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採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

201108台湾:マンゴー

2011-08-18 | +フルーツ

8月第2週は台湾(主に台南)に行ってきました。

初夏~初秋は台湾ではマンゴーのシーズン。
持って帰れない悔しさをバネに、写真を沢山撮ってきました。

台湾のマンゴー生産は、西海岸側の中部から南部で盛んです。台南市はマンゴー産地のど真ん中ともいえる場所。
8月にもなると、そろそろシーズンも終わりかけとはいえ、色々なマンゴーを見ることができました

今回見られたものをご紹介しますね。

2011/08/12愛文芒果 愛文(アーウィン)

1950年代にアメリカから導入された品種ですが、今でも台湾で一番人気で、全生産量の4割を占める程。
アップルマンゴーとも言われるものです。

この写真の愛文はちょっと若めで、表面が粉を吹いたようになっていますが、よく見かけるものは、表面がつやつやして、黄色混じりの鮮やかな赤色のものです。黒いシミのようなものが表面についていることがよくあります(炭疽病)。
形は丸っこいです。

甘酸っぱさがあり、香りが高く、肉質は滑らかでとても美味しいです。

(写真は台南市和緯市場にて)
2011/08/12金煌芒果 金煌

1960年代半ば頃、台湾で独自に開発された品種。
このマンゴーの特徴はなんと言っても大きさ。
ペリカンマンゴーに似た黄色くて細長い形ですが、びっくりするくらい大きいです。

肉質はとても滑らかでとろけるよう。酸味は少なめでとっても甘く美味しいマンゴーです。
香りは愛文よりは少なめ、かな?

(写真は台南市和緯市場にて)
2011/08/09金煌芒果 こちらも金煌。

実が巨大な分、種も大きいのかと思いきや、ごく薄べったい種で、食べるところがものすごく沢山あります。

とっても立派なマンゴーの割には、値段は比較的安いようです。街中のかき氷屋さんで出されるマンゴー氷によく使われるとか。

(写真は台北市東門外市場にて)
2011/08/12杉林一号芒果 杉林1号。

丸っこく、綺麗な赤と黄色の果皮は愛文によく似ているように見えます。
1991年に偶発実生から育成されたもので、愛文に負けない味とのこと。
早生である愛文より遅い時期(中期)に収穫されるもののようです。

(写真は台南市和緯市場にて)
2011/08/12杉林二号 杉林2というラベルがあるので、杉林2号という品種だと思います。
(でももしかして、杉林1号の2級品という意味だろうか?)

色や形は愛文や杉林1号に似ていますが小粒でした。
買って食べてみましたが、酸味があって、何故かオレンジのような風味がした気がしました。

(写真は台南市和緯市場にて)

2011/08/12聖心芒果 聖心(センセーション)

これも丸っこい形。
ちょっと安いですね。
味はよい品種とのことですが、種が大きめだそうです。

(写真は台南市にて)
2011/08/12凱特芒果 凱特(キーツ)

マンゴーの中で最も晩生の品種とのことで、8月2週の段階で、かなり若い、青いものが店頭に並んでいました。
熟すと黄色くなるようです。

愛文と同時期、1950年代にやはりフロリダから導入された品種です。

まだ青くて食べてみられなかったので、どんな味か不明です・・・。

(写真は台南市和緯市場にて)
2011/08/12紅凱特芒果

紅凱特

凱特マンゴーの色変わりのようで、果皮が赤色のもの。
このお店では、ものすごく巨大なものが売られていました。
特別に栽培された高級品種かと思ったのですが、単価を見ると凱特とさほど変わらないみたい。

いつか食べてみたいなー。

(写真は台南市和緯市場にて)

2011/08/12マンゴー色々 食べ頃のものを選んで、ホテルに買って帰りました。
左から、杉林2号、愛文、金煌。
金煌の長さは20cm以上あるかも。
2011/08/09マンゴーかき氷 ナイフを持参し忘れても、街角でも食べられます。

この時期、街のかき氷屋さんに行くとマンゴーアイス(芒果冰)というものがあります。
かき氷の上にマンゴーのざく切りを乗せ、シロップや練乳をかけたもの。
常温でおいてあるマンゴーをその場で剥いて切ってかき氷に乗せてくれるお店が多いようです(あらかじめ切って冷蔵してあるところもある)。ぬるいマンゴーが食べている間に丁度ひんやり冷えてきて美味しいです。

フルーツ屋さんで買うと未熟だったりはずれを選んでしまう可能性もありますが、こういうところで買えば必ずベストの状態のものが出てくるので、ある意味確実かもしれません。

 

ジュース屋さんにもマンゴージュースというものがありますが、マンゴーアイスの方がおすすめです。
マンゴージュースは攪拌するので何だかとろりとしたネクターのようになるのです。水やシロップも加えるし。
マンゴーアイスなら、マンゴー100%ですからね。

品種による微妙な味の違いはよく分かりませんが、どれをとってもとろけるような食感で、歯にスジが挟まるなんてことはありえません(柔らかいので歯すら不要なくらい)。
金煌などはレモンをかけたくなる位、甘いです。

