゃったのかな。故障?
愛理は電気掃除機に付いているスイッチをいろいろと押してみますが、うんともすんともいいません。
でも昨日も確か舞美ちゃん、普通に使ってたしなぁ

愛理は、どうすれば動くようになるのか、いろいろと試してみることにしました。

ソーラーパワー!!!
愛理は電気掃除機を窓辺で持ち上げ、日の光に当ててみました。
でも、駄目でした。

電気掃除機のボディを優しく叩きながら
もしもし、もしもし
と声をかけてみました。
駄目でした。

コップに水を入れ、電気掃除機の吸い込み口から一口分、流し入れてみました。
駄目でした。

台所から角砂糖を持ってきて
怖がらないで。よーし、よーし
と言いながら電気掃除機の前でちらつかせてみました。
駄目でした。

あのぅ、先輩。
私、先輩の掃除してる姿に憧れて、この部に入ったんですよ。
でも先輩、私の前だと全然動いてくれないんですね。
なんでですか。私が何をしたっていうんですか!
もしまた動いてくれたら、私、先輩のこと……

と、愛理は部活コント風に甘えてみましたが、やっぱり駄目でした。

そうして小一時間、無駄な時間が過ぎていきました。

愛理はため息をつくと、ポケットから銭狸の『妖怪おまじないカード』を取り出し、床に叩きつけました。

すると、妖怪・銭狸が実体化し、目の前に現れました。
「おはようございます姫様」
銭狸は眠そうに目をこすりながら、愛理に言いました。

銭狸は前日、24時間のアルバイトを終え、稼いだお金で酒を飲み、深夜に帰ってきて眠っていたのでした。
「お酒だけはどうしてもやめられない」
という銭狸の涙ながらの説得に、週1回ならという約束で昨日から愛理に許可されたのでした。

あのさぁ、この掃除機、全然動かないんだけど
愛理は何の説明もなしに、銭狸に言いました。

銭狸はしばらく寝ぼけながら電気掃除機を見つめていました。
しかしどうにか愛理の意図を理解し、電機コードを引っ張り出すとコンセントに差し込みスイッチを入れました。

「どうぞ」
銭狸は愛理に電気掃除機を手渡すと「それじゃまた、しばらく寝かせていただきます」
と言って、自ら『妖怪おまじないカード』へと戻っていきました。

なんだ、簡単じゃない
一通り部屋の掃除を終えた愛理は、スイッチも入れられなかったことを忘れたかのように、そうつぶやきました。
この調子で、他の部屋も掃除してあげよう

愛理は、隣の部屋へ向かいました。
途中、電気掃除機のコンセントを差しっぱなしで移動したため途中で思い切りすっ転ぶという失敗はありましたが、コンセントを抜き、隣の部屋でまた差し込むということくらいは愛理にも理解できることでした。

こちらの部屋は元々サキの一人部屋でしたが、愛理が一緒に住むことで、今は舞美との二人部屋になっていました。

室内は、舞美が自分の荷物をそのまま詰め込んで持ってきたボストンバッグと、サキが元々使っていたタンスやテーブルなどが置いてありました。
タンスの上部にある棚には、サキが亡くなった母親から譲り受けた小物やアクセサリー類などが、大事に飾ってありました。

舞美が以前に
サキ、あなたが一番お母さんに似てる。だからこれは、あなたが使って
と言って、サキに渡してくれたものでした。
サキが躊躇していると、舞美は
もちろん、必要な時には私や、チサトやマイにも貸してね』と付け足して言ったのでした。

愛理は電気掃除機のスイッチを入れ、部屋の掃除を始めました。
やがて床だけでなく、照明に付いた埃も一緒に取れることに気が付きました。
鼻歌を歌いながら、次はタンスの側面にある埃も電気掃除機で吸い上げていきます。
棚に付いた埃も。

そして案の定、小物やアクセサリーも吸い取ってしまいました。
しかし、愛理はそれに全然気が付きませんでした。

すると、電気掃除機の吸い込む力が弱まっていきました。
愛理は再び『妖怪おまじないカード』を床に叩きつけると、銭狸を呼び出しました。

「今度はなんです、姫様」
明らかに不機嫌な銭狸に
そんな態度だとバイトと飲酒、禁止にしようかな
と愛理は言い放ちました。「掃除機の調子が悪くなった。直して

すると銭狸は半泣き状態で、電気掃除機を調べ始めました。
そして、中に詰まっていた小物・アクセサリー類を埃まみれになりながら取り出すと、愛理へと返しました。

「これで大丈夫なはずです。ではおやすみ、さいなら!」
銭狸は言い終わるか終わらないかのところで、再びカードへと戻っていきました。

そんな銭狸の苦労はなかったかのように
よし、順調!
と言いながら、愛理はまた隣の部屋へと移動していきました。

(つづく)
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水神少女あいりん。(12)

2011-12-15 | 水神少女あいりん
それは、哀しい夢でした。
夢でしたが、現実でした。
過去の記憶でした。

なに泣いてんだ
どこからか、誰かの声がしました。

だって……
愛理はそう言いかけて、目を覚ましました。
そして今まで見ていたものが、夢だったと悟りました。
瞼には、本当に涙が溜まっていました。

もう。泣かないって決めたのに
愛理は自分を励ますように言いました。


うわあ、こいつ本当に夢見ながら泣いてたのかよ

驚いた愛理は、上体を起こしました。
目の前に、声の主が立っていました。
チサトは学校の制服を着て、腕組みをしていました。
おはよう、チサトちゃん
まったく、よく寝るよな
お陰様で……えへっ

