化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

中国の燃料電池自動車

2019-09-11 | 水素
中国で燃料電池自動車を作るのは無理、と以前書き込みましたが撤回します。中国では日本よりの多くの燃料電池自動車が走っているといいます。

ただしからくりはあります。トヨタやホンダは自分でFCスタックを開発していますが、中国FCメーカーはバラードから購入しているのだそうです。バラードチャイナという会社があります。でそのセパレータを作っているのは日清紡のようです。

中国はEVの補助金を2020年で終了するそうですが、その後はFCV似頬金を出してFCスタックの国産化を推し進めるという計画です。なるほどそういう事かと思います。

中国が強いのは、水素SSを強制的に作らせることができることです。日本はFCVが普及しないから水素SSを建てても経済性が成り立たない。逆に水素SSが少ないからFCVが普及しないといった鶏と卵の状態になってしまってます。しかし中国は党がその方針をして水素SSを作ると決めれば、あっという間に水素SSネットワークはできそうです。そうなればFCVの普及もますます加速されつというわけです。

燃料電池自動車の価格

2012-08-25 | 水素

燃料電池自動車の市販に関する記事が再びマスコミで取り上げられるようになりました。開発当初は2005年頃に市販車を開発と言われていましたが、それから10年遅れの2015年頃に市販車が出てくるようです。気になる価格はスーパーカー並みの2000から3000万円とか、500万円台とかいろいろいろです。

先行して市販されている電気自動車との違いは、バッテリーつまり蓄電池に電気を貯めるか、燃料電池で発電した電気で走るかです。自動車としてはどちらも電気自動車です。ガソリンエンジンやその周辺部品を作っている会社にとっては、電気自動車でも燃料電池自動車でも、それらの普及は自社製品の需要減に繋がります。

両自動車の違いはその航続距離にあります。言い詰めれば、バッテリーにどれだけ電気を貯蔵できるか、水素をどれだけ車載タンクに貯蔵できるかです。現在の技術では水素貯蔵タンクがリードしているので250kmと500kmの差が出ています。

もう一つの差はズバリ価格です。燃料電池はまだまだコスト低下が十分でなく、燃料電池自動車の70%くらいは燃料電池スタックのコストと言われています。このコストをどこまで下げることが出来るかが現在の開発課題でしょう。 燃料電池の基幹部品にセパレータがあります。カーボン製か金属製かの選択に決着はついていませんが、価格と酸に侵されないことという要求性能から基本的にはカーボン製に部があるように思われます。しかし、カーボン製セパレータ製造は現在日本国内では1社独占となってしまっており、価格低下がなかなか進まないという事情もあります。

自分たちが現役のうちに燃料電池自動車を購入する日が来るのかどうか楽しみでもあります。


エチレンボトム油からの水素製造

2006-05-19 | 水素
エチレンクラッカーのボトム油(エチレンタール)から水蒸気改質により燃料電池向けの水素を製造する技術を某大学と某社が開発したという某産業新聞の記事。

新聞に載る技術開発の記事は随分と間違っていることが書いてある。もちろん、プレス発表をする側が誤っていることもあると思うが、大部分は記者の理解不足によるところが多いのではないかと思う。結局、インタビューや発表の中からキーワードを切り出す時の意識の問題ではないかと思う。

この記事ではこれまで重油を水蒸気改質の原料にすることは、触媒活性低下が大きくて難しかったが、カルシウムを添加することでコーキングを抑制しているとしている。ここまでは読む分には有効な技術だろうと読み取れる。

現在用いられているガスや灯油に比べてエチレンボトムは価格的にも安いので製造コストの低減には寄与するだろうことも理解できる。しかし、記事中では反応器温度は1000℃であり、水蒸気にヘリウムを混合して供給するとある。現在化学工場などでガスやナフサを原料に行なわれている水蒸気改質水素製造では、800℃程度の温度と、スチームのみを供給する。1000℃と言うと反応管などの材料コストが大きく上昇する。また、ヘリウムガスを追加するコストもかかる。この条件ではたして製造コストが本当に下がるのだろうか?

