TeamABCの策略（５）

さあ、レースが、始まりました。世界中から集まってきた、スピード自慢のヨットチームが、いっせいにスタートしました。そのなかで、グングン、スピードを上げて、先頭争いをしているのは、今年も、イロハ組とTeamABCです。

少しずつ、イロハ組が、TeamABCとの差を広げていきます。


ところが、イロハ組の様子が、どうも変なのです。監督は、ある選手には、まったく声をかけません。ある選手は、他の選手を無視しています。チームの中が、みんなバラバラです。これでは、とてもチームとはいえません。みんなが好き勝手なことをするので、ヨットは、スピードを上げることができません。

TeamABCが、どんどん追い上げてきます。

あれほどあった差が、ほとんどなくなりました。

イロハ組とTeamABCが、ほとんど同時にゴールしました。

さあ、今年の優勝は、どうなるのでしょう。



レースは終わりました。
審判団が集まって、協議を始めました。どうも、今年の新しい規定が守られていないヨットがあったようなのです。

ついに、審判団は、協議を終え、その結果を発表しました。


「イロハ組は、失格です。したがって、今年の優勝は、TeamABCです！」

TeamABCから、大歓声が上がりました。念願かなっての、優勝です。


イロハ組のみんなは、がっかりしています。



そのなかに、あの新しいコーチの姿はありませんでした。

（次回は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。）