照れ笑いを浮かべる愛理を見て、チサトはため息をつきました。
あれから何日だ
えっと最後の『水神少女あいりん』の更新が4月だったから……もう8ヶ月?! やばっ
更新ってなんだよ。家に来てから何日目だって訊いてるのっ

愛理は指を折って数えました。
2、3……4日目?
最初はお金を取り返してくれた恩もあるしと思って何も言わなかったけどさ、本当に食べて寝るだけで何もしないのな、あんた

愛理は不思議そうにチサトの顔を眺めました。
なにかしたほうがいいの?
チサトは怒りのあまり、思わず足踏みしました。
掃除とか洗濯とか、しようって気も起こらなかったのかようっ
だって舞美ちゃん言ってたもん。愛理はお客さんだから何もしなくていいからねって
チサトは、さっきの倍速で足踏みをしました。
そりゃ、舞美姉ぇのことだし、言葉ではそう言うかもしれないけど
チサトは両手の人差し指を頭の横に立て、鬼のマネをしながら「心の中じゃ、ふざけんなあの居候って思ってるだろうな舞美お姉……」と、言いました。
舞美ちゃんが? まさかぁ。フフフ。あはは。へへへっ
笑い続ける愛理を残して、チサトは呆れ顔で学校へと向かいました。


大笑いして哀しい夢のこともすっかり忘れた愛理は、下の階へと降りていきました。
キッチンへ入ると、朝食が用意してありました。
今朝のメニューは、お味噌汁に焼き魚、それに白いご飯でした。

いただきます
ご飯を食べながら、愛理は再びチサトの言葉を思い出し、笑っていました。
舞美ちゃんが、まさかね

面白くなった愛理は、試しに想像してみることにしました。

愛理に「なにもしなくていいのよ」と言い、仕事へ向かう舞美ちゃん。
家を出たとたん「ちっ、アイツ本当になにもしねえぜ」とつぶやく舞美ちゃん。
機嫌が悪いので、道端に落ちているゴミを思い切り蹴飛ばす舞美ちゃん。
そのゴミが隣の奥さんの頭に直撃し、怒られる舞美ちゃん。
「うるせえっ。ボーっとしてるほうが悪いんだろうが」と逆ギレする舞美ちゃん。
隣の奥さんとの取っ組み合いの喧嘩に発展する舞美ちゃん。
隣の奥さんをボコボコにし、唾を吐きながら去っていく舞美ちゃん。


愛理は自分の妄想に爆笑してしまいました。
ないない、アリエナーイ

しかし噴水公園で舞美に初めて会ったときのことを思い出し、笑うのをやめました。

あの時の舞美ちゃん、鋭い目をしていた。
拳法のような構えもしていたし。
笑顔の舞美ちゃんしかイメージできないけど、もしかしたら本当は……


突然、愛理は鳥肌が立ち、震えが止まらなくなりました。
ご、ごちそうさまでしたっ。た、大変おいしゅうございましたっ
急いで立ち上がると、自分の使ったお皿を洗いました。

それでも震えは止まりませんでした。
これだけじゃ駄目だよね。でも私、お皿洗いくらいしかできないし……

前回『お手伝いさんいりませんかー』と言ってまわっていた愛理でしたが、実際、家事をしたことがありませんでした。
お皿洗いだけは、自分の頭のお皿を洗うのと同じだったので、得意でしたが。

掃除してみようかな。
したことはないけど、やってるところを見たことはあるから、きっと大丈夫だよね

根拠のない自信を胸に、愛理は二階へと上がっていきました。

(つづく)
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水神少女あいりん(11)

