ブルームエナジーの燃料電池

ソフトバンク、米社との合弁発表 燃料電池に参入

ソフトバンクは18日、米国で燃料電池を手がけるブルームエナジー(カリフォルニア州)と折半出資で合弁会社を設立し、国内で燃料電池による電力供給を始めると発表した。ブルームエナジー社の燃料電池を活用した電力供給のほか、関連機器の輸入や設置業務を担う。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL180FP_Y3A710C1000000/
2013/7/18 日経新聞 


ソフトバンクがアメリカの燃料電池メーカーBloomEnergyと合弁会社を設立したというニュース。先日、「燃料電池の可能性」という記事を書きましたが、この中で紹介した事例でもBloomEnergy社の燃料電池が使われています。

燃料電池の可能性
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/656dc9f1da974a07cbdcd289c4ac58ec

アップルの再生可能エネルギー100%
http://www.apple.com/jp/environment/renewable-energy/
NTT America、データセンターをバイオガスで稼働へ
http://japan.cnet.com/news/service/35005693/?ref=rss
マイクロソフト、バイオガスで稼動するデータセンター「データプラント」を開発
http://japanese.engadget.com/2012/11/24/ms-data-plant/

上記3件はデータセンターでBloomEnergyの燃料電池を導入。いずれも燃料としてはバイオガスを使用しており、再生可能エネルギーとしての運用です。

そのほか、アメリカ ホンダでも2013年3月にオフィスの電力用としてBloomEnergyの燃料電池を導入しています。

American Honda Installs Stationary Fuel Cell
http://www.honda.com/newsandviews/article.aspx?id=7138-en

こちらはバイオガスではなく天然ガスを使用。CO2削減を目的としているようです。

燃料電池は定格出力が最も効率がよく、需要が限られていている家庭よりも長時間定格運転ができる業務部門の方が向いていると思います。また、下水由来などのバイオガス利用では、再生可能エネルギーの利用拡大にもつながりそう。(前回も書きましたが、バイオガスの燃料電池発電は固定価格買い取り制度(FIT)の対象にもなっています)

日本の燃料電池の開発では、家庭用のエネファームと燃料電池車に特化しており、産業・業務用は遅れているように感じます。燃料電池は上手く使えば節電・省エネに大変有効な技術。家庭用にこだわりすぎることなく、長所・特性を生かし、日本の強みとなるような産業に育っていってほしいと考えています。


関連ページ
BloomEnergy(ブルームエナジー)
http://www.bloomenergy.com/
ソフトバンクプレスリリース:
ソフトバンクとBloom Energyが、日本でクリーン・安定的・分散型の電力供給を行う合弁会社を設立
http://www.softbank.co.jp/ja/news/press/2013/20130718_01/
一般社団法人 燃料電池普及促進協会
http://www.fca-enefarm.org

エネファームは省エネなのか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/5e72ef9d45a0d65caf62e0267b2d9656


2013/7/24 更新
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国内原発、稼働ゼロ 泊3号機の原子炉停止

国内の原子力発電所で唯一稼働していた北海道電力の泊原子力発電所3号機(北海道泊村)の原子炉が6日午前4時停止した。国内のすべての原発の停止は1970年以来42年ぶり。政府は夏場の需要期を見据えて電力需給の検証を急ぐとともに、節電の強化など国民に求める対策を詰める。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819491E2E7E2E2E58DE2E7E2E7E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2
2012/5/6 日経新聞


東日本大震災、福島第一原発の事故から約1年1ヶ月。国内の50基全ての原発が停止しました。原発のリスク、膨大な後始末を身をもって感じたこの1年。ただ、原発がなくなった!嬉しい!と言う気には私にはなれない。

原発にはもともと反対で、なくて済むのであればない方がよいと考えていました。事故のリスクもさながら、廃棄物の処理も難問。再処理には技術的課題があり、最終処分も決まっていない。地中処理にしろ、反対が出て前に進まない。ただ、原発の電気に頼っていたのは事実。

電力会社が悪い。政治が悪いと言うのは簡単ですが、それを許して来たのは私たち全て。反対運動を続けて来られた方達も、その方法に問題があるように思う。

2012年度、東京電力管内を中心に大規模な節電運動が展開された。休日出勤、電車の間引き、照明、空調、エレベーター等の抑制も。電力会社は原発の発電量が減った分、火力発電を大幅に増やしました。停止していた老朽火力を動かし、割高な石油火力も増やした。結果、燃料費は2兆4000億円増加したと言う。(ただし、これには燃料価格自体の高騰分も含まれている)

電力各社、燃料費かさみ経営圧迫 原発稼働率、昨年度最低23.7% 強まる火力依存
http://www.nikkei.com/news/special/side/article/g=96958A9693819696E3E4E29D888DE3E4E2E6E0E2E3E08698E2E2E2E2(日経新聞 2012/4/17)

東電管内では、昨年のような節電はもう嫌だというのが本音だろう。その他の地域ではまだ節電余地はあると思うが、無理や我慢は続かない。快適性と省エネ、節電の両立が鍵だろう。

長期的に見ると、再生可能エネルギーの普及、電気・ガス等エネルギー全体を見据えたシステムの変更(デカップリング制度等)などが考えられる。ただ、実現に何年かかるか。。。少なくとも、再生可能エネルギー買取制度が始まるにあたり、リアルタイムでの発電状況の公開は義務づけを希望する。(電気が足りる、足りない論の終結のためにも)

福島第一原発の事故以来、大きく変わった日本のエネルギー事情。我慢が続くのはいつまでか?今後のエネルギー戦略はどうするのか?費用負担は?長期的、短期的対策は?感情的、攻撃的になるのではなく、冷静に、歩み寄りながら、でも早急に決めなければならない。


関連ページ
2010、2011年 月別発電量、燃料消費量の比較
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/67c4e9c10c2c03c5f03ec1e9b07a084c
リアルタイム発電状況
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/342a486d79ab1c625a72de41d7def82f
日本のプルトニウム保有量の推移
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/34b2811acc93695576b54ba99d50dc6b


2012/5/7 更新
スーパームーンが大きく明るく輝いています。
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非住宅用太陽光発電の買い取り価格見直しについて その2

