つくば風車住民訴訟、市の上告棄却 元助役らに賠償命令


小中学校に設置した小型風力発電機の発電事業失敗をめぐり、つくば市が計画通り発電しない風車計23基を小中学校に設置したのは違法な公金支出だとして、市民団体が市原健一市長ら3人に事業費相当額の約3億円を賠償させるよう求めた住民訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は20日までに、市の上告を棄却する決定をした。当時の市新エネルギー推進室長に約310万円、元助役に約465万円を賠償させるよう命じた二審判決が確定した。
茨城新聞 2012年1月21日 
http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13270703415942


つくば市の回らない風車問題での住民訴訟で最高裁判決。市側の責任を認め、元助役などへの賠償命令が確定。つくば市の風車問題では、何度かブログに書いた。

つくば市風力発電問題
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/3812224161e14fa66a9247e394f11102

元々は、環境省の「まほろば事業」という補助金で、つくば市の小中学校に75基の小型風力発電機を設置。売電収入年間約1,800万円を原資に、地域通貨「ネコちっぷ」を発行するという計画だった。環境省からの補助率2/3。

ところが、23基を設置したところで風車が全く回っていないと問題になり、事業は中断。環境省の補助金も返還。コンサルタントの早稲田大学は、異なる機種のパワーカーブを使って発電量を多く見せかけていた。風力発電機の選定委員会が実質開かれておらず、早稲田大学が開発した風車を選定。さらには、つくば市は工事を5分割し、落札率は全て97%以上。

これは、業者と市側の癒着、補助金の不正、談合など従来からの公共事業の問題だろう。今回はたまたま問題が明らかになったが、同様の事例が大型の風力発電事業などにもあると思う。

各地で計画通りに回らない風車があり、興部町風力発電所など廃止するところも出てきた。報道などではメンテナンス料が賄えないためとしているが、もともと平均風速が約4m/sでとても採算は取れない。

風力発電廃止、維持管理費重く…有数の適地で
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120124-OYT1T01095.htm?from=tw
興部町風力発電所 発電状況
http://www.town.okoppe.lg.jp/gaiyo/windpower/gaiyo_8windpower_2untendata.html

全量買い取り制度が始まるにあたり、既存の設備も対象にするよう要望が出ているようだが、補助金の支給を受けた設備でありながら実際の発電状況、設備利用率などはほとんど公表されていない。これでは、補助金が適正であったかどうかも判断できない。

補助金も全量買い取り制度も国民の負担である以上、まずは運転状況を明らかにし、問題のある事業がないか精査するべきだと思う。


関連ページ
つくば市風力発電問題の経緯
http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-392.html
高裁判決:風車訴訟、新たに賠償命令 つくば市の元助役に465万円
http://www.joyo-net.com/kako/2010/honbun100205.html

風力発電事業が赤字だらけの理由 WEDGE2月号
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1674

伊方町風車騒音問題
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/bc830ac206a7acd06896df7fc155d5a2
日本風力開発 決算の謎
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/bf415f6e04949ff167f11ac6a5398f9f
日本風力開発 決算の謎2010
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/04f65e34ca83bde201508849ebb4ae8a


2012/1/28 更新 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早大の賠償減額 東京高裁「つくば市、過失大」 風力発電訴訟

 茨城県つくば市が小中学校に設置した小型の風力発電機が計画通りに発電しなかったとして、計画を策定した早稲田大と風車を製造した大阪市のメーカーに市が約3億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。小林克已裁判長は「市側の過失が大きい」として、早大に約2億円の支払いを命じた1審東京地裁判決を変更、賠償額を約8960万円に減額した。メーカーへの請求は1審同様退けた。市側は上告する方針。
1月21日 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100121-00000049-san-soci


つくば市の回らない風車問題で高裁の判決が出ました。
1審とは逆につくば市の過失が大きいとの判断。
市原健一・つくば市長は「非常に意外な判決だ。承服できない」
と不満をあらわにしたそうです。この市長、1審の判決時には
「実質勝訴だ!」と発言していましたね。
市側は上告する方針だそうです。

