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サブカルとサッカーの話題っぽい

【小説】ミレニアム 2

2012-03-20 | 小説
ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
価格:¥ 924(税込)
発売日:2011-11-10

ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
価格:¥ 924(税込)
発売日:2011-11-10

 読了。

 1巻が相当面白かったので、早速2巻を読みました。借りられてラッキー。
 2巻はタイトルが示すとおりの続編で、基本的にミカエルとリスベットを中心にして物語が進んでいくところは変わらないですが、一冊(文庫版は二冊)で完結した内容になっていた1巻とは違い、2巻は完全に続きモノになっておりました。ちゅうか、「オイオイここで終わるのかよ」みたいな幕引きなので、ファンになった人は間違いなくすぐにでも3巻を読みたくなるのではないかなと。僕もそうですし。

 しかしまあ、続きは続きということで、2巻の内容について少々。
 僕の第一印象は、「一気に話がキナくさくなったなあ」というもの。物語の様式そのものが変わったというか、「過去に起こった事件に関する謎を解明する」という体を保っていた1巻と違い、2巻では「現在起きている事件を追いかける」というタイプのサスペンスに様変わりしていました。コレが実に面白い。
 や、なんといいますか、事前情報ナシで読んでいることもあって、どういう方向に物語が進むか想像していなかっただけに、死亡フラグびんびんに立ててるキャラが本当に作中で死んだときは思わず引き笑いが出ました
 本を発行したあともミレニアムに籍を置くことにするとか、ミアの「子供ができたっぽいけど大切な時期だから一段落してから報告する」って台詞とか、正直「オメーら死ぬ気満々すぎるだろ!」と突っ込みながら読んでました。日本のオタクはフラグに敏感になっているので気をつけるべきだと思います。海外の著者は。
 というか、僕は少し『ミレニアム』を舐めていて、2巻を読み始めるまでは(1巻が面白かっただけに)「これを超えるのは難しいだろうなあ。続編は微妙になるのがお約束だし」と思っていたんですよね。結論から言うと、その推測は大きな誤りで、2巻も非常に楽しめました。引きが引きだけに、完成度という点で1巻と比べるのは酷かもしれませんが、物語に工夫が凝らされている点は相変わらずスゲエです。
 個人的に1巻で一番ゾクゾクしたのは、ミカエルとリスベットが初めて直接対面するシーンでして、二人がすでに出会っている以上、あれよりも衝撃的な〝出会い〟は描けないだろうと考えていました。
 ところが、まさかリスベットが殺人犯として指名手配されることになり、それによってミカエルとの距離感の描写にこんなに深みが出ることになろうとは。パソコンをハッキングされていることを承知で、リスベットと連絡を取り合いながら真相に近づいていくミカエルという構図の作り方に、思わず舌を巻いてしまいました。うーん、大したもんですね。こりゃ評価が高いのも頷けるってもんです。

 そんな感じで、できるなら今週中に続きを読んでしまいたいと思ってます。
 ちなみに、最後はどうでもいい話で締めますが、2巻で一番衝撃を受けたのは、リスベットの父親が明かされるシーンでも、過去が明かされるシーンでもなく、ミカエルがハリエットと肉体関係を結んでいることが明らかになるところでしたwwwwwwホントしょうもねえオッサンだなコイツwwwwww


【小説】ミレニアム 1

2012-02-26 | 小説
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2011-09-08

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
価格:¥ 840(税込)
発売日:2011-09-08

 読了。

 映画が公開されるということで、見に行く前に原作を読んでおこうと、軽い気持ちで読み始めたんですが、ヤバイコレ超面白い。世界中で絶賛される理由がよくわかりました。この手のミステリ(というよりサスペンスか?)に触れるのが珍しいということもあるんでしょうけど、久しぶりに読んでいて脳汁が出てくる感じを味わえたなあ。
 ただまあ、やはりギャルゲーマーにしてエロゲーマーである僕としては、この作品を例えるのに往年の名作『EVE burst error』を引き合いに出させて頂きます。小次郎とまりなという二人の主人公が、お互い意識することなく、べつの道を辿って事件の真相に迫っていくマルチサイトシステムが好きだった方には、是非! 是非! 是非ともお薦めしたい一作。

