ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

さかなのナカ(5)ウンチク前編

2008-12-21 | さかなのナカ/ 赤ずきんちゃん四姉妹
ナカは、お気に入りの水槽の中に住んでいました。でも、問題が一つありましたね。水が汚れてくることです。ナカは、自分のからだが薄汚れてきたことに気がつきました。それで、自分を洗えばいいと思いました。ところが、結果は、ご存知のとおり、うまくいきませんでした。

私たちにも、こういうことって、あると思いませんか。外見を変えることで、自分を変えようと思うのです。髪形を変えたり、新しいかばんを買ったり、英会話を習ってみたり、筋力トレーニングを始めたり、なにか、自分の外見や持ち物や違うことをして、自分が新しくなったような気分になるのです。でも、何日(何時間?)かすれば、やっぱり自分は何も変わっていないことにがっかりします。それで、またつぎの新しいことを始める・・。ネバーエンディングストーリーです。

水をきれいにすることは、その水槽の中、その水の中にいるナカには、どうすることもできない問題でした。飼い主が水を入れ替えてくれるまで、ナカには、手も足も出しようがなかったのです。まあ、さかなには、最初から手も足もありませんが。

私たちも、そう感じることってありますよね。こんな自分になったのは、自分のせいではなく、周りのせいだ、環境のせいだ、って思うことです。自分がこんなが性格なのは親のせいだ。自分がハッピーじゃないのは親がお金持ちじゃないからだ。自分が勉強ができないのは先生がバカだからだ。落ち着かないのはカレシやカノジョが物足りないヤツだからだ。自分の評価が低いのは社会が低能だからだ。自分が不幸なのは警視庁が情けないからだ。あげくには、なんで自分にはドラえもんがいないんだ・・

水槽の中の水が汚れる原因は、飼い主が水を取り替えないから---ではありません。ナカの中から水を汚すものが出ているからです。

私たちも、このことを、よく見落とします。確かに、私たちは、自分ではどうすることもできない状況の中で生活しています。自分が選んだり、決めたわけではない条件の中でやっていかなければなりません。けれども、あなたが“薄汚れていく”のは、あなた自身の中にあなたを“汚れさせる”原因があるからです。その原因をほったらかしにして、いくら外見を変えても何も変わりません。周りのせいだと叫んだところで、何の解決にもならないのです。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)