新エネルギーの発電量の推移(2012年度まで)

前回、電気事業連合会のデータを用いて、燃料別発電量のグラフを更新しましたが、今回は新エネルギーだけのグラフを作ってみました。

日本の新エネルギー発電量の推移(水力を除く)
Japanese Renewable Electricity Generation (excluding hydropower)


出典:
エネルギー白書2012【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2012energyhtml/2-1-4.html
電気事業連合会:電源別発電電力量構成比
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/afieldfile/2012/06/13/kouseihi_2011.pdf


2012年度の新エネ発電量は約150億kWh(1.6%)で、原発の発電量とほぼ並びました。ただ、伸び率は低下しており、2011年度の前年比約23億kWh(21%)の増加に対し、2012年度は2011年度比約17億kWh(13%)にとどまっています。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始され、新エネルギーの発電量は伸びると予想していたのですが、、、

ただし、このデータは一般電力会社10社+他社受電の発電量となっています。このため、自家消費分や新電力への売電分は含まれていません。また、小水力も含まれていないようです。それでも再生可能エネルギーの大部分を占めていると思います。

固定価格買取制度が始まったのは昨年7月ですので、制度の狭間で導入量が少なくなったのか。それとも、このデータに含まれていない分があるのか。気になるところです。

再生可能エネルギーに関しては、水力、風力などの種類別の発電量データは今のところ見当たりません。固定価格買取制度でどのくらいの買取量であったのか、買取金額はいくらだったのかも公表されていません。ぜひ、これらのデータの公開もお願いします。


関連ページ
燃料種別発電量の推移(2012年度まで)
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/e1b4a7d4acef56587764c50dc0ba7a29
2010、2011年 月別発電量、燃料消費量の比較
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/67c4e9c10c2c03c5f03ec1e9b07a084c


2013/5/31 更新
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燃料種別発電量の推移(2012年度まで)

電気事業連合会から2012年度の電源別発電電力量構成比が公開されました。


電気事業連合会:2012年度の電源別発電電力量構成比を掲載いたしました。
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/1227416_1511.html

電源別発電量構成比

(クリックで大きく見られます)


原発の発電量構成比は1.7%に低下。設備利用率も3.9%と2011年度の23.7%からさらに大きく下がりました。LNG、石油、石炭の火力発電で88.3%を占めます。総発電量は約9400億kWhで2年連続の減少となりました。

この資料とエネルギー白書のデータを元に1990年度から2012年度までの燃料種別発電量の推移グラフを更新しました。

燃料別・発電量構成比の推移
Japanese Net Electricity Generation by Fuel


燃料別発電量の推移



出典:
エネルギー白書2012【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2012energyhtml/2-1-4.html
電気事業連合会:電源別発電電力量構成比
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/afieldfile/2012/06/13/kouseihi_2011.pdf
揚水は水力に含めています。発電量は10社+他社受電。


LNGは約4000億kWhと増加傾向が続いています。原子力の発電量は約160億kWhと急激に減少。新エネルギーは約150億kWh(1.6%)でほぼ原発に並びました。

このままの状態では、このグラフを見ると、電力会社の燃料費の負担が大きくなっているのも納得です。今後、日本のエネルギーをどうするのか。エネルギー対策を早急に考える必要があります。


関連ページ
燃料種別発電量の推移(2011年度まで)
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/8c4ae3466b1ed8c7f26c1cd35fe7dc96
2010、2011年 月別発電量、燃料消費量の比較
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/67c4e9c10c2c03c5f03ec1e9b07a084c


2013/5/27 更新
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燃料種別発電量の推移(2011年度まで)

電気事業連合会から2011年度までの電源別発電電力量構成比が公開されました。


電事連:2011年度の電源別発電電力量構成比を掲載しました。
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/1217266_1511.html

この資料とエネルギー白書のデータを元に1990年度から2011年度までの燃料種別発電量グラフを作ってみました。

燃料別・発電量構成比の推移


燃料別発電量の推移

(クリックで大きく見られます)

出典:
エネルギー白書2011【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-4.html
電気事業連合会:電源別発電電力量構成比
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/afieldfile/2012/06/13/kouseihi_2011.pdf
揚水は水力に含めています。発電量は10社+他社受電。


原発の停止に伴い、原子力による発電量は急激に低下。その分をLNG、原油等で補っています。発電量全体では前年度に比べて約5%の減少。石炭は2005年まで大きく増加しましたが、その後は横這い。石炭火力発電所が被災したこともあり、2011年度は前年比約5%の減少となりました。