2011-04-22 | 水神少女あいりん
いつの間にか、朝になっていました。


その頃、木宇戸家では、いつものように舞美が起きていて弁当を作っていました。
でも新しくおかずを買うお金はありませんでした。


幸いお米はお隣さんが、茨城の実家で作っているお米を少し分けてくれていました。
しかしそれも、今日の分で全部なくなってしまいました。


舞美は弁当箱を4つ並べると、白飯を詰めていきました。
でも足りずに、どれも弁当箱の半分くらいにしかなりませんでした。


舞美は少し考えた後で、自分の分を他の三人の弁当箱へと移し替えました。


そして空っぽの弁当箱をバッグに入れると、寝ている妹や、愛理(本当は家にいませんが)を起こさないような声で
「行ってきます」
と言い、玄関へと駆けていきました。


ドアの前には、愛理が立っていました。
ポケットから銭狸の妖怪おまじないカードを取り出すと、地面に叩きつけました。
すると、カードは本物の銭狸へと姿を変えました。


銭狸は、愛理に向かって丁寧にお辞儀をしました。
「姫様、なにかご用で?」
その目は、さっきまでの反抗的で悪い光りが消え、愛理への忠誠心で溢れていました。


「いい? 騙し取ったお金を返すのよ。ちゃんと謝ってね」
愛理は銭狸の肩を叩き、そう言いました。

銭狸はうなずくと、家に来た時と同じ黒ずくめの人間へと姿を変えました。


ちょうどその時、家の中から舞美が出てきました。
「あれ、愛理ちゃん。なんでこんなところに?」

銭狸は舞美を見ると即、その場で土下座をしました。


舞美は動揺して思わず
「まあ」
と驚きの声を上げました。


すると、この騒ぎになにごとかとサキ・チサト・マイの三人も家から出てきました。

銭狸はお金を騙し取ったことを4人に謝り、お酒に使ってしまった以外の分をすべて返しました。

舞美は思わず銭狸に
「あ、ありがとうございますっ」
と言ってしまいました。


「お礼なんて言わんでください、お嬢さん」
銭狸は慌てて、また深々と頭を下げるのでした。


そして舞美は、愛理に
「ごめんなさい。愛理ちゃんが正しかったのにね」
と謝りました。


愛理は頭を振り、ほほえんで
「舞美ちゃんはゼーンゼン悪いことなんてしてないから」
と言いました。そして、おじぎをしながら
「私、荷物取ってきます。お世話になりました」
と言って、自分の与えられた部屋へと戻っていきました。


愛理が自分の風呂敷を手に再び玄関へと来ると、4姉妹がまだそこに立っていました。


「あのね愛理ちゃん。お願いがあるんだけど」
舞美は頬を赤くしながら、愛理に話しかけました。
「よかったら、一緒にここで暮らさない?」


愛理は、言葉が出ませんでした。

舞美は困った様子で、再び口を開きました。
「駄目、かな?」

「でも……」
愛理は、なんと言ったらいいのかわかりませんでした。


「今回のことがどうとかじゃなくって。
愛理ちゃんがいたら楽しいかなって思って。
3人も賛成してくれてるのよ」

舞美の言葉に、愛理は胸が熱くなりました。


そして思わず、愛理は舞美を抱きしめました。


「みーたん。そろそろお仕事」
数分後、サキがそう言ってやっと、愛理は舞美から体を離したのでした。


舞美は元気よく仕事へと向かいました。
サキとマイはあくびをしながら、家の中へと戻っていきました。

チサトは、愛理をじっと見ていました。
……愛理は気まずくなりました。


チサトはやがて
「よろしくな、居候」
と言い、自分の部屋へと帰っていきました。


愛理は少し驚いた後で、チサトの背中へ声を掛けました。
「よろしく」
そして笑顔になって、もう一回大きな声で
「よろしく!」
と言い、家の中へと入っていったのでした。


(第一話・終わり)
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水神少女あいりん(10)

2011-04-21 | 水神少女あいりん
愛理は買ったキュウリを取り出すと、一口かじりました。


するとたちまち、キュウリの中の水分が体中に広がるような感じがしました。
まるで血液が沸騰でもしたような感覚でした。


愛理の皮膚はその熱で変化が起こり、うろこが表れました。
口は尖り、くちばし状になりました。
指の間に水かきができました。
頭のてっぺんになにやら堅い、お皿のようなものが飛び出していました。


『やった。本来の姿に戻れた』
と愛理は思いました。


愛理は前を行く黒ずくめの酔っぱらいに対し
「待ちなさい」
と叫びました。


「はあ? またおまえか」
振り向き愛理を見た酔っぱらいは、顔面蒼白になりました。
「あ、あなたは……姫様」


愛理は厳しい表情で
「さあ、すぐに木宇戸家へ戻りお金を返すのです」
と酔っぱらいに言いました。


黒ずくめの酔っぱらいはしばらくまごついていましたが、突然笑い出しました。


「なにがおかしいのです」
愛理は不機嫌そうに言いました。


酔っぱらいは鼻で笑い
「こんな状況で、この人間界であなたに何を言われようと、従う気はありませんぜ」
と言い、また愛理に臭い息を吹きかけました。


「ううっ臭い」
愛理が怯んだ隙に、黒ずくめの酔っぱらいは走って逃げていきました。
「待ちなさい」
愛理も慌てて追いかけました。


「くらえっ」
黒ずくめの酔っぱらいは振り返ると、すぐそこまで迫ってきた愛理に枯れ葉を投げつけました。

枯れ葉は柵へと姿を変え、愛理の追うスピードは落ちていきました。
その間に、黒ずくめの酔っぱらいは遠くへ逃げてしまいました。


「待ちなさい。こうなったら……」
愛理は集中すると
「水竜!」
と叫びました。
するとどこからか水が集まってきて竜型の波となり、愛理を乗せて走り出しました。


あっという間に酔っぱらいに追いついた愛理は
「くらえっ、水神拳」
と、手から勢いのある水を発射しました。



黒ずくめの酔っぱらいはそれに当たると、勢いよくすっ転びました。
「こいつめっ」
そして怒って正体を現しました。
それは、さっき木宇戸家で見た『妖怪おまじないカード』の銭狸そのものでした。


「正体を現したわね。久しぶり、銭狸」
愛理が言いました。


銭狸は答えず、枯れ葉をそこら中に撒き散らしました。
「枯れ葉分身!」
術を使った銭狸は、50体に増えて見えました。


「水神拳っ」
愛理は一体一体倒していきますが、どれも枯れ葉となって崩れ落ちていきました。
疲労感の中、最後の一体を倒しましたが、それも枯れ葉でした。


愛理が呆然としていると、背中に衝撃を感じ気を失ってしまいました。
本物の銭狸が背後に回り、愛理に蹴りを入れたのです。


「どうした姫様」
銭狸は枯れ葉を縄に変えると愛理を縛り、大きな木の枝に吊しました。
「命は助けてやろう。じゃあな、姫様」
銭狸は枯れ葉をまとうと、再び黒ずくめの人間へと姿を変え、去っていこうとしました。