さらに記事ではエチレンボトムは消費しきれずに廃棄物として処分されることも有ると書いているが、本当だろうか。エチレンボトム油は超低硫黄で燃料油として利用されるはずである。事故等の非常時で無い限り、廃棄処分されることなどありえない。

記事ではただ同然の分解重油を原料とするため、水素製造の大幅なコスト低下が見込めるとある。エチレンボトム油が常にただ同然で提供されるならばわざわざ水素などを作らずに燃料油として利用されるだろう。

技術としての新規性は理解できるのだが、それが一体どういうメリットを生むのかがはっきりしない。この技術が実用化できるとわれわれにとってどういういいことがあるのかを伝えて欲しいものである。

カリフォルニアで水素発電所の計画

2006-02-20 | 水素
BPとEdison Mission Group(電力会社)が水素を燃料に50万kWのガスタービン発電所をカリフォルニアに建設すると発表した。投資額は1b$です。

水素はどこから調達するかといえば石油コークスのガス化による。石油コークスはBPのCarson製油所で年産120万トン生産されているので、それを含めて近隣の製油所から集める予定だ。石油コークスは石油系残油(アスファルト)を熱分解して作られる。というわけで水素の大元は石油になります。ガス化した際の副生CO2を分離して、油井に圧入することでCO2を永久的に地中に閉じ込めると同時に、油井の圧力が上がるので、原油生産量が上がるという効果を狙っています。油井の候補としてはOccidenntal Petroleumがあがっている。

水素で発電という題目ですが、むしろ分離したCO2を如何に地下貯蔵(それも半永久的に)ということがこのPJのポイントと思われる。

このプロジェクトにより建設時の雇用1000人と運転のための永久雇用150人が新たに生まれる。2006年に技術と経済性のFS調査、2008年に投資を決定して、2011年には完成・運転の計画です。

このPJは石油コークス->ガス化->H2/CO2分離->ガスタービン発電です。
最終的に電力を得るわけですから、既存技術で言えば
(1)石油コークス->コークスボイラー・発電->CO2分離
(2)石油コークス->ガス化->ガスタービン発電->CO2分離
などと競合します。(1)は石油コークスを石炭に置き換えてもよいので、いわゆる石炭火力発電所になります。(2)はイーグルプロジェクトとして日本国内でも取り組まれています。
技術的にはH2/CO2ガスの分離と燃焼ガスからのCO2分離はどちらがよいでしょうか、という比較のPJと思われる。

一見して分かるとおり、(1)に比べて経済性がおとる。そこでBPのプロジェクトは新しいガス化技術として連邦政府より、州の電力供給安定化への寄与、の二つの面からIncentive(日本流に言えば補助金)を与えられるようだ。

高圧水素製造・出荷研究設備

2006-02-17 | 水素
PEC(石油産業活性化センター)のプレスリリースによれば、経産省の委託事業の一環として、出光・愛知製油所内に水素燃料電池車用高純度高圧水素の製造・出荷設備を完成させた。

製油所で製造・副生する水素をPSAにより99.99%以上の純度にし、圧縮機により40MPaまで昇圧する。PSA・コンプレッサーの能力は50Nm3/Hrである。この高圧水素を40MPa鋼製容器および35MPa軽量CFPR容器からなる移動式水素ステーションにより名古屋市北区で燃料電池自動車に供給する。また、豊田市のアポロホームガス中部社内に設置した純水素型燃料電池に水素供給する。

製油所内には脱硫や水素化に使用するための水素を製造する大型装置がある。これの余力を使って、製油所外に販売する水素を製造することが可能である。また、ガソリン基材を製造する接触改質装置(リフォーマーとかパフォーマーと呼ばれる)からは脱水素により水素が副生する。通常はこの副生水素は製油所内の水素として利用されるが、外部に販売することも可能である。

しかし、いずれも製油所で出来るということはその原料は石油成分です。水素ガスの貯蔵・輸送を考えた時、もとの石油成分のまま運搬し利用先で水素製造するほうが効率はよいと考えられる。いわゆるオンサイト利用です。オフサイト水素供給が勝ると考えられるのは、製油所の大型装置で水素を大量に作る方が、経済的には安上がりな点です。

研究開発の一環として、どれくらいの効率になるか、経済性を含めて実証規模で確認するという意義はある。

家庭用燃料電池

2006-01-15 | 水素
ガス会社や石油会社から家庭用燃料電池システムの販売が始まり、国の補助金を受けて実証試験が始まっている。課題は耐久性と価格と言われている。