新エネルギーの割合は1.4%とまだまだ少なく、原発が停止したままでは短期的には火力でまかなうしかないでしょう。長期的なエネルギー戦略の見直しと短期的な対策。どちらも待ったなしの状況です。



2012/6/25 更新
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リアルタイム発電状況

東日本大震災・電力不足を機に、現在、全ての電力会社が「でんき予報」として電気使用状況を公開しています。ただ、この取り組みには会社間で異なっており、四国、北陸、中国電力は3月末で終了予定で、数値データのcsvも公開していません。
そこで、他の国・地域の事例を調べてみました。


ドイツ:欧州エネルギー取引所eex
http://www.transparency.eex.com/en/


リアルタイムでの発電状況(総量、風力、ソーラー)の他、過去の発電状況のグラフ表示、データダウンロードが可能。

ドイツ 太陽光 SMA Solar technology
http://www.sma.de/en/news-information/pv-electricity-produced-in-germany.html


ドイツ全土の太陽光発電の発電状況の動画など

スペインの送電会社レッド・エレクトリカ社(REE社)
燃料別
https://demanda.ree.es/demandaGeneracionAreasEng.html

全量
https://demanda.ree.es/demandaEng.html
風力
https://demanda.ree.es/eolicaEng.html

情報充実。リアルタイムで石炭、ガス、原子力などの発電種別の発電量も分かる。過去のグラフも表示可。

カリフォルニア
http://www.caiso.com/outlook/SystemStatus.html


再生可能エネルギー
http://www.caiso.com/market/Pages/ReportsBulletins/DailyRenewablesWatch.aspx

需要予測、実績、供給力、太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーの発電量グラフ。過去の再生可能エネルギーのデータはtxtファイルだけでなく、PDFでグラフ等も見れます。

2012/3/26の再生可能エネルギー発電量(pdf)
http://content.caiso.com/green/renewrpt/DailyRenewablesWatch.pdf


日本ではでんき予報として総発電量は分かるものの、火力、水力など方式別の発電量は分かりません。燃料種別の発電量になると、過去のデータも見つかりません。太陽光、風力の発電量もメガソーラーなど単独の発電所で公開されているところもありますが、全体でどのくらいの発電量なのか統計すら見あたりません。全体的にデータが不足しており、この状況が電気は足りる、足りないなどの議論になっているように思います。

発電量等のデータを公開し、実体を明らかにすることがこれからの日本の電力・エネルギーを考える上で重要だと思います。

(他の国、地域でのリアルタイム発電状況の情報がありましたらお知らせ下さい)


関連ページ
東京電力 太陽光発電(メガソーラー)
http://www.tepco.co.jp/csr/renewable/megasolar/index-j.html
浮島・扇島・米倉山の発電量、個別グラフあり。
http://www.sbenergy.co.jp/index.html
ソフトバンクの子会社SBエナジー、試験場3カ所、10社分のパネルの発電出力グラフ。

資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
電気事業連合会 発受電速報
http://www.fepc.or.jp/library/data/hatsujuden/index.html
電力需要実績
http://www.fepc.or.jp/library/data/demand/index.html
電力統計情報
http://www5.fepc.or.jp/tok-bin/kensaku.cgi

経済産業省 エネルギー白書2011年版
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-4.html
燃料種別の発電量推移(excelデータ)など。


2012/3/28更新
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2010、2011年 月別発電量、燃料消費量の比較

震災、原発の停止と2011年は電力業界にとって激動の年となりました。節電や原発の停止でどの位の影響があったのか?電気事業連合会の発受電速報からグラフを作ってみました。

出典:電気事業連合会 発受電速報 
http://www.fepc.or.jp/library/data/hatsujuden/index.html

2010、2011年 方式別発電量比較



(クリックで大きく見られます)
注意:揚水動力、新エネルギーは2010年5月からのデータ公開となっているため、2011年分も5~12月で集計、比較しています。

2011年の全体の発受電量は前年比4.7%減。通常、夏にピークとなる発受電量が、2011年には1月が約923億kwhで最大となりました。(2011年8月は約830億kwhで前年比約12%減)。原子力の発電量は月ごとに削減幅が拡大。12月には前年同月比75%減に(2011年は前年比43.4%減)。火力発電は9月から増加量が大きくなり、12月には前年同月比約42%増(2011年全体では18.3%増)。原子力の減少分を火力と節電でまかなった形です。