このブログでは何度もこの問題を取り上げてきました。

つくば市風力発電問題カテゴリー
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/3812224161e14fa66a9247e394f11102

言えることはどっちもどっち。
つくば市と早稲田はどちらが悪いとか、騙されたとかいうわけで
はなく、両者が共謀して補助金で儲けようとしたという話だと思
います。つくば市は身内に工事を世話し、早稲田も自校の教授が
開発・関係会社の風車を大量に売り込めた。どちらにとっても得
になったわけですね。

この判決では風車メーカーへの賠償は退けられました。
その他、建設業者、つくば市関係者(特に元助役)、早稲田の教
授の責任も問われていないようです。一番儲けた人、責任があり
そうな人は問題なしなのでしょうか?

つくば市、早稲田だけでなく、環境省ももちろん責任があります。
お金が余ったからか適当な制度を作り、ろくに審査もせず、補助
金を出した。工事を5つに分け、全て入札率97%以上という落札率
を見て、おかしいと思わないのでしょうか?大いに反省してもらい
たいところです。

また、利益誘導型の選挙を行ってきたつくば市の市民にも責任はあ
ると思います。行政と業者の癒着には気づいているはず。結局つけ
は市民が払うことになります。そろそろ改革する時でしょう。

環境に対する関心が高まっています。太陽光発電の強引な販売も問
題になっています。今後このような問題が起こらないよう、本当に
効果のあるものか、価格は妥当かをきちんと見極める必要があると
思います。

追伸
でもやっぱり一番悪いのは、つくば市、早稲田大の両関係者でしょ
うね。なんとか責任を負わせることはできないでしょうか?


関係ページ
つくば市風力発電問題
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/3812224161e14fa66a9247e394f11102


2010/1/22 更新
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つくば市小型風力発電事業に係る調査特別委員会会議録

つくば市の回らない風車問題について。
コメントにも書きましたが、その後調べたことと、まとめです。

つくば市のHP内に「小型風力発電事業に係る調査特別委員会会議録」が
あります。H18,19,20年度です。
http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/667/1432/1074/index.html

これがなかなか面白いというか、すごい内容です。
丸投げ、偽造下請なんて当たり前。当初の設計図は焼却処分。
28万円で来た見積書を100万円に変えてしてしまう。

詳しく見てみましょう。
まずは、平成19年1月29日
http://www1.city.tsukuba.ibaraki.jp/dl/file/1428_1.pdf

実質最初の会議のようです。
ポイントは、

最初に計画を持ってきたコンサルタントの●●さん。(黒塗りになって
いる)元助役の小野寺氏。それと早稲田の橋詰教授この3者の関係は
どうだったのか?
コンサルタントの●●社の●●さんはブラン作り、環境省への説明など
深くかかわっている。しかしコンサルタント料は払っていないという。

環境省も設備利用率が20%行くのか?と何度も問い合わせているよう
だが、本当に納得行くような回答が得られたのだろうか?
これは少し調べれば分かったはずで、環境省にも責任があると思う。

工事に関しては、風車設置を5分割し、それぞれ違う会社(JV)が97%
以上の高率で落札したが、それは、結局1社に丸投げされている。
偽装下請も行われていた。
これは確実に違法です!

もう一つ気になるのが、11月20日に早稲田から提出された設計図面は
工事が5分割されることになり、元の一括の図面は焼却処分された。
ということ。これって公文書の保存方法としてどうなんでしょう?
5分割する必要はもともとなかったわけで(実際1社で施工している)
それを隠すために焼却処分した。とも取れます。


平成19年2月16日の会議では元助役の小野寺氏が登場。
http://www1.city.tsukuba.ibaraki.jp/dl/file/1451_1.pdf

ちなみに●●さんは参考人として招致されましたが、欠席。
ここで、小野寺氏は前職の財団の関係で平成10年頃から橋詰教授と
知り合いであり、平成15年の助役就任以降も何度か会ったことを認めて
いる。そのときにダリウス-サボニウス風車のパンフレットをもらった。
とも。
しかしまほろば事業の申請段階では、この風車を使うことは決まってお
らず、6/9の環境省からの出力の問い合わせに対する答えを職員が探して、
偶然この風車を見つけた。と。