前回の続きです。

太陽光発電の余剰電力買い取り価格を非住宅用では24円/kwhから40円/kwhに引き上げられようとしています。経済産業省はこの引き上げは、非住宅用の太陽光設置に補助金がなくなったこと。非住宅用は住宅用よりもコストが高いこと、そして余剰率が低いことを理由にしています。

もともと1/2~1/3という高い補助率、しかも定率の補助金の影響が強いでしょう。直近の太陽光発電システム平均価格では住宅用は56.1万円/kw(H22年10~12月)、非住宅用65.4万円/kw(H22年度)と非住宅用の方が確かに高くなっている。より規模が大きな非住宅用の方がコストが大きいということ自体が普通に考えるとおかしいのに、これをもって非住宅用の価格を引き上げるというのは納得できない。

さて、では非住宅用の太陽光発電を設置した場合は儲かるのか?
経済産業省の試算と同じく、設備利用率12%、余剰率20%とし、10kwの太陽光発電を設置した場合、

 10kw x 24時間 x 365日x 設備利用率12% x 余剰率 20% x 40円/kwh = 84,096円

ということで、年間約84,000円がもらえる。10年間では84万円。設置費用が65.4万円/kwだとすると、10kwで654万円かかるので電気料金の削減分を入れても全く元は取れない。

では、余剰率が50%だとしたら?

 10kw x 24時間 x 365日x 設備利用率12% x 余剰率 50% x 40円/kwh = 210,240円

1年間で約21万円、10年で210万円。まだ厳しい。もし全量買い取りであったら10年で420万円。現在、ドイツでの住宅用太陽光システムは30万円/kw、s世界の太陽光モジュールの平均価格は$1.8/kwと言われているのでこれなら設置コストを吸収できそう。(日本の太陽光設置コストが下がるのが前提)

ここで見落としてはいけない点は、確かに経済産業省の補助制度「新エネルギー等導入加速化支援対策費」は新年度では廃止になるのですが、非住宅用ではこの他にも地方自治体の補助金、それに財務省では税制優遇制度があるということ。

法人・公共団体向け:産業用 太陽光発電の補助金(自治体別)
http://www.kankyo-business.jp/subsidy/solar_sangyo_index.html

税制優遇制度では初年度に全額償却できた「エネルギー需給構造改革投資促進税制」はH22年度で終了し、代わって「グリーン投資減税」が設立される見込み。

グリーン投資減税の創設とエネ革税制の廃止について(資源エネルギー庁)(pdf)
http://www.enecho.meti.go.jp/gaiyo%20.pdf

グリーン投資減税ではコストの30%の特別償却が可能となる予定。自治体の補助金では補助率1/2、補助額15万円/kwなど補助率の高いものもある。これらの制度を使った上で、設備コストを抑え、さらに余剰率を上げれば、40円/kwhという買取価格は魅力的な価格かもしれない。

経済産業省の試算(余剰率20%、全額実費)が正しければ、非住宅用の余剰電力買い取りではたとえ40円/kwhになったとしても設置する企業はほとんどないだろう。それならば今上げなくても全量買取制度を待った方が良い。それをここで40円に上げるというのは、普及促進するだけの効果があると見込んでいるのだろう。(もちろん政局が流動的で全量買取もどうなるか分からないというのもあるだろう)少なくとも、経済産業省が示した追加負担6750万円/年というのは楽観的な予想だと思う。

太陽光余剰電力買い取り制度開始にあたっては、電気料金が上乗せされ、家庭の負担が増えると大々的に報道されていた。しかし今回の非住宅用の引き上げについてはほとんど報道がない。再生可能エネルギーを増やすという点では効果的なのだろうが、私は40円/kwhという価格が高すぎるというよりも、住宅用と非住宅用の買取価格の差が小さすぎると思う。また、試算が甘く、買い取り費用が大幅に増えるおそれもある。

この買取価格引き上げの費用は電気料金に上乗せされる。もし急激に普及が進んだ場合、家庭の負担も増すことになる。全量買取制度の導入がひかえる中、バブルを起こさないような制度設計と、国民への十分な説明が必要不可欠だろう。


*現在この余剰電力買い取り価格の見直しについてパブリックコメントの募集が行われています。

太陽光発電の余剰電力買取制度における平成23年度の買取価格(案)に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620111014&Mode=0

興味のあるかたは、ぜひどうぞ!



関連ページ
資源エネルギー庁 買取制度ポータルサイト
http://www.enecho.meti.go.jp/kaitori/index.html
jpea 太陽光発電協会
http://www.jpea.gr.jp/index.html
経済産業省 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/8.html

太陽光発電買い取り、事業所からは値上げ 家庭は下げ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/e7e5446d8f929f8d6fbd7e9a24ba2629
<電気全量買い取り>10年後の家庭負担最大で月200円
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/88e3873fb213d700009cadbffc6a9c8b


2011/3/6更新 旧暦 2月2日 二十四節気では啓蟄 
冬眠をしていた虫が穴から出、柳の若芽が芽吹き蕗のとうの花が咲く頃
本格的な春は間近! 
ですが花粉症も本格化し、苦しんでいます。。。
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太陽光発電買い取り、事業所からは値上げ 家庭は下げ

 太陽光発電で余った電気の買い取り制度で、4月以降の電力会社による買い取り価格が17日、決まった。家庭からの買い取り価格は1キロワット時あたり現行の48円から42円に減らす一方、工場やビルなどの事業所や公共施設からは現行の24円を40円に増やす。
朝日新聞 2011年2月17日
http://www.asahi.com/business/update/0217/TKY201102170449.html


太陽光発電からの余剰電力買い取り価格が4月から変更に。住宅用は48円/kwhが42円/kwhに、非住宅用は24円/kwhが40円/kwhになる予定。非住宅用は大幅に買い取り価格が上がることになる。

太陽光発電からの電力買い取りについては、余剰と全量買い取りの議論が混在して、非常に分かりづらくなっている。今回の変更は余剰電力に関してのみ。(発電事業用は対象外)

H22年度の余剰電力買取価格


H23年度の買取価格(予定)

