ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

人魚王子(7)ウンチク後編

2008-08-18 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
料理であれば、和洋折衷は、うまくいけば、とても美味しくなりますね。たとえば、納豆スパゲティは、日本人だけが味わうことのできる究極の和洋折衷料理といえるかもしれません。(ちょっと、おおげさすぎた?)

けれども、私たちの生き方は、料理のように何でもうまく混ぜ合わせる、なんてことはできないのです。「二つの相反する性質」を同時に持つことはうまくいきません。

ここで言っている「二つの相反する性質」とは、とりわけ、聖と悪のことです。

平たく言えば、我がままに自分が楽して生きられるように聖なる神様の祝福を受ける、自分勝手がうまく行くように聖なる神様に働いてもらう、自分の欲望達成のために聖なる神様の力を借り受ける・・、そういうことです。

人の我がまま勝手な願い事をかなえるようなのは、神様でも何でもありませんよ。というのは、もしそういう存在が神であるなると、神は、人間の意志に従う、人間のしもべのような存在ということになります。けれども、自分に仕えるものを神と呼んで、拝む、礼拝する、頼る、祈りをささげる、ほめたたえる・・矛盾しているでしょう。


聖なる神様の祝福、恵みを受けながら、片一方で、悪の性質を保持して生きる、これはうまくいきません。

聖なる神様の力、守り、支えを生活の中で必要とし、聖なる神様の無限大の愛を受けながら生活するのであれば、すっきりくっきり、悪の性質から離れる決心が必要です。そうしないと、かえって悪い結果を生むことになりかねません。


また、だれも新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、ぶどう酒は皮袋を張り裂き、ぶどう酒も皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるのです。
(マルコの福音書 2章22節)


次回からは、新しいストーリーです。アクセスしてくださいね。

人魚王子(6)ウンチク前編

2008-08-17 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
「ぐぅえ~~、ハッピーエンドじゃないの~~~」
という、非難の声が聞こえてきそうすが・・(冷や汗)

ちゃんとストーリーのなかで、「元の人魚に戻ってしまう」と言われていたわけですし、「人魚は人を食べる」という設定ですから、その辺は、ごかんべんいただいて・・


と、言い訳から始まった、ウンチク編です。

今回のストーリーのポイントは、人魚には人魚の性質があり、人魚でありながら人の性質は持てない、というところです。

このストーリーの設定では、
人魚は、海底に住んでいます。水の中でも呼吸ができます。大嵐の中でも自由に泳ぐことができます。そして、人を食べると強くなると信じて、人を食べます。

人魚王子は、人になったときには、人魚としての性質を失いました。が、人魚に戻ったとたん、すべてはまったく元通り、すっかり人魚の性質になって、そして、人を食べたわけです。


気がついてい欲しいのは、「二つの相反する性質を同時に持つことはうまくいかない」ということです。

私たち、案外、このことに気づかないで、失敗をやらかすのです。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)

人魚王子(5)

2008-08-16 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
姫は、王子の手につかまれてはいますが、もうほとんど意識がありません。

「人魚に戻りたい。神様、人魚に戻してください。」

王子は、心からそう願いました。



王子は、一瞬、気を失いました。




そして、気がつくと、

王子は人魚に戻っていました。



人魚に戻った王子は、荒れ狂う波の中でも、自由に泳ぐことができました。もちろん、水の中でも、呼吸ができます。

何もかもすっかり人魚に戻ったのです。


人魚王子は、目の前に、溺れている人をみつけました。





「しめた。人だ。これを食べれば、もっと強くなれるゾ。」

人魚王子は、その人を捕まえて、食べてしました。


(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)

人魚王子(4)

2008-08-15 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
あるとき、王子と姫は、王様とおきさき様の代理として、遠くの国まで船で旅に出ました。

そして、大切な用を済ませた、その帰りの海で、大嵐にあいました。
選りすぐりの船員たちは、大嵐の中で、なんとか船を陸地に近づかせようとしましたが、


ついに、船は沈没してしまいました。


王子も姫も海に投げ出されました。

王子は泳ぎが得意です。それでも、大嵐の荒れ狂う波にもまれながら、泳げない姫を助けることは難しすぎました。


このままでは、二人とも溺れてしまいます。



王子一人なら、岸までたどり着くことができるでしょう。

だからといって、王子は、姫を海の中であきらめることは、とてもできません。



「人魚だったら、助けられるのに。」


(つづく)

人魚王子(3)

2008-08-14 | 人魚王子/ ぶどうの木とリンゴの木
ある夜、季節外れの大嵐がありました。
その次の日の朝のことです。

一人の青年が岸に打ち上げられていました。


それを、海岸を散歩していた姫が見つけました。

「この人だ!」


そして、二人は、めでたく結婚しました。



王子の新しい生活が始まりました。

王子は、肉も果物も食べません。そして魚ばかり食べたがります。姫は、不思議に思って聞きました。

姫  「どうして?」

王子 「だって、ぼくは・・(おっと、いけない)・・
    え~っと、狂牛病や鳥インフルエンザが危ないでしょ。それに、果物は農薬がかかってるし・・」


夏の暑い日です。王子は暑くてフラフラです。

王子 「海の底は涼しい・・(おっと、いけない)・・」

あわてて思いを打ち消しました。


王子と姫は、それはそれは仲良く暮らしました。

(つづく)