ウルシ科の植物なので食べ過ぎはよくないらしいですが、うーむ、止まらない美味しさだと思いました。

結構食べてきたけれど、まだ足りない・・・。


今回はみつけられませんでしたが、龍眼の味がする黒香、水蜜桃芒果(桃の味?)、近年で一番美味しいらしい紅龍、期待の新品種金興などなど、興味深い品種が沢山あります。
いつか食べられるといいな・・。




■台湾のマンゴー

いくつかの資料から(主に(2)を参考にさせて頂きました)、品種リストを作ってみました。糖度などの数値は資料によって異なっているので、基本的には(1)を写し、データがない場合は(2)を書き写しました。
台湾におけるマンゴーの歴史は400年ほど前にオランダ人がインドネシアから持ち込んで始まったと言われているそうです。
第二次世界大戦前、日本の三井物産も何種類の品種を東南アジアから持ち込み、戦後はアメリカのフロリダ州や中南米から新品種がもたらされたようです。
最近は台湾で独自に開発された品種が多数発表されているようです。

名称 原産 データ 特色
愛文、蘋果檨
Irwin
アーウィン
アープルマンゴー
アメリカ‧フロリタ州原産 果重320-500g 
糖度12-15Brix
酸度0.21%
糖酸比 57
種子(果重比)7.3%
1953年にアメリカから導入されて、現在台湾マンゴー生産の40%を占める主力品種。
本品種の特徴は、卵形で、果皮は鮮紅色、果肉は橙黄色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、甘酸っぱく、見た目も良く美味しく、台湾と日本で一番人気の高い品種である。台湾南部以外、沖縄島全域、九州の宮崎県も広く栽培されている。
土芒果、土檨
台湾在来種
  果重120~160g
糖度14.9Brix
酸度0.23%
糖酸比64
種子大(果重比23%)
在来種は全生産量の35%を占める。
本品種は元来小粒だが、品種改良されて220g程度のものもある。
卵形で、果皮は緑色、果肉は橙色で繊維が多く種も大きいが、糖度は15度以上、酸度が少なく独特の風味が強く根強い人気がある。 ジュース、漬物でも人気ある。
シーズンの早い時期に出回る。
病害虫に強く豊産で旱魃にも強い。(試食記事
金煌
キンコウ
高雄県六亀郷(町)の黄金煌氏が1960年代半ばごろからキーツとホワイトを交配し、育成した新品種である 果重600g~2kg
糖度12-17Brix
酸度0.24%
糖酸比73
種子7%
全生産量の16%を占める。
一番の特徴は大きさともいえる。重さが1kgを超えるものがざらにあり、大きなものでは2kg以上にもなる。
完熟すると傷みやすいので7-8割の熟度で収穫される。
味は酸味はやや少ないが糖度が愛文より高く、糖酸比が高い(甘さが強い)。果皮のすぐ下の果肉は繊維が多いが、それ以外の果肉は繊維が少なく滑らかな食感である。 マンゴーかき氷の一番良い材料である。
凱特、九月檨
Keitt
キーツマンゴー
アメリカ‧フロリタ州原産 果重750g
糖度13-18Brix
酸度0.26%
糖酸比57

1953年に愛文とともにアメリカから導入された品種。
全生産量の5%程度。
沖縄マンゴーの元主力品種でもある。
果実は卵型で大きめ。果皮の鮮やかさに欠けるため、アーウィンと比べると見劣りする様だが、味はコクがあり、栽培も比較的容易で、収穫適期も2週間程度あるので計画的に収穫できる。
収穫期が近くなると、果皮が薄緑色になり、果実の肩周辺に赤色がわずかにのる。熟すと緑色は黄色くなる。
果肉は黄色く、ジューシーで、香りも良い。アーウィンと比べるとタンソ病に強いイメージを受ける。
台湾のマンゴーではもっとも晩生の品種で収穫時期は8月以降(9~10月まで遅らせることも出来る)のため、台風の防風対策が必要。
金煌の花粉親。

紅凱特 凱特の変異株とみられる  

凱特とほとんど同じ特徴を持つが、表皮が凱特より紅い。
そのため紅凱特もしくは紅特と呼ばれる。
食味も凱特とほぼ同じ。

玉文 1995年、台南県玉井鄉(町)の郭文忠氏は金煌と愛文を交配して育成した新品種 果重:500g-2kg 
糖度:14度
果実は卵型で果実重は500~2,000gと大きい。 果皮はピンク色、果肉は橙黄色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、糖度は14度前後、と見た目も良く、美味しく、人気の高い品種の一つである。愛文と比べるとタンソ病に強い。
玉文6号 1999年、台南県玉井郷の郭文忠氏が玉文とアーウィンを交配して育成した新品種 果重650-1,000g
種子比6%
糖度15.1Brix
酸度0.16%
果実は長い卵型で果実は大きい。 果皮は赤紫色、果肉は橙黄色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、風味がよく香気も濃厚で人気の高い品種のひとつである。
杉林一号 1991年,高雄県杉林郷(町)の林慶瑩氏が自家のマンゴ園の樹下の偶発実生中から選抜した新品種 果重約650g
糖度16-18Brix
酸度0.18%
糖酸比 90
果皮は赤色~黄色い、果肉は橙色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、美味しく、香りも良い、アーウィンに負けない品種である。
果皮は薄いが、比較的硬めで、輸送性も良い。
収穫期は7-8月(中生)で、愛文と凱特の中間。
隔年結果の傾向があるので栽培管理が必要。
台農1号 1985年農業試験所鳳山熱帯園芸試験支所で育成した品種 果重:180-200g
糖度:16.2-22
酸度:0.18
果皮は桃色~黄色く、果肉は橙黄色。
形は丸っこく、愛文に似ている。
糖度は16.2~22度、種が薄い。味が濃厚で、水分は他の品種と比べると少ない。タンソ病に強い。しかし栽培量が少ない
台農2号 1985年農業試験所鳳山熱帯園芸試験支所で育成した品種 果重:350~410g
糖度:17.7
酸度:0.18
果実は台農1号とは全く違う形で、先端が細く尖った長卵型。
果実重は350~410g。 果皮は桃色~黄色い(やや緑色)、果肉は橙黄色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、糖度は17.7度、と見た目も良く、美味しく、香りも良い、人気の高い品種の一つである。しかし栽培量が少ない
紅龍 1976年高雄県六亀郷(町)の荖濃地方の農民が自家のマンゴー園で発見した品種 果量:467g
糖度:17.3度
酸度:0.13度
果皮は桃色~黄色で、細長い形。果肉は橙黄色で繊維がほとんどなく、肉質は細かく多汁、糖度は17.7度、と見た目も良く、美味しく、香りも非常に良い。
糖度が高いが、全然しつこくない、近年一番美味しい品種と言われる。(試食記事
黒香 インドネシア原産 果重460g
種子比9.1%
糖度15.6
酸度0.18
糖酸比87
1920年代日本人がインドネシアから持ち込んだ品種の一つ。しかし当時台湾の気候風土に合わず、2年に1度程度しか収穫出来なかったため とても割りの合うものではなかった。 その後長年の品種改良を重ね、ついに現在の黒香にになった。 
糖度が20~23度という資料もあり、糖度が非常に高く繊維は少なく味がよい。
最大の特徴は、龍眼にも似た味がすること。
丸っこい形で、果皮は熟しても緑色、果肉は橙色。
主な産地は、台南県の官田、南化一帯。
7月中~下旬以後の、中晩生品種。
香蕉檨、竹葉檨
ホワイト
White
インドネシア原産 果重300g 1916年三井物産がインドネシアから持ち込んだ品種である。
果実はペリカンマンゴーより更に細長く、熟すと果皮は黄色くなる。金煌の種子親(種子親は懐特との説もあり)。
果実重は300g。 栽培量が少ない
聖心
センセーション
Sensation
アメリカ‧フロリダ州マイアミ原産   果実はやや丸味を帯びた卵形で、アーウィンなどと比べると果実が小さく、多産性である。
果皮はピンク色程度に色のりする。 果皮が薄く剥きにくいことと、果実が小さい割に種子が大きいため食べるところが少ない。 果肉の繊維質が少なく、果肉は黄色。(試食記事
農民党、四季芒 嘉義県番路郷(町)農民党の党主席の張銘顕氏が1980年代ごろから台湾在来マンゴーとホワイト3種類のマンゴーを交配して、育成した新品種 果重420g
種子比8%
糖度13.8Brix
酸度0.24%
糖酸比58
比較的細長い形。
果汁が多く耐病性がある。
生育旺盛で徒長し易い。
季節にかかわりなく花を咲かせる傾向がある。
単為結果したものにも50~100g程度の果実がなり、比較的甘い。
農民党フルモーサ1号   果重:150g
糖度:16~20度
農民党の超小型タイプ
(Fujika追記:農民党の単為結果したもののことかもしれない)
金興 南化郷の農家、候金興市が愛文を母に凱特を父に育成した新品種。   果実は大きく1.2kg以上にもなる。
果皮は紅く綺麗で、果肉はきめこまかく多汁、病気にも強いく収穫後の保存性もよい優良品種で、台湾マンゴーの期待の星ともいえる。
台南区農業改良場の奨励品種で、2006年頃から市場に出回る予定となっている。
収穫期は7月初旬から8月中旬。

その他品種:南多邁、北寮1号、文心(試食記事)、金蜜(試食記事)、蜜檨、海頓、懐特、菲律賓(フィリピン?)、玉林、玉文二号、玉文五号、玉文十八号、肯特


■参考資料
(1)芒果品種紹介(PDF)(中国語繁 写真多数)
(2)台湾フルーツ図鑑:マンゴー(日本語 写真多数)
(3)台湾のライターの方のブログの「台湾水果」カテゴリ(中国語繁) 金興の情報はここから
(4)台湾行政院農業委員会による品種紹介のページ 芒果家族 (中国語繁)

コメント (2)
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