(H23年度も余剰電力のみで、発電事業用は対象外)

東京電力によると、住宅用と非住宅用は低圧供給か高圧供給かで分けている。(その他要件あり)このため農地や遊休地に設置というのは買い取り対象にならないようだ。

東京電力 太陽光発電の余剰電力買取制度について
http://www.tepco.co.jp/e-rates/corporate/shin-ene/taiyoukou/index-j.html

価格見直しは、住宅用は設備費用が下がっているため、非住宅用は補助金廃止に伴い、事業者の負担が増えるため、買い取り価格を上げて設置を促す。としている。

非住宅用の太陽光発電設備については、経済産業省「(地域)新エネルギー等導入加速化支援対策事業」で地方公共団体、非営利団体などは1/2、事業者は1/3の設置費用の補助金が出ていた。しかし、これは事業仕分けでH23年度からは廃止となった。(太陽光だけでなく、風力等も廃止)

補助金廃止で設置費用は全額を企業等が負担することになる。非住宅用の太陽光発電設置意欲をそがないよう、買い取り価格を40円/kwhに上げるという趣旨のようだ。しかし、企業等の非住宅用と家庭の住宅用の買い取り価格の差が2円というのは小さすぎるように思う。

これに対して、審議会では非住宅用を推進する意義、コスト等について次の資料で説明している。

第14回 買取制度小委員会 
資料2 平成23年度における太陽光発電買取価格について
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004601/014_02_00.pdf

この中で買い取り価格を上げる理由として、非住宅用のシステム単価がほぼ横這い(H22年度で65.4万円/kw)。非住宅用は工事費が大きな割合を占めること等を挙げている。





比較的規模が大きい非住宅用が小規模の住宅用よりもコストが高い。こんなことは普通ありえない。(もし住宅用の方がコストが安いのであれば、住宅用を何台も設置した方が得)これは1/2~1/3という定率の補助金の影響と言って間違いないだろう。

補助金の割合が高く、しかも定率だと設置費用が高い方が建設会社、メーカーは儲かる。コストは高くなって当然。補助金の影響で高止まりしているコストをもって非住宅用の買い取り価格を高く設定というのは説得力がない。

昨年の余剰電力買い取り制度開始時は、費用が電気料金に上乗せされることに伴い、家庭への負担が増える。とマスコミでも大きく取り上げられた。今回の非住宅用の価格引き上げでは、ほとんど報道されていないが、電気料金への影響はどのくらいだろうか?

同じ資料の11ページ、負担増加の試算では、H22年度と同等の約2万kwが導入された場合、余剰率2割、設備利用率12%として、買い取り費用の増加は6750万円としている。H22年の住宅用、非住宅用合わせた買い取り費用は約630億円で、これに比べると非常に小さい額となる。しかし、これは補助金制度を前提としたH22年度と同等としており負担が最小となるケースだろう。


長くなってきたので、続きはまた次回。


追伸
現在この余剰電力買い取り価格の見直しについてパブリックコメントの募集が行われています。

太陽光発電の余剰電力買取制度における平成23年度の買取価格(案)に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620111014&Mode=0

興味のあるかたは、ぜひどうぞ!
公募要領ではメールで提出する場合、提出用紙を添付となっていますが、必要事項が記入されていれば文章のベタ打ちで構わないそうです。(確認済み)


関連ページ
資源エネルギー庁 買取制度ポータルサイト
http://www.enecho.meti.go.jp/kaitori/index.html
jpea 太陽光発電協会
http://www.jpea.gr.jp/index.html
経済産業省 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/8.html

<電気全量買い取り>10年後の家庭負担最大で月200円
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/88e3873fb213d700009cadbffc6a9c8b


2011/3/1更新
いつの間にかもう3月。二十四節気では雨水。雪氷がとけ雨水となる季節。
その通り、しとしと雨が降っています。
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上関原発工事、1年3か月ぶり再開

 中国電力(広島市)は21日、山口県上関町で進めていた上関原子力発電所の建設工事を再開した。計画に反対する住民らの妨害で2009年11月上旬に中断して以来約1年3か月ぶり。浚渫(しゅんせつ)や陸域での造成工事を行い、12年までに海域約14万平方メートルを埋め立てる。18年3月の運転開始を予定している。
読売新聞 2月21日(月)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110221-OYS1T00629.htm


山口県上関町で中国電力が上関原子力発電所の建設工事を再開。上関原発は1982年に計画発表、2001年に経済産業省は上関1,2号機を組み入れた電源開発基本計画を決定。2009年に中国電力は「上関原子力発電所準備事務所」を設置、準備工事に着手したが、反対運動の影響で2009年11月から中断されていた。

上関町は山口県の東南部に位置し、室津半島の先端部と長島、祝島、八島を中心とした島しょ部によって形成(長島は上関大橋で本土と陸続き)。平成23年1月1日時点で人口3,583人 世帯数1,876世帯。平成2年度の人口は5,516人で、20年で人口が約4割減少している。

上関町 地形と人口
http://www.d2.dion.ne.jp/~k_yakuba/jinkou.html

上関原子力発電所は長島の西端、祝島から約4kmの海沿いに計画されている。

Google マップで表示

1982年の計画発表以来、町長選はすべて推進派の推す候補が当選。反対運動は祝島の住民を中心に行われている。最近では、ドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」、「祝の島(ほうりのしま)」や、祝島自然エネルギー100%プロジェクトなどで注目を集めている。

私は基本的に原発には反対ですが、原発そのものを否定しているわけではありません。今の日本の状況で原発なしでやっていくのは無理。ただ、新規の原子力発電所の建設は必要ないと考えています。

上関原発予定地では、今、反対派と中国電力が激しく対立しています。私は中国電力の強引な開発行為は許されないと思いますが、暴力行為を伴う反対運動には賛同できません。反対運動が激しくなるほどに暴力行為などが誘発され、開発側に正当性を与えてしまいます。これは逆もしかりで、夜中に作業を始めるなど、中国電力の強引なやり方は非難を浴びるでしょう。

反対派は、海を守りたい。環境を守りたい。と繰り返し主張しています。しかし、「環境」を盾にしても、開発が止まることはないでしょう。諫早湾干拓と同様、どうしても作りたい人がいる。というくだらない理由で開発は進んで行きます。特に人口三千人あまりの小さな町で、原子力発電所が建設されれば多額の交付金や固定資産税も入る。地元の建設業者も利益を得る。さらにメーカーや大手ゼネコン、電力会社の大きな力が立ちはだかっている。

このような状況で、本気で原発建設を止めるのであれば環境ではなく経済面からアプローチするべきだと思います。原発なしで町の活性化プラン、地元の業者を儲けさせられるか。交付金に匹敵するだけの利益は得られるか?代替え案はあるのか?大規模な工事では必ず利益を誘導しようとする業者がいます。ここを取り込めるかが重要なのではないでしょうか?

