先日台湾に行った折り、店頭の歩道にお供えを出しているところをよく見かけました。
何だろう、と思っていたところ、スーパーのチラシに”中元節”というフレーズを発見。
なるほど、中元節か。
とはいっても何のことかさっぱり分かりません。
とりあえず目に留まったものを写真に撮っておき、帰ってから調べてみました。
資料いくつかを読んで、主観もまじえつつざっくり要約してみると次のようになります。
◎中元節とは・・・
道教の行事と仏教行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)が習合し一体化したもの。
道教では旧暦の7月15日を中元といい、赦罪大帝(地官大帝)(中元公)の誕生日とされている。
なお、旧暦1月15日(賜福大帝/天官大帝の誕生日)を上元、旧暦10月15日(解厄大帝/水官大帝の誕生日)を下元といい、これら3つを総称して三元、この3人の神様を三官という。
赦罪大帝(地官大帝)の仕事は「赦罪」なので、お誕生日の月には死後の世界の門を開いてしまうので、ちゃんとしたお墓がない霊(好兄弟、ハオテンショー)はそのあたりをウロウロしまわることになる。
このさまよえる霊をなだめるため、赦罪大帝(地官大帝)の誕生日の日には供物をささげ、"拝拝(パイパイ)"をして供養する。
台湾では旧暦7月は"好兄弟"=鬼が徘徊している月ということで"鬼月"とも呼ぶ。
盂蘭盆会とは仏教行事のひとつで、安居(あんご)の最後の日(旧暦7月15日)を盂蘭盆とよんで、父母や祖先を供養するというもの。
道教の中元節と盂蘭盆会はたまたま(?)同じ日だったため、両者がひとつとなって盛んな行事となっていった。
詳しいことはよく分からないが、中国と日本のの中元(+盂蘭盆会)はかなり異なると考えてよさそう。日本では「地獄の釜の蓋が開く」という「赦罪」的な言い伝えもあるが、道教的な色合いはかなり薄れ、先祖供養という仏教的な意味合いが強い。
台湾では、みんなが実家に集まってお墓参り(先祖供養)をする日はこの日ではなく、清明節(4月7日頃)とのこと。
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宗教というのは土地によって独自の習合・発展をしていくので、本当はもっと複雑なのかもしれませんが、いまのところこの程度しか分かりませんでした。
現地の人に何をお祭りしているのですか?と聞いてみられればいいのだけどな。
(人によって微妙に違うような気もする)
さて、復習してから写真を見返すと、ちょっと理解が深まるような。
上のお供えテントは、特にどうってことのない街角にありました。
ぱっと見たところでは寺院なものも見えなかったし。
これが立派なお寺だったら、さぞかし・・・。
という訳で祀典武廟(大関帝廟)に行ってみました。
台湾の関帝廟の総本山で、道教の神様関羽をまつったところです。
お供えはやはりすごいことになっていました。
台南でおそらく一番盛大なのではないかと思います。
(結構なまなましい写真ですので、苦手な方はお気をつけ下さい)
台湾人の知人に以前聞いたところによると、神様へのお供えの豚は、とても特別なものだそうです。
子豚の時に、丈夫そうなものを厳選して選抜し、美味しいものをたっぷり食べさせ、限界まで太らせるのだそうです。成長するに従い自分の足では立てないくらい大きくなるので、横倒しに寝かされてエサを与えられるそうです。
ひ弱な子豚だと、ここまで太れずに途中で死んでしまったりするとか・・・。
今回見かけたお供えの豚はそこまで大きな豚ではないように思いますが、それでもずいぶん立派な豚でした。
しかも6頭。
お供えのお下がりは一体どうなるのかとっても気になります・・・・・。
■参考情報
農暦中元節 拝拝 台湾在住経験のある方のブログ記事
Wikipedia 盂蘭盆
Wikipedia お盆
Wikipedia 清明
台南の祀典武廟