う~ん。非常に不自然。6/10に環境省に送ったFAXでは「昨年来(平成15年)
教授と相談している」と記載があったらしい。
で、6月以降、市職員が橋詰教授と接触。8月24日に早稲田から風況などの
調査報告を受けている。この時点では風車の機種は決まっていなかったと。
その後、10/6に早稲田と業務委託契約をする。早稲田に業務委託すること
を提案したのは小野寺助役。
契約内容は実施設計から設置工事の施工管理まで一括設計だった。
一括設計だったら1750万円のコンサルタント料も分からなくはない。

203ページ参照
http://www1.city.tsukuba.ibaraki.jp/dl/file/1184_5.pdf

だが、10/15にはなぜか調査計画に契約内容が変更。
考えたら当然で、随意契約で1750万円で一括設計・施工管理で、
さらに設計したところが製造した風車を使う。というのはいくらなん
でもおかしい。ってことになったんじゃないでしょうか?
結局機種が決まったのは、12月の風力発電機種選定会議で。となって
いる。(この会議、一度も開かれていない)


H19年5月21日 の会議では、価格決定について言及されている。
カリブの海賊さんが、コメントで書かれていたように、この風車は
120万円/kwと他の風車に比べて高額。しかし、4/9にコンサルタントの
●●さんから届いた実施計画書では28万円/kwだった。
文章はそのまま、4/12に環境省に提出したときには100万円/kwになって
いた。この変更については「助役から3億円で行く」と指示があったと
暗に助役の関与を認めている。
10kw x 30 機 x 100万円 = 3億円
28万円/kwだったら8400万円で済んだはず。見事などんぶり勘定です。


まとめると、
○コンサルタントの●●さん、小野寺助役が当初の計画段階から深く関
わっている。
早稲田の橋詰教授と小野寺助役は平成10年頃から知り合いだった。
橋詰教授は少なくとも6月以降は計画に関与していると思われる。
○早稲田大学とつくば市の契約、機種選定には不自然な点が多い。
○工事の施工については、5分割されたが、結局1社に丸投げ。偽造下請が
行われていた。

ここまでいろいろ調べてきましたが、結論として、
これは刑事事件として扱われる問題だと思います。
このままでは誰も責任を取らず、業者、関係者の丸儲けになってしまう。
疑惑の小野寺元助役は病気を理由に退職。退職金ももらっている。
早稲田とつくば市の民事訴訟で終わる話ではありません。
誰が計画に関与し、誰の利益になったのか。調べる必要があります。


このブログ内での関連記事
「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城
つくば市の風力発電を考える その2
つくば市 回らない風力発電について その3
茨城・つくばの風車問題:回らない風車、誰のせい 設置巡り三つどもえ訴訟
風車事業 茨城・つくば市が中止方針 風が吹いても回らず
風車訴訟 早大に約2億円の賠償命令 東京地裁
風車訴訟/つくば市にも「過失3割」


2008/10/7 更新
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風車訴訟/つくば市にも「過失3割」

 つくば市の風車をめぐる損害賠償訴訟で、東京地裁は29日、つくば市が請求した2億9千万円のうち、早大の支払いを約2億円とし、市にも3割の過失があると認定した。荒井勉裁判長は、市が現地の風向きや風力を調べず、早大側のデータを「鵜(う)呑み」にしていたことに触れ、「努力をすれば回避できた可能性が高い」と指摘した。(伊藤悟)
2008年09月30日 朝日新聞

http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000000809300005


先日書いた、風車訴訟 早大に約2億円の賠償命令 東京地裁の続き。
前回の記事ではつくば市の「実質勝訴」という内容でしたが、こちらは
 つくば市にも「過失3割」としている所が興味深い。
前回、「住民がつくば市を相手に訴訟を起こすしかない」と書いたが
すでに、市民団体が市長を相手にした行政訴訟を起こしているそうです。
不勉強ですみません。

さて、現職市長はH16年11月の就任時には「問題の風車が決定されていた」
ことを強調したという。しかし、風車工事の入札が行われたのはH17年1月。
工事を5分割し、全て別の業者が97%以上の落札率で落札した。という事実は
どう説明するのでしょう?