現在、原発反対派の活動は祝島に偏っているように思います。自然エネルギー100%プロジェクトも寄付で賄われるようで、実際は祝島の支援という性質のようです。どうせだったら、祝島だけではなく上関町全体でやってはどうでしょう?賛同する方、企業から寄付を募って、上関町の全世帯に太陽光発電を付ける。余剰電力を売った分はその家庭の利益になる。メガソーラーや風力、バイオマスでもいい。電気工事、土木工事などで業者を儲けさせる。メンテナンス要員等の定住者を増やす。自然エネルギー関連の企業を誘致する。ベンチャー、人材の育成を行う等々。

もちろん原子力発電所の建設以上の経済効果は困難。でも、町長や業者、そして電力会社も納得できるような計画、対案が必要でしょう。今の緊迫した状況でそんな悠長なことをと言われるかもしれませんが、ただ反対運動を行うだけでは計画は止まりません。冷静で戦略的な活動、利害関係者への配慮、そして国民全体の共感を得ることが鍵だと思います。



2/27 追記
上関に住んでいる(と思われる)てつお君のTwitterより。
http://twilog.org/tetsuoZ666
---------------------
俺は原発のリスクの及ぶ範囲に住んでいる。でも必要だと思う。この地域は本当に疲弊している。原発で活性化したいんじゃない。かろうじて町が生きていく為に必要なんだ。

この街に必要なのは火力発電所でも風力発電所でもない。原子力発電所だ。俺の親、じっちゃんばっちゃんを養っていく税金がいるんだよ。

東京は若者もいて企業もいる。たくさん法人税も入る。上関は一次産業で生計を立てているがその一次産業をになっているのはじっちゃんばっちゃん。若者はみんなでていく。でもお金はない。じっちゃんばっちゃんが働けなくなった→どうする?

そう!上関に安定的な収入があれば原発がいらなくなる。上関を好きになって上関にすむ若者が増えて働くなら原発は要らない。俺は町が将来の事が問題だと思っている。原発が問題ではない。

それが可能なら本当にやって欲しい。ここに若者が住めるようになるなら。でも現状では俺は今すぐにでも都会へ脱出したい。でも出来るならぜひやって欲しい30年出来なかったことが出来るならば…

原発によって人口も企業も雇用も増えません。よって町は豊かになりません。でもこの町を豊かにしたいのではありません。原発がなければ崩壊するのをかろうじて生きていける状態にしたいのです。
---------------------

30年にも渡って闘争を続けてきた上関町。疲弊し、産業は育たず、若者は都会へ出てしまう。原発を本気で止めるのであれば、若い人の働く場と収入、そして希望が必要だと思う。



関連ページ
中国電力 上関原子力発電所(準備工事中)
http://www.energia.co.jp/atom/kami_menu.html
上関町ホームページ
http://www.d2.dion.ne.jp/~k_yakuba/index.html
祝島ホームページ
http://www.iwaishima.jp/
祝島自然エネルギー100%プロジェクト公式ホームページ
http://www.iwai100.jp/

祝島島民の会ブログ
http://blog.shimabito.net/
虹のカヤック隊
http://ameblo.jp/nijinokayaker/
満月tv 上関原発の建設予定地からライブ中継
http://www.ustream.tv/channel/%E6%BA%80%E6%9C%88tv

当ブログ内
諫早湾干拓問題
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/366962961a15ff0549c856f4117d935b
2010年から2011年へ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/s/%EB%DD%C1%E1%CF%D1


2011/2/23 更新
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森 自然の力で再生へ 植林せず広葉樹を

 林野庁は新年度、国有林をスギの人工林からブナなど広葉樹の本来の植生に戻す事業を始める。花粉症対策やクマの人里出没対策につなげる狙いがある。
 群馬県みなかみ町赤谷(あかや)地域の国有林1万ヘクタールのうち、約2000ヘクタールの人工林をモデル地域に指定する。スギを根元から伐採し、植林はせずに自然の力に任せ、ブナやミズナラなど広葉樹の林に回復するのを待つ。スギ花粉を減らし、クマの餌になるドングリを増やす一石二鳥の効果が期待できる。
2011年1月31日 読売新聞 http://bit.ly/gkCu7M


最近の環境ニュースでも書いたが、林野庁が群馬県みなかみ町赤谷地域で人工林を自然林に戻す事業を行う。広葉樹を植林するのではなく、自然に木が生えてくるのを待つ「天然更新」の手法を用いるという。

「天然更新」という言葉を、私は四手井綱英氏の「森林はモリやハヤシではない―私の森林論」で初めて知った。

本 森林はモリやハヤシではない―私の森林論 四手井 綱英http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/8cb29199cd538feadbdb42d22fe0ea36

種子が自然に散布され、生えてきて、次の森林を作る。このことで様々な種、樹齢の森ができる。この本の中で、四手井氏は人工造林、木材生産一辺倒の林業行政を批判し、次のように述べている。

今後は、皆伐人工造林は民有林に限定し、しかも、土壌の良い所しか許可しないことにして、国有林は択伐天然更新だけを行うべきだ。既往の人工造林地は、生育の良い所だけを選んで保有し、その他は放置して天然林にかえした方が良いだろう。

