伊方町・風力発電所騒音問題について その3  まとめ

伊方町の風車騒音問題について2回記事にしましたが、そのまとめです。

これは伊方町・旧三崎町だけの問題ではなく、補助金のあり方、地方行政と
業者の癒着などが根本にあると思う。
自治体は出来るだけの国から補助金をもらい、その工事を関連企業に受注
させる。国から補助金が出るんだから、もらわないと損!とばかりに無駄な
公共施設を建てまくった。でも、補助金の残りは自治体が払うわけで、自治
体の借金は増える。もちろん、国の借金も。。。

風力発電での問題は、補助金が定率だということ。
出来るだけの補助金をもらおうとすると、自ずと規模は大きくなる。
少々無理をしても規模を大きく、総事業費も大きくすると補助金も多くなる。
これが、地元との摩擦を産む原因ではないだろうか?

またこの補助金制度では、工事の発注は随意契約でも良いようだ。
つまりは、自分の関連する企業に受注させることが可能だということ。
見積もりの根拠も薄れる。
億単位の税金が動くのに、これではコスト削減の意欲もないだろう。
少なくとも補助金支給が決まった後に、工事業者を入札で決めるべきだ。

風力発電だけではなく、補助金の制度は造る前に多額の税金を投入する。
道路工事など事前の見込みを大幅に下回る交通量になった。など日常茶飯事。
これを、結果に補助金を出すように制度を変えるというのはどうだろう?

風力発電では建設費ではなく、設置後の発電量に応じて買電価格に上乗せする。
こうすれば、事業者は初期のコストは出来るだけ少なくしようとするだろうし、
風のないところに風車を建てるという愚挙は減るだろう。
道路工事でも同じで、当初の交通量を下回った場合は、補助金を出さない。
となれば、無駄な道路造りを減らし、生活道路の整備に力を入れるかも。
まあ、これでは初期費用の工面が難しくなりそうなので、予測を下回った場合は
補助金返還でも良い。公共事業はまず造ることありきで、造ったあとの責任は誰も
取らないで済む。ダムや道路はその典型。ガソリン税が下がり、道路特定財源が
見直されることで少しは変わるか?

また地方自治体にも大きな問題が。
地方の議員、首長などが関連企業などに工事を発注する例は数知れず。
贈収賄などで逮捕される例も増えているが、まだまだ隠れている事例は多いはず。
伊方町では、議会の議事録をインターネットで公開していない。
また、旧三崎町も合併で消滅してしまい、風車建設に関して議会でどのような
やり取りがあったのかは分からない。

調べた所、愛媛県内で議事録を公開しているのは全11市のうち10市。
町では全9町のうち1町だけ。町の情報公開の遅れが際だっている。
全ての自治体がホームページを持っており、議事録は必ず作成されているはず
なので公開するのにそんなに費用はかからないはず。公開したくないのだろうか?
地方自治、公共事業等で誰が提案し、誰が反対したのか。一番分かりやすいのが
議事録。これは、公開を義務化するべきだろう。今回のように合併で消滅する
場合があるので、県か国が一括管理し、自治体側は議事録データを提供するだけ。
という仕組みを作ると公共工事等の透明性が増すと思う。

風力発電について批判的な記事を書いて来たが、私は(何回も言うが)風力発電は
好きです。石油、石炭などの資源によらず、割と簡単な設備でエネルギーを造り
出すことができる。風の力は無限。もっと普及すると良いとも思うが、反面、
無理な開発、無駄な税金の投入は許せない。特に、風力発電自体が悪いという印象
を持たれることが残念でならない。
この風車の問題だけではなく、補助金のあり方、国のエネルギー政策等を見直す
必要がある。道路特定財源の行方次第で大きく変わるだろう。どうのように変わ
るのか、変えなければいけないのか。今後も考えて行きたい。


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伊方町・風力発電所騒音問題について その2
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三崎ウインド・パワー:伊方・三崎の風力発電機騒音問題、串で地区住民説明会 /愛媛
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4/12 更新 旧暦では3月8日です。旧暦の雛祭りも終わりました。
桜は少し葉っぱが出てきています。そろそろ見納めです。

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伊方町・風力発電所騒音問題について その2

前回の続き。愛媛県伊方町の三崎ウインドパーク騒音問題について
調べてみた。

計画では、2004年3月に着工予定だが、実際には1年遅れて
2005年3月19日に起工式となった。

http://renewable.cc/sb/log/eid232.html

「宮本征士・三崎町長」ら関係者約100人が出席した。となってい
るが、あと2週間弱で合併というタイミング。
ぎりぎり「三崎町長」として出席できた。というところか?

