ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

アクションRPG。敗北の原因は?(6)ウンチク後編

2008-09-21 | アクションRPG。敗北の原因は?
この敗北、失敗のパターンに、最初にはまったのは、アダムとエバです。アダムとエバは、神様の造ったエデンの園で、何不自由なく暮らしていました。文字通りの楽園生活でした。そこには、一つだけルールがありました。ある一つの木から、実を取って食べてはいけない、食べたら必ず死ぬ、というものでした。その他のどの木から食べてもいいわけですから、簡単と言えば簡単です。

ところがある日、エバは誘惑を受けます。見れば見るほど、美味しそうです。心の中でバトルが始まりました。「食べていいものか、食べていけないものか」。色といい形といい、とてもいい感じです。「食べるべきか、食べないべきか」。食べたら賢くなりそうな気がします。「食べたら損か、食べないと損か」。ついにエバは、その美味しそうに見える実を食べないではいられなくなりました。エバは自分でも食べ、そして夫のアダムにも食べさせました。男が女のことばに弱いのは、今に始まったことではありません。

その結果、彼らは、エデンの園から追い出されます。神様の祝福から完全に切り離されました。それ以来、人類は、労働の苦しみ、出産の痛み、死の恐怖に悩まされることになります。


彼らの失敗、誘惑に敗北した原因は、自分の知恵を使って、自分のやりかたで、自分の方法でやれると思い、神様が彼らに与えていたアイテムを使わなかったことです。

神様が、人に与えたアイテムとは、1)神様のことば(聖書)、2)神様を愛し、信頼する心(信仰)、そして3)イエス様です。イエス様は、神様ご自身で、私たちが頼るなら、完全な守りと安らぎ、解放といのちを与えてくださいます。完全シェルターの中で、勝利の王といっしょにいるようなものです。

人の生きる場所として、この世界を創造した神様は、そこにバトルがあることを知ってます。そして、そのバトルに打ち勝つためのアイテムを、ちゃんと用意しています。ゲームが、アイテムなしでは先に進めないようにデザインされているのと同じです。これらの神様のアイテムなしでは、どんなにがんばっても勝ち目はありません。勝利のアイテムは、すでに用意されています。取るか取らないか、使うか使わないかは、あなた次第です。

   主はわが巌、わがとりで、わが救い主、
   身を避けるわが岩、わが神。
   わが盾、わが救いの角、わがやぐら。
   ほめたたえられる方、
   この主を呼び求めると、私は、敵から救われる。
   (詩篇18:2-3)


(次からは、新しいストーリーです。アクセスしてくださいね。)


アダムとエバが誘惑に負けたこと、神様が世界を無から創造したことは、聖書の「創世記」1章から3章に詳しく書いてあります。



アクションRPG。敗北の原因は?(5)ウンチク前編

2008-09-19 | アクションRPG。敗北の原因は?
タロウが敗北した原因は、獲得したアイテムを使わなかったことでした。こんなことは、実際のゲームをしているときには、ありえないと思います。プレイステーションでも、ニンテンドーでも、なんであれ、獲得したアイテムを使わないなんてことはしないですよね。制作する側も、プレイヤーが獲得したアイテムを使ってくれる想定で、ゲームをデザインしています。アイテムを使わなければ、先に進めないようにできているのです。逆に言うと、必要なアイテムは、必ず、獲得できるようになっています。

その獲得したアイテムも、ただ使えばいいというものでもなくて、使いどころがありますよね。使い方を間違えると、せっかく苦労して手に入れたアイテムも、たいして役に立たないものになったり、本当に必要なところで使えなくなったりします。

タロウは、アクションRPGが得意でした。特に、戦いの場面が大好きです。ゲームの設定がどうということよりも、また持っているアイテムがどうということよりも、とにかく自分でガンガンやりたかったのです。彼は、戦闘に自信がありました。自分の攻撃パターンを使って、自分のやりかたで、自分のわざで勝てると思ったのです。そこが、タロウがアイテムを使わなかった最大の理由です。でも、結果は、ご存知のとおり、敗北の連続でした。


ストーリ-を読みながら、きっと、タロウのことを「成長しないヤツ」、「おんなじ失敗ばっかりして」、「だめなヤツ」と思われたことでしょう。ところが、けっこう、私たちも、タロウみたいに、同じ失敗を繰り返しています。それも、ゲームの中ではなくて、実際の生活の中でです。

今日こそは宿題を先に済ませてからゲームしよう。ダイエット目標3キロ、絶対甘いものは食べない。この番組見たらテレビは消す。早朝マラソン。一日単語10個覚える。・・計画はいいのですが、うまくいきません。なにかしら、思い当たるものがあると思います。

