ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ウサギの国の危機(7)ウンチク後編

2008-11-30 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
ストーリーのウサギたちを私たち、そして、ライオンを神様とあてはめて考えてみましょう。

ライオンは、ウサギたちが動物王国に戻ってくることを望んでいます。そしてウサギたちに王国に住む許しを与えるのは、ライオンです。

ウサギたちは、ライオンの気持ちを手紙で知ります。ライオンのほうから、ウサギたちに、動物王国に戻ってくるように呼びかけていますね。また、ライオンの使者であるトラ猫から、どういう者をライオンは王国に入れてくれるかを知ります。ライオンは、ウサギたちが動物王国を出て行ったことが間違いであったことを認め、それをライオンにあやまること。そして、ウサギたちが、ライオンが王様であることを喜んで生活することを望んでいました。

自覚があるかないかは別として、私たちは、勝手に神様から離れていった者です。でも、神様は、神様から離れた私たちが、どれほど危険な状態にあるかよく知っています。そして、私たちが、もう一度神様の元に帰ってくるのを望んでいます。

神様に立ち返るために私たちに必要なことは、神様が知っています。なぜなら、神様が私たちをゆるす方だからです。でも、私たちは、自分勝手にあれこれ勝手に考え出します。お賽銭をいっぱい入れたら、善行をたくさんしたら、宗教熱心になったら、あの儀式この儀式に参加したら、もっと立派な人になったら・・・。これらは、ライオンにニンジンを持って行ったり、踊って見せたり、速く走れることをアッピールするようなものです。

私たちが神様に受け入れられるための条件は、イエス・キリストが十字架の上で、完全に成し遂げてくださいました。私たちは、イエス・キリストの救いを通して、神様に立ち返ることができます。

だから、神様に立ち返るために私たちに必要なことは、神様が与えてくださった唯一の救いであるイエス・キリストを信じて、そして、神様の前に、自分が身勝手な者であって、神様から離れてしまったものであることを認め、あやまりさえすればよいのです。

実は、それからがとても大事なのです。神様を自分の王様とした生活が始まるはずです。本当に、自分が身勝手で、神様に逆らっていたことを悪いと認め、ゆるしを求め、あやまったのなら、今度はちゃんと、当然あるべきかたち、つまり神様を王様として、神様との関係を保って生活するはずです。

そして、その関係にあるからこそ、神様のすばらしさ、偉大さ、力強さ、愛の深さ、また、神様の元に立ち返ったことの幸いが現実にあるのです。


あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、
悔い改めて、神に立ち返りなさい。
(使徒の働き 3章19節)

時が満ち、神の国は近くなった。
悔い改めて福音を信じなさい。
(マルコの福音書 1章15節)


次回からは、新しいストーリーです。アクセスしてくださいね。


ウサギの国の危機(6)ウンチク前編

2008-11-29 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
ウサギのお話、とくれば、「ピーター・ラビット」が、まず私の頭に浮かんできます。愛嬌があって、いたずらで、じっとしていない、それでいて憎めないイメージがあります。また、狼もいろいろなお話の中によく登場するのですが、たいていは悪役で、最後はとっちめられたり、痛い目にあったり、ちょっと気の毒な役回りですね。今回のストーリ-でも、そのまんまのイメージで登場してもらいました。

さて、今回考えたいポイントは、ウサギたちが動物王国に再び戻るところです。

ウサギたちは、ライオンが止めるのを振り切って、自分たちから動物王国を出て行きました。動物王国から出たウサギたちは、狼たちに狙われ、危険になります。そこへ、ライオンから手紙が届いて、再び動物王国に戻ることにするわけです。

動物王国に住むには、王様であるライオンの許しが必要でした。ウサギたちは自分から出ていたわけですから、ただ「ただいま~」というわけにはいきません。で、どうすればライオンがゆるしてくれるか、自分なりにウサギたちにがいました。ニンジンを持って行ったり、踊って見せたり、速く走れることをアッピールしたり。でも、どれも大変な失敗に終わりました。

この失敗、案外、私たちもやっているのではないでしょうか。ゆるしてもらうために、自分なりにあれこれと手を考えるわけです。「自分だったら、これで機嫌を直すかな」、そう思うことをやってみます。それがどんなにいい考えのように思えても、それは所詮自分の考えでしかありません。ゆるす人の考えではないのです。ゆるす人の考えに合わなければ、すべては無駄、かえって問題を大きくすることにもなりかねませんね。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)