この風車は経済産業省の「新エネルギー事業者支援対策事業」から
補助金が出ている。補助率は1/3。

平成17年度の補助金応募の手引
http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_d2/9_info/info_m/jigyousha_shien/jigyoushashien.html
風力発電用(pdf)
http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_d2/9_info/info_m/jigyousha_shien/jigyousha_youkou/03.pdf

環境影響調査での騒音についての資料を提出するようになっている。
(現況測定結果、合成騒音レベル、予測結果)
「設置地点と周辺民家等との最短隔離距離を記載すること」となっているので
この風車の建設の際にも出しているはず。
もしこれで実際の最短距離と異なる数字が書かれていたら、虚偽の報告。
200mときちんと記載されていたならば、経済産業省の見落としだろう。
騒音に苦しんでいる住民の方々、まずはこの申請書を情報公開請求してみては?
(もうとっくに請求してるか?)

この申請書では、発注フローも提出が必要。

 契約方法は、入札、見積もり合わせ、随意契約のいずれかを記載し、
 業者選定の理由を明記すること

と、なっている。補助率1/3とはいえ、1件に付き、年間補助上限10億円、
最高4年間で40億円もの補助金になるのに、随意契約でもいいのか?
これでは見積もり金額の正当性はなく、業者選定もやりたい放題。

三崎ウインドパークの場合、清水建設のフルターンキーで建設、土木に
「堀田建設」が入っている。

http://www.marubeni.co.jp/dbps_data/_material_/maruco_jp/070301a.pdf

これは愛媛県八幡浜市に本社がある「堀田建設」だと思われる。

http://www.hotta-grp.co.jp/web/home.php

三崎町で大正時代に産まれた会社。旧三崎町にも支店がある。
しかし、2005から2006年の工事便りにはこの風車事業は見あたらない。

 http://www.hotta-grp.co.jp/web/con2_kouji_2005.php 
 http://www.hotta-grp.co.jp/web/con2_kouji_2006.php

まさか違う「堀田建設」ってことはないと思うが。。。
調べたところ、姫路の「株式会社 宮本組」が内造成工事を施行したようだ。

http://www.miyamotogumi.com/the_execution_results/shikichi_youchi/index.html

発注者は清水建設。請負金額130,830,000 期間H17.12~H18.12
この辺の業者選定が問題の鍵か?

NEDOの方を調べると、もう一つ気になる問題があった。
平成16年に三崎町が「地域新エネルギービジョン策定等事業」の
助成金をNEDOからもらっている。

http://www.tech.nedo.go.jp/servlet/HoukokushoKensakuServlet?DOWNLOAD=OK&db=n&andor=and&KENSAKU=HOKOKUSYO&kensakuHoho=KEYWORDKENSAKU&SERCHKEYWORD=%8EO%8D%E8&SERCHTYPE=TITLEKENSAKU&SERCHSTARTYEAR=&SERCHENDYEAR=&Index=0&SERCHBARCODE=&x=56&y=16

この事業は、
新エネルギー、省エネルギーの普及状況、今後の導入予定及び導入に対する意識等に関する調査を行い、地方自治体の動静及び導入を阻む要因を整理し、地方自治体の取り組みをより効果的に支援し、新エネルギー及び省エネルギーの一層の推進を図ることを目的

としている。

http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/171017_1/171017_1.html

報告書を見ると、住民アンケート、先進地視察ともに平成16年10月。
合併まであと半年に迫った三崎町にこの調査で助成金を出す必要はないだろう。
報告書には全く合併には触れられていない。
しかも、三崎町では同じ年に経済産業省の補助金も申請している。
重複点もあったはず。
全269ページのうち、p145~p228 新エネルギーの技術開発の現状と導入事例 
の項は何かの資料をスキャンしただけ。
NEDOも合併前ということが分からなかったんだろうか?