入札情報はこちら↓(PDF)
http://www1.city.tsukuba.ibaraki.jp/dl/file/1184_5.pdf

これを見ると、土木は軒並み97%程度の落札率。
つくば市の業者は大儲けですね。

私の疑問は裁判の中で早稲田はこの落札率の高さについて言及しなかったの
か?ということ。総額2億7870万円の工事。もし、落札率が80%だったら、
5000万円は安くなるはず。この判決が確定すると、つくば市の負担は1億円
なので、これを考えたら確かに「実質勝訴」になるでしょう。
早稲田が言及しなかったとしたら、ここには触れられない訳があるのかもし
れない。

上記の朝日新聞記事によると、10月26日の市長選は前市長、現職の一騎打ち
になるよう。どちらに責任があるか。というよりも責任のなすり付け合い?
これも「どっちもどっち」ですね。もっと別の人が出て来ないのでしょうか?

この問題。始めは「回らない風車」の技術的な問題かと思ったが、公共工事、
政治家と業者、それに監督省庁まで含め、今の日本の問題が如実に表れている
と思う。つくば市と早稲田大学の争いだけに終わらず、全容を明らかにして
ほしい。

追記
早稲田大学側に支払われたという1750万円のコンサルタント料が入札結果には
出ていないようです。いつ、どんなタイミングで支払われたのかも気になる所。
それにしてもこんな高額の支出。随意契約は公表していないのでしょうか?

関連ページ
つくば市 平成14~19年度入札結果
http://www1.city.tsukuba.ibaraki.jp/ebid/result1.htm
風車工事はH16年度。
H17年度にも風車のフェンス工事があります。
こちらも3分割で入札されています。(もちろん全て97%超)


このブログ内での関連記事
「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城
つくば市の風力発電を考える その2
つくば市 回らない風力発電について その3
茨城・つくばの風車問題:回らない風車、誰のせい 設置巡り三つどもえ訴訟
風車事業 茨城・つくば市が中止方針 風が吹いても回らず
風車訴訟 早大に約2億円の賠償命令 東京地裁


2008/10/2 更新 
コメント ( 11 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風車訴訟 早大に約2億円の賠償命令 東京地裁

 小中学校に設置した風車が計画通り発電しなかったとして、茨城県つくば市が早稲田大学などに事業費約3億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(荒井勉裁判長、萩原秀紀裁判長代読)は29日、早大に約2億900万円の支払いを命じた。早大は即日控訴した。
9月30日0時23分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080930-00000000-maip-soci


つくばの回らない風車問題。ついに判決が出ました。
早稲田大学側に2億円の賠償命令。
つくば市長は「実質的な勝訴」とコメント。

このブログでは、つくばの風車問題が明らかになった2006年2月から
5回に渡って記事を投稿しています。
久しぶりに自分で読んでみました。思うのは、早稲田もつくば市も
どっちもどっち。早稲田はコンサルタント料1750万円をもらい、さらに
風車を売れる。つくば市は環境省から2/3も補助金をもらい、工事を
わざわざ分割し、業者は97%という高い落札率で受注している。
つくば市側が業者に便宜を払った。と受け止められる。
早稲田、つくば市どちらにも得になることだったのだろう。

この訴訟はつくば市が早稲田大学を訴えた物であり、確かにつくば市は
こんなに発電しないとは知らなかったのかもしれない。
しかし工事の受発注を巡っては、つくば市に問題があったと思う。

環境省(国)の補助金はすでに返還されている。
早稲田が2億円払ったら、残りの1億円がつくば市の負担となる。
つくば市長が「実質勝訴」と発言しているが、1億円は住民が払っ
た税金であり、損するのは住民。丸儲けは業者とその関係者。
つくば市の責任を明らかにするためには、住民がつくば市を相手に
訴訟を起こすしかないのかもしれない。