ウサギの国の危機(5)

2008-11-28 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
他のウサギたちは、トラ猫に連れられて、ライオンのところに行きました。

トラ猫  「ライオンさん。新しい古い仲間を連れてきました」

ライオンは、ウサギたちにゆっくりと目を注ぎました。ウサギたちは、体がしびれたように、怖くなりました。

トラ猫は、ウサギたちに言いました。
「さあ、今です。勇気を出して」

ウサギたちは、トラ猫から教えられた様に、ライオンに言いました。
「ライオンさん。自分勝手に王国を出て行ってごめんなさい。ボクたちをまた、仲間にしてください」


ライオンは、それを聞くと、ウサギたちに静かに話しかけました。

ライオン  「あなたたちは、動物王国の仲間として、戻ってきたいのですね」

ウサギたち 「はい、そうです。ボクたちは動物王国の仲間として、ここに住みたいんです」

ライオン  「動物王国には、王様がいることを知っていますか」

ウサギたち 「はい、知っています。ライオンさん、あなたが王様です」

ライオン  「動物王国に戻ってきて住むということは、わたしをあなたがたの王様として、生活するということですよ」

ウサギたち 「はい、よくわかっています。私たちは、あなたのような力強く賢い方が、私たちの王様であることをとてもうれしく思います」

そのウサギたちは、ふたたび、動物王国に住むことが許されました。


動物王国では、王様のライオンが、いつもみんなを守ってくれました。それで、みんな仲良く、平和に暮らすことができました。狼たちが襲ってくる心配もありませんでした。ウサギたちは、もう二度と、そこを出たいとは思いませんでした。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)


ウサギの国の危機(4)

2008-11-27 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
トラ猫と一緒に進んだウサギたちは、無事、動物王国に着きました。

トラ猫  「さあ、ライオンに挨拶に行きましょう。ライオンの許しなしに動物王国に住むことはできません」

ウサギたち「でも、きっと、ライオンは怒っているに違いない」

トラ猫  「ええ、とても怒っていますよ。でも大丈夫。私がいっしょに行ってあげますから。そして、私が教えるようにすれば、赦してもらえます」


それでも、何人かは、トラ猫を信じないで、自分でライオンに会いに行きました。

あるウサギは、ニンジンを持って行きました。
「これは一番美味しいニンジンです。これをあげますから、守ってください」

ライオンは大きな声で一声吠えました。そのウサギは、怖くなって飛び出していきました。


あるウサギは、ライオンにダンスをして見せました。
「これで、機嫌を直してもらえましたか。なんなら、もっと踊って見せますから、守ってください」

ライオンは大きな声で一声吠えました。そのウサギは、怖くなって飛び出していきました。


あるウサギは、ライオンにこう言いました。
「ボクは、とても速く走ることができます。だから、きっと役に立ちますよ。ボクを仲間にしてください」

ライオンは大きな声で一声吠えました。そのウサギは、怖くなって飛び出していきました。

(つづく)


ウサギの国の危機(3)

2008-11-26 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
三日経ったところへ、トラ猫が現れました。

トラ猫  「さあ、動物王国へ行きましょう」

ウサギたち「でも、穴から外に出たら、狼たちに狙われるんだ。危ない」

トラ猫  「大丈夫。私が安全な道を知っていますから。私について来てください。さあ、ぐずぐずしないで、すぐ出発しましょう」


でも、いろいろ文句を言うウサギたちがいました。

「この手紙が、本当にライオンからのものだと、なぜ言えるんだ」

「ライオンが、ボクたちのことを守ってくれるって、どうしてわかるのさ」

「自分から出て行って、いまさら、帰るなんてカッコ悪いじゃないか」

ウサギたちの何人かは、ライオンの手紙を信じないで、そのまま穴に残りました。そのウサギたちが、その後、どうなったかは、知る由もありません。


出発してからも、ごちょごちょ言うウサギたちがいました。

「どうしておまえさんが、本当に安全に動物王国まで行く道を知っているってわかるのさ。野原のことだったら、ウサギのほうがよく知っているに決まっている」

何人かは、トラ猫を信じないで、自分で動物王国へ向かうことにしました。でも、その後、彼らの姿を再び見ることはありませんでした。

(つづく)