NEDOによると、この事業は規模は平成18年度で1540百万円(約15億円)
採択件数は165件。1件に付き約1000万円の助成。
ちなみにこの事業、今話題の石油特別会計から出ている。
そういや、つくばの回らない風車のまほろば事業もこれでした。

調べるほどに不可解な点が出てくる風力発電事業。
三崎町の問題だけでなく、補助金事業自体を見直さないとだめだろう。
長くなってきたので、また次回に続きます。


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騒音風車 夜の運転再開 住民反対 (伊方町風力発電問題)
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2008/3/26 更新 旧暦では2月19日です。
私の地域では桜はまだ咲いていません。あともう少しのようです。
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騒音風車 夜の運転再開 住民反対 (伊方町風力発電問題)

伊方町の発電用風車の騒音を巡って住民から苦情が相次いでいる問題で、住宅に近く、夜間停止している4基の騒音の測定調査を行った同町三崎の風力発電事業会社「三崎ウィンド・パワー」は13日夜、地元公民館で調査結果を住民に報告。夜間の運転再開を申し入れたが、住民側は「町が示した環境基準値を超えている」として反対した。
(2008年3月15日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news/20080314-OYT8T00918.htm

愛媛県伊方町、風力発電について。
住宅地からわずか200mの場所に風車が建ち、騒音問題になっている。
この距離では問題になることは分かっていたはずで、なぜこんな計画に
なったのか?調べてみた。

まずは、計画段階。現在は伊方町であるが、これは2005年4月に三崎町、
瀬戸町、伊方町が合併してできた新伊方町で計画時は三崎町。
合併により消滅したため、三崎町の議会、議事録等は見ることができない。
また、現在の伊方町もインターネットで会議録を公開しておらず、騒音問
題が起きてからの対応も分からない。
いろいろ探した結果、旧三崎町の議員のホームページを見つけた。

http://user.shikoku.ne.jp/sadamisaki/0624gyoukonn1.htm

日付は2003年6月24日
1999年から風況調査を開始、2002年10月に住民説明会をしてい
る。以下予定で、

 2003年7月 地権者交渉
 2003年10月 風力発電事業会社設立、経済産業省補助金(新エネルギー事業者支援対策事業)申請
 2004年 3月 工事着工
 2005年 5月 完工

2002年まではゆっくりと進んでいる計画が、2003年になって、
急に動き出している。2003年6月の時点で地権者交渉も済んでいな
いのに、翌年3月の工事着工、2005年5月の完工予定は急ぎすぎて
いる気がする。特にこれは風車20基、事業費40億もの大きな計画。
こんなに早く進むものなのか?2002年の住民への説明会でどこまで話が
進んでいたか不明だが。。。
実際には、経済産業省への申請は2004年。営業開始は2007年3月になる。

三崎町はもともと合併問題でもめていた。
当時の町長は八幡浜市との飛び地合併を主張。住民グループの反対運動に
発展し、2003年2月23日に合併先を問う住民投票を実施。
八幡浜とではなく、伊方町、瀬戸町との3町合併が決まった。
そして合併が2005年4月1日。風車の買電開始予定と一致する。
これは偶然ではないと思う。

前述、旧三崎町議員のページには下記の記述がある。

 測量・調査等の地元発注    5,000千円~ 15,000千円
 建設工事の地元発注    100,000千円~200,000千円

早く建築を決めないと、旧三崎町関係者に工事は回ってこない。
なんとか合併前に風車を建てたい。この為に騒音問題が起こることは分
かっていても建築可能な場所、買収しやすい場所を選んだのではないか?
こういう懸念が浮かぶ。