そこで、愛理は目を覚ましました。
どうにか残っている力を振り絞り、水神拳を人間に化けた銭狸の足下を狙って飛ばしました。
銭狸は倒れました。


「今だっ。水鏡!」
愛理は、銭狸の体に向かって目から光線を出しました。

みるみるうちに、銭狸は一枚の札へと変形していきました。
それは……『妖怪おまじないカード』にそっくりでした。


「こうすれば、人間界でも目立たないでしょ」
愛理は得意そうに呟きました。


愛理が、銭狸の描かれた『妖怪おまじないカード』を拾うと、同時に変身する力が果て、また人間の姿へと変わりました。
そしてそのカードをポケットにしまうと、夜の町を歩いて去っていきました。


(つづく)
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水神少女あいりん(9理)

2011-03-18 | 水神少女あいりん
(キュウリって言われてもな)

愛理は、わかっていましたが自分の財布を開けてみました。
……やはり、1円も入っていませんでした。


そのうちに、黒ずくめの男の姿も見失ってしまいました。
ため息をつきながら歩くうちに、愛理は再び区役所前の噴水公園へと来ていました。


「どうしたんだい?」
愛理は突然話しかけられました。
相手をよく見ると、舞美から師匠と呼ばれていた、あのホームレスでした。


「キュウリが」
愛理はつぶやきました。
「キュウリが……食べたい」
ホームレスにこんなことを言っても仕方ないことはわかっていましたが。



するとそのホームレス師匠は。
「はい、これ」
と愛理に百円玉1枚と、五円玉1枚を差し出しました。


「だってこれ、大事なお金じゃ?」
愛理が驚いて尋ねると。



「一週間かけて集めた全財産さ。
もちろん悪いことしたわけじゃないよ。
でも、君が本当に困った顔をしていたから。
僕が使うより、君がキュウリを買って食べたほうがいいことのような気がしたから」
とホームレス師匠はこたえました。
「さあ、遠慮なく!」



「ありがとう」
愛理は笑顔で受け取りました。
そして近くにあった百均コンビニで、2本入りのキュウリを買いました。


愛理が店を出てしばらく歩くと、どこからか歌声が聞こえてきました。
(あの声は)
急いで歌声のするほうへと走っていくと、上機嫌な様子で黒ずくめの酔っぱらいが歩いているのを発見しました。
そして、塀に囲まれた路地へと入っていきました。


(よし。ここなら誰にも見つかる心配ないわね)
愛理は買ったキュウリを取り出すと、一口かじりました。


(つづく)
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水神少女あいりん(8)

2011-03-17 | 水神少女あいりん
愛理が歩いていると、前方に屋台を見つけました。
赤い提灯がぶらさがっていて、お客が一人、騒いでいました。


「ったく最近の人間はよぉ、利己的や奴が増えてきたよなオヤジ」
どうやらかなり泥酔している様子です。

「でも、今日はなかなか見込みのある嬢さん達に会ったぜ。
間違いねえ、ありゃ天使だなヒック」


屋台に近づいていくと、愛理の頭のてっぺんが再びムズムズし始めました。

愛理は少し離れた電信柱の陰に隠れ、様子をうかがうことにしました。


男は屋台の大将に、大声で話をしています。
「飲み過ぎだとこの野郎。
お金は持ってるんだ、つべこべ言うな。

本物だぞ、枯れ葉じゃねえぞ。
嘘だと思うなら調べてみやがれ。

ちゃんと女の子が万年筆を買ってくれたんだ。
ま、その万年筆は偽物だったけどなイヒヒヒ」


愛理はそれを聞いて、とても腹が立ちました。
(やっぱりあの時の黒ずくめのオッサンだ。
気だてのいい木宇戸家のみんなを騙して、許せない!)



やがて酔っぱらいは上機嫌でお勘定を済まし、立ち上がると愛理の隠れているほうへと歩いてきました。



愛理は電信柱の陰から飛び出し、酔っぱらいの前に立ちふさがりました。
「待ちなさい」


「誰だてめぇは」
酔っぱらいの吐く息はかなり臭かったので、愛理は怯んでしまいました。


愛理はどうにか気を取り直すと
「騙し取ったお金を返しなさい」
と、鼻をつまみながら言いました。


「生意気な小娘め!」
酔っぱらいは突然、愛理に飛びかかってきました。

酔っぱらいの顔が1メートル先に見えた瞬間、愛理は気を失ってしまいました。
息が臭いせいです。


「フン、ざまあみろ。弱いくせに偉そうな口ききやがって」
酔っぱらいはそう言うと、鼻歌を歌いながら去っていきました。


愛理は直ぐに意識を取り戻し、立ち上がりました。
そして。
(このままじゃ勝てない。
あの口臭に勝てない。
この姿のままじゃ……)

と思いました。


(なにか方法は……)
愛理はポケットからメモ帳を取り出しました。
1ページ目に汚い字で『まず、住むところをさがすべし』と書かれていた、あのメモ帳です。


パラパラとめくると、5ページ目くらいにこう書かれていました。
やはり、汚い字でした。

『人間界で本来の力を発揮する方法。
キュウリを食すべし。

ただし。
本来の姿を人間に知られた瞬間、体は干上がり石と化してしまうであろう。
注意せよ』


メモ帳を閉じながら、愛理はつぶやきました。
(キュウリ、か……)