揚水動力は2010年は5月からのデータのみですが、5~12月の比較では12.6%の減少。これは原発の停止に伴うものでしょうか?特に8・9月は約30%の減少となっています。


燃料消費量 石炭・LNG


燃料消費量 原油・重油



(クリックで大きく見られます)

燃料消費量では、2011年全体で石炭は0.8%減と前年とほぼ変わらず。LNGは18.4%、重油54.7%、原油105.6%増と重油、原油の増加が大きくなっています。月別グラフで見ると、LNGの消費量は5月以降、前年同月比15~34%増加。重油・原油は10月以降、大幅に増加しています。

このように2011年は日本の電力事情は大きく変わりました。節電による消費電力の減少、原子力発電の大幅な減少と火力発電の増加。火力発電の燃料消費、燃料費は大きくなっています。今後、日本のエネルギーをどうまかなうのか。リスクとコスト、そして対策のための時間も含めて真剣に考えるなければなりません。


*追伸*
このような発受電・燃料消費のデータは、PDFファイルで公開されています。これは、集計するのに大変手間がかかります。時系列でのCSVファイル、せめてHTMLでの公開をお願いします。(情報公開のあり方もそろそろ見直して欲しい)


関連ページ
LNG輸入が過去最高=火力発電で需要拡大-昨年
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201203/2012030800831
電力10社の燃料消費、重原油2.1倍・LNG1.3倍に
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819696E3E1E281968DE3E1E2E1E0E2E3E08698E2E2E2E2


2012/3/13 更新
東日本大震災発生から1年が過ぎました。改めて、亡くなられた方のご冥福と、被害にあわれた方へのお見舞いを申し上げます。
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kWとkWh

震災、原発事故から再生可能エネルギー、発電に関する報道が多くなっています。その中で、kWとkWhを混同していることがよくあります。

kwとkwh、設備容量と発電量については以前書きました。

再生可能エネルギーの発電量はどのくらい? 設備容量と設備利用率について
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/59744c907c59d5d0db00800c5318a625
勝手に風力発電講座 定格出力と設備利用率
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/a08334ada4cdae6bf1fe22356a36d648

こちらにも解説があります。

緊急節電 100Wって?;ワットとワットアワー
http://kinkyusetsuden.jp/watt.html

kWというのは、瞬間値で設備容量、発電能力、それに消費電力。電気機器には消費電力100Wなどと書かれています。kWに時間をかけたものがkWh。100Wの機器を3時間使うと、消費電力量は

100W x 3時間(h)= 300Wh

になります。電気料金の明細などに使われるのはこのWh(kWh)です。kWは瞬間値なので速度(km/h)、kWhは量の単位で距離(kW)に相当します。

こちら↓は、高さと面積で説明

経済産業省:電力需給緊急対策本部電力の需要と供給より


先日、下記のような記事がありました。

少しの水で軽々発電 
破砕機メーカーの中山鉄工所(武雄市)と、小発電システム開発会社のシーベルインターナショナル(東京都千代田区)が協力して、少ない水量で発電できる小型水力発電装置を開発した。最大10キロワット時、4人家族が1日に使う電気量を発電出来るという。
http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000001201170004
朝日新聞 2012年01月18日

この中で、小水力発電装置について、最大10kWhの発電となっています。これは、一体何時間で発電するのか?4人家族が1ヶ月に使う電気量は約300kWhなので、1日で10kWhの発電量?ということは、24時間で割ると出力は約400W?これで1000万円は高すぎる。。。

ということでメーカーホームページを見ると、出力(設備容量)が10kWのようです。

シーベルインターナショナル
http://www.seabell-i.com/

出力が10kwの場合、設備利用率を60%とすると、1日の発電量は 

10kw x 24h x 0.60 = 144kWh

4人家族の1ヶ月分の消費電力の約半分を1日で発電することになります。これを書かれた記者さんはkWとkWhが分かっていなかったのだと思います。

このような記事は他にもあります。設備容量の足し合わせだけで、電気は足りるとしているものもまだ見受けられます。エネルギー、電力需要などを冷静に考えるためにも、正確な報道をお願いいたします。


2012/1/19 更新
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各国の再生可能エネルギーによる発電量(2009年)