 んで、『ミレニアム』のあらすじを軽く説明すると、

実業家・ヴェンネルストレムの不正を報道した、雑誌『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィスト。だが、名誉毀損の有罪判決を下され、『ミレニアム』から離れることを決める。それでもミカエルは、ヴェンネルストレムの違法行為を確信していた。

時を同じくして、大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが、弁護士フルーデを通じて、ミカエルの身元調査を依頼していた。調査を担当したのは、背中にドラゴンのタトゥーを入れた、少年と見紛うような小柄な女性、リスベット・サランデル。

リスベットの調査から、ミカエルを信用に足る人物だと判断したヘンリックは、ミカエルにある仕事を依頼する。それは、36年前に一族が住む島から忽然と姿を消した少女ハリエット・ヴァンゲルの失踪事件の調査だった。ヘンリックは36年経った今も尚この事件に頭を悩まされ続け、一族の誰かがハリエットを殺したのだと信じきっていた。法外な報酬と、事件の謎を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させることもできる証拠を与えるという条件から、ミカエルは、この如何にも難解そうな依頼を引き受ける。

調査は予想通り難解を極めるが、36年の時を経て、ミカエルは新しい手がかりを発見する。助手が必要となったミカエルにフルーデが紹介したのは、あのリスベットだった。やがて明らかになったのは、恐るべき連続殺人の真相とヴァンゲル家の繋がり、そしてハリエット失踪事件の顛末だった。


 こんな感じ。面倒なのでwikiから抜粋。
 なにぶん登場人物の名前が複雑なのでわかりにくいかもしれませんが、ようするにミカエルという男とリスベットという女、この二人の主人公が織りなすマルチサイトシステムのミステリだと思って頂ければ間違いないかと。

 いやー、もうね、ホントに面白かったですよ。
 もちろん手放しで作品のすべてを絶賛できるわけではなく、ミステリもの、サスペンスものが抱える本質的な問題点というか、土台作りのための前置きがあまりにも長いというのは無視することのできないマイナス点だと思います。舞台となるスウェーデンの風土、文化、暮らしている人々の価値観、そして登場人物たちの置かれている状況等々、物語の前提として説明しなければならないことが非常に多いため、最初の200ページほどはどちらかといえば退屈でしたね。
 ただ、その説明パートを過ぎたあたりから、自分でも驚くほど物語にグイグイ引き込まれていました。ネタバレしてしまうと面白さが半減するので詳しくは書きませんが、マルチサイトシステムの醍醐味ともいえる「二人の主人公が協力する」という展開に差しかかったところの熱さといったら
 また、ハリエットの調査に気を取られていて、僕自身もつい失念してしまってたんですが、ミカエルの目的は最初からハリエットの調査ではないんだよなあ。そのへんも最終的にしっかりと回収し、広げた風呂敷を畳む巧みな構成は見事と言うほかありませんでした。

 つーわけで、映画を見ようと思っている方にも、そうでない方にも、これは強くプッシュしたい作品です。日本の社会通念に照らし合わせると過激な描写が多数含まれているので、そのへん受け付けないって方もいらっしゃるかもしれませんが、読む価値はあると思いますので。

 どうでもいい話、原作を読んでいるときのビュルマン弁護士の脳内イメージが、『零の軌跡』のイアン弁護士だったんですけど、映画のキャストがそっくりでワロタ。清々しいほどのゲスっていう設定で二度ワロタwwww