現在、この訴訟の判決文全文は公開されていないようだ。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=04&recentInfoFlg=1

今後のために、ぜひ公開をお願いします。


関連記事
つくばの風車損賠訴訟:早大に賠償命令 市の対応にも過失 つくば市長陳謝 /茨城
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080930-00000043-mailo-l08

このブログ内での関連記事
「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城
つくば市の風力発電を考える その2
つくば市 回らない風力発電について その3
茨城・つくばの風車問題:回らない風車、誰のせい 設置巡り三つどもえ訴訟
風車事業 茨城・つくば市が中止方針 風が吹いても回らず


2008/9/30 更新
昨夜は寒くて長袖を引っぱり出して来ました。
あまりに暑くて終わらないかと思っていた今年の夏。
ちゃんと秋はやってきています。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風車事業 茨城・つくば市が中止方針 風が吹いても回らず

 茨城県つくば市が早稲田大に委託して設置した風力発電の「回らない風車」をめぐり、同市は1日、事業自体を中止する方針を明らかにした。市原健一市長が会見で「風が吹いても回らないということは、機種に問題がある。事業を中止せざるを得ない」と述べた。この問題では、同市が4月、早大に事業費約3億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060902-00000013-maip-soci

つくばの風車問題。今更ながら事業中止だそうだ。
つくば市、早稲田大学と罪のなすりつけ合いで見苦しいかぎり。

「風が吹いても回らないということは、機種に問題がある。事業を中止せざるを得ない」

ということだが、風が吹いても回らないのだろうか?
つくば市としては、風車に欠陥があったということにしたいのだろうか?
それとも本当に回らないのか。これは、実際の風車で実験しないと分からない。

環境省も独自に調査し、「市内の風況が弱く、設置するための調査が不足していたことは明らか」との結論を出し、7月に同市に通達した。

とのこと。環境省も調査しなかったのか?という疑問もあるが。。。

風車の景観問題、バードストライク問題など風車の設置に対して反対運動もあり、
風力発電には逆風が続く。
これもつくばの風車問題と無関係ではないのかもしれない。

つくば市、早稲田大学、関係業者に行政と一体どこに問題があったのか。
それぞれの責任は重大。事実関係の解明を望む。


9/2 更新 旧暦では閏7月10日です。
暑さも少し和らぎ秋の空になってきました。



コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茨城・つくばの風車問題:回らない風車、誰のせい 設置巡り三つどもえ訴訟

 ◇つくば市「架空データ原因」/早稲田大「無理と知ってた」/市民団体「ずさんな計画だ」

 研究学園都市の茨城県つくば市が設置費約3億円の「回らない風車」で揺れている。風車23基の発電量が計画より大幅に下回ったのは市の事業の進め方がずさんだったためとして、市民団体が市原健一市長ら市幹部に設置費約2億9800万円を市に弁済するよう求める訴訟の第1回口頭弁論が11日、水戸地裁(坂口公一裁判長)であった。この問題では、市も計画委託先の早稲田大を相手に同額の損害賠償を求め東京地裁に提訴しているが、早大側は全面的に対決姿勢。“オブジェ”と化した風車はどうなるのか。報告を受けた環境省は検証を始めた。【栗本優】

毎日新聞 2006年7月11日 東京夕刊

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/env/news/20060711dde041010020000c.html

久々につくば市の回らない風車問題。
この記事の中で気になるのが、これ↓。

設置された風車は、市内の風況を前提とした風速毎秒2メートルではなく、毎秒3メートルで発電する設計になっていた。

イーアンドイーのホームページで見ると、カットイン風速は2m/sになっている。

http://www.eande.jp/technology/spec.html

だが、テクノロジーのページでは、2m/sから起動に。
これはもしかして、2m/sから発電ではなく、起動開始なのだろうか?

