化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

石炭火力発電所の半分を廃止にする??

2020-07-06 | エネルギー
熊本で洪水が発生したという。毎年、毎年この時期に洪水が発生している。数十年に一度のとか、これまでに経験ないような雨量と報道されている。数十年に一度が毎年あるのはやはり異常です。気候変動への取り組みは待ったなしと考えざるを得ないです。

経産省は現在稼働している140基の石炭火力発電所のうち、非効率な100基を今後順次廃止していくと発表しました。高効率なものは残すそうで、それは26基に過ぎないのですが、現在の石炭火力発電のおよそ半分を賄っているそうです。



足元では電源構成比の石炭割合は31%なので、その半分の15.5%を26基で賄っている。2030年の石炭割合は26%に減らす計画なので、残りの10.5%に相当する石炭火力発電所を新たに作る必要があります。単純比例計算すれば17基になります。「気候ネットワーク」の新設一覧表で超超臨界タイプの計画中、建設中を数えたら12基ありました。廃止にする100基の代替は既に準備できているという事のようです。

非効率(亜臨界)の発電所が高効率(超超臨界)のものになったら、どれくらいCO2が減るのか概略試算してみます。単純な比例計算なので無単位にしてます。

亜臨界  効率 37% 発電量100とすると、必要石炭は270
超超臨界 効率 44% 発電量100にするには、必要石炭227 となります。
石炭量の差は43減少で率に直すと16%の削減になります。これはそのままCO2削減割合になります。
発電効率の向上は7%ですが、発生CO2に換算すればマイナス16%とかなり大きな値です。
これが経産省の言う最新鋭の石炭火力発電ならばCO2を削減できるという事です。

でもわざわざ石炭を使わないでもっとほかのエネルギー減を使えばもっと削減できるのではと突っ込まれそうです。

人が生きていくのにエネルギーは不可欠で今後ますます増える方向です。CO2を減らすには経済活動を抑制するのが一番ですが、それには誰も賛成しません。
More energy and less carbon
難しい課題ですが無制限に時間があるわけではありません。

発電所と送電線が別の会社になる。発送電分離

2020-04-02 | エネルギー
今日4/1から電気の発送電事業が分離されました。エイプリルフールではありません。でも、毎日お家で電気を使っている消費者としては、なんだか良く分かりません。

電気はそもそも住んでいる場所に一つしかない電力会社から買うしかありませんでした。東京なら東電、北海道ならほくでんという具合に。その昔は電力会社はたくさんあったそうです。しかし、電気のような重要なインフラは、会社が倒産して明日から電気が使えなくなる、となったら困ります。なので、地域の電力会社を一つにまとめて、そこに独占的に電気事業をやってもらうようになりました。独占ですから倒産することはなく、明日から電気が来ないという事は無くなります。但し、国としては勝手に電力料金を決めさせるわけにもいかないので、電力料金の改定には国の許可がいることにしました。

電力会社は発電にかかったコストを計算して、適正利潤(もうけ)を乗せた電力料金を国に示して許可してもらうという仕組みです。これで日本の電気の安定供給が出来ました。ところが、独占はいいことばかりではなくて、いい加減な会社運営をしても利益が確保できるという事の弊害がだんだん出てくるようになりました。電力会社の電気よりも自家発電したほうが電気代が安くなる、、といった事が大企業を中心に出来るようになります。

そこで外国の例を参考にしながら、発電、送配電、小売の各分野を自由化、要は電力会社以外でもやっていいよ、そのほうが競争原理が働いて一般の電気も安くなるという方向を目指すようになりました。いまではENEOSでんきとか東京ガスとか東電以外から電気を購入している家庭も多いと思います。また、電力会社の大型発電所で電気を作るだけでなく、風力や太陽光発電の電気もどんどん使っていこうとなりました。

ということで、発電元の自由化、小売の自由化が進みました。ここで発電した電気は送電線に繋がないといけません。電気を買うには送電線から電線を自宅に繋げる必要があります。でも送電線が自由化されないと、安く作った電気も安い価格で家庭に届かないことになります。じゃー送配電事業も自由化するか。待てよ。送配電事業も自由化してしまったら、電力の安定供給を誰が責任持つんだ。ということで、送配電事業だけは国がしっかりと監視する方が良いだろう。なので、発電、小売は自由化したので自由化出来ない送配電事業は既存の電力会社から切り離すということで、発送電分離となったわけです。