【小説】みをつくし料理帖 心星ひとつ

2011-11-04 | 小説
心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2011-08

 読了。シリーズ第6巻。

 ここ数冊は物語があまり進展せず、同じところで足踏みをしている印象でしたが、今回はその遅れを取り戻すかのように、澪の置かれた状況が大きく変化する一冊でありました。次々と選択肢を突きつけられる澪を見ていると、読んでいるこちらまでハラハラしてしまい、言葉通りの意味で手に汗握る一時間強だったのだわ。
 しかしまあ、分かってはいたものの、これまでのフラグが一気に回収される様子は、まるで登場ヒロイン全員から求婚されるハーレム系作品の主人公を見ているようでしたね(色々と台無しな感想)。加えて、境遇を考えるとトンデモナイ幸運が舞い込んでいるのに、当の澪がちっとも幸せそうじゃないというのが何ともそれっぽいというか。迷うよなあ……迷うよねえ……。
 とりあえず確信したのは、澪がさちうすさん(幸が薄い人、の意)だということ。苦境に追い込まれたり、怪我をしたりといった不幸はそのまま不幸なのに、人情に厚いせいで好条件の引き抜きや思い人からの求婚すら、読者目線だと不幸に感じてしまうという悲劇のヒロインっぷり。なんか『ガラスの仮面』の北島マヤに通ずるものがある気がします。
 で、すげえぶっちゃけるけど、話は面白いっちゃー面白いんだけど、不幸な人の話って読んでて疲れるのよね。次巻はのっけから胃の痛くなるような展開が待ち受けていそうな気がするし、どんなふうに終わるのか見当もつかないしで、このへんで一度購読を打ち切って、完結してから買い集めるのがいいかもしれないなと思いはじめました。
 あと、それだけ澪の才能を買ってるっていう描写なんだろうけど、この作品に登場するオッサンたちは揃いも揃って澪にプレッシャーかけすぎ。オッサンといっても澪からすりゃ親の世代にあたる人たちだろうに、オトナゲないっつか、「失望した」とか「このままじゃお前は終わりだ」みたいな切り捨て御免系の物言いばかりだよなー。
 コレも一種のツンデレみたいなものだとは思うんですが、オッサンのツンデレほど見苦しいことはないわけで、もうちょい素直に、優しく導いてやりゃいいのに。そもそも澪が甘やかされてダメになるような人間として描かれていないので、追い込み系イベントの頻度が高すぎる気がします。源斉先生は菩薩だから甘すぎるにせよ、又次みたいに「自分で引いた一線を越えて馴れ合ったりはしないけど好意的に接する」的な大人がもっと多ければ、つる屋を取り巻く状況は好転していたんじゃないかなあと。
 はー、カッコイイ大人になりたいですねということで一つ。何の話だっけ。


【小説】みをつくし料理帖 小夜しぐれ

2011-03-20 | 小説
小夜しぐれ (みをつくし料理帖) 小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2011-03-15

 読了。同シリーズの第五巻にあたる作品。

 今回はこれまでと違い、メインストーリーにあたる澪の物語三編に加え、最後に小松原様こと小野寺数馬が主人公の短編が一つ収録されているという変則的な形でした。で、少し本編がマンネリ化してきたせいか、小松原様の話がやけに面白く感じたなあという印象。
 まあ、マンネリというと少し違う気がするんですが、澪が料理人としての立場を確立していくにつれ、「ハッとするようなアイディアで新しい料理を生み出す」みたいな面白さは徐々に薄れていますよね。
 その結果として、物語がより人間模様のほうにシフトしていき、今回は、