東京ガス 都市ガス 10万円
新日石  LPG    6万円
新日石  灯油   6万円
価格は年間契約価格で、メンテナンス費用として消費者が支払う金額である。これ以外に、使用燃料費が消費者の出費となるが、トータルとして今支払っている電気代とガス代(あるいは灯油代)の合計値と同じになるように、ガス会社や石油会社は特別料金設定をしているようである。使う側の立場にたてば、今と同じ料金である。ただし、コジェネ機器を利用するのでCO2発生量というか、燃料使用そのものは削減できるということになる。

メンテナンス費用とはリース代金のようなものだが、現状では燃料電池1台は数百万円から1000万円くらいする。各メーカーは設置(販売)に当たって、国の補助金を一台辺り400万円受ける。それでも各メーカーは持ち出しになるが、機器の普及や実際に使用するデータ取得のための費用(開発費の一種)として考えている。

新聞発表では、都市ガス用の耐用年数が3年、LPGや灯油用は1年といっている。これは1年で燃料電池が壊れるのではなくて、改質や脱硫に使っている触媒を交換する期間と思われる。あるいは、燃料電池のスタックそのものの寿命なのかもしれない。いずれにせよ、消費者から見ればリース品なので、そのタイミングで部品の一部を交換したり、あるいは機器そのものをもっとバージョンアップされたものに交換してもらえることになり、特段の不都合は生じない仕組みである。

こうやって実際の使用を通じて性能の検証と不具合の微調整を続けていくこととなるのでしょう。一方の、コストについては大量に普及したときの量産効果を考慮してもまだまだ目標に到達するには時間がかかりそうである。

水素を何から作るか!

2005-11-09 | 水素
燃料電池は電気と熱を発生するいわゆるコジェネであり、家庭やマンション、病院などで利用できる分散電源です。大型発電所でももちろん大量の熱が発生していますが、この熱を電気のように各家庭まで配ることができないので、仕方なく温水プールなどで細々と利用し、残りは海水に捨てています。

分散電源なので街中や建物の中に発電装置があり、そのため電気の他に熱も直接利用できます。結果としてエネルギー利用率を高めることができ、使用燃料を削減できるのでCO2排出量抑制に寄与します。つまり、燃料電池は効率の高いコジェネ装置です。

現在実用化あるいは実証に供されている燃料電池の燃料は都市ガスあるいはLPGです。化石燃料ですが、先に書いたとおりエネルギー利用効率が高いので、CO2排出量を削減できます。

これに対してCO2を発生しないで燃料電池の直接の燃料である水素を作る方法が検討されています。ひとつは太陽光で自ら水素を作る方法です。太陽電池-水電解もそのひとつの方法ですが、このほど東京理科大が開発した方法は、これを触媒を用いてひとつの反応場で行おうというものです。

大川助教授らが開発した方法は、青色発光ダイオードに使われる窒化ガリウムの光触媒機能を利用するもので、水槽にこのチッ化ガリウムと白金を電極にして入れ、光を当てて直接水素を発生させるものです。光から水素へのエネルギー変換効率は0.5%と実用化光触媒であるTiO2の2%よりは低いものの、有効な光の波長の幅をコントロールすることで3年以内に変換効率20%を目指すといいます。

なお、研究総括責任者にはあの中村修二教授です。20%の効率とはとてつもない目標と思うが、将来的に期待できる技術分野ではあると思います。

もうひとつはもっと実用的というか身近なお話です。
京都市では家庭生ごみをメタン醗酵-水蒸気改質して水素を作るプラントを稼動させます。このプラントからはCO2は発生するものの、バイオマス起源なのでカーボンニュートラルです。バイオマス-メタン醗酵-水蒸気改質は新しい技術ではありませんが、京都市の特徴はグリセリンも醗酵の原料にしているところです。

突然、グリセリンがどこから出てくるのか。京都市ではすでに家庭からの廃食用油からBDFを作るプラントを稼動させています。このプラントから副生物としてBDFの10分の一程度の量のグリセリンが出ます。このグリセリンは下手をすると廃棄物処理にまわさないといけないことになるので、京都市はこのグリセリンも醗酵原料とすることで、廃棄物処理とバイオガス製造の一石二鳥を狙っているわけです。環境省の補助事業でH17年度は1.5億円の予算だそうです。

