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環境を考える
再エネ固定価格買取制度の現状
久しぶりの更新になります。
以前、固定価格買取制度の問題点として6回シリーズで書きました。それから1年以上が過ぎ、非住宅用太陽光の大量導入、接続保留、賦課金上昇とFITの問題点や課題が明らかになり、対策も取られてきています。今回は2015年4月時点での固定価格買取制度(FIT)の現状に基づいて情報更新します。
シリーズのうち、その2の価格決定時期と着工期限については、設備と土地を認定から270日以内(2015年3月までは180日以内)に確保するという規定が設けられ、買取価格決定時期も今年度(2015年度)から認定時から電力会社との契約時に変更になりました。また、出力や設備の変更時にも変更時点の買取価格が適用されることになりました。
その1の情報公開の不足についても、情報公開用ウェブサイトとして、市町村別認定・導入状況、買取電力量・買取金額が公開されるようになりました。
固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
しかし、この情報公開は任意で行っているもので、公開期日や頻度などの規定はなく、公開日もまちまちとなっています。2014年12月末日の導入状況は「2015年3月中に公表予定」とされていましたが、「4月中の公表になる見込みです」と書き換えられています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/dc/9ac58463f18a33fc9b3b6d237b4a1b6b.jpg)
情報公開用ウェブサイト 2015年4月1日時点
問題は最新の認定・導入状況を公開しないままに次年度の買取価格を決めていること。多年度に渡る賦課金の予測も公開されていません。また、2013年度、2014年度と2年続けて賦課金の不足が発生していますが、制度の決算も公表されていません。FITを使った設備の導入費用、運転費用、発電状況などは調達価格等算定委員会で一部示されていますが、これも限定的なものになっています。FITは電力使用者の負担で成り立っている制度であり、情報公開は必須だと考えています。
その3 木質バイオマスの持続可能性については、2015年度から2000kW未満の小型木質バイオマスの区分が新設され、買取価格を税抜き40円と高く設定し優遇することになりました。しかし、その4の輸入バイオマス燃料については何も対策が取られていません。経済産業省の資料によると、すでに認定を受けている「一般木材・農作物残さ」のバイオマス発電では「輸入燃料であるPKSや輸入チップを利用するものがほとんど」であり、「エネルギーセキュリティの観点からは、PKSや輸入チップの調達に関する将来的な安定性に留意して導入見通しを決定する必要がある」とされています。
再生可能エネルギー各電源の導入の動向について
P26 導入見込量(一般木材・農作物残さ)
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/pdf/004_06.pdf
間伐材を用いたバイオマス発電でも、パームヤシ殻などの輸入燃料や石炭を混焼する大型計画が多くなっています。これらの輸入バイオマス燃料を使った発電を国民などの負担によるFITで支援する意義があるのか疑問です。
その5 目標値が不明については現状も変わっていません。再エネの導入目標値が決まらないままに制度の運用が続いており、これが非住宅用太陽光の導入偏重という結果を招いた一因になっていると思います。今後のエネルギーミックスについて話し合う「長期エネルギー需給見通し小委員会」も続いていますが結論が出るのはまだ先になりそうです。
資源エネルギー庁 長期エネルギー需給見通し小委員会
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/#mitoshi
その6 まとめで書いたとおり、FITは劇薬だと思っています。普及を急激に促進することができる一方、副作用もまた大きい。現状では少しずつ改善されてはいるものの、まだ問題・課題が多くあります。問題点は迅速に修正し、納得して負担できる制度になることを望んでいます。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
当ブログ内 再エネ固定価格買取制度の問題点
その1 情報公開の不足
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/1ea26eb188f60d59b75ac9225c6a0299
その2 価格決定時期と着工期限
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/7294c5195bc6c19a2ac989ac70e1df0d
その3 木質バイオマスの持続可能性
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/4992cbd7255d659a6169a99c144e70f8
その4 輸入バイオマス燃料
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/97b89923033802e078f711222e802f6b
その5 目標値が不明
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/791bfb6fb915a9471fe5a50d8c7b8447
その6 まとめ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/68c8d92a44b9fc45fdc8e7e3fd637467
2015/4/1 更新
今日から2015年度の開始です。ぼちぼちブログも更新再開する予定です。
