ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ウサギの国の危機(2)

2008-11-25 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
新しく作った自分たちだけの国でウサギたちは、平和に暮らし始めました。

みんなで力をあわせて作った穴の住処は、とてもうまくできました。近くには、緑の野原があって、美味しい草がたくさんありました。それに、かくれんぼするのにもいいし、お昼寝するのにもいいし、かけっこするのにもいいし、ウサギたちにもってこいの場所でした。

ところが、ひとり、ふたりと帰って来ない者がいるのです。

その数は、だんだん増えていきました。


狼たちに狙われているのです。



穴の中にいる限りは大丈夫です。でも、ずっと穴の中にいるわけにはいきません。なぜって、食べ物は外にあるからです。だからといって、外に出て行くと、狼たちに狙われます。

「どうしよう。このままでは全員、狼たちに食べられてしまう」



そこに、ライオンから手紙が届きました。

「狼たちに狙われているそうだね。動物王国に戻ってきなさい。ここは安全だよ。食べ物もある。三日したらトラ猫が迎えに行くから」


ウサギたちは、相談しました。

「ライオンは、ボクたちのことを、動物王国でどうするつもりだろう」

「トラ猫のことを信用していいんだろうか」

「きっと罠に違いない。呼び出しておいて、全員丸ごと食べてしまうんだ」

「でもこのままいても、狼たちに食べられてしまう」

そんなことを話しながら、あっという間に三日が経ちました。

(つづく)