(つづく)
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水神少女あいりん(7)

2011-03-01 | 水神少女あいりん
「へっへっへっ、やってやるぜ!」
突然、木宇戸家を飛び出した愛理は、ものすごいスピードでQ区内を駆け回りました。


「オララララララララララララララララララララララララッ!」
とても興奮した状態だったので、公園の木を蹴ってジャンプしたりとか、塀の上を忍者のように前転したりとかして、無駄に体力を使いました。
「どこだどこだどこだー!」

雨が降り、人通りの少なくなった夜の路地に愛理の声が響き渡ります。


そのうち、雨も止んできました。
愛理の頭のてっぺんに落ちた雨粒も、すっかり乾いてしまいました。


そして、徐々にいつもの愛理に戻っていきました。
「ほよ?」

呆然と立ちつくしながら
「なにやってんのかしら私」
今までハイテンションだった自分のことを考え、頬を赤く染めました。
「そうだ。あいつを見つけなきゃ」


冷静になった愛理は、再び駆け出しました。


(つづく)

短いね。
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水神少女あいりん(6)

2011-02-24 | 水神少女あいりん
愛理舞美サキチサトマイの四人はテーブルを囲んで食事を始めました。
食事は、大根の葉っぱのお味噌汁、大根とニンジンの煮物、白飯、でした。

質素でしたが、愛理にとってひとりぼっちではない食事は、大変おいしく感じました。


「ごちそうさま」
食べ終わって、皿洗いを手伝おうとする愛理に

「私やるから。くつろいでて」と舞美。


「ううん、やりたいの。私、こういうの好きだから」
嬉しそうに皿洗いを続ける愛理を見て、舞美はほほえみながら
「上手だね」と褒めました。


舞美と愛理が皿洗いをしている最中、他の三人は再び内職を始めていました。

皿洗いを終えた愛理がやってきて、じっとそれを見ています。


「なにか用?」
マイの問いかけに

「なにやってるのかなって」
興味津々な愛理です。


「なにって、内職だよ。
こうして、妖怪おまじないカードを袋に詰めてるの」

マイは、作業をしながら愛理に説明を始めます。


「妖怪? おまじないカード?」
愛理は、テーブルの上に並べられたカードの一枚を取り見てみました。


カードには『銭狸(せんり)』という狸の妖怪が描かれていました。


裏を見ると
『銭狸
お金大好き妖怪

人の金を奪ったり、術で葉っぱを物に変え、それを押し売りしたりする
手にした金は、たいてい酒を飲むことに使ってしまう

人に化けるのが大変上手で普段は黒い狸の格好をしている』

と妖怪についての説明書きがありました。


「おもしろい。これ、もらってもいい?」
愛理が言うと

「ダメに決まってるでしょう」
マイは怒ってそれを取り上げ、袋に入れてしまいました。


二人の横では、サキとチサトが内緒話をしています。

そこへ、舞美もやってきました。
「みんな、手伝ってくれるのは嬉しいけど、そろそろ寝る準備したら」

「あ、あの、そうだね」
舞美を見て、サキは慌てているようです。


「ほら、言いなって」
チサトがサキを無理矢理立たせながら、そうつぶやきました。


「あのね、みーたん」
サキは舞美に話し出そうとしますが、言葉が続きません。
「あの、ほら、ね」


「もういいヘタレ、チサトが言う」
チサト、サキを座らせて立ち上がります。
「さっきね、家に知らないおじさんが訪ねてきたの。

ほら最近、役所の人とか警察の人から押し売り注意って言われてるじゃん。
だからすぐ帰ってもらおうと思ったんだけどさ」



チサトがそこまで言うと、サキも続きを話し出しました。
「なんかその人、勤めていた会社が火事になっちゃったんだって。

お金も仕事も失って、奥さんも子供も食べさせなきゃいけないのにって、泣いてた
でも奇跡的に会社で作ってた万年筆は残ってて、それを買ってくれたら少しはどうにかなるって」



そういってサキは、足下に隠し置かれていた箱をテーブルの上に置きました。
中には万年筆が数十本入っていました。


「かわいそうだなと思って、マイ達、買ってあげたんだ。
おじさんすごく喜んでたよ。

でも生活するお金、なくなっちゃった。
今月と来月は、なにも食べられないかもしれない」

マイは涙目で言いました。


「黙って勝手なことしてごめんね、みーたん」
サキはそう言って舞美に抱きつきました。

チサトとマイも、舞美に抱きつきました。


舞美は3人の頭を撫でながら
「よくやった!」
と褒めました。
「じゃ、寝ようか」

4姉妹は立ち上がり、それぞれの寝室へ向かおうとしています。。


「ちょーっと待ったー」
愛理は、変なポーズで4人の前に立ちふさがりました。
「それって押し売りなんじゃない?」


「は? なに言ってるし」
愛理を睨みながら、サキが言いました。
変な言葉遣いです。


「正直、私もちょっとそうなのかなって疑ったけど」
舞美が困ったように話し出しました。
「でも本当のことかもしれないでしょ。
本当だったら、この子達とてもいいことしたと思うし。
嘘だとしたら、火事で困る人がいなくて良かったと思うし」