この言葉の通り、やっと林野庁も方針を転換しつつあるようだ。

もともと戦前からの木材産地はスギ、ヒノキ等の生育に適した場所なのだろう。拡大造林政策に乗って、あらゆる山にスギ、ヒノキを植えたものの生育は良くなく、木材の輸入も始まって価格は下落、放置された山がいたるところにある。また、単一種・同齢の林は多様性に欠け、災害にも弱くなる。加えて、花粉症という病気まで引き起こした。

国有林においても木材の生産に重点が置かれ、戦後の木材高騰時に独立採算の「国有林野事業特別会計」ができたが、この特別会計は一時借金が3.8兆円にも上り、昨年10月の事業仕分けで国有林整備を一般会計化、特会は借金返済に専念することとなった。木材バブルで舞い上がった結果が、現在の森林の荒廃を招いたと言えるだろう。

最近は天然更新の実験、研究も増えてきた。建材としてだけではなく、暖房用の薪やチップ、それにバイオマス発電への利用も少しずつ広まっている。森林の持つ環境価値にも注目が集まってきている。林野庁そして国は、今までの政策は間違いだったと率直に反省し、森林の保全、再生そして利用方法を考えていってほしい。天然更新による森作りは周囲に天然林がなければ困難。でも今ならまだ間に合うと思う。


関連ページ
林野庁関東森林管理局
「赤谷の森管理経営計画」(案)の策定についてのお知らせ
http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/press/keikaku/110204.html
赤谷の森:広葉樹自然林を復元 地元住民の地域協など3者、5カ年計画案発表 /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20110201ddlk10040090000c.html
国有林整備を一般会計化、特会は借金返済に専念 仕分け
http://www.asahi.com/politics/update/1030/TKY201010300154.html?ref=rss

森林と人間―ある都市近郊林の物語 (岩波新書)森林と人間―ある都市近郊林の物語 (岩波新書)石城 謙吉 by G-Tools

北海道大学苫小牧演習林を天然更新を用いて再生。「都市林」のあり方など。読み物としても面白い本。お勧めです。

森林はモリやハヤシではない―私の森林論森林はモリやハヤシではない―私の森林論四手井 綱英 by G-Tools



2011/2/18 更新
今更ながらtwitter始めました。が、いまいち使い方が分かっていません。。。
とりあえず気になったニュースなど備忘録代わりにつぶやこうかと思っています。
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CO2排出枠、家庭から売るには 経産省など仕組み検討

 ある家庭が省エネ家電で二酸化炭素(CO2)を削減した際、それを企業などに「排出枠」として売れるようにするにはどうしたらいいか。経済産業省と、電子情報技術産業協会(JEITA)など電機関連4団体がこの仕組みを作ろうと検討を始める。
朝日新聞 2011年1月9日9時42分
http://www.asahi.com/business/update/0108/TKY201101070492.html


エコポイントに代わる新たな制度を作るという動き。省エネ家電への買い換えで家庭がCO2排出量を削減できるとして、その排出枠を企業に売却。購入者にはその分払い戻すという。家庭を対象にした一種の排出量取引で、1家電当たりの排出量削減分を年間0.2~0.3トンと見積もり、10年分で2~3千円の還元を見込んでいるとのこと。

電気事業連合会によると、2009年度の発電時のCO2排出原単位は0.351kg-CO2/kWh(京都メカニズムクレジット反映後の値。実際は0.412kg/kwh)


電気事業における環境行動計画 2010年度版より
http://www.fepc.or.jp/future/warming/environment/pdf/2010.pdf

0.2トン、0.3トンの排出量削減のために必要な電気使用量の削減量を計算すると、

 0.2 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 569.8kwh/年 
 0.3 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 854.7kwh/年 

0.2トンのCO2削減のためには、年間約570kwhの電気使用量の削減が必要。電気料金を22円/kwhとすると1年間に12,540円の節約。一つの家電を買い換えるだけで、これだけの排出量、電気代の削減ができるだろうか?

テレビは使用時間が短く、またほとんどの世帯が大型商品に買い換えるため、電気使用量の削減は期待できない。2010年2月の産総研のエアコンの使用状況調査では、関東地方の家庭で4キロワットの機種の年間消費電力は253kwh(電気料金換算5566円)という結果だったので、これも不可。一番も省エネ効果が期待できそうなのは冷蔵庫だが、570kwhもの削減は難しい。
(ちなみに我が家は1997年製の310L冷蔵庫を使っていますが、年間消費電力量はカタログ値で588kWh)

この制度がこのまま実現されると、実際には排出量削減、省エネ効果がないのに、排出枠として再販できるようになってしまい、CO2排出量の正当性も疑われることになる。経済界や家電メーカーへの配慮なのだろうが、経済対策としてポイントを配る方がまだよい。

家庭のエネルギー源は電気、ガス、灯油、ガソリン等複数に渡っており、個々の家庭での実際の排出量を特定するのは難しい。電気では発電時の排出原単位の変動で排出量も変わり、電化製品の使用時間にもばらつきが大きい。家電の買換えによる排出量の変化を一律に決めるのは無理があるように思う。

とにもかくにも、経済産業省は2011年度に家電を買い替えた家庭の電力使用量を測定、省エネ家電がどの程度温室効果ガスを削減できるかを調べるとしているので、実情に即した調査結果が出ることを期待している。(しかし、7500万円の予算で100世帯以上の調査というのはどうなんでしょう?予算の割に調査対象が少なすぎるのでは?)
イメージだけの「エコ」はそろそろ終わりにして、データに基づいた、国民が納得できるような制度・政策を進めて欲しい。


追記;
表題の「CO2排出枠、家庭から売るには」という課題だと、家電製品よりも太陽光発電の自家消費分、太陽熱温水器を使う方がよいと思います(今でもできないことはない)。植栽など木の吸収分を計算するのも面白いかも?