例えば今日から北海道ではほくでんと別にほくでんネットワークと言う会社がスタートしました。新会社は送電線の維持管理と配電(どこの発電所で発電した電気をどこに送るか)が主な事業です。資本金はほくでんの1142億円に対してほくでんネットワークは100億円です。会社の規模としてはずいぶん小さいのですが、配電の役割は非常に大切なものです。

この送発電分離システムが上手く機能することを期待しています。と同時にエネルギーは重要な社会インフラでありそれを担うということは、利益追求とは違う側面もあるという矜持を持った会社が発電、小売事業に参入してくれることを願ってます。今が儲かりそうなチャンスだから参入する、だめなら撤退するという業界ではありません。

原発と関電

2019-11-01 | エネルギー
1割。これは現在稼働中の原子力発電の割合です。日本にある60基の原発のうち稼働しているのは僅かに6基です。またこの内24基は廃炉になることが決まってます。せっかくある設備だし、CO2排出はないし(付帯設備等を考えればゼロではないと思うが)使えるものは使ったほうが良いという意見があります。東北大震災以前には電力の30数%は原発が賄っていたのですから。政府のエネルギー基本計画でも将来は2割程度のベースロードとして原発を想定しています。

ところで先日らい話題になっている関電の問題。これは収賄といっていいと思いますが、今どき言語道断というのが庶民感覚です。会長、社長はじめ役員は当初辞職しないと言ってましたが、当然それは通る話ではありません。
聞けば関電の会長、社長は電力会社の業界団体である電事連の会長、副会長といいます。だめですね。これで原発再稼働に向けては予定外のハードルができたと言えます。

原発が本当に安全であれば再稼働してもいいんじゃないの。ことさらに神経質な条件をつけるのではなく、科学的にリーズナブルな条件をクリアした原子炉を再稼働することは必要なことでしょう。

但し思うのは福島原発の後処理をしっかりした上でないと、再稼働は許されないんじゃないでしょうか。事故によらない廃炉が今後24基も計画されているのです。シッカリと廃炉にする技術が確立できないうちに再稼働というのはあまり納得できるものではありません。

山火事と計画停電

2019-10-09 | エネルギー
海外出張のための安全情報を得るため外務省の「たびレジ」に登録しています。銃撃戦が有るとかハリケーンが近付いているとか、大規模なデモが予定されているなど、の情報がメールで配信されます。

今日は在サンフランシスコ日本国領事館から「今後の山火事と計画停電」のメールが届きました。乾燥した強風が流れ込むので山火事の発生が予想される。最新の山火事情報を収集して巻き込まれないようにして下さい。

で良く分からないのが、山火事対策として計画停電が最長1週間予想されます。食料や水の備蓄をして、現金、懐中電灯を用意し、携帯電話の充電や車の燃料、医療機器のバックアップ準備を心掛けて下さい、とのことです。

山火事が起きて電線が切れて停電になるならわかるけど、山火事対策として停電させるというのはどういう事でしょうか?
ネットを調べてみると昨年11月の大規模な山火事の原因が地元電力会社の送電線にあるという。強風で送電線が切れてそれが森林に触れて発火するらしい。送電線の点検を怠り、振動を抑える設備を装備していないなどの落ち度が電力会社にあるようです。

日本ではあんまり聞いたことない話ですが、アメリカやオーストラリアでは送電線が原因の山火事が確かにあるとの事。それにしても一週間も停電となると大変ですね。

電気自動車ピックアップ

2019-02-17 | エネルギー
電気自動車といえばテスラが有名ですが、2020年に電動式ピックアップトラックがリビアンオートモーティブというアメリカの会社から発売される。この会社にアマゾンやGMが770億円を投資すると報道が有りました。

テスラは高級自家用車を販売してますが、リビアンが作るのはピックアップトラックとSUVで、電動化だけでなく自動運転を視野に入れているという。アマゾンは配送にこの車を使うことを想定しての出資なんでしょう。

最上級クラスの車種では180kWhのバッテリーパックを積んで、走行距離は640kmとなっています。価格は700万程度とか。
これだけ走ればガソリン車と遜色ないでしょう。残る課題は充填時間だけでしょうか?