・種市の過去
・若旦那との邂逅
・美緒の結婚

 等々、各エピソードに盛り込まれたメインの要素が「ていうか、これは料理あんまり関係ないよね」といった感じの内容なので、つまらないというわけではないんですけど、これまで僕が作品に感じていた魅力の半分が欠けてしまった状態になり、それがマンネリ感に繋がった理由なのかなと思ったり。
 しかし、美緒さんはあっさり諦めちまったよなあ。美緒さんも親御さんも、源斉先生が抱く澪への想いを見て取って決断したってことなんでしょうけど。少しずつ人間関係の整理も始まってるし、そろそろ最終巻近いのかな。
 つか、やっぱ澪の怪我した指は自由に動かせなくなる目算のほうが高いのねーと。なんかこの作品って、前の「又次が刃傷沙汰を起こすかと思わせてギリギリで思いとどまる」的な、最悪の状況をチラつかせつつ何歩か手前で解決するってパターン多いよなー。今回の種市の敵討ち失敗にしてもそうだし、似たようなパターンの話が続いてるってのは否めないと思うんですが。

 んー。
 どこまで続くかわからないけど、そろそろ終幕に繋がる道が見えないと読み疲れしそうな感じがしますねということで一つ。あと一冊か二冊でまとめるとちょうどいい塩梅じゃねーかな。


【小説】みをつくし料理帖 今朝の春

2010-10-11 | 小説

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫) 今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2010-09

 読了。同シリーズの第四巻にあたる作品。

 今回も面白かったです。特にひとつめのエピソード「花嫁御寮」と、ふたつめのエピソード「友待つ雪」は、読んでいて色々な意味でハラハラドキドキする話でした。怖いくらいに又次が退場フラグをビンビンに立てまくってたので、何らかの形でいなくなってしまうものだとばかり思っていたら、ゆるい感じで元鞘に収まってくれてよかったよかった。
 しかしまあ、これまでも「澪が料理で問題を解決!」的な『美味しんぼ』系のノリと、様々な人間模様が織りなすドラマという二つの柱が存在する作品でしたが、今回は物語の筋がかなり人間ドラマ寄りになっていた印象がありますね。もちろんそれが悪いというわけではなく、そちらの要素も十分楽しめるんですけど、正直「寒紅」におけるおりょうさん一家の話は限りなくどうでもよかったなあ。両親を失ったことで言葉を失ったという太一のエピソードは、"過酷な運命を背負わされた子供"の姿を、おそらく澪や野江といった登場人物の辿ってきた道筋と照らし合わせる形で描写しているんだろうけど、なんかこう、どうしても本筋から離れている感が否めないんですよね。直前の「友待つ雪」において、だったら澪が野江を身請けすればいいじゃない! という物語の最終目標っぽいモノが提示され、ぶわーっと気持ちが盛り上がっていただけに、浮気がどうとかいう話をされても興ざめというか、盛り上がった気分に水を差されたというか、そんな感じで。
 そして、最後のエピソード「今朝の春」も、物語の内容云々より、料理人の命である指を怪我させちゃってどーすんのよという思いが強かったなあ。出刃包丁の扱いを誤った描写があっさりめだったこともあって、最初は「え? そんな重傷だったの?」って驚いてしまったし。
 や、なんつか、澪が野江を身請けするのに四千両が必要だとして、それが『みをつくし料理帖』の最終目標だとして、ただでさえ目標が遠くに設定されすぎている感があったというのに、そのうえ澪の指が自由に動かなくなるフラグまで立てられると、ちと僕は萎えてしまうのですよ。
 うん。ぶっちゃけると鬱すぎんだよねwwwwww
 ままならない人生、やるせない出来事、といった事象を描きつつ遠回りでもいいから一歩ずつ進んでいく人々を描いてゆく――というのが作品の色であると理解したうえで、僕がこの作品を娯楽小説として捉えているのもまた事実であって、だから山あり谷ありが続きすぎると「ハイハイ、また不幸ですか」、「ハイハイ、持ち上げて落とすんですね」みたいな捻くれた視点を持ってしまうんだよなー。
 というわけで、いくら面白くてもあんまりダラダラ続けられても途中で飽きそうですし、次あたりでテコ入れなり、終幕に向けての突端なりが見られないとキツイかもしれませんということで一つ。