また、同じパターンで攻撃されて敗北しています。自分で止めようとわかっていながら、結局虜になっているもののことです。テレビ、雑誌、マンガ。断ればいいとわかっている友だち付き合いを残す。無駄遣い。長電話、長チャット。やけ食い、やけ飲み。ギャンブル。タバコ。お酒。・・正直になってください。ここにあげたもの以外でも、そういうものがあるでしょう。


敗北、失敗を続けている原因は何でしょうか。タロウと同じです。自分の知恵を使って、自分のやりかたで、自分の方法で勝てると思ったことです。実は、この敗北、失敗のパターンは、人類史が始まって以来、今に至るまで共通しているものです。そういう意味では、人は、まったく成長していないヤツらなのです。

(次回は、解決の糸口をウンチクります。)

アクションRPG。敗北の原因は?(4)

2008-09-18 | アクションRPG。敗北の原因は?
「だから。」

タロウは、そう言いながら、かなりイラつく自分がわかった。でもすぐ、ゲームに向かった。今まで見た画面は、見てはいるがもう目に入らない。手が勝手に、次々とクリアしていく感じだ。あっという間に、ファイナル・ステージに来た。

「さあ、いこか。」

と言いながら、実は、けっこう緊張していた。そこからは、画面に目をやりながら、慎重になって、でも、ガンガン進んで行く。今度は、宮殿に入った。少し薄気味悪い。ロウソクの明かりがチラチラして、部屋の様子が見えたり消えたりする。効果音だとはわかっているが、静かな中に、たまに物音がすると、ビクッとする。タロウは、ディズニーランドのシンデレラ城を思い出した。ゲームの展開は、ホラー系のアクションみたいだ。敵が襲ってきたり、部屋のあちこちにしかけがしてあったりする。壁に掛けてある絵だと思っていた男の手がいきなり出て、後ろから首を絞められたときには、コントローラーを両手でおもいっきり握り締めてしまった。それでも、ポイントを稼ぎながら、タロウは宮殿の中を先へ先へと進み続けた。

タロウは、ついに宮殿の王の広間に着いた。ここでは、ナルニアのケアパラベル城を思い出した。いろいろ探し回ったが、たいしたものは見つからず、それほどポイントは稼げなかった。でも・・・やっぱり、なんかありそうだ。
試しに、王座に座ってみた。すると、穏やかだった王の広間に、いきなり、敵があらわれた。

「まあ、少しは楽しませてもらわんと。」

タロウは、次々と出てくる敵をどんどん倒していく。それほどの数ではないが、少しずづ増えてくる。反対に、だんだんライフ・レベルが減ってきた。

「やばいな、この展開。」

タロウは、戦いながら、一つのことに気がついた。自分が王座に遠いポジションで戦うと敵が増えてくる。ポジションを王座に近くとると、敵の攻撃が弱まる。

「はー。ほんまかいや。こんなんあったか?」

タロウは、半信半疑だったが、おもいきって、王座のすぐ近くにポジションを移した。すると、どうだ。敵は、攻撃を止めただけではなく、しだいに融けてなくなってしまった。

「・・で、どうする?」

ゲーマーの直感で、ここには、まだ何かありそうな気がする。だが、どうすればいいのか、アイデアがまったくうかばななかった。

「ここで降参か。いややな・・。はっ、ここで降参か!そうや、王座やん!」

タロウは、王座の前にひざまずいた。すると、その王座に王様が現れた。

タロウはアイテムを獲得した。そのアイテムは「勝利の王」だ。


アイテムを獲得したと思ったら、音を立てて、宮殿が崩れ始めた。そこに敵が現れた。ついにボスキャラ登場だ。崩れていく宮殿の中で、タロウは、最強の敵と戦うことになった。

「これをまっとってんやん。」

タロウはいつものように攻撃を仕掛ようとした。ところが、足場は崩れてどんどん少なくなる。もちろん、落ちたらそれで終わりだ。天井や壁は、ロケットのように、タロウの上に降ってくる。敵は、そんなことはおかまいなしだ。今までの敵の何倍ものパワーで、ガンガン攻めてくる。

「あっかん。死んだ。」

タロウは、まったく攻撃ができないまま、敵の全体重が乗ったハンマーパンチを顔面にまともに食らってしまった。

「うーん。やられた。くっそー。」

崩れていく宮殿をバックに、一番見たくない文字が浮かび上がった。

GAME OVER



さて、タロウの敗北の原因は?