Wikipediaによれば従業員は750人で三菱自工のアメリカ工場を買収して、そこで車両を生産するようです。

自動運転のレベルは良くわかりませんが、ピックアップとSUVというアメリカ人好みの車種から始めるのは懸命な選択と考えられます。

原発敗戦

2013-01-13 | エネルギー
人から勧められた本ですが、共感するところが多かった。表題や序章に大日本帝国などの言葉が述べられ少々過激的ですが、要は原子力発電を順次減少させて化石燃料発電と再生可能エネルギーを補完的に使用する社会にするという主張です。

著者はエンジニアリング会社で長年エネルギープラントやや石油化学プラントの設計、建設と運転に従事してきた技術者です。その豊富な経験から原発の設計・建設・運転について技術的矛盾を指摘し、多様な再生可能エネルギー利用技術の導入をその効率とコストの面から縦横無尽に語ってくれています。

現状の原子力発電プラントは安全面の設計矛盾と放射性廃棄物の処理に解決できない課題を抱えており、従ってその新設は困難と見ています。卒原発とか脱原発という情緒的な言葉遊びでなく、技術屋らしく寿命となった炉を廃炉にするシナリオを提唱しています。これを「原発自然死シナリオ」と読んでいます。

地球温暖化への対応を「人為的温暖化説」として、警鐘をならします。温暖化現象は肯定するが、その原因は化石燃料燃焼による二酸化炭素の排出量増加ではなく、天体としての地球の挙動によるものという解釈を支持しています。

そしてこの二酸化炭素犯人説の呪縛から逃れ、化石燃料の効率的利用の促進を主張しています。さらに再生可能エネルギーの低コスト化と利用効率の向上、省エネを進めていきます。最終的には発電変動のある再生可能エネルギーを化石燃料発電で補完するシナリオを進めるというわけです。

元エンジニアリング会社の技術屋らしく、取り上げている技術は広範でその効率とコストの観点からの主張は納得するところが多くありました。例えば、燃料電池は高効率ではあるがコスト低下が期待できないので、主要エネルギー手段にはならないだろうとしています。

巻末の参考文献は100件近くに及びます。エネルギー供給という社会的な課題に技術面とコスト面から考察しているものです。いわゆる原子力村の住民でない技術屋の提言として大いに参考になると思います。


燃料電池 VS 太陽電池

2009-03-01 | エネルギー
今年は燃料電池展を見に行けなかった。昨年から同時開催となった太陽電池展のほうが、燃料電池展よりも出展社も多く来場者も多くて活気が有ったらしい。こういう情報を聞くとこのまま燃料電池展は縮小されてしまうのでは、という感じもしてしまいます。

一時の開発ブームが収まって実用化・普及の時期に来ているので、展示会への出店が減ったとも考えられますが、太陽電池展の盛況と比較すると燃料電池という技術が一つの節目を迎えているとも考えられます。
2002年当時は首相官邸に燃料電池自動車が納入されたり、2007年には5万台の燃料電池自動車を普及させるという役所の目標が有りました。今から思えば、大嘘ということになりますね。理由は簡単で燃料電池の技術的壁が予想以上に高かったということです。更に言えば、燃料となる水素をどうやって作るのか(CO2排出を抑制しながら)、作った水素をどういうインフラで配送・供給するのか、といった課題を同時に解決しなければいけないからでしょう。

一方、太陽電池は欧米でCO2抑制の大きな柱として認知され、補助金などに後押しされて大きく伸びてきました。気がつけばトップを走っていた日本のPVメーカーがその順位を大きく落としていた、という現状です。日本政府も負けじと2005年に止めた太陽光発電に対する補助金を復活させて、再びPV導入を加速しようとしています。

燃料電池のうちでも家庭用1kW級(級と表すのはメーカーによっては800W程度の発電能力のシステムもあるため)システムは、これまでに補助金を受けながら3000台ほど設置され実証試験が行われてきました。今年になってついに一般への販売が始まりました。もちろん、補助金はあります。これまでメーカーによっていろいろな呼び名がありましたが、エネファームという名称で統一されています。

ところで、燃料電池と太陽電池はどちらがお得なのでしょうか。言い方を変えればどちらがCO2抑制あるいは省エネ効果が高いのでしょうか?一口に結論を出すのは難しいですが、簡単に比較して見ます。

燃料電池システムは価格320万ですが補助金が140万ありますので、実質価格は180万です。これで年間5-6万円の節約が出来るそうです。つまりその分だけの電力使用量が減るということです。6万円×30年の価値と今の180万の価値は同じではありませんが、単純計算だともとをとるのに30年かかります。燃料電池システムが30年持つかどうか、その間のメンテナンスコストなども考えると元を取るというよりも省エネに貢献するために設置するということですね。

