ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

オオカミ三世vs三匹のコブタ(3)

2008-04-30 | オオカミ三世vs三匹のコブタ
オオカミたちは、カリオ・ストロー工場に見学を装って、偵察に入り込んだ。専務コブタのジョートーの案内で工場施設を見学した後、コーヒーやケーキにありつこうとラウンジに行った。そこで、泣いているかわいい女のコブタに会った。

三世「なんだって。もうすぐハムにされるだ。こんなにかわいいのに。だめだ、ゆるせない。」

次元田「何かにおうな、かかわらないほうがいいぜ。」

石川(やばい、やっぱりオナラしたのバレタか。)

三世「ごちゃごちゃ言ってないで、助けてやろうじゃないか。こいつらは、当てにならないが、俺は力になるぜ。訳を聞かせてくれよ。」

オオカミは、次元田の忠告などまったく無視、五利衛門のことなど気にも留めず、そのかわいい女のコブタにもうメロメロだ。

「私は、クララ。社長のカリオと同じ村で生まれたの。私の両親がカリオに借金をして、その利息が増えに増えて、それはもう大変な額になったの。そしたら、カリオが両親にこう言ったの。もし私がカリオと結婚したら、その借金を帳消しにするって。それで、私は泣く泣く両親のためにカリオのところに来たんだけれど、いざ、結婚式が近づくと、あのコブタの奥さんになるなんて、考えただけでイヤでイヤで。」

三世「俺だって、そんなの許せないぜ。」

クララ「私がカリオに結婚しないって言ったら、カリオは借金の代わりに、私をハムにするって。」

石川「ってことは、カリオは、ハム工場は表向きで、実は、高利貸しだったってことでゴザルな。」

次元田「それで、こんな立派な建物を持ってやがるのか。ただのハム工場にしちゃ、おかしいと思ったぜ。」

三世「ごちゃごちゃ言ってないで、助ける方法を考えないと。このかわいいクララちゃんがハムにされちまう。」

石川「助けるっていっても、簡単にはいかないでゴザル。門にはガードマンがいるでゴザル。」

次元田「そうだな。これだけの施設だ。そう簡単には連れ出せねー。」

クララ「私にアイディアがあるわ。ここでは誰かに聞かれるかもしれないから。私の部屋に来て。」

(つづく)

オオカミ三世vs三匹のコブタ(2)

2008-04-29 | オオカミ三世vs三匹のコブタ
オオカミたちは、さっそくカリオ・ストロー工場に出かけた。

次元田「これが、カリオ・ストロー工場か。思っていたよりも、ちいせーな。」

無骨な金網に囲まれて3つ建物がある。形はどれも似たような感じだが、作られている材料が違うことが一目見ればわかる。1つはわらぶき、1つは木造、そしてもう1つはコンクリート製だ。

石川「なるほど、わらぶきの家で、ストロー工場でゴザルか。」

三世「ごちゃごちゃ言ってないで、入るぜ。」

門の脇にガードマンの小屋がある。やっぱり、わらぶきだ。オオカミたちが工場見学を申し込むと、あっさりOKが出た。三人は、胸に見学バッチを着けて、工場敷地内に入った。そこへ、一人の身なりの良いコブタが現れた。

「カリオ・ストロー工場へようこそ。私は、専務のジョートーです。工場をご案内しましょう。」

オオカミたちは、ジョートーの案内で、工場を見学することになった。わらぶきの建物には、肉にされる動物が飼われている。木造の建物は、ハム工場だ。コンクリートの建物は、それまでの2つとは一転して近代的最新設備だ。ドアーは、コンピューター制御のオートロックになっている。センサーで網膜をチェックして、登録されている人物でない限り、開かない。建物の内部は5つ星ホテルなみの豪華さだ。入ってすぐの広いロビーに、銅像が置かれているのが目に入った。

三世「このコブタは、だれだい。」

ジョートー「これは、社長のカリオです。おっと、会議の時間が来てしまった。残念ながら私はこれで失礼します。後は、ご自由にご見学ください。あちらのラウンジに、コーヒーやケーキもご用意しています。オートロックは、皆さんの見学バッチで解除することができますから。では、ごゆっくり。」

次元田「ハム工場のくせに、何でこんな建物があるんだ。やっぱりくさいな。これは、なにかあるぞ。」

石川(やばい、オナラしたのバレタか。)

三世「ごちゃごちゃ言ってないで、お茶にするぜ。」

オオカミたちが、ラウンジに向かうと、そこにかわいい女のコブタがいた。泣いているようだ。

「私、もうすぐハムにされるの。助けて。」

(つづく)

オオカミ三世vs三匹のコブタ(1)

2008-04-28 | オオカミ三世vs三匹のコブタ
「おーい、やつらを捕まえてくれ。一番上等のハムを持って行きやがった。」

肉屋が大きな肉切り包丁を振り回しながら、大声で叫んでいる。肉屋がやられたと気がついた時には、もう後の祭りだった。三つの黒い影が、あっという間に、駆け抜けていった。