私としては、風車に罪はない。の立場だったのだが、もしこの風車が3m/sからしか
発電できないのだとしたら、サボニウスはあまり役に立っていないと思う。
なんのために、重くなるサボニウスを付けているのか?
性能にも疑問が出てきた。

それにしても、イーアンドイー社は間違って記載したのか、意図的なのか。
それともつくばの風車だけが、3m/sから発電するのか。
今更ながら、モラルが問われる。

ところで、私は毎日新聞を取っていますが、つくばの風車問題を紙面で見たことは
ありません。全てインターネットで見ています。
関東地区の一地方ニュースなのでしょうか?


関連記事
「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城
つくば市の風力発電を考える その2
つくば市 回らない風力発電について その3


8/3 更新 旧暦では7月10日です。 ちなみに今年は7月が2回あります。(閏7月)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つくば市 回らない風力発電について その3

つくば市の風力発電問題について

いろいろと報道され、注目を集めてきています。過去2回、このブログに関連記事を
書きましたが、その後もいろいろ調べてみました。

まず、風車自体について。
日本工業大学のホームページによると、1980年から1986年度に秋田県で同型風車で
実稼動実験を行っている。
http://leo.nit.ac.jp/~tanzawa/Research/fuusha.html

風車自体は20年以上前から研究されており、私は「風車に罪はない」に一票。

ただ、憶測ですが、この風車は、早稲田大学と日本工業大学の共同研究と言われて
いるが、実際は日本工業大学が主体で開発されていたのではないかと思う。
早稲田大学側がこの風車に深く関わるようになったのは、早稲田にいた丹沢氏が
日本工業大学に移った1997年からでは?
関連論文も、1987年に1つあるだけで次は1995年に1つ。その後1997年からは複数ある。
橋詰教授自体専門は制御系のようなので、早稲田大学側は実用に向けての振動抑制、
制御が担当であったのではないかと思う。ただ、これは未確認なので憶測の範囲。

次にイーアンドイー社について
イーアンドイーは早稲田大学TLOとして、3つの技術移転がされたとしているが、
これらはいずれも現状では使われていない。

出願特許を見ても、実際に関係があるのは、「ブレーキ装置」と「ダリウスロータ
及びそれを用いた風力発電装置」の2件。これは、早稲田大学の名前は入っておらず、
イーアンドイーと橋詰教授で出願している。しかも、全て審査は未請求。

イーアンドイー社と橋詰教授の関係では、もともとこの会社は橋詰教授の知人が設立
したらしい。

http://tlo.wul.waseda.ac.jp/TRANSFER/0001.html?SanGakuKan_Session=069aa039047c9483e46f2bc5d8d436d4

この記事によると、橋詰教授自身が経営陣もしくは出資者になっているように思う。
教授自身と会社との関連があまりに強い。


つくば市と早稲田大学、橋詰教授の関係について

「風力発電と子育て日記」にコメントを寄せられた方からの情報によると、つくば市で
この計画を言い出したのは助役らしい。略歴はこちら
この助役は2002年(H14)12月に就任。前職は財団法人 国際科学振興財団の理事。
国際科学振興財団は文部科学省所管の特定法人。この財団の評議員に橋詰教授の
名前もある。(共同研究の日本工業大学教授も入っているが関係は不明)

つくば市では、もともと大型の風力発電を計画していたが、断念。
(H12 NEDO風力発電フィールドテスト事業 (風況精査)済み )
この為、風車がある程度風がないと回らないこと。風況調査が必要なことなど風車に
対する基礎知識はあったはず。市議会議事録によると、H15年9月に議員が小型の風力
発電を設置してはどうか。という質問に対し、消極的な答えをしている。

それが、H16年3月になると、浄化施設に風力発電を設置する計画が浮上。市長の冒頭
演説でも述べている。この時の市長の答弁では5Kwで500万円程度。6kwの機種を設置
予定としている。(この後この計画がどうなったかは不明)

H16/9にはまほろば事業計画が登場。
9/7設置場所の風況調査等はするのか、採算性はどのように試算したか との議員の
質問に対し、市民環境部長は「風況調査を実施した上で設置をしてまいります」と回答。
さらには、「環境学習推進のための教材として、数字では表現できませんが大変意義
深い効果が得られるものと認識をしております」との回答も。

