ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

赤ずきんちゃん四姉妹(4)

2008-12-26 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ある日のこと、赤ずきん冬子ちゃんは、とってもきれいな、珍しいちょうちょうを見つけました。赤ずきん冬子ちゃんは、そのちょうちょうをもっと見ようと、追いかけました。ちょうちょうは、野原を越え、小川を越え、畑も越えて、森の中に入って行きました。

森の中に入ったところで、赤ずきん冬子ちゃんはちょうちょうを見失ってしまいました。気がつくと、もう夕方です。もうすぐ5時です。

赤ずきん冬子ちゃんは、森の中を歩き始めました。歩けば歩くほど、自分がどこにいるのか、わからなくなってきました。赤ずきん冬子ちゃんは、完全に迷子になってしまいました。

もうあたりはすっかり真っ暗です。目に入るもの、なんでも不気味に見えます。枝が肩に当たっただけでも、ハッとします。赤ずきん冬子ちゃんは疲れ切ってしまって、石の上に座りました。そして、思いました。

「お父さん、ごめんなさい。私が、もう少しちゃんと気をつけていたら、こんなことにならなかったのに。今度おうちに帰ったら、いい子にするわ。」

そこに狼がそーっと近づいてきました。赤ずきん冬子ちゃんは、まったく気がつかなで、泣いていました。さあ、狼が襲いかかろうというところで、「バン。」鉄砲の音がしました。赤ずきん冬子ちゃんは、心臓が止まるかと思うほどびっくりしました。そこに現れたのはお兄さんでした。お兄さんが探しに来てくれたのです。

「さあ、おうちに帰ろう。」
「でも、私、決まりを破ったから、ムチ打ちね。」
「心配しなくても、大丈夫。お兄さんがいっしょだから。」

家に帰ると、夕食の支度をしてお父さんが待っていました。

「お父さん、ごめんなさい。」
「おかえり。心配したよ。お兄さんに探しに行ってもらったんだ。まず、手と顔を洗ってきなさい。」

赤ずきん冬子ちゃんは、手と顔を洗ってきました。

「決まりを破ったから、ムチ打ち2回だ。」

赤ずきん冬子ちゃんは、黙ってうなずくと、目を閉じて、自分の小さな手を差し出しました。

すると、お兄さんが言いました。

「お父さん。僕が代わりに、そのムチを受けることができますか。」

そして、お父さんは、お兄さんの手を、代わりにムチしました。

「着替えてきなさい。そして、いつものように食事にしよう。」

赤ずきん冬子ちゃんは自分の部屋に入って着替えて出てきました。そして、お父さんとお兄さんといっしょに、お父さんが作った特性のシチューを食べました。赤ずきん冬子ちゃんは、自分がみつけたとってもきれいな珍しいちょうちょうの話をしました。お父さんは微笑みながら聞いてくれました。お兄さんも狼をしとめた話とか、もっとおもしろい話をたくさんしてくれました。お兄さんの手は、まだ赤くはれていて、とても痛そうでした。

赤ずきん冬子ちゃんは、お父さんとお兄さんを心配させるようなことは、もう絶対しないと心に決めました。赤ずきん冬子ちゃんは、お父さんとお兄さんといっしょに食事をするのが、毎日の一番楽しい時間になりました。みんなは、その日あったいろんな出来事を話しました。そして、その家族はとても幸せに暮らしました。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)