「あばよ。ハムは、俺様がしっかりいただいたぜ。」

チャランチャラン、チャッチャチャーン、チャランチャラン、チャッチャチャーン--(例のテーマを思い浮かべてください)チャッチャーン‐--

「俺の名は、オオカミ三世。あの三匹のコブタに食われちまったオオカミの孫だ。本当は、大力三(だい  りきぞう)っていう名前があるんだけど、かっこわるいから、オオカミ三世って自分で呼ぶようにした。さあ、俺の仲間を紹介しよう。

こいつは、次元田伊助(じげんた いすけ)。キツネのなかでも、一番すばしっこい。狙った獲物は、百発百中だ。

もうひとりは、石川五利衛門(いしかわ ごりえもん)。サルのなかでも、一番頭が切れる。でも、考えすぎて思考が固まってしまうこともある。」


オオカミたちは、アジトについた。今日のご馳走は、肉屋から頂戴してきた一番上等のハムだ。

三世「ごきげんだぜ。さあ、ご馳走をいただくとするか。」

次元田「おい、このハム、味がおかしくないか。」

三世「昨日食べたチョコレートが、まだ口の中に残ってるんじゃないのか。あー、うまい。やっぱりハムは最高級品に限るぜ。」

石川「うーむ。やっぱり、このハムは味がおかしいでゴザル。これは、どこで作られたハムでゴザルか。」

次元田「えーっと、袋、袋。あった、これだ。なになに、カリオ・ストロー工場。聞いたことねーな。」

石川「カリオ・ストロー工場といえば、最近できたハム工場で、高級ハムが安いっていうんで、近頃では一番人気でゴザル。」

次元田「へー、そうかい。」

石川「で、なんでも、ハム工場のクセに、社長と専務がブタだということでゴザル。」

次元田「ハム工場のクセに、社長と専務がブタだと。なんか、におうな。」

石川(やばい、オナラしたのバレタか。)

三世「よし。次の仕事が決まったぜ」

(つづく)

天国の秘密(7)ウンチク編

2008-04-27 | 放蕩息子Part2
ゴールデンウィークですね。海外旅行出発のピークは5月4日、帰国のピークは5月6日だと、どこかで見ました。今回のストーリーは、なんとなく海外旅行風な天国のストーリーです。もちろん、あえて言うまでもなく、フィクションです。

実は、今回のストーリーにはネタ元がありまして、どこかで聞いたことのある話を二つ、ヨナなりにアレンジして、一つのストーリーにしました。でも、その二つの話し、どこでだれから聞いたのか、まったく記憶にないのです。ごめんなさい。

聖書によれば、天国と地獄があることは、はっきりとしています。そして、天国の「都の大通りは、透き通ったガラスのような純金であった」と黙示録21章21節に出てきます。

さて、今回のポイントは、金(ゴールド)に象徴される財産に地上でどんなに執着しても、天国に行ったらただの石ころほどの価値しかない、というところではありません(まあ、ここもけっこう考えるべきポイントとは思いますが)。

今回のポイントは、祈り続けることの大切さ、です。見た目何も変わらない、かえって流れが悪くなっている、そんな中でも祈り続けるのは、それは、神様への信頼の現われです。本気で神様の力を信じ、本気で神様が自分を愛してくれていることがわかり、本気で神様が自分の祈りに答えてくださることを期待していれば、祈り続けるはずですね。

神様は、永遠的視点から、私たちの祈りに、神様の最善をもって答えてくださいます。それは、私たちの願いが、そのままかなう、という意味ではありません。また、神様を本気で信じていなくても、熱心に祈ることはできます。自分の願いを念じ続ければいいのです。でもそれは、信仰の祈りではありません。自分の願い事が願ったとおりかなうわけではない、それがわかっていながら、「神様。この問題、この課題、この出来事、あなたにお任せします。あなたの最善をなしてください」と祈れるのが、信仰の祈りです。

私たちが信仰の祈りを始めたその瞬間から、神様は、その祈りに答えようと動き始めています。


いつでも祈るべきであり、失望してはならないことを教えるために
(ルカによる福音書 18章1節)



天国の秘密(6)

2008-04-26 | 放蕩息子Part2
天使が静かに言いました。
「だから言いましたでしょ。見たら、がっかりしますよって」

男は、天を仰ぐようにして言いました。
「もう少し祈っていれば、もう少し信仰をもって待っていれば・・・。もうすでに、答えは用意されていたというのに」

天使は言いました。
「神様は、人が祈り始めると、すぐに聞いてくださいます。そして、最善の答えを用意して、最善のときに送り届けるようにと、天使に渡すのです。ところが、ほとんどの人は、祈りを止めてしまったり、期待する信仰を失ったりして、待つことをしなくなるのです。そうすると、その用意された答えは行き場を失って、こうしてここに集められるのです」

(次回は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)