太陽電池はシステム価格が70万/kWだそうで、一般家庭ならば3kWシステム(最近は買電を考えて4kW-5kWシステムもあるそうです)で足りるので210万。補助金は7万/kWなので21万ですから、実質価格は190万です。この価格は燃料電池とほぼ同じですね。年間の発電量は地域によっても違いますがおおむね1000kWh/年・kWですから、3kWしすてむで3000kWhの発電が出来ます。電力価格を25円とすれば7.5万円分発電するわけで、この分だけ節約が出来ることになります。そうすると元を取るのに25年かかる計算になり、燃料電池よりもちょっとお得といえるかもしれません。しかしどちらもずいぶんと長いので正確に比較は出来ないというところでしょうか。(最近電力買取価格を50円にするという策も出されたようなので、この計算はもう少し短くなるのでしょう。)

燃料電池システムでは必要なだけ発電して足りない分はもともとの電灯線から使うことになり、電力が余るということはありません。一方、太陽電池はお天気任せで発電するので足りない時は電灯線からの分も合わせて使い、逆にあまったら電灯線を通して電力会社に売ることが出来ます。この電力会社が買い取ってくれる分だけ太陽電池のほうが有利なのです。

ところで太陽電池がいくらお得かをネットで調べてみると必ずオール電化住宅に設置した場合という試算になっています。つまり電力会社が太陽電池を応援しているわけです。電気を買い取りますからその代わり、オール電化住宅にしてねということです。オール電化住宅にはガス管を設置しませんから、オール電化住宅が普及するとガス会社は困ります。

そこでガス会社、石油会社はスクラムを組んで燃料電池システムを普及させてオール電化住宅の攻勢に対抗しようというわけです。どちらがいいということはないんでしょうね。例えば、オール電化+太陽電池のほうがお得だったとして、日本国中の住宅をオール電化にすることが可能でしょうか、その時にも深夜電力は安く買えるのでしょうか。
エネルギーというのはある程度分散している、分散させておくとこが必要ですから、太陽電池も燃料電池もその特長を生かして利用していくことになるのでしょう。

出張

2009-01-24 | エネルギー
いよいよobama大統領の就任です。米国民のみならず、世界中の人の期待を一身に背負っています。まだ就任演説は聴いてませんが、そのうちYuTubeで聞いてみましょう。指名受託演説との違いがわかるかなあ。
それにしてもYuTubeは便利なものですな。

今日は新幹線で西のほうに出張です。のぞみとこだまを乗り継いでいるのですが、こだまのスピードに慣れてしまうとのぞみは何か宙に浮き上がるような感覚がありちょっと怖い気がします。山陽新幹線、特に岡山以西はずいぶんと揺れが大きいのは気のせいでしょうか?キーボードをたたくのも大変なほど、特にトンネルの中は揺れます。東海道新幹線はこれほどにひどくはないと思うのですが、線路の設計が違うんでしょうかね。まあ飛行機ほどではありませんが。

車内販売、スタイルいい
いつもは駅の売店で弁当やら飲み物を買い込んでから乗るのですが、どうしても時間が取れないときは車内販売を利用します。以前は車内販売は別の会社がやっていたと思うのですが、いまはJRが車内販売をやっているんですね。そのせいというわけではないでしょうが、売り子さんが若くてスタイルのいい人ばかりです。車内販売といえば重労働だからというわけではないでしょうが、体格のよい売り子さんが多かった気がします。これは単に若い人全体のスタイルがよくなったことの帰結でしょうか。

電源
メインに使っているデルのノートブックがあまりに重たいので、ずっとネットプックを買いたいと検討してきた。価格が安いことが一番ですが、軽いことも十分な魅力です。家電量販店によるたびにいろいろなメーカーのものに触ってみていました。結局ネットブックの10インチ液晶では画面が小さすぎるという結論に達しました。最大でも10インチですが、これだと字が小さくて読むのに苦労します。これからますます進むであろう老眼のことを考えると、10インチには耐えられないでしょう。そこで次に12インチのものを探してみた。もちろんありますが価格はネットブックの倍以上です。ネットブックの部品で一番高いのが液晶ですから、画面が大きくなれば価格が上がるのは仕方ありませんが、2倍はちょっと手が出ない。で結局中古の12インチ(IBM製)ノートブックを買い求めました。値段は8インチのネットブックと同じくらいでした。