関連ページ
エアコン:省エネ効果、過大表示 「目安電気代」使用時間の6倍で算定
http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2010/08/20100816dde041040004000c.html
省エネ家電に新割引、買い替え時CO2削減分を
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110107-00001186-yom-soci
地球温暖化:エアコンの影響、電力よりも代替フロン 産総研が分析 政府、対策強化
http://mainichi.jp/select/science/news/20101226ddm003040129000c.html

(独)産業技術総合研究所 使用実態を考慮したエアコンのLCC(pdf)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100726a06j02.pdf

省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
http://shinkyusan.com/index.html
家電メーカー、家電販売店等と環境省で作った省エネ製品への買換えを促進するためのシステム。買換えによるCO2削減効果やランニングコスト低減効果等を簡単に把握できるとしているが、省エネ、節約効果は過剰に出ている模様(特にエアコン)
 環境省:ひと目でわかるCO2削減効果!省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
 試行版公開のお知らせ
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10512


省エネ性能かさ上げ、エアコン試験見直しへ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/71cb09b0fe16759bb948e3976d90e029
エアコンでの暖房は省エネか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/4aa42c2460d8fec42d15c9de145af515


2011/1/14更新 旧歴12月11日 
二十四節気では小寒の頃ですが、今年は本当に寒い日が続いています。
明日からセンター試験ですね。受験生の皆様、寒さに負けず頑張って下さい!
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最近の環境ニュースからダイジェストで 2010年12月

環境関係で気になったニュースを備忘録代わりに
ダイジェストでお送りします。


出産前後の携帯電話が子どもの行動障害に影響か 米研究
http://www.cnn.co.jp/fringe/30001149.html2010.12.08 CNN.CO.JP


妊娠中の携帯電話の使用が子供に影響する可能性があるという調査結果。こちらの記事ではさらに言葉を強めて「妊娠中の携帯使用、子どもの行動障害リスク高める可能性」としている。この元となっている論文は↓こちら

Cell phone use and behavioural problems in young children(要約)
http://jech.bmj.com/content/early/2010/11/11/jech.2010.115402?q=w_jech_ahead_tab
データ
http://jech.bmj.com/content/suppl/2010/12/09/jech.2010.115402.DC2/JECH_Table__A1andA2_115402.doc

この中では、約13000人の1997~99年に生まれた子供を対象に、妊娠中、子供自身の携帯電話の使用状況により4つに分類している。この分類では、妊娠中、出生後共に使用(explosure)なしが6825人、妊娠中のみが1710人、出生後のみが2413人、両方が1292人となっている。どの位の使用状況で分けられたかは不明。妊娠中「使用」とされた割合が低く、電磁波の影響かどうかは分からない。データの信頼性、分類方法にも疑問が残る。携帯電話の使用が子供に影響を与えるというような記事の書き方は妊婦に不安を与えてしまう。記事を書く際にはせめて元の論文を読んでからにして欲しい。


環境税は来年10月から段階的に導入、税制改正大綱は16日決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101215-00000496-reu-bus_all
ロイター 12月15日(水)21時45分配信

環境税が来年10月から導入に。税率は二酸化炭素排出量に応じて化石燃料ごとに設定され、3年半後には原油は1kl当たり2040円→2800円に石炭は700円→1370円に引き上げられる。(段階的に引き上げられるので初年度は引き上げ幅は小さい)石炭は大幅に引き上げになるので、石炭火力は痛手か?エネルギー変換部門の排出量は減ることになるので方針としては正しいと思う。


【ホンダ 電動バイク】EV-neo リース販売を開始…業務利用がターゲット
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101216-00000016-rps-ind
レスポンス 12月16日(木)14時3分配信


電動バイクのリース販売を開始。価格は45万4650円から。まだまだ高額だが、自動車よりもバイクの方が走行距離も少なく、エアコンも必要なく、電動(電化?)には向いていると思う。リチウムイオンを使っているので高額だが、鉛蓄電池を使えばもっと安くできるはず。↓こちらの上海の電動バイクの記事も興味深い。

電動バイク天国上海、充電インフラはどこにあるの?…現地レポート
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101228-00000018-rps-ind


洋上風力発電、1000世帯分の電力量 五島市など実証実験計画を発表
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20101222/08.shtml
12月22日長崎新聞

長崎県五島列島(五島市)で、洋上風車の実証実験行われることに。環境省の発表では陸から約1kmの地点に2MWの浮体式洋上風力発電の実証機の設置を計画。浮体式の洋上風力は世界的にもまだ実用段階にはなっておらず、日本が最先端になるかも?課題は多々あるだろうが個人的に期待している。


<温室ガス>「京都」達成の水準に 09年度5.7%減
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000103-mai-soci
毎日新聞 12月27日(月)21時57分配信

2009年度の温室効果ガス排出量はリーマンショックからの景気後退に伴い、前年比5.7%減となった。これで京都議定書が達成できるかと思いきや、2010年度は09年度より増える見込みとのこと。詳細はまた後日書く予定。

環境省
2009年度(平成21年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13313


<温室ガス>排出量取引13年度導入を断念 関係閣僚会議
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101228-00000053-mai-pol
毎日新聞 12月28日(火)15時0分配信

環境税は決まったものの、排出量取引の導入は断念。経済界からの反発に配慮してとのことだが、菅首相の「イノベーション(技術革新)によって世界を救うことが日本経済にとって重荷でなくプラスとなる。自信を持ってこの方向で進め来年につなげたい」という発言通り、従来のやり方に固執するのではなく、新しい価値観、経営への移行が求められていると思う。


富士重、EV生産一時中断へ 収益確保にめど立たず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000023-fsi-bus_all
フジサンケイ ビジネスアイ 12月28日(火)8時16分配信

今年は電気自動車の話題が非常に多く、注目度は日増しに高まっている。そのなかで、富士重工はEVの生産を中断。収益確保にめどが立っていないためとしている。参入企業が多くなるなかで、後継車の開発を優先するという戦略か?電気自動車も今後競争が激しくなりそう。日本メーカーの生き残りはいかに?


