ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ウサギの国の危機(1)

2008-11-24 | 王子と靴磨き少年/ ウサギの国の危機
むかしむかし、あるところに動物王国がありました。ライオンが王様で、みんな仲良く、平和に暮らしていた。けんかしたり、いじめたり、脅かしたり、そんなことは決してありませんでした。

でも、なかにはライオンが王様ということがおもしろくない動物もいたのです。それは狼でした。狼は、キツネやジャッカル、ハイエナと一緒に、いつもライオンに逆らっていました。

ついに、ライオンは、狼たちを王国から追い出しました。
追い出された狼たちは、出て行ったところで自分たちの国を作りました。


それを、早耳のウサギが聞きつけました。そして、仲間のウサギたちに言いました。
「ボクたちも、自分たちの国を作ろう」

ライオンはそのことを聞いて、とても心配しました。

ライオン  「どこに住むのか?」
ウサギたち 「ご心配なく。ボクたちは、穴を掘るのが得意だから」

ライオン  「食べ物はどうする?」
ウサギたち 「ご心配なく。野原には草がいっぱい。それにボクたちは、美味しい草を見つけるのが得意だから」

ライオン  「敵が襲ってくるぞ」
ウサギたち 「ご心配なく。この耳で敵が来るのが遠くにいてもすぐわかる。それにボクたちは、それに走るのが得意だから」

ウサギたちは、ライオンが止めるのも聞かずに、動物王国を出て行って、自分たちだけの国を作りました。

(つづく)