以前、固定価格買取制度の問題点として6回シリーズで書きました。それから1年以上が過ぎ、非住宅用太陽光の大量導入、接続保留、賦課金上昇とFITの問題点や課題が明らかになり、対策も取られてきています。今回は2015年4月時点での固定価格買取制度(FIT)の現状に基づいて情報更新します。
シリーズのうち、その2の価格決定時期と着工期限については、設備と土地を認定から270日以内(2015年3月までは180日以内)に確保するという規定が設けられ、買取価格決定時期も今年度(2015年度)から認定時から電力会社との契約時に変更になりました。また、出力や設備の変更時にも変更時点の買取価格が適用されることになりました。
その1の情報公開の不足についても、情報公開用ウェブサイトとして、市町村別認定・導入状況、買取電力量・買取金額が公開されるようになりました。
固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
しかし、この情報公開は任意で行っているもので、公開期日や頻度などの規定はなく、公開日もまちまちとなっています。2014年12月末日の導入状況は「2015年3月中に公表予定」とされていましたが、「4月中の公表になる見込みです」と書き換えられています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/dc/9ac58463f18a33fc9b3b6d237b4a1b6b.jpg)
情報公開用ウェブサイト 2015年4月1日時点
問題は最新の認定・導入状況を公開しないままに次年度の買取価格を決めていること。多年度に渡る賦課金の予測も公開されていません。また、2013年度、2014年度と2年続けて賦課金の不足が発生していますが、制度の決算も公表されていません。FITを使った設備の導入費用、運転費用、発電状況などは調達価格等算定委員会で一部示されていますが、これも限定的なものになっています。FITは電力使用者の負担で成り立っている制度であり、情報公開は必須だと考えています。
その3 木質バイオマスの持続可能性については、2015年度から2000kW未満の小型木質バイオマスの区分が新設され、買取価格を税抜き40円と高く設定し優遇することになりました。しかし、その4の輸入バイオマス燃料については何も対策が取られていません。経済産業省の資料によると、すでに認定を受けている「一般木材・農作物残さ」のバイオマス発電では「輸入燃料であるPKSや輸入チップを利用するものがほとんど」であり、「エネルギーセキュリティの観点からは、PKSや輸入チップの調達に関する将来的な安定性に留意して導入見通しを決定する必要がある」とされています。
再生可能エネルギー各電源の導入の動向について
P26 導入見込量(一般木材・農作物残さ)
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/pdf/004_06.pdf
間伐材を用いたバイオマス発電でも、パームヤシ殻などの輸入燃料や石炭を混焼する大型計画が多くなっています。これらの輸入バイオマス燃料を使った発電を国民などの負担によるFITで支援する意義があるのか疑問です。
その5 目標値が不明については現状も変わっていません。再エネの導入目標値が決まらないままに制度の運用が続いており、これが非住宅用太陽光の導入偏重という結果を招いた一因になっていると思います。今後のエネルギーミックスについて話し合う「長期エネルギー需給見通し小委員会」も続いていますが結論が出るのはまだ先になりそうです。
資源エネルギー庁 長期エネルギー需給見通し小委員会
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/#mitoshi
その6 まとめで書いたとおり、FITは劇薬だと思っています。普及を急激に促進することができる一方、副作用もまた大きい。現状では少しずつ改善されてはいるものの、まだ問題・課題が多くあります。問題点は迅速に修正し、納得して負担できる制度になることを望んでいます。
関連ページ
資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
当ブログ内 再エネ固定価格買取制度の問題点
その1 情報公開の不足
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/1ea26eb188f60d59b75ac9225c6a0299
その2 価格決定時期と着工期限
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/7294c5195bc6c19a2ac989ac70e1df0d
その3 木質バイオマスの持続可能性
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/4992cbd7255d659a6169a99c144e70f8
その4 輸入バイオマス燃料
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/97b89923033802e078f711222e802f6b
その5 目標値が不明
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/791bfb6fb915a9471fe5a50d8c7b8447
その6 まとめ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/68c8d92a44b9fc45fdc8e7e3fd637467
2015/4/1 更新
今日から2015年度の開始です。ぼちぼちブログも更新再開する予定です。
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