年も押し迫ったこの時期に環境関連の政策のニュースが相次いだ。今は過渡期であり、今後10年で社会や生活に様々な変化があるはず。その時生き残っている企業はどこか?日本はどうなっているだろうか?真剣に考える時だと思う。


2010/12/29 更新
今年も残りあとわずかとなりました。大晦日にかけて天気は大荒れの見込みとか。皆様、体調はもちろん、天候にも気を付けて良いお年をお迎え下さい!
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仕分け第3弾、前半終了 特会改革、道険し

 事業仕分け第3弾は30日、前半4日間の作業を終え、「無駄の温床」と批判されてきた特別会計(特会)のずさんな事業や不明朗な制度にメスを入れ、「廃止」「一般会計化」などの厳しい判定を相次いで下した。制度の大幅な見直しを迫る内容だが、「無駄削減による財源捻(ねん)出(しゅつ)」では、大きな効果を見込めないのが実情。また、特会廃止には法改正が必要だが、参院で野党が多数を握る「ねじれ国会」の下では実現は不透明で、特会改革の道のりは険しそうだ。【青木純、谷川貴史、桐山友一】
毎日新聞 2010年10月31日
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20101031ddn003010016000c.html


事業仕分け第3弾前半が終了した。今回は、特別会計を対象に行われたが、財源捻出という点ではあまり効果がなかった模様。しかし、事業の必要性、内容、経費等について、公開の場で議論することは国の事業の透明化に繋がり、また、無駄な事業の抑制効果もあるだろう。広島市など地方にも「事業仕分け」が広がりを見せている。

広島市:事業仕分け 「廃止」2、「現行通り」1のみ 27事業で結論 /広島
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101024-00000178-mailo-l34

事業仕分けは政権交代を印象づけるパフォーマンスとしての意味合いが大きかったように思うが、今後は通常の業務として定期的な開催を行って欲しい。必要性のない事業もあれば、必要ではあるけれど、無駄が多い。というものもある。現在の事業仕分けではとにかく無駄をなくす!ということに力を入れているが、これからの日本のあり方、戦略などを十分議論し、限られた予算を何に振り分けるのか。という最も基本的な方針を共有した上での仕分けが必要。
第3弾の今回は、国会議員の仕分け人が多く、専門家が少ないような印象を受けた。仕分け人の選定時点で、都合の良い人物が選ばれているようにも思う。この仕分け人の選定方法も今後の課題だろう。予算を承認した与党の国会議員が仕分けするというのは何かおかしな気がする。野党議員や国民からの公募も一考か。


以下、事業仕分けの対象になった事業で、気になった点など


エネルギー対策特別会計
エネルギー需給勘定
住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金
http://www.shiwake.go.jp/details/2010-10-29.html#A-11

これはすっかりおなじみ、住宅用ソーラーパネルを取り付ける際に、1kwにつき7万円が補助されるという事業。昨年始まったばかりであるが、昨年11月の第一回事業仕分けでは予算計上見送りという判定。

http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov27kekka/2-69.pdf

しかし予算復活し、今回も仕分けの対象になった。今回の結果は「20%程度の予算の圧縮を図る」
FITへの統合や、2,3年(早期)で終了すべきといったコメントが目立つ。前回指摘された、一般社団法人太陽光発電協会への事務委託の是非は今回はなかった?「価格下落を補助金が邪魔している」とのコメントは私も同感。補助金は段階的に縮小・廃止し、買い取り価格に一本化した方が良いと思う。


家庭用太陽熱利用システム普及加速化事業
 家庭用太陽:熱利用システムリース支援事業

こちらは、家庭用太陽熱利用についての事業。しかし、太陽光発電と違って、設置する家庭に直接補助するのではなく、太陽熱温水器等のリース事業を行う民間企業に対する補助金。1/2の補助で予算は15億円。仕分け結果は「来年度の予算見送り」ただし、政府の環境政策の中で環境省として行うかを検討し、必要あれば予算要求検討という但し書きもついている。
リースで温水器をつけようという家庭はあまりないだろうし、半額の補助は高すぎる。また、来年度からは住宅版エコポイントの対象となる予定なので、これは廃止でいいだろう。但し書きがついているので、復活しそうだが。。。


 グリーン熱証書普及拡大事業

上記の家庭用太陽熱のリースに付随して、積算熱量計測機能付きのシステムについて、グリーン熱証書の取得及びとりまとめを委託、グリーン熱証書を購入する事業者を募集する。と言う事業。
この事業については仕分け結果のコメントは全くない。
これについては、リースに限定することなく、家庭につけている太陽熱温水器のグリーン熱証書取得のとりまとめという事業を行って欲しい。(国でなくてもOK)

評価結果
http://www.shiwake.go.jp/data/pdfs/353.pdf


温泉エネルギー活用加速化事業
 温泉発電設備補助事業
 ヒートポンプ等による温泉熱の熱利用 他熱利用事業
http://www.shiwake.go.jp/details/2010-10-29.html#A-12

温泉の熱を利用したエネルギーの利用に関する事業。本年度(H22年度)は5千万円の予算に対し、来年度は8億5千万円の概算要求となっている。内訳は温泉発電に8億円、ヒートポンプの温泉熱利用が3600万円。温泉発電は来年度の新設で、50kwx20件程度の見込みなので、1件に付き4000万円の補助。補助率1/2なので、事業者も4000万円負担しなければならない。これは補助事業としてはあまりに高額。仕分け結果は、「対象を全国の先進的なモデルとなる地域に厳しく限定。予算要求半減の圧縮を目途とする」
モデル地域を設けて、実験的に温泉発電を行うのは賛成だが、予算半減はどうだろう?個人的に温泉発電には期待しているので、普及が進むよう支援してほしい。

評価結果
http://www.shiwake.go.jp/data/pdfs/354.pdf


電源開発促進勘定
電源立地地域対策交付金
廃止措置・放射性廃棄物研究開発、高速増殖炉サイクル実用化研究開発
http://www.shiwake.go.jp/details/2010-10-29.html#A-15

原子力発電関連の事業。これらは予算の10%程度の削減とほぼ現状通りに認められた。防災訓練に2億2千万円、原子力・エネルギー教育の4億4千万円は必要なのだろうか?「もんじゅ、六ヶ所再処理施設の着実な操業を目指すべき」とのコメントがあったが、どちらも事故が相次ぎ、操業開始時期は延期に次ぐ延期。多額の税金を毎年投入しながら、この結果に疑問を呈する仕分け人はいなかったのだろうか?