「違うの舞美ちゃん。
私のてっぺんが頭がムズムズしてね。感じるの、これは悪いことだって。
なんて言っていいのかわからないけど。
えっと」

愛理は一生懸命説明しようとしますが、なかなか伝わりません。

みんなを思って愛理も必死なのですが、不器用だし、言いたくても言えないこともあるのです。
でも結局その必死さが、姉妹を呆れさせる結果になってしまいました。


「おまえには関係ない。どうせ今晩だけなんだからね、この家に泊まるの」
とうとう、チサトが突き放すように言いました。
「明日、朝になったら出ていってね。
チサト達学校あるし、舞美お姉も早くから仕事だし」



愛理はなんだか寂しい気持ちになりました。
泣きそうになりましたが、そんな顔を見せてはいけないと思い、すぐに背中を向けました。
「わかった……おやすみなさい」


「おやすみ、愛理ちゃん」
舞美が声をかけると、4姉妹はそれぞれ寝室へと入っていきました。


しばらく愛理は動けませんでした。
悔しいような、寂しいような気持ちでいっぱいでした。

どうにか気持ちを落ち着かせ、与えられた部屋に入り布団をかぶりますが、なかなか寝付けません。

と、そこへ突然の雨音が。
(よかった)
(雨の音が心を癒してくれるはず)


しかしやがて、天井から水が落ちてきました。
雨漏りです。

水は、布団の上、愛理の顔、腕、そして、頭のてっぺんにも落ちました。
頭のてっぺんに雨が一粒、二粒……

すると、不思議なことに愛理の心が燃え上がりました。
勇気が涌いてきました。


不意に立ち上がると愛理は
「へっへっへっ、やってやるぜ!」
と不気味に笑い出しました。

そしてそのまま、万年筆の入っていた箱を蹴飛ばすと、家の外へと出て行ってしまいました。


箱の中の万年筆は消えていて、すべて落ち葉に変わっていました。

(つづく)
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水神少女あいりん(5)

2011-02-10 | 水神少女あいりん
再びQ区役所前公園へやってきた風呂敷少女は、眠れるところを探すことにしました。

人通りはほとんどありませんでしたが、ベンチに寝るとなるとまた、お巡りさんに見つかってしまうかも知れません。

と、隅っこにちょうど横にもなれるし木の陰になって人目に付かないスペースを発見しました。


(ここなら大丈夫ね)
女の子は横に置いてあった段ボールを敷き、風呂敷を枕にして横になりました。


目を閉じ眠ろうとしますが、なかなか寝付けません。
涙が溢れてくるのです。


(今は泣く時じゃないわ。しっかり、私)
(目的を果たすまでは泣かないって決めたのに)



自分を励まそうとしますが、どうしてもいろいろなことを思い出してしまうのです。

やがて、女の子は目を開けました。
人の気配を感じたからです。

目の前に人影がありました。
よく見るとそれは、男の人でした。


「あなたはだあれ?」


女の子が話しかけると。

「私は、ホームレスだ」
と男の人は、えばったように答えました。


「ホームレス、きいたことあるわ」
女の子は人差し指を立てながら言いました。
「名探偵、そう、名探偵ホームレスよ!」


「君みたいな若い女の子が、こんな時間にこんなところで何をしている」
ホームレスの男は、それを無視して話し続けます。
「ここは私がいつも寝ている場所なんだよ」


「ごめんなさい、知らなかったから」
女の子は素直に謝りました。
「でも、私も今夜は寝る場所がなくって」


二人が困っているとそこへ、もう一人現れました。
朝と昼に女の子を助けてくれた、舞美でした。


「師匠、どうしました?」
舞美は、ホームレスにそう話しかけました。そして、女の子を見て
「あら、あなただったの」
と言いました。


女の子は嬉しくなりました。
(また会えた!)

「知り合いかい?」
ホームレス男は舞美に尋ねました。


「ええ、今日友達になったの。ね」
舞美は女の子に笑いかけます。


女の子は、もっともっと嬉しくなりました。
(友達って言ってくれた!)


「この子は今夜泊まるところがないそうだ」
ホームレス男が言いました。


すると舞美は
「じゃあ、家に来る?」
と、女の子に言いました。


「いいの?」
女の子はおそるおそる尋ねます。

舞美がうなずきます。


「本当にいいの?」
と、再び女の子。

舞美が2回続けて、うなずきます。


「本当の本当?」
舞美の腕を掴みながら、女の子が潤んだ瞳でききました。

舞美は何度も何度も、うなずいてあげました。


女の子はもう嬉しさを隠せなくて舞美の手を取り踊り始めました。

ホームレスの男はそんな二人を、優しい目で見ていました。



家へと向かう途中で、舞美と女の子はいろいろと話をしました。

まずは、それぞれの名前について。
「私のことは舞美って呼んで。あなたは」
「私は、愛理」
「愛理ちゃんかぁ。かわいい名前」

そうです。
女の子の名前は愛理と言いました。


それから舞美は。
今から本日4つ目のアルバイトを終え、帰るところであること。

妹が3人いること。

ホームレス男は1年程前に偶然知り合い、自分に拳法を教えてくれるようになったということ。
でも、名前もどこの誰なのかも知らないということ。

などなど、いろいろと話しました。



「愛理ちゃんは、どこから来たの?」
舞美が尋ねると。

「えっと、私は」
愛理は言葉に詰まってしまいました。
(どうやって言えば……)


