TeamABCの策略（１）

あるところで、毎年一回、ヨットレースがもたれていました。世界中から、スピード自慢のヨットチームが集まってきます。そのなかで、いつも優勝を争うのは、イロハ組とTeamABCでした。

ところが、TeamABCは、どんなにしてもイロハ組に勝つことができませんでした。毎年、がんばって、精一杯の準備をし、最高の仕上がりのヨットを持ち込みますが、どうしてもイロハ組に勝てないのです。TeamABCは悔しくて、悔しくて仕方ありませんでした。

今年も、レースの日が近づいてきました。TeamABCは、今年こそ、イロハ組に勝とうと、今まで以上にがんばって準備をしてきました。

TeamABCは、作戦会議を開きました。それまでのレースを一つ一つ分析し、どうすれば勝てるか話し合うためです。話し合いは、進みました。でも、これといって決め手になる作戦は出てきません。このままでは、いままでどおり、やっぱりイロハ組に負けてしまうかもしれません。

最後に一人が、あることを思いつきました。

「どうだろう。イロハ組に秘密工作員を送り込んでは」

（つづく）