ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

続どろんこハリィ(5)

2007-03-30 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
男の子と女の子が、そろっておふろ場に行きました。

ハリィを見た二人は叫びました。

「おとうさん、おかあさん、見てよ。
 ハリィが、からだにいっぱいひっつき虫をくっつけているよ」

「それじゃあ、おふろに入れるんじゃなくて、
ひっつき虫を手で取ってあげないとね」
おとうさんが言いました。


ハリィは、おふろ場から連れ出されて、
もういちど、庭に出ました。

そこで、男の子と女の子が、
ハリィのからだにくっついていたひっつき虫を取ってくれました。


ひっつき虫を全部取ってもらって、
ハリィは、すっかりご機嫌になりました。


「手を洗って、おうちに入ってきなさい。夕食ですよ」
 おかあさんがみんなを呼びました。


ハリィもおうちに入るとき、
足だけきれいに拭いてもらいました。


ゆうごはんを食べたハリィは、
お気に入りのクッションの上で、
楽しかった遊びのことを思い出しながら、
ぐっすり眠りました。
クッションに少しくっついていたひっつき虫のことも気になりませんでした。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)



続どろんこハリィ(4)

2007-03-29 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
おうちに着いてみると、
なんだか、からだがチクチクかゆいのです。
よく見ると、からだにひっつき虫がたくさんくっついています。
野原で遊んだときに、くっついたのです。


ハリィは、ひっつき虫を取ろうと思って、
足でからだをかきましたが、ひっつき虫は取れません。

今度は、からだを強くふるってみました。
でも、やっぱり取れません。

それで、ジャンプしたり、逆立ちもしてみました。
それでも、やっぱり取れません。


ハリィは、おうちに入って、
クッションにからだをこすりつけてみました。

少しは取れたような気がしますが、
あいかわらず からだは、ひっつき虫だらけです。


こまったなぁ、とハリィは、クッションの上に座りました。


背中が何か硬いものに当たりました。


おふろのブラシです!


ハリィは、そのブラシをくわえて、
いちもくさんにおふろ場に行きました。

おふろの中に飛び込むと、
ハリィは、自分のブラシをおろして、ワンワンほえました。


「あら、ハリィがおふろ場でほえているわ。
また、おふろに入りたいんじゃない?」
女の子が言いました。

「じゃあ、二人で洗ってあげなさいよ」
 おかあさんが言いました。

(つづく)

続どろんこハリィ(3)

2007-03-28 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
次の日です。

ハリィは、また遊びに出かけて行きました。

道で、石炭自動車を見たときは、
競走しよう と思いましたが、
そんなことをしたら、また真っ黒になってしまいます。
それで競走は止めにしました。


広場に着きました。
ほんとうは 友だちの犬たちとおっかけっこをしたり、
かくれんぼをしたりして、遊ぼうと思ったのですが、
そんなことをしたら、また真っ黒になってしまいます。

それでハリィは、野原に行って、遊ぶことにしました。


野原で、ハリィは友だちの犬たちと、
草のわっかくぐりをしたり、探検ごっこをして遊びました。


夕方になって、そろそろおなかもすいてきました。
ハリィはおうちに帰ることにしました。

(つづく)

続どろんこハリィ(2)

2007-03-27 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
ハリィはとても困まってしまいました。


とつぜん、いいことを思いつきました。

ハリィは、開いていたドアのすきまから、家の中に飛び込んで、
いちもくさんにおふろ場に行きました。

そのあとを、男の子と女の子が追いかけてきました。


ハリィは、おふろの中に飛び込むと、
自分のブラシをくわえて、ちんちんしました。


「あら、この犬。おふろに入りたいんじゃない?」
女の子が言いました。

「じゃあ、二人で洗ってあげなさいよ」
おかあさんが言いました。


男の子と女の子が、そろってその犬を洗い始めました。



二人は、叫びました。

「おとうさん、おかあさん、見てよ。
ハリィだよ。
やっぱりハリィだったんだよ」


おふろに入れてもらったハリィは、
もとの黒いブチのある白い犬にもどりました。


ゆうごはんを食べたハリィは、
お気に入りのクッションの上で、
楽しかった遊びのことを思い出しながら、
ぐっすり眠りました。
クッションの下に隠したブラシのことも気になりませんでした。

(つづく)


続どろんこハリィ(1)

2007-03-26 | 続どろんこハリィ/ 母の手 /復活の朝
あるところにハリィという犬がいました。
ハリィは、黒いブチのある白い犬でした。
そして、ハリィは、おふろに入るのが一番嫌いでした。


ある日、ハリィは、広場に出かけて、
友だちの犬たちとおっかけっこをしたり、
かくれんぼをしたりして、遊びました。


それから、石炭自動車と競争したり、
蒸気機関車の煙の中を通り抜けたりして、遊びました。


そうしているうちに、
ハリィは、本当は、黒いブチのある白い犬でしたが、
白いブチのある黒い犬になってしまいました。


夕方になって、そろそろおなかもすいてきました。
ハリィはおうちに帰ることにしました。



おうちの庭に着くと、家の中から、
男の子と女の子が、外をのぞいていました。

「おとうさん、おかあさん、うちの庭に変な犬がいるよ」

「どれどれ、あぁ、似ているね。
 でもあれはうちのハリィじゃないよ」


ハリィはそれを聞いて、ビックリしました。
そして、自分がハリィであることをわかってもらおうとして、
得意の芸をしました。でんぐりがえり、さかだち、すっきっぷ、
そして、くちぶえも吹きました。


「なんかハリィみたいだな。でもあれはうちのハリィじゃないよ。
 だってハリィは黒いブチのある白い犬なんだから」

(つづく)