この状況からして、まほろば事業はH16の半ばになって急に出てきており、大した調査
などせずに環境省の事業に応募した可能性が高い。環境省「環境と経済の好循環の
まちモデル事業」自体、H16年から実施なのでしょうがないのかもしれないが。。。

このように、確かに助役就任から急に小型風力発電設置の動きが出てきている。ただ、
就任一年目で助役がそんなに強い権限を発揮できるものでしょうか?裏にはもっと他に
関わっている人物がいるのでは?
つくば市では、もともと風力発電の計画があっただけに、風況調査等に詳しい職員が
いたはずで、今回の風車が計画通りに発電しないということは、分かっていたのでは
ないかと考えられる。なぜ、早稲田大学に1750万円も渡したのか?

さらには、イーアンドイーの設立は2002年4月。助役就任は2002年12月。
2004年に環境省のこの事業、文部科学省でもエコスクール事業がスタート。タイミング
が非常に良い。行政の補助事業とその決定方法に問題はなかったのか?財団や関係
会社に天下り、口利き行為等はなかったか?
つくば市、早稲田大学、関係会社、地元の建設業者等に利益供与はなかったか?

ここにきて、問題は複雑になってきた。


3/20更新 旧暦では2月22日です。


参照
nedo つくば市における風力発電フィールドテスト事業(風況精査) 報告書【茨城県つくば市】
http://www.tech.nedo.go.jp/servlet/TopPageServlet?KENSAKU=HOKOKUSYO&kensakuHoho=Barcode_Kensaku&db=n&SERCHBARCODE=010020172

つくば市 行政資料ダウンロード 議会資料
http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/dl/summary.php?a=listview&category=%B5%C4%B2%F1%BB%F1%CE%C1

関連記事
「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城
つくば市の風力発電を考える その2
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つくば市の風力発電を考える その2

先日の続き。
いろいろ調べてみた。
まず、訂正から。大型風車のCpは0.4~0.5近くになるらしい。
0.3では低いですね。
ダリウス風車の受風面積はトポロジー形状でA=2/3HD(H:高さD:幅)
これを使うとCpは約0.25に上がります。(サボニウス部分は考慮せず)

簡単に平均風速で発電量を計算したが、これでは実際のエネルギーより
低く見積もられてしまいます。風のエネルギーは風速の3乗なので、
風速が高いほど、エネルギーは飛躍的に大きくなる。
風力分布、エネルギー分布から計算できるのですが、結構大変です。
簡単に平均風速から風のエネルギー密度が計算できないか調査中。
ご存じの方はお知らせ下さい。

ちなみに数年前に調べた私の地域の風況データからは
平均風速 2.6m/sで平均エネルギー風速 3.6m/s
直径5.5m の風車で1年間の風の総エネルギーは約5900kwh
75基で、44万kwhとなりました。
Cp=0.3で風車の発電量は約13万kwh。
つくば市の風況は分かりませんが、同じくらいではないでしょうか?

また、定格出力10kwというと大きい気がしますが、定格風速は15m/s
なので、単純計算で10m/s時には約2.9kw。
学校に設置するので、強風は期待できない場所。もっと小さな機種で
良かったのでは?更には私はてっきり屋上に設置したのだと思ってい
たのですが、写真をみると地面に直接設置している。
これで売電は厳しい。。。


(朝日新聞広告特集より)

調べれば調べる程おかしな点が出てくるこの問題。
誰が言い出して、誰が儲かったのか?調査が必要。


つづく


2/5更新 旧暦では1月8日です。 昨日は人日の節句(七草の節句)でした。
七草粥食べ損ないました。。。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城

つくば市が、04年度から3カ年計画で市内の小・中学校全52校に小型風車75基を設置する「まほろば事業」で、期待していた発電量を得られていないとして、市民団体が市原健一市長らに事業費約3億円の弁済を求める監査請求を起こした。環境教育と、消費電力の削減の両面を持つ理想の事業が、大きく揺れている。【栗本優】
(毎日新聞) - 2月3日11時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060203-00000070-mailo-l08

