ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ウサギの国の危機(3)

2008-11-26 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
三日経ったところへ、トラ猫が現れました。

トラ猫  「さあ、動物王国へ行きましょう」

ウサギたち「でも、穴から外に出たら、狼たちに狙われるんだ。危ない」

トラ猫  「大丈夫。私が安全な道を知っていますから。私について来てください。さあ、ぐずぐずしないで、すぐ出発しましょう」


でも、いろいろ文句を言うウサギたちがいました。

「この手紙が、本当にライオンからのものだと、なぜ言えるんだ」

「ライオンが、ボクたちのことを守ってくれるって、どうしてわかるのさ」

「自分から出て行って、いまさら、帰るなんてカッコ悪いじゃないか」

ウサギたちの何人かは、ライオンの手紙を信じないで、そのまま穴に残りました。そのウサギたちが、その後、どうなったかは、知る由もありません。


出発してからも、ごちょごちょ言うウサギたちがいました。

「どうしておまえさんが、本当に安全に動物王国まで行く道を知っているってわかるのさ。野原のことだったら、ウサギのほうがよく知っているに決まっている」

何人かは、トラ猫を信じないで、自分で動物王国へ向かうことにしました。でも、その後、彼らの姿を再び見ることはありませんでした。

(つづく)