その時、木宇戸家の前でぶつかった黒ずくめのおっさんとすれ違いました。
おっさんは手にお金を持ちながら
「へへへ、うまくいった」
と独り言をつぶやいていました。


愛理の頭のてっぺんが、再びムズムズし始めました。
そして思わず、頭を掻きむしりました。


「大丈夫?」
そんな愛理の様子を見て、舞美が尋ねました。


「なんでもないの」
愛理は笑顔で言いました。


「そう……あ、ほら、あれが私の家」
と舞美が指差す方向を見ると、それはさっき訪ねていった木宇戸家でした。

(3人の妹って、あの子たちのことだったの?)
愛理は、あの3人が自分を受け入れてくれるのか少し不安になりました。


「ただいまー」
舞美が家の中へ入ると、サキ、チサト、マイが出迎えに来ました。


「舞美お姉、おかえりっ」
言いながらチサトは、舞美の後ろにいる愛理を見つけると、眉をひそめました。
「おや、あんたはさっきの」


「あら、知り合いだったの?」
舞美の問いかけに

「こんな子、知り合いじゃないけど」
チサトはそっぽを向いて、そう言いました。


「じゃあ紹介するね。今日、家に泊まってもらうことになった愛理ちゃん」
舞美が愛理の肩に手を置きながら言いました。


「えー泊まるの?」
チサトは相変わらず不満そうです。


「私はサキの部屋で寝かせてもらうから、よろしくね」
舞美がそう言うと
「なんで?」とサキが聞き返しました。
「仕方ないでしょ。愛理ちゃんはお客さんなんだから、ね」

木宇戸家には寝室が3つあり、普段は舞美とサキは一人部屋、チサトとマイが二人で寝ているのでした。


「ごめんなさい」
愛理が頭を下げるとサキは
「いいっていいって。サキも久しぶりにみーたんと一緒でちょっと嬉しいし」と言ってほほえみました。


「それじゃお腹減ったし、晩ご飯にしましょ。愛理ちゃんも食べるよね」
舞美がきくと、愛理は嬉しそうに大きくうなずきました。



(つづく)
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水神少女あいりん(4)

2011-01-27 | 水神少女あいりん
さて再び、風呂敷女の子を見てみましょう。


女の子は一軒一軒、近くの家のチャイムを押してまわっていました。


もし人が出てくれたら、こういうつもりでした。
(可愛い女の子のお手伝いさんはいりませんか?)


しかし、誰も出ません。

たまに顔を出してくれるときがあっても、話をきく前に「間に合ってます!」と断られてしまいます。



(まだなにも言ってないのに)
女の子は悲しくなりました。



でも、仕方ありません。


このところ強引な押し売りが街に現れるようになり、住民は警察や役所から
「突然の訪問者は即座に追い払うように」
と注意されていたのです。



ただ今50連敗中。

しかし女の子はめげずにチャイムを押し続けます。



「押し売りお断り!」
家の中から女性の叫び声がします。


51連敗……
52連敗……
53連敗……

さすがに女の子も気力がなくなってきました。


(次で最後にしよう)
(もし断られたら……今日は野宿ね)



女の子は重い足取りで、隣の家の前にやってきました。


(うわ、なんかボロっちい家)
(お手伝いさんを雇う余裕なんて、あるかしら)