2004年製なので少々古い、HDDが40GしかないのでSDカードスロットに16Gを差し込んでなるべくSDにいろんなものをインストール・保存するようにしています。動画などを入れなければこれで結構持つでしょう。1年も刷ればSDカードの値段が下がるのでそのときに容量の大きなものに更新すればいいか、と考えています。中古品の難点はバッテリーのもちです。今の状態は大体1時間くらいでしょうか。というわけで新幹線の中でも電源を探します。のぞみは窓側に電源がありますからよいのですが、こだまにはまったくありません。たまーに最前列にある車両もありますが。
それから、ほかの人が先にコンセントを使っているときのために、コンセントの分岐器具も一緒に持って歩いています。
まだ使ったことはありませんが。

水と空気で発電する燃料電池???

2008-06-14 | エネルギー
今年になってスリリングな展開を見せていたアメリカ大統領選挙、じゃなかった民主党候補者選挙がようやく決着をしました。昨年のこの時期には、おそらくほとんどの日本人は知らなかったであろう、もちろん私も知りませんでした、オバマ氏が民主党候補となりました。昨年秋ころは、もうヒラリー氏で決まりといった感じでしたが、こういう結末を見せられるとアメリカという国のダイナミズムを感じます。もっとも、まだ大統領になったわけではありませんが。プレーオフの試合でも充分楽しめた、というところでしょうか。

それに比べて日本の政治の閉塞感はどうにも成らないのでしょうか。いや、We can change!ですね。

ネット上の記事で大阪の会社が「水と空気で発電する燃料電池を開発」とありました。この表題だけから判断すると、水と空気だけから発電できるのであれば、エネルギー問題は一気に解決、と早合点してしまいます。

しかし、水と空気だけでは発電できる道理がありません。エネルギー保存の法則に従えば、
(系のエネルギー蓄積)=(流入エネルギー)-(流出エネルギー)
です。このFCの場合、流入側は確かに水と空気だけです。FCから流出するのも水と空気(酸素が減っていますが)と電気エネルギーです。とすれば、上式からFC装置のエネルギー蓄積はマイナスと成ります。つまりはFC装置内にもともと合ったエネルギーが減ってその分が電気エネルギーとして発電されたわけです。

記事の本文を読むとFC内には水を水素と酸素に分解するための金属水素化物に似たものがはいっているという。つまりはこの金属水素化物が酸化されて、金属水酸化物になり、それによって水から水素ができ、FCはその水素を使って発電しています。

それゆえ金属水素化物を使い切ってしまえば、いくら水と空気を供給してももはや発電はしないはずです。
加えて金属水素化物を使って水素を作る方法はよく知られています。いったいこの記事を書いた人は、何がNewsだと考えたのでしょうか?

と思っていたら、同じような突込みが多かったのでしょうか、記事の続編がアップされていました。
「反応が終了すれば,水素の発生も発電もストップする。 」
「システムの特徴はこの金属または金属化合物の反応性を制御して長時間に使うことを可能にした点にある」
んー、長時間使うことが可能という言い方も、よく分からんなー。
でもこれ以上、突っ込むほどの意味もないか。


スポーツ欄は人類の偉大な記録

2008-04-13 | エネルギー
3月はとても忙しかった。土日はほとんど仕事していました。4月に入って日曜日は休んでますが、土曜日は仕事してます。
暇をもてあますよりはよいですが、これがすぐに結果につながらない、むしろトラブル続きで仕事が増えてしまったりしていて、何をやっているのやら。
でも、本質を見失わないようにがんばるぞ、と。

新聞はスポーツ欄を一番最初に見る、そこには人類の偉大な記録が書かれているから。政治欄は一番最後に読む、そこには人類の一番おろかな行為が書かれているから、ということを聞いたことがあります。フランスかどこかの人の言葉だったかな。

スポーツ欄で気に入ったニュースが二つ。
アニキ金本の2000本安打。かつて野村監督が、「金本は生活のすべてを野球のために集中させている、若手が横道にそれそうになると連れ戻してくれる」といっていたことがあります。選手としての成績だけでなく、こういうところがアニキのアニキたるゆえんでしょう。
星野監督は、一塁に走者がいると盗塁させるためにツーアウトまで待っている金本に、「もっと気楽に打っていいんだ」といったそうだ。
そんな責任感が、2000本を目前にして足ふみをさせたのだろうか。
でもやっぱりアニキはすごい。