三崎町は予定通り2005年4月に合併し新伊方町が誕生した。
しかし、この新しい伊方町の町長選挙では公職選挙法違反で11人もの
逮捕者を出し、1年後には町長が汚職で逮捕される。
新聞にはこんな記事も

 対立の背景には、旧町時代から続いていた町長による選挙後の業者の“指名外し”があるとされる。選挙で応援しなかった業者は、工事などの入札に参加させないというのだ。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/kikaku/037/1.htm?from=goo

堂々と町長が「指名業者というのは、町長に指名権がある」と言って
いたらしい。。。
こんな体質の自治体が存在するという事実。補助金を巡る構図はほぼ
「つくばの回らない風車」と同じか。
自治体、国、政治家、公共事業、補助金。問題の大きさ根深さにしばし
呆然。。。実際、この風車建設をめぐってどのような動きがあったのか、
住民説明会の状況、経済産業省への申請状況などもう少し調べてみよう
と思う。

次回につづく。


参照
wikipedia 伊方町
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E6%96%B9%E7%94%BA
読売新聞 企画・連載 伊方再生 出直し町長選を前に
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/kikaku/037/2.htm?from=goo
風力発電事業のフルターン・キー・エンジニアリングを建設業界で初めて構築(清水建設)
http://www.shimz.co.jp/news_release2005/636.html
三崎ウインドパークの概要(pdf)
http://www.marubeni.co.jp/dbps_data/_material_/maruco_jp/070301a.pdf


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三崎ウインド・パワー:伊方・三崎の風力発電機騒音問題、串で地区住民説明会 /愛媛
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つくば市 回らない風力発電について その3
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/4ad094351ebc93fe261a387ec2a1de7c


2008/3/21更新 旧暦では2月14日です。
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三崎ウインド・パワー:伊方・三崎の風力発電機騒音問題、串で地区住民説明会 /愛媛

6月7日14時1分配信 毎日新聞


 ◇防音サッシ、エアコン設置対策提示
 丸紅、四国電力、伊方町による第三セクターの「三崎ウインド・パワー」が営業運転している同町三崎の風力発電機の騒音問題で、同社は5日夜、同町串の串集会所で地区説明会を開き、住宅の騒音防止工事などの対策をする考えを示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070607-00000168-mailo-l38


3月に運転開始した愛媛県の風力発電所「三崎ウインド・パワー」での騒音問題。
調査を実施し、

 騒音が大きい住宅について「寝室の防音サッシとエアコン、居間にエアコンを
 それぞれ無償で設置する」と説明した。

と、いうことは実際騒音が大きかったということか。
風車と住宅がどのくらい離れているのか分からない。
朝日新聞の記事によると、

「屋外で夜間に45デシベルを超える住宅について、防音サッシやエアコン設置の
 騒音防止工事をさせていただきたい」 などと対応策を示した。

http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000000706060003

45デシベルがどのくらいの騒音か?
調べてみたところ、騒音規制法では夜間住宅地では45デシベル以下に規制される。
これを超える場合は、損害賠償請求や夜間の営業停止請求ができるらしい。
但し規制されるのは自治体で決められた地域なので、この地域が規制されているか
は分からない。

愛媛県の騒音規制法の規定に基づく騒音規制地域における規制基準
http://www.pref.ehime.jp/d1w_reiki/40990250054700000000/41690250066100000000/41690250066100000000.html

詳細が分からないのでなんとも言えないが、規制値以上の騒音が実際にあるので
あれば、防音工事などですますのではなく、夜間運転を停止するべきだと思う。
防音工事、エアコンでは窓を開けられなくなり、締め切った、風のない部屋で過ご
させることになる。都会での車の騒音や工場の騒音とはまた意味が違う。
自然豊かなところに住んでいるのに、なぜ家を締め切らないといけないのか。
住民には納得いかないだろう。
夜間に運転を停止すると、かなりの損失につながるのだろうが。。。

それにしても。最近、風力発電所の問題が相次いでいる。
設置、運営方法、住民への説明など改善が必要かもしれない。


6/12 更新 旧暦では4月27日です。
今日も快晴の良いお天気。水不足の心配が現実味を帯びて来ました。
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