とりあえず、チャイムを押してみました。

スカッ。

どうやら、チャイムの電池が切れているようです。鳴りません。


女の子は諦めて帰ろうとしましたが、これが最後、とドアを一回叩きました。


「はーい」
中から若い女の子の声がしました。


そしてすぐ、1人の女の子が顔を出しました。

木宇戸家の4女、マイでした。

そうです、ここは木宇戸家だったのです。


「なにかご用ですか?」
マイが尋ねました。


女の子は、今まで話すらきいてもらえなかったので、ちょっと驚きました。
驚いたので、なかなか言葉が出てきませんでした。


「あの」
マイが心配そうに女の子を見ています。

すると、家の奥からチサトがやってきました。
「なにしてんの、マイ」


チサトは、家の前に立っている女の子を見つめました。
「あなた誰?」


女の子は恥ずかしがりながらも、どうにか口を開きました。
「この家でお手伝いさんとして雇ってほしいなって……」


「はあ? 無理無理。ウチにそんな余裕あるように見える?」
チサトはだんだん腹が立ってきました。
「絶対家のことからかってるでしょ。これ罰ゲームかなんかなわけ?」


女の子は頭を振りました。


チサトは怒りながら女の子を責め続けます。


騒ぎを聞いて、「いったいなにごと?」とサキもやってきました。

女の子が説明します。


「ごめんなさい」
怒っているチサトの横で、サキが冷静に話します。
「とりあえず今日は帰ってもらえますか。今お姉ちゃんいないんで。私達だけでは決められませんので」


「舞美お姉がいる時だって無駄だよ。さよなら」
チサトがドアを閉めながら、そう言いました。



女の子はため息をつくと
「あの公園で野宿させてもらおう」
と悲しげに独り言をつぶやいて、歩き出しました。


と、一人の男と肩がぶつかりました。
「痛ってえなバッキャロー!」
全身黒ずくめの、恐い感じのおっさんでした。


女の子は
「すみません」
と直ぐに謝りました。


「気をつけろよネーチャン」
男は舌打ちしながら言うと、木宇戸家の玄関チャイムを押しました。
……当然、鳴りませんでしたが。
そして、ドアを何度も叩き始めました。


女の子は男の後ろ姿を見ながら、なんだか落ち着かなくなりました。
(頭のてっぺんがムズムズする……)
これは女の子の特徴でした。



膝が痛む。
心臓の音が速くなる。
髪の毛が立つ。
歯ががたがたと震える。
鼻の奥がツーンと痛む。
背筋が冷たく感じる。
膝が震え出す。
耳鳴りがする。

というように、人によって違いますが、体のサインがなにかを教えてくれることがあります。
女の子にとっては(頭のてっぺんがムズムズする)というのが正にそれでした。


(ま、気のせいかしらね)
女の子は自分に言い聞かせるように、公園へと歩いていきました。


(つづく)
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水神少女あいりん(3)

2011-01-22 | 水神少女あいりん
風呂敷担いだ女の子は、メモ帳に書かれていた通り、住むところを探すことにしました。


(でもいったいどうやって探せばいいんだろう)

女の子は悩みました。

1時間、真剣に悩みました。

でも本当は、真剣に悩んだのは10分程度で、あとの50分は食べ物のことを考えていました。


(またあのお姉さんのお弁当、食べたいな)
中でも特に、舞美のお弁当の味を思い出していました。


「ピッピー、シンキングタイム終了ー!!!」
女の子は街中で一人、叫びました。

そして風呂敷から紙とペンを取り出すと『大安売り』と書き、看板を作りました。



「いらんかねー可愛い女の子はいらんかねー」
女の子は、看板を持ち大声で言いながら歩き回りました。
「安いよ安いよー」


すぐにお巡りさんがやってきました。


(おや、警察がスカウトにやってきた。きっと婦警さんになってくださいっていうのね。それも悪くないかな)


女の子はお巡りさんに連れられ、交番へ行きました。

……それから2時間、お説教です。
いかがわしい商売だと思われたのです。



(スカウトじゃなかったんかい!)
女の子は心の中でツッコミをしました。

(しかし長いなあ。えらい時間の無駄やわっ)
当然、関西弁になってしまいます。



「君、家はどこ」
お巡りさんが女の子に尋ねます。

しかし、女の子は口を開きません。

「早くこたえなさい」
お巡りさんは怒っています。


「軽くみないで。あたい、そういうチャラいナンパは無視することにしてるのさ」
女の子はナンパなんてされたことないのに、そう言いました。


「それじゃここから帰すわけにいかないな」
お巡りさんが腕組みして言いました。


「まあ、今日のところはここで泊まってもいいや。でもベッドとお風呂は用意してくれなきゃいやよ。あと晩ご飯」
女の子がそう言うと、お巡りさんの顔はだんだんと怒りで紅潮していきました。


危険を察知した女の子は「あ、あんなところにMM号!」
と叫びました。

でも、女の子はMM号がなんなのか知りませんでした。
アドリブで勝手に思い浮かんだ言葉なのです。本当です。信じてね。


それを聞いたお巡りさんが
「どこどこ?」
と気を散らした隙に、女の子は交番から逃げていきました。


そしていつの間にか、日が暮れていました。




その頃。
木宇戸家。


サキ・チサト・マイの3人は内職をしていました。

元々、舞美が家にいる時にやる仕事でしたが、3人は舞美が少しでも楽になればと、部活にも入らず自ら手伝っているのでした。


その内職というのが『妖怪おまじないカード』をランダムに袋詰めし、100枚集まったところをホチキスで留めるというものでした。


『妖怪おまじないカード』は小学生女子向けのカードでしたが最近は大人にも人気がある、玩具です。
カードの絵柄によってレア度が大きく異なる為、コレクター心をくすぐるのだそうです。


「よし、集まった」
100枚分集まったサキが言いました。


「今日はマイがやる」
マイが元気に手をあげました。


3人はいつも、ホチキスで留める前に、買った気分を味わうため、遊びで一枚ひいてみるのでした。

たいていは『あずきあらい』『あかなめ』『まくらがえし』などレア度1のカードしか出ません。


「じゃあ、これ」
マイはサキが手にしたカードからひとつ、目を閉じて選びました。


袋から出してみるとそれは『カッパ』のカードでした。


3人は瞳孔を開いたまま、しばらく動くことができませんでした。


「カッパのカード……本当にあったんだ」
かすれ声で、チサトがやっと言葉を発しました。


カッパのカードはレア度5000とも言われる超レアカードで、本当はないんじゃないかという疑惑まであるカードでした。

実際この内職を1年近くやっている3人も、目にするのはこの時が初めてでした。
オークションにもめったに出ず、出れば数百万円はするんじゃないかという噂も出ていました。


「これ、売ったらいくらになるかねイヒヒヒヒ」
サキが悪い顔で言いました。


と同時に、チサトの平手打ちがサキの頬に炸裂しました。
「そんなことしちゃ駄目」
チサトの目は潤んでいました。
「どんなに貧乏でも、悪いことはしちゃいけない。舞美お姉がいつも言ってるじゃん」


「冗談で言っただけなのに、ぶつことないでしょ」
サキも怒って、チサトにカッパのカードを投げつけました。


……はい。
恒例の喧嘩が始まりました。


マイは冷静にカッパのカードを拾うと袋に入れ、他の袋と一緒にホチキスで留めました。


(つづく)
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