評価結果
http://www.shiwake.go.jp/data/pdfs/356.pdf


国有林野事業特別会計
http://www.shiwake.go.jp/details/2010-10-30.html#B-15

戦後すぐの昭和22年設置の特別会計。当時は住宅用建材が足りず木材価格が高騰。国有林からの木材も高額で売れたため、独自採算の特別会計となったよう。その後は木材価格の低迷から平成10年には累積債務が3.8兆円となり、うち2.8兆円は一般会計に承継した。現在の債務は1.3兆円。
特別会計の歳入4500億円のうち、林産物収入等の自己収入は約320億円で、一般会計からの受け入れが約1500億円、借入が2600億円。これはもう事業として破綻している。
仕分け結果は、「一部廃止し、負債返済部分は区分経理を維持」森林整備事業などは一般会計に移し、特別会計は借金返済に専念することになる。

http://www.asahi.com/politics/update/1030/TKY201010300154.html?ref=rss

借入金は自己収入により平成60年度までに返済としているが、本当に可能だろうか?返済が長引けば、利子額も増える。現在、国有林野のうち、天然林面積は約6割。特会収入を増やすため、天然林の伐採も行われてきた。

http://www.ukeikai.com/a_others/oth_tennenrin/tennenrin.html

特会の自己収入は林産物収入の他、国有林野売り払いも含まれている。材木生産のみを考えた国有林野の管理から、環境価値を重視する政策に以降するべきだろう。貴重となった天然林、国有財産を守るためにも、この特別会計は廃止した方が良いと思う。


関連リンク
行政刷新会議 事業仕分け第3段
http://www.shiwake.go.jp/
事業仕分け 1.95兆円捻出し終了 449事業を検討(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/180978ce259d30879ad2b1a965c5fecc


2010/11/6 更新
11月15日からの後半は過去に仕分けた事業の「再仕分け」が行われます。日本風力開発の問題などで何度も取り上げた補助金、「新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金」は対象になるでしょうか?
(大山ウインドファームでは補助金のうち824万1千円が過大と会計検査院に指摘されました)
http://www.jbaudit.go.jp/report/summary21/pdf/fy21_futo_74.pdf#page=3
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<クマ出没>被害者、過去最悪に迫る ドングリ不作も要因

 全国各地でクマの出没が続く。人里や街中に現れ、住民が襲われて負傷するケースも多発、被害人数は過去最悪だった06年度に迫る勢いだ。何が起きているのか。【井田純、武田博仁、浅野翔太郎】
毎日新聞 10月22日(金)10時48分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101022-00000026-mai-soci


各地でクマの出没が相次いでいる。クマだけでなくイノシシやサル、シカなども頻繁に現れ、農作物への被害が深刻になってきた。要因としてドングリの不作が挙げられているが、それだけではないだろう。


ヒグマ 小学校近くに3頭 2頭は市街地を徘徊 北海道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101018-00000028-maip-soci.view-000

↑こちらに2頭のクマがアスファルトの道路を歩いている画像がある。車が走る中を堂々と歩いている姿は異様。人や車を怖がっているような様子がない。記事では、

 「人に対する警戒心の薄い、無頓着なクマが増えている。山の中で鉄砲で追い立てられた経験を持たないからではないか」

とも書かれている。

耕作放棄地の増加に伴い藪が広がり、山と人の住む地域が近くなってきた。農作物やゴミをあさるクマやイノシシも増えている。人が住む地域にはおいしい食べ物が多いということをすでに覚えてしまっているようだ。軽井沢町では、臭いが漏れず、丈夫なゴミ箱の設置も効果を上げているという。

NPOピッキオ「野生動物対策ゴミ箱」
http://npo.picchio.jp/management/03.html
http://www.hoshino-area.jp/staff/article/2010/10/18_0958.shtml

 軽井沢では、かつてクマによるゴミ荒らしが年間100件を超えていました。
 しかし、昨年度はついに公共ゴミ箱被害0件を達成!

とのこと。このゴミ箱の設置目的は

 クマがゴミを得られない範囲を徐々に広げていき、それと並行してクマを追い払うことによって、彼らが人間の居住区域へやって来ないようにする

ことだという。里に下りることが多くなった動物は、山での食べ物が少なくなるとさらに頻繁に山から下りて来る。農作物など栄養価の高い物を食べて数が増えているのかもしれない。クマは絶滅保護種として保護されているが、実際どのくらいの数が生息していて、その数は増えているのか減っているのか?科学的な調査が必要だろう。

日本の森は戦後拡大造林政策により、杉、檜の大規模な植林が行われた。木材の価格下落に伴い、手入れされていない放置林が広がっている。放置林は多発する土石流の一因とも言われ、単一植物の山は生物多様性には乏しい。山間部の農地は耕作放棄地が増え、山と人が住む地域も近くなってきた。このような状況で、相次ぐ野生動物の出没を「山の木の実の不作」で片づけることはできない。山や農地の保全をどうするべきか。野生動物の保護と人の生活とのバランスをどうとるのか。考える時が来ているのだろう。


関連書
4540081632これならできる獣害対策―イノシシ・シカ・サル
井上 雅央
農山漁村文化協会 2008-12

by G-Tools


獣害対策の本の中で、この本が最も分かりやすい。獣害は人が動物の餌付けをして、人に慣らした結果とし、起こるべくして起こるべくして起こったと説く。こう考えると、獣害の対策も違ってくるだろう。

4087460967相剋の森 (集英社文庫)
熊谷 達也
集英社 2006-11-17

by G-Tools


熊谷 達也氏の小説。現代のマタギ(クマ猟師)と女性ジャーナリストの話。クマがゴミや台所を荒らす姿、環境保護のNPOと猟師の軋轢など、クマ対策の参考になるかも?
前にこのブログでも感想を書きました。

本 相剋の森、邂逅の森
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/ca75c5bdeb6e97c144cf5c2a897eab43


関連リンク 
環境省 クマ類出没対応マニュアル -クマが山から下りてくる-
http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/index.html
NPOピッキオ 
http://npo.picchio.jp/management/index.html


2010/10/26 更新 旧暦では9月19日です。
実は私も今年から耕作放棄地を借りて米作りをしていたのですが、見事にイノシシにやられました。自然との共生も一筋縄ではいきません。動物との知恵比べの様相です。
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