再生可能エネルギーに対する関心が高まっています。再生可能エネルギーの導入に積極的な国としてアイスランド、ドイツ、デンマーク、スペインなどがよく挙げられていますが、実際の発電量はどの位なのか?また、全発電量に対する割合はどの位か?調べてみました。

元データ 
アメリカEIA(U.S.-Energy Information Administration) International Energy Statistics 各国の発電量(2009年)
http://www.eia.gov/cfapps/ipdbproject/IEDIndex3.cfm?tid=2&pid=2&aid=12
*注意* 全発電量が年間100億kwh未満の国(フィジー9.7億kwh、サモア1.0億kwh、ブルキナファソ6.6億kwh、ルクセンブルグ26.7億kwh)はグラフでは省いています。
 

各国の全発電量と再生可能エネルギーによる発電量、再生可能エネルギーの割合

(クリックで大きく見られます)

棒グラフ(左軸)は各国の全発電量と再生可能エネルギーによる発電量。折れ線グラフ(右軸)は全発電量に対する、再生可能エネルギー由来発電量の割合。左から再生可能エネルギーの割合が高い順に日本までの36カ国(前述のように年間発電量100億kwh未満の4カ国はグラフでは省いています)

アイスランドは100%再生可能エネルギーによる発電を行っており、よく報道されている。ただし、全発電量は約165億kwhと非常に小さい。全発電量が最も大きいのはアメリカで次が中国、日本、ロシア。日本の全発電量は約9800億kwhで、再生可能エネルギーの割合は約10%(水力含む)。

各国の種類別再生可能エネルギーによる発電量

(クリックで大きく見られます)

種類別では水力が大部分を占める。再生可能エネルギーの発電量では、中国が約5500億kwhで1位、次いでアメリカ、ブラジル、カナダ。ブラジルは再生可能エネルギーの割合が約89%と高い。

各国の種類別再生可能エネルギーによる発電量(水力を除く)

(クリックで大きく見られます)

水力を除いた再生可能エネルギーによる発電量では、バイオマス、風力が二大勢力(バイオマスには廃棄物発電を含む)地域によっては地熱も活躍。地熱の発電量1位はアメリカで150億kwh、ついでフィリピン約100億kwh。日本は27億kwh。太陽光はスペイン、ドイツが並んでいて約60億kwh。太陽光は2009年時点ではまだ少量だが、急速に導入が進んでおり拡大が見込まれる。

日本の水力を除いた再生可能エネルギー発電量は236億kwhで全発電量の2.4%。最も多いのはバイオマスで155億kwh。ただし、バイオマスには廃棄物による発電も含む。


北欧各国、ドイツ、スペインなど再生可能エネルギー導入に積極的な国、事例として紹介されることが増えている。だが、国や全発電量の規模、自然環境、ポテンシャルも大きく異なり、そのまま他国に当てはめることはできない。成功、失敗共に先行事例に学びつつ、どんなエネルギーがどの程度導入可能か、冷静な分析が必要。


関連ページ
米国DOE・エネルギー情報局(EIA)
http://www.eia.gov/
経済産業省 エネルギー白書 
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/index.html
RPS法ホームページ 認定施設、新エネルギー等電気相当量の記録など
http://www.rps.go.jp/RPS/new-contents/top/toplink-5.html
環境省:平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=17339&hou_id=13696

再生エネ法が成立=電力会社に買い取り義務化
http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201108260050.html
ドイツ、再生可能エネルギーによる電力供給が20%超に、世論調査でも94%の人々が再生可能エネルギーの拡張を支持
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=25731&oversea=1

当ブログ内
日本と各国の風力発電の発電量、設備容量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/9bfbfdd5699b1aa97c20f2ff822640aa
各国の風力発電の発電量、設備容量の推移 6位以下
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/cc212098f082924ef9098e222e29b120
日本の風力発電による発電量はどのくらい?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/d4fa21ee16d7fc90339db9ffa1cf39a9


2011/9/15 更新
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水力発電の発電量と設備利用率

いよいよ7月。節電の夏の始まり。東京電力、東北電力管内では「電力使用制限令」が発動。その他の各地でも原発の再開が危ぶまれ、夏の電力需要が懸念されている。このような状態の中、電気は足りている。節電の必要はない。と言った声も聞かれる。設備容量から計算した例があるが、この中で、最も分かりにくいのが水力発電でどのくらいの発電量が見込めるかだろう。

経済産業省の電力調査統計の中に、発電設備利用率という項目がある。(設備利用率についてはこちらを参照)