野茂投手。3年ぶりにメジャーのマウンドにカムバック。
日本人メジャーリーガーの先駆者としての野茂にはいつも感動させられます。
うれしいですね。勇気付けられますね。
そういえば、監督は元日ハムのヒルマンでした。
野茂投手、もっともっと活躍を期待しています。

ペトロブラス

2007-11-11 | エネルギー
大きな記事ではありませんが、ブラジルのペトロブラスという石油会社が沖縄にある南西石油を買収すると報じられています。

南西石油といえばエクソンモービル傘下の石油精製会社です。規模はそれほど大きくはないですね。トッパー能力で10万BDですから国内のシェア2%くらいに相当します。とはいえ、日本の製油所を外国の会社が買収するというのは初めてのことではないでしょうか。

国内の石油会社は発電用重油の減少など需要が落ち込み、設備稼働率が低下したこと、自由化により石油製品の、特にガソリンの値段が下がったことから、設備稼働率を上げるため、精製装置能力を減らしてきました。一言で言えば製油所を閉鎖してきました。でも、これまで入らなくなった製油所を売却するということはありませんでした。

製油所を閉鎖するのはそれなりに企業にとっては一時損失になります。お金が出て行く方向です。それを売却できれば、お金は入ってくるほうですから、そのほうがいいですね。

ペトロブラスはかつては国営石油でしたが、今は民営化されています。原油の高騰と自前の石油資源を持つことから、今は大きな力を持っているといえます。そのペトロブラスが地球の反対側に製油所を、あるいは石油ターミナルを持とうとしている。当然、売り先は中国でしょう。

中国はエネルギー確保に必死ですから。党大会でこれからは資源確保よりも効率的利用を第一にする、といっています。しかしあくまで建前の国ですから、実際はこれまでと同様にエネルギー確保に走るでしょう。

ブラジルといえば石油だけでなく、バイオエタノールの最近は大いに注目されています。沖縄という地はバイオエタノールの試験的生産や利用を進めています。バイオエタノールについては、日本も中国も市場となりえます。沖縄に拠点を持つというのは、両方の市場をにらんでのことでもあるのでしょう。

中国は世界の工場といわれますが、と同時に大きな消費地になっています。産業用資材はもちろんですが、高額所得者は日本よりも人数的には多いそうです。そういえば、日本に来る中国旅行者の数は増えるばかりではないでしょうか。行楽地に行くとそのことを実感します。

それにしても原油100ドル時代がこんなに早くくるとは、10年前(原油価格10ドルの時代)にはまったく想像もできませんでした。せいぜいオイルショックと同じ40ドルくらいがピークと思っていました。この先さらにエネルギー価格には注目をしていかなければいけません。

内情は分からない

2007-11-04 | エネルギー
落合監督についていく選手はいない、と書いてしまったが、内情は違うようですね。物事の結果やうわべだけで判断してはいけないということです。でも、あそこまでやったんだからもう少しやれたかも、と想像するのは床屋談義の楽しいところです。

もう少しやったら、というのは某政党の代表にも言えるかもしれません。求心力を失ったというか、賛成者が少なかったことに、落胆したんでしょうか。でもやめんでもまだまだ道はあるように思いますがね。ということは、やっぱり離党してしまうんでしょうか。それに同調する有る程度の人数を引き連れて、新党旗揚げして保守合同という流れを予想するのは当然ですね。

残されたというか、某政党はその後どうするんでしょうか。2回目、3回目の人を代表にするのかな。あるいはもっと新しい人にするのか、いずれにせよまとまりを欠くことに変わりはありません。結局フフン首相に思わぬ果実が転がり込んだということでしょう。

こういう騒動の中でも国や国民にかかわる仕事は待ったなしです。年金、薬害問題、構造改革、大丈夫かね。知らぬうちに一番ラッキーと思っているいるのは役所の方々だった利して。でも、そうなっちゃ困りますがね。

ハイブリッド車をエネルギーの中核にする方法

2007-09-16 | エネルギー
NY Tomesの記事からです。

この時期、アメリカ南部や中西部はハリケーンの襲来に一喜一憂です。2年前だったかのハリケーン、カトリーナとリタによる被害は記憶に新しいものがあります。そういえば、原油価格がついに80ドルをヒットしました。ハリケーンの時期と関係はあるのでしょう。もちろんこのまま一本調子で上昇するかどうかは分かりませんが、この一年ほどはおとなしかった原油市場も再び波乱の様相です。