答えは簡単。そう、獲得したアイテム「勝利の王」を使わなかったからだ。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)


アクションRPG。敗北の原因は?(3)

2008-09-17 | アクションRPG。敗北の原因は?
「ちぃっ。」

タロウは、舌打ちを一つして、座りなおした。そして、ゲームに向かった。今回は、これまで通らなかった、違うルートを通ることにした。同じ場面ばかりだと、飽きてしまうからだ。それでも、アクションRPGはタロウのお得意。あっという間に、サード・ステージに来た。

「さあ、これからだ。」

と言いながら、実は、そこまで一気に来れたので、けっこううれしくなっていた。そこからは、もう少し慎重になって、でも、ガンガン進んで行く。今度は、森に入った。木があるだけでなく、ブッシュがあったりする。それに山のようになっていて、少し進むと地面が上りになったり、それが急に下りになったりする。木の上から果物や爆弾が落ちてくる。果物をキャッチすればポイントが増えるが、爆弾に触るとポイントが大きく減る。しかも、ブッシュの中から急に敵が襲ってくる。また敵かと思えば動物で、間違えて動物に攻撃するとポイントをロスする。

「やっと、ゲームらしくなってきた。」

タロウは、木の上から落ちてくる爆弾を巧みによけながら、でもきっちり果物はいただく。そうしながら、いきなり目の前に現れるヤツを、一瞬で、動物か敵か判断しなければならない。敵に攻撃するのも、木があってなかなか思うように動きが取れない。それでも、タロウは敵をどんどん倒して、ポイントを稼いでいった。

「ふーん。ここは、これで終わりかいな。たいしたことないな。」

タロウはアイテムを獲得した。そのアイテムは「完全シェルター」だ。


森を通り抜けると、砂漠に出た。ここでも、少し進むと地面が上りになったり、それが急に下りになったりする。どんどん進んで、ちょうど、谷の下に来たときに、敵が襲ってきた。

「これをまっとってんやん。」

タロウはいつものように攻撃を仕掛ようとした。ところが、砂に足が取られて、思うように動きが取れない。敵の攻撃をかわして、ダメージを少なくするのが、やっとのことだ。タロウが攻撃のチャンスを見つける前に、敵は、ロケット砲で攻撃してきた。しかも、そのロケット弾は、真っ直ぐ飛ぶのではなく、追跡タイプなのだ。タロウがどんなに逃げても、ロケット弾は、一定時間内、タロウを追いかけてくる。敵は、次から次とロケット弾を打ちまくっている。タロウが破壊するよりも、敵が打つほうがずっと多いのだ。ついに画面の中は、敵のロケット弾だらけになってきた。

「あっかん。死んだ。」

正面から飛んできたロケット弾を右手でパンチしながら、左手は頭の上に来たヤツをパンチした。後ろから来たヤツを2ついっぺんに破壊しようと、回し蹴りを出したときには、もう目の前に次のロケット弾が来ていた。タロウは顔面にまともにそれを食らってしまった。

「うーん。やられた。くっそー。」


さて、タロウの敗北の原因は?

答えは簡単。そう、獲得したアイテム「完全シェルター」を使わなかったからだ。

(次回は、いよいよ、このストーリーの最終回。)

アクションRPG。敗北の原因は?(2)

2008-09-16 | アクションRPG。敗北の原因は?
「ふん。」

タロウは、だからどうした、という様子で、またゲームに向かった。画面の流れは、さっきよりもずっと早い。一度やった場面は、もう頭に入っているので、無駄な動きがないのだ。あっという間に、セカンド・ステージに来た。

「まあ、予定どおりと言っとこか。」

と言いながら、実は、ちょっと得意になっていた。それまでよりも、少し慎重になって、でも、ガンガン進んで行く。また、建物に入った。荒れ果てたホテルのような感じで、あっさりした廊下の両側に、ドアが並んでいる。破壊されていて部屋の中が見えるドアもあれば、半開きのドア、完全に閉まっているドアなど、いろいろある。タロウは一つのドアを開けた。中は空っぽだ。・・・なんかありそうだ。

「ここは、たぶん、これか・・・。よっしゃ、おもったとおり。」

開けたドアを、閉めて、もう一度開けると、タロウの予想どおり、アイテムが隠されていた。

「ふーん。これで、考えてあるつもりかいな。さっきと同じパターンやん。」

タロウが獲得したアイテムは、「信仰の大盾」だった。


廊下を通り抜けて、階段を登るとき、少し緊張した。でも、何も起こらなかった。どんどん上って、屋上に出たとたん、敵が襲ってきた。

「これをまっとってんやん。」

でも、タロウは攻撃を仕掛けなかった。かわすだけだ。自分から攻撃したら、敵がその技を身につけて、それだけ強くなるからだ。タロウは、敵の攻撃のすきをついて、一発でしとめるつもりなのだ。ところが、敵が弓矢で攻撃してきた。タロウは、ますます攻撃のチャンスを見つけられなくなった。タロウのライフ・レベルもパワー・レベルも、もうほとんど残りがない。

「あっかん。死んだ。」

敵が放った矢をかわして、敵の背後にジャンプしようとしたタロウだったが、敵はそれまでよりも速いテンポで、次の矢を放ったのだ。タロウは空中でまともにそれを食らってしまった。

「うーん。やられた。くっそー。」


さて、タロウの敗北の原因は?

答えは簡単。そう、獲得したアイテム「信仰の大盾」を使わなかったからだ。

(つづく)