経済産業省・資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
平成22年度 2-(4)発電設備利用率(一般電気事業者) xlsファイル
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/resource/h22/2-4-H22.xls

水力発電に関しては、設備利用率は80~90%と非常に高い値になっている。ただし、注釈に

 水力の利用率は可能発電電力量に対する実発電電力量の比を記す。

とあり、設備容量からではなく、貯水率等から計算した値らしい。ということで実際の設備利用率を調べてみた。(元データは全て前述の経済産業省・電力調査統計)


水力発電による発電量・設備利用率の推移(一般電気事業者10社計)

(クリックで大きく見られます)

まずは、一般電気事業者10社(実際は沖縄電力は水力発電がないため、9社)の各年の水力発電による発電量と設備利用率。総発電量は、年により大きく変動がある。特に1994年は年平均降水量比74%と大規模な渇水となった年(平成6年渇水)。降水量は2008年、2009年はほぼ平年並み。2010年は平年より多い年だった。

気象庁 日本の年平均降水量比
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/list/an_jpn_r.html

降水量により、発電量が変動していることが分かる。揚水発電は水力発電全体の10~15%で、割合としては小さい。設備利用率(折れ線、右目盛り)は1990年頃は約30%だったが、近年は約20%になっている。

各社の水力発電・設備利用率の推移

(クリックで大きく見られます)

電力各社の設備利用率では、大きく2つに分かれた。北海道、東北、北陸の北日本で35~40%と高く、他の6社は20%程度。中国電力、東京電力は近年は15%程度と低い。

平成21年度 各社の水力発電・月別設備利用率


平成22年度 各社の水力発電・月別設備利用率

(クリックで大きく見られます)

月別の水力発電設備利用率を見てみると、北日本3社は、春から夏にかけて設備利用率が高く、秋から冬が低くなっている(秋冬でも他社と比べると高い)。これは雪解けと凍結の関係か。

平成21年度は、4、5、6月は降水量が少なかったが、7、8月は各地で大雨に。冬には日本海側を中心に大雪になり、3月には顕著な多雨となった。平成22年度は前年に続いて春にかなり降水量が多く、夏も雨量が多くなった。

このように、水力発電の発電量、設備利用率は降水量に大きく左右される。地域によって設備利用率には差があり、北日本では高め、その他の地域では低い。季節変動も大きく、春から夏にかけて高く、秋から冬は低い。2005年以降では、10社合計の設備利用率は約20%となっている。

東京電力の夏場の電力供給については、設備容量を単純に足し電気は足りるとする計算も散見する。しかし、東京電力の設備利用率は2005年以降では約15%と低い。これを設備利用率100%のフル出力で計算すると、実体から大きく外れることになるので要注意。
(揚力発電についてはデータがないため、どのくらい見込めるかが不明)


*この記事に誤り等ありましたら御連絡下さい。


関連ページ
経済産業省 資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
認可出力、発電量等の月別データ。今回の記事は、このデータを元にしています。

電気事業連合会 電力統計情報
http://www.fepc.or.jp/library/data/tokei/index.html
各電力会社から集めた電気事業に関する年度毎の統計データ。

数表でみる東京電力
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/annai/shiryou/report/suuhyou/index-j.html
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/shiryou/suuhyou/pdf/suh-all-j.pdf
東京電力の設備、発電量等のデータあり


当ブログ内
再生可能エネルギーの発電量はどのくらい? 設備容量と設備利用率について
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/59744c907c59d5d0db00800c5318a625
勝手に風力発電講座 定格出力と設備利用率
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/a08334ada4cdae6bf1fe22356a36d648


2011/7/3更新 
いよいよ夏の始まりです。今年の夏はあまり暑くなく、雨が多くなることを願っています。
皆様、体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。
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再生可能エネルギーの発電量はどのくらい? 設備容量と設備利用率について

震災、福島第1原発の事故以来、再生可能エネルギーの話題が大変多くなってきました。その中で再生可能エネルギーで原発○基分可能と言った記事を見ることがあります。例えば100万kWの太陽光の場合、設備容量は確かに原発1基分ですが、得られる発電量は原子力の約1/5。ここで、原子力○基分というと、誤解が生じてしまうわけです。

というわけで、「設備容量」と「設備利用率」の話です。


さて、設備容量100万kWの発電所があるとします。ここで1年間でどの位の電力が発電できるでしょうか?

