ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

自由だから愛(1)

2008-11-17 | 自由だから愛/ お父さんの橋
むかし、ある国では、奴隷という制度がありました。奴隷にされた人たちは、何でも主人の何でも言うなりに働かなければなりませんでした。仕事だけではありません。食べるものも、住むところも、なにもかも、主人の言うなりにしなければなりませんでした。働きが悪かったり、文句を言ったり、主人に逆らったりすれば、牛や馬のように、鞭で叩かれることもありました。

あるお金持ちの家に、夫婦の奴隷が買われて来ました。主人は、男の奴隷には朝から晩まで畑の仕事をさせました。女の奴隷には朝から晩まで畑でとれた穀物の殻を取ったり、粉に引いたりさせました。その奴隷の夫婦には、小さな女の子が一人いましたが、まだ小さいので、仕事はさせられませんでした。でも大きくなれば、仕事を言いつけられるのは目に見えていました。

奴隷の夫婦は、毎日毎日、朝から晩まで働かされていました。畑仕事をしていて、腰が痛くなったので、仕事を休みたいと言っても、主人は聞いてくれませんでした。雨の中で働かされて、次の日、熱が出たというと、怠け者だと言われて、鞭で叩かれました。

何年も、そんな日が続きました。

(つづく)