化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

エタノールガソリンの腐食性

2006-10-31 | バイオマス
とうもろこしや小麦・ビートを原料として製造されるバイオエタノールは、カーボンニュートラルとみなされるのでこれを自動車用燃料に利用することにより、CO2排出を抑制できます。アメリカでは10年以上前からガソリンに10%混合し使用されてきましたが、今日ではエタノール混合割合は85%まで高められています。ブッシュ政権や中西部州では中東石油への過度の依存を下げる目的で、このバイオエタノールの導入を促進させています。

しかし最近、独立製品安全テスト機関であるUnderwrites Laboratories(UL)がE85は給油ステーションのディスペンサーポンプの金属・プラスチック部品を腐食すると発表しました。そしてE85ディスペンサーに張ってあるUL認証シールを取り消しました。ULはE15用として認定しているのであってE85については認定していないという理由です。

ULはトースターからテレビまですべての製品の安全性を認証しています。今後2年かけてE85用の規格を制定し認証を行なうとしています。これによりいくつかの州ではE85ディスペンサーを使用できなくなる事態が想定されます。

BPはこの決定を受けてE85の販売開始を延期しました。Wal-MartはE85ステーションを400箇所に設置する計画ですが、さらに検討するといいます。
一方、アイオワ州は今後2年間でE85ステーションを3倍にする計画です。同州の法律ではUL認証がなくても2009年6月まではE85ステーションを作ることができるからです。

日本でもCO2排出抑制と自給率向上(わずかばかりですが)に寄与することを評価し、バイオエタノールの使用を認めています。各種自治体や企業がE3ガソリンの実証化を進めてきています。総合資源エネルギー調査会の答申(2003年6月20日)で、ガソリンへのエタノールの混合率は3%上限とされました。これは含酸素率が1.3%を超えると金属腐食が起こるという実験結果によるものです。これをエタノールに換算すると3%になります。

同調査会では2006年4月の取り纏めで、エタノールを直接ガソリンに混合するよりもETBEに転換することを推奨しています。ETBEはバイオエタノールとFCC装置で生産されるイソブテンから製造されます。バイオエタノールを一部原料にしているのでCO2抑制とエネルギー源の多様化に寄与します。しかしエタノールは蒸気圧が高く大気中に揮発する、水と混和するという欠点があります。ETBEではこの欠点がなくなるため、石油業界はETBEを今後導入していこうというものです。含酸素率1.3%の制限でETBEならば8.3%までガソリンに添加が可能です。

同じバイオエタノールといっても日米ではその取り込み方に違いがあります。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