発電量は、出力x時間(Wh)で計算されます。
1年間では24時間x365日=8760時間なので、1年間目一杯発電したとすると、

 100万kW x 24 x 365 = 876,000万kwh = 87.6億kWh

しかし、どの発電方法でも常に100%出力できるわけではありません。で、実際の発電量を設備容量(x時間)で割ったのが設備利用率です。

 設備利用率 = 実際の発電量 / (設備容量x時間)

要は、フルに発電できた場合と実際の発電量の割合です。原発の設備利用率が60%に低下した。なんてニュースで使われたりしています。

参考 世界の原子力発電の設備利用率の推移

平成21年度エネルギー白書より

ちなみに平成21年度の日本の原子力発電所の設備利用率は64.7%だったそうです。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100305a04j.pdf#page=12

原子力発電は安定電力と言われていますが、それでも設備利用率は100%ということはありません。火力発電でも、点検、出力調整、故障等で設備利用率は下がります。水力発電は雨量に関係します。風力、太陽光などの再生可能エネルギーは変動が大きく、設備利用率は相対的に小さくなります。(地熱を除く)最近話題の風力発電では、設備利用率20~30%、太陽光発電は12~15%程度と言われています。

設備利用率を原子力65%、太陽光12%、風力20%とした場合、全て同じ100万kWの設備容量であったとすると、年間の発電量は

 原子力 100万kW x 24時間 x 365日 x 65% = 569,400万kWh
 太陽光 100万kW x 24時間 x 365日 x 12% = 105,120万kWh
 風力  100万kW x 24時間 x 365日 x 20% = 175,200万kWh

と、同じ設備容量でも発電方式で得られる電力(発電量)は大きく異なります。日本の原子力発電の設備利用率が60%台というのは国際的に見て低いですが、それでも他の発電方式と比べると発電量は大きい。同じ設備容量だと、原発は風力の3倍以上、太陽光の5倍以上の電力を発電することになります。

ここでは、原子力の設備利用率を65%を使って計算していますが、これが80%だと原子力の発電量はさらに大きくなります。もちろん、風力を30%として計算することもできます。(洋上風車だと30%くらいか?)ただ、日本の現状では風力の設備利用率は20%以下になっているようです。太陽光は雨、曇天、夜間は発電しないので設備利用率はどうしても低い。

このように、発電の方法により設備利用率は大きく異なります。また、太陽光は夜間は発電できない。季節によって風の強さも変わる。水力は雨が少ないと発電できないなど、発電の特性も違います。単純に設備容量を足し合わせて、原発○基分とか、原発がなくても電気は足りると言うことはできません。

原発の代替えを再生可能エネルギーで!と言う声が大きくなってきていますが、再生可能エネルギーにももちろん欠点があります。風力発電の反対運動が大きいのも事実。大規模ダムは今後作るのは難しいでしょう。あまりにもてはやすのではなく、利点と共にそれぞれの発電特性、コスト、リスクも考える必要があります。


関連ページ
大規模洋上風力発電九州大グループが研究開発へ 1ユニットで原発1基分の発電 低リスク・低コストで実現可能
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/electoric/electoric_wind01.htm
有名な社民党ホームページにある風レンズ洋上風車。「1ユニットで100万キロワット級の洋上風力発電は、原発1基分の総発電能力」とありますが、総発電能力というのが何を差すのかがはっきりしません。少なくとも設備容量100万kWの洋上風車で、原発1基分の発電量を得るのは無理でしょう。

池田信夫氏 原発1基分=山手線内側分面積の太陽光パネル[NEWSポスト]
http://www.news-postseven.com/archives/20110512_19990.html
100万kWを発電するためには、(太陽光)パネルが約42~56平方km必要になる(山手線内は約58平方km)。としているが、100万kWが発電量なのか設備容量なのか分からない。(記者も分からずに書いているよう)ここでも「発電能力」という言葉が出ています。割と一般的な言葉なのでしょうか?

資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
2-(4)発電設備利用率に各発電方式での設備利用率あり。(ただし、水力は可能発電電力量に対する実発電電力量の比なので、一般的な設備利用率とは異なるので注意)九州電力の地熱は約80%で安定。風力は季節変動が大きい。

勝手に風力発電講座 定格出力と設備利用率
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/a08334ada4cdae6bf1fe22356a36d648
風力発電の設備利用率について以前に書いた記事。今回とほぼ同じ内容です。


2011/5/23 更新 
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