エネファームの動向 その2 小型化、床暖房の除外

先日、エネファームの動向として「JIS規格化と試算内容」という記事を書きました。今回は「小型化」です。

2008年(H20年)の大規模実証実験時のパナソニックのエネファームは発電出力1000W、タンク容量200Lでした。これが2015年モデルは700W、140Lと発電出力、タンク容量ともに徐々に小型化しています。

東京ガス エネファームの出力、タンク容量の推移
 2009年 出力1000W タンク200L
 2011年 出力 750W タンク200L
 2013年 出力 750W タンク147L
 2015年 出力 700W タンク140L

東京ガス エネファーム製品仕様 2009年~2015年モデルより
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/enefarm/specific.html

2015年モデルは2009年に比べ出力、タンク容量ともに3割減となっています。エネファームは低価格化も進んでいますが、出力も小さくなっているということも考慮する必要があります。また、この小型化のためか現行のエネファームでは床暖房へは燃料電池からの排熱利用ではなく、バックアップ熱源機で加温することになりました。

パナソニックアプライアンス Q&A 家庭用燃料電池の給湯能力や省エネ性について
http://panasonic.co.jp/ap/FC/QA_04.html#M06


Q.暖房や風呂の追いだきをする場合、タンクに貯まったお湯を使用するのでしょうか?
A.貯湯タンクに貯められたお湯を使用することはありません。
2011モデルでは、燃料電池の排熱を床暖房回路の加温にも利用していましたが、2013モデルからは、次のようになっています。

床暖房については、バックアップ熱源機で加温したお湯が床暖房回路へ使用されます。
お風呂の追いだきについては、従来同様タンクのお湯を使うのでなく、お風呂のお湯をバックアップ熱源機で加熱しています。


つまり、床暖房使用時には燃料電池は使われず、発電もしません。単にガス給湯器(ガス給湯器)で床暖房を使っているということになります。

エネファームはお湯を沸かすついでに電気を作る仕組みで、熱と電気の需要バランスが重要になってきます。家庭では熱、電気需要がともに小さく、設備の有効活用ができにくいため小型化へと向かっているようです。ただ、この小型化でどのような家庭に導入メリットがあるのか判断もしづらくなりました。エネファームは全ての家庭で省エネ、節約に繋がるというものではありません。導入効果の試算では前提条件を明確にするとともに、複数の需要ケースでの試算、シミュレーションの充実などが必要だと思います。


関連ページ
「エネファームで光熱費かさむ」とガス会社を提訴(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3000O_Q4A630C1000000/
冬に光熱費が著しく増加。床暖房時に燃料電池が動作しているかのように「虚偽の記載」をしたとしてガス会社を提訴。

東京ガス エネファームスペシャルサイト
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/index.html
一般社団法人 燃料電池普及促進協会
http://www.fca-enefarm.org/about.html

エネファームの動向 JIS規格化と試算内容
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/25c3278fb811c7f1f7ab3e0fabee4f6b
シリーズ エネファームは省エネなのか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/5e72ef9d45a0d65caf62e0267b2d9656

2015年6月28日更新
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エネファームの動向 JIS規格化と試算内容

以前、「エネファームは省エネなのか?」としてシリーズ記事を書きました。今回はその後のエネファームの動向です。


シリーズその3「試算内容、モデルケースとは?」では、エネファームには「統一した性能表示がなく、各メーカー・ガス会社が最高効率にて宣伝を行い、独自にモデルケースを設定している状況」としていましたが、2013年12月に小型燃料電池の効率測定方法がJIS規格になりました。

経済産業省:小形燃料電池システムのエネルギー効率測定法を遂にJIS化(C8851)
http://www.meti.go.jp/press/2013/12/20131220001/20131220001-4.pdf

このJIS規格では標準家庭の負荷をモデルに試算されるはずですが、2015年5月現在、JIS規格で測定したという試算内容を見つけることは出来ませんでした。ただ、各ガス会社のHPで公表している内容は以前とは変わっきており、光熱費削減効果の具体的な額の記載は減っています。


東京ガス
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/merit/expense.html

光熱費削減額は記載されていません。
従来型 電気使用量5,868kWh ガス使用量 記載なし
エネファーム使用時の電気、ガス使用量は記載なし。

大阪ガス
http://home.osakagas.co.jp/search_buy/enefarm/about/economy.html

従来型(ガスファンヒーター)間ガス使用量732m3、電気使用量5,389kWh
光熱費約294,000円
エネファーム ガス使用量1,368m3、買電量1,695kWh
光熱費約208,000円、86000円/年の削減

東邦ガス
http://www.tohogas.co.jp/enefarm/merit/energy.html
従来型 ガス使用量 956m3 電気使用量 5,025kWh 
エネファーム ガス使用量 1195m³ 買電量1,842kWh
光熱費の記載なし。そのほか使用状況の説明あり。

広島ガス
http://www.hiroshima-gas.co.jp/home/living/ef/keizai.htm
電気、ガス使用量、光熱費の記載なし。

西部ガス
http://www.saibugas.co.jp/home/house/myhome_ene/farm/economy.htm
電気使用量 従来型 5369kWh、エネファーム2876kWh。ガス使用量は記載なし。
年間光熱費 従来型290910円 エネファーム226700円、64000円/年の削減。


2015年5月現在、光熱費削減効果をHPで記載しているのは大阪ガスと西部ガスのみ。試算条件が異なっていたり、数値が公開されていなかったりで比較ができませんが、従来型の電気使用量は年間5000kWh以上、年間光熱費は約29万円程度。エネファーム使用では床暖房の使用が前提となっています。エネルギー使用量が大きく、この条件であればエネファームの効果が大きくなるという試算のようです。


関連ページ

東京ガス エネファームスペシャルサイト
http://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/index.html
一般社団法人 燃料電池普及促進協会
http://www.fca-enefarm.org/about.html

シリーズ エネファームは省エネなのか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/5e72ef9d45a0d65caf62e0267b2d9656


2015年6月1日更新 
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