ところで、ハリケーンによる停電の対応方法として、UPSを導入している家庭もあるようです。家庭用UPSはバッテリーと直流交流変換器から構成されています。これにより1時間くらいの家庭用電力がまかなえます。もちろん、バッテリーの容量を大きくすればもっと長時間の電力供給が可能ですが、バッテリーを大きくすれば価格も高くなります。

ハリケーンの停電は1時間くらいで復旧するわけはありません。電気がない状態で一夜を過ごす羽目になるわけです。ここで、ハイブリッド車の出番です。プリウスのバッテリーからUPSにコードをつないで、家庭用の電力をまかなうことができます。プリウスからは3kWの電力が供給できるので、エアコン以外の電力をまかなうことができます。

プリウスのエンジンをオンオフして(もちろん自動です)、ガソリンが続く限り家庭に電力を供給することができます。このようは利用方法はV2G(ベヒクル to グリッド)と呼ばれ、その効率に関して研究・検討が進められているそうです。

また、プリウスとグリッドの結合という意味ではプラグインハイブリッドも含まれます。深夜の余剰電力でプリウスにたっぷり充電しておき、その電力のみで昼間走行しようというものです。バッテリーを大型のものに変えれば、50kmくらいは走れるようです。深夜電力を原発電力とすれば、CO2排出抑制に大いに貢献していることになります。
このV2GシステムにはFCVをつなぐことも可能です。

なかなかに面白い方法と思います。

ところが、ホンダはV2Gには否定的のようです。ハイブリッド車のシステムはそのような利用方法を想定していないといっています。つまり、バッテリーがすぐにへたってしまって、ハイブリッド車自体にダメージが残るということでしょう。家庭用電源としてはガソリンエンジン発電機(たしかにホンダは発電機を販売しています)を利用したほうがよいといっています。
このコメントを読むと、やっぱりホンダはハイブリッド車に尻込みしているという気がします。

原子力発電

2007-07-31 | エネルギー
先の日曜日、サンプロに東京電力の方(顧問だったか)が出演していました。質問への受け答えを聞いていて、良くぞ出演したと座布団上げたい気持ちになりました。

これまでの大企業では自ら進んでこの手の番組に出て、批判は批判として受けながら、自分たちの主張と責任いついて発言することはなかったと思います。

変圧器の火災に対して適切な対応が出来なかったことの事情を正直に説明していました。さらに原子炉を守るというか、原子炉の安全設計にはきちんとした根拠があり、それが今回はからずも実証された、ということが良くわかりました。

放射能漏れに関しても、放射能が漏れるということはどういうことか、その危険の程度は如何ほどか、素人にも良くわかる説明でした。

この人はこういう場に慣れていることもあるでしょうが、自分の会社の事情や原子力発電というものをよく理解しているので、あのような説明が出来るのだろうと感じました。

東京電力にはあまりいい印象はないけれども、この人の説明はほんと良かった。

その一方で、同じ日曜日の文化人といわれる人がコメンテーターの番組で、「原子力発電は必要悪」という論調で最近のマスコミは報道している。しかし、この必要悪ということを今一度検証する必要がある。今後の再生可能エネルギーなどの利用を想定すれば、原発廃止を前提にしても良いのでは、とコメントした作家がいました。司会者も原発廃棄を打ち出している国もありますからね、と相槌を打っていました。

馬鹿も休み休み言ってほしい。足元の電源構成比を見たことがあるのでしょうか。原発を見直すのならば、当然火力発電も見直さなければなりません。CO2問題は原発以上に喫緊の問題です。そうなれば水力発電だけで今のエネルギーをまかなうというのでしょうか。

原発は核兵器につながるという主張もあります。確かにそうです。しからば、原爆で人を殺すことは許されないが、銃やロケット砲で人を殺すことは許されるのでしょうか。そんなことはないでしょう。人を殺す兵器はどれも同じように許されないでしょう。ならば火薬の製造を禁止することになるでしょうか。要は使いようでしょう。


それにしても田原総一郎という人はすごい人です。あのお年で(失礼)一線で活躍しています。すごいものです。いつも感心しています。逆に言えば、もっと若手というか田原さんに続く人が出てきてほしいものです。