こちらについてもCO2を実質増加させずに水素を作る方法として期待はできますが、エネルギー効率が果たして見合うかです。何も無理やり水素を作らなくても、バイオガスはそのまま燃料にした方が良いかもしれません。まして、液体燃料としても使えるであろうグリセリンをわざわざ扱い難いガス体にするからには、エネルギー効率の高いことが要求されるものと思います。

エネルギー効率の観点からより良い方法を選択しなければいけません。

400台の燃料電池による実証試験

2005-10-20 | 水素
NEDOは今年度予定している「定置用燃料電池大規模実証事業」の交付先を決定した。これは1台につき600万円の補助金をつけて、全国で400台(補助金総額24億円)の燃料電池を一般家庭等に設置し、今後2年にわたって使用中のデータを取ろうというものです。この燃料電池システムは1台あたり800万円といわれているので、残りの200万円は使用者が100万円、実施者が100万円を負担するわけです。
実施者は1台設置すると100万円の赤字ですから、一社でそんなに多くはできません。最も多く設置するのは東ガスで141台、新日石114台となっています。使用者は一度に100万円払うのではなく、おそらく毎月の燃料代として10年くらいかけて払うことになるのでしょう。
一般家庭等なので、本当の一般家庭(三浦雄一郎氏など)や会社の社宅などである。戸建てでマンション等は含まないはず。そういえば、首相官邸にも燃料電池が導入されたというニュースが以前にありました。

実施者は東京ガスや大阪ガスなどのガス会社、新日石や出光などの石油会社、岩谷産業などのLPガス会社が参加しています。また、燃料電池システムのメーカーは三洋電機、東芝燃料電池システム、荏原製作所、松下電器産業でこの順に147台、94台、91台、68台となっています。

燃料電池(FC)は水素を燃料としますので、このような大規模な実証事業が始まったことで、水素社会の入り口とか水素エネルギーの時代などといってはいけません。FCの燃料は水素ですが、これらのFCシステムの燃料は都市ガスやLPGです。だからガス会社やLPGを売っている会社が実施者になっています。元の燃料は依然として石油や天然ガスです。FCシステムはいわゆるコジェネ(マイクロガスタービンやガスエンジン発電機)の一種で、お湯を作るときに一緒に電気もできる(原理的には発電するとき熱が出る)ので、燃料のエネルギーを効率よく使う手段に過ぎません。その燃料は化石燃料ですよ。水素燃料じゃありませんから。

使用者から見ると燃料代(ガス代やLPG代)だけ払えば、ある程度の電気代が安くなる(全部の電気がまかなえるわけではないので、依然として電力会社からは伝記を購入します。)というメリットがあります。そのメリットの一部を使用者負担として支払うのでしょう。おそらくガス料金やLPG料金体系にFCコースなんてものができるのでしょう。
電力会社にしてみれば、だまっていては売り上げが落ちるから大変です。近年の電力会社の新規採用者はその大部分が、オール電化住宅の営業に回っているという話も聞きます。電力VSガスの家庭用市場争奪戦です。市場争奪ですから、安くて便利なほうが勝つのでしょうが、ぜひそれによってエネルギー使用効率が向上する結果となってほしいものです。

さてどれくらいFCシステムの効率がよいかというと、NEDOから9月の2週間にわたるデータを比較した結果が発表されています。それによると、トップ10番目のデータで見ると、発電効率で30%強、熱回収効率で47%ですから80%弱が使われていることになります。たとえば、火力発電所の効率は38%程度ですから、発電効率は高くありませんが、熱回収(この熱でお湯を沸かして給湯に使う)ができるので、総合的に効率が高いのです。大型発電所では熱の使い道はそれほどないので、一生懸命海水で冷やしています。
また、電気よりも熱(お湯)のほうが沢山できるので、電気も作る湯沸かし器とも呼べます。この効率が高いおかげで、CO2排出量を38%も削減しているという結果になっています。
COP3の約束は-6%(チームマイナス6%の呼び名は定着しつつあるのかな)、2004年度からは-14%ですから十分に目標を達成しています。(ただし値段の問題はありますが)何も水素社会でなくても、既存のエネルギーを効率よく使えばそれでよいという考え方もあります。

後は装置の信頼性、やっぱり最低10年くらいは持ってくれないと。それから価格の問題です。全国の一般家庭に600万円の補助を出していたら、政府は破綻しますので。
10分の一、あるