前回「スペースの話」から随分と間が空いてしまい、すでにJ2も日程の1/3を消化しました。
スワンに次いで大好きなスタジアムフクアリで快勝したことで大変に気分が良いので、極限までザックリしたサッカーの話をまた書いてみようかなと。
今回は、ツイッターなどでよく目にしている方も多いと思われる「ターレスはボールに触りたがって引いてきすぎる」という話について。
引きすぎると言っても、じゃあ実際ターレスが下がってくるのがどうしてよくないのか、ということについて少し説明してみたいと思います。
まずはこの画像ですね。
画像左側にある二つのオレンジの●がアルビの選手だと思ってください。
青い●は相手側の選手で、この画像の状態だと、アルビの選手は二人ともマークにつかれている、という状況になります。
ボールを持ったアルビの選手からすると縦パスを入れられるコースは空いていますが、マークにつかれているのでこのままだとパスを出しにくいです。
なので、
アルビの選手の片方、画像上方にいた選手(便宜上、以後はこれをターレスと仮定しますが)がセンターサークル付近にあったスペース(オレンジの薄いエリア)まで引いてきます。
この動きによってターレスは相手のマークを振り切っているので、ボールホルダーの選手はターレスにパスを入れることができるようになっています。
で、次の画像。
ターレスにボールが渡りましたが、このままフリーにしておくと簡単にターンされて前を向かれてしまいますので、当然相手のマークしていた選手はターレスとの距離を詰めます。
しかし、これによって今までピッチ上には存在しなかった新たな「スペース」が生まれました。
画像左上のオレンジのエリアが、「ターレスが楔を受けるために引くことによって生まれたスペース」ということになります。
そして次。
画像左下にいたもう一人のアルビの選手が、新たに生まれたスペースを感じ取ってそこに走り込みました。
これによって自分についていた相手のマークを振り切ることにも成功しています。
相方が動き出していたのを感じていたターレスは、自分が作ったスペースに斜めのパスを入れます。
これでパスが上手く通れば、フリーの状態でスピードに乗って、相手ゴールに向かうことができるシチュエーションを作り出せた、ということになります。
ものすごく簡略化してありますが、ターレスがトップのポジションから引いてきてボールを引き出したときは、こういう状況を作り出しやすくなっている、ということですね。
逆に言うと、トップの選手が二人とも最前線に張ったまま動かないと、
・マークにつかれたままなので味方がそもそもパスを出しにくい
・相手の守備にギャップが生まれにくいので効果的な「スペース」が作れない
という状況に陥ってしまい、攻撃が停滞することになります。
連敗していた時期、河田がなかなかハマらなかったのはこのへんが一番大きな原因だったと思ってください。
で、こっからが今日の本題になります。
トップの選手が引いてきてボールを受けるのは有効である、と。
でも、ターレスは引きすぎている、と。
その「ターレスが引きすぎている」という状況が何を生むのか、ということですね。
それがこの画像です。
一枚目の画像と違い、ターレスがハーフウェイラインを越えて下がってしまいました。
で、それによって、ボールホルダーを見ていた相手の選手が「あっ、こんなところにターレスおる!」とターレスの存在に気づいてしまっているんですね。
すると、どうなるか?
当然マークにつかれてしまいました。
中盤の味方がマークについてくれたので、左上にいる相手選手も自分のスペースをそのまま守っていて、効果的なスペースも生まれなくなってしまいました。
一般的にこういうのを「マークを受け渡した」とか言ったりするわけですが、こうなってしまうとパスコースもスペースもなくなってしまうんですね。
と、すごくザックリした説明ですけど、これが「ターレスが引きすぎている」という状態になります。
先日の対戦相手である千葉は、最終ラインが高い位置を取るため、ただでさえ最終ラインと中盤の距離が狭まっているチームでした。
そのため、相手のポジションに気を配って動かないと、簡単にマークを受け渡されてしまうんですね。
ターレスが貴章に代わってからは、ピッチ上に効果的なスペースを生み出すため、色々と動いてくれていました。
もちろん時には引いて受ける動きもありましたが、相手の隙間に入り込むようなポジションを取ったり、裏のスペースに抜け出してみたりして、千葉の守備組織を率先してかき乱していました。
そうして貴章が動くことで、新太はもちろん、高木やサチローが連動して、どんどん渦が大きくなるかのように、ピッチ上に効果的なスペースを作り出していました。
結果的に逆転できましたし、マサくんが言っていた「やるべきことをやればチャンスは作れる」というのは、つまるところこういうことだったりします。
こんな感じでどんどん練度を高めていって欲しいですねーということで一つ。結びにしたいと思います。ハイ。