つくば市の小・中学校風車が回らないという問題。
気になったのでいろいろ調べてみた。
参考サイトはこちら

つくば市まほろば事業
http://www.tsukumaho.net/about_f.html
小型風力発電機による環境教育
http://www.asahi.com/ad/clients/waseda/opinion/opinion157.html
ずさんな、つくば市の風力発電計画
http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-392.html


まず、風車は「ダリウス・サボニウス併結形風力発電機」でその名の通り
ダリウス型とサボニウスを組み合わせた物。
ダリウスだけでは初期起動が難しいのでサボニウスを付けたよう。

直径5.3m 定格出力10kW 定格風速15m/s

直径は5.3mと割と大きい。私は1~2mくらいの物を想像していたが。
ここで気になるのは定格風速。15m/sというのは、ちょっと高すぎる。
普通の場所ではなかなか15m/sもの風は吹かない。
小型の風車だと、定格風速は12m/s程度が多い。

風力発電機 エアロゼン2風力発電機 エアロゼン2
定格風速10.5m/s

家庭用風力太陽光ハイブリッド発電システムOWL(アウル)家庭用風力太陽光ハイブリッド発電システムOWL(アウル)
定格風速12.5m/s

カットイン風速は2m/sなので、低風でも発電できるよう。
ただ、これでも回っていないということは、かなり風が弱い地域ということか?
一部で、回すのに電気を使うアシスト付きの機種か?と言われているが、回って
いないことから、違うと思う。少なくとも電気を浪費することはないだろう。
(監視システム等の電力は別として)

定格出力10kW 定格風速15m/s ということから、発電効率を計算してみた。
ダリウス型の受風面積の計算が分からないので、直径5.5mの円を受風面積に
している。
発電効率、パワーの計算はこちらを参照下さい↓
ソフィアエンジニアリング株式会社
http://www.sophia-eng.com/kindofwt/kindofwt2.htm

結果は、Cp=0.20 風の力全てを1としたとき、20%が電力に変換できる。
大型風車でCp=0.3程度なので、これは妥当なところだと思う。

さて、それでは、この風車75基から、どの位の発電が見込めるか?
24時間、365日定格風速の15m/sの風が吹くと、631万kwh。
つくば市全小中学校での年間電力を全てまかなえます。
もちろん、15m/sもの風が吹かないですが。。。

計算すると
風速3m/s では 5万kwh
風速2m/s では 1.5万kwh

2m/sの時には、試算の60万kwhと比べると約2.5%となる。
実績は4ヶ月で0.2%程度とのことなので、これでも多い。

つくば市の風況が分からないが、一般的に平均風速は2~3m/s程度。
60万kwhというと、発電量が大きすぎるのが分かる。
さらには、風の全エネルギーは風速2m/sで年間25.3万kwh。
試算の数字におかしいとは思わなかったのか。。。

早稲田大学では、試算に直径15mの風車を用いたことを明らかにしている。
直径15mでも、Cp=0.2で60万kwh見込むには風速3.5m/sが必要。
2m/sのカットイン風速でも回っていないことから、別の出力特性で計算
したのか、平均風速を高く見積もったのか、または、もっと詳しく計算すると
こうなるのか。。。

どちらにしろ、この見積もりがおかしいことは明らか。
「環境」という名前を使った無駄な公共投資、談合、詐欺か?

私が行ったのは簡単な計算なので、実際にはもっと効率が良いのかもしれない。
特に発電特性図、低速時の出力が分からなかったので、Cpは全ての風速で同じと
している。
それでも、ちょっと計算してみるとおかしいのは分かる。
市民団体も報告書を鵜呑みにせず、少し計算するべきだったのでは?

もちろん、もっと悪いのは業者、早稲田大学、つくば市ですが。。。

つづく


参考文献
風車工学入門―基礎理論から風力発電技術まで牛山 泉
風力発電技術―地球環境新時代を迎えて 先端技術で飛躍する風力発電清水 幸丸

(計算等おかしな点があればお知らせ下さい)

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
     
Copyright (C) 2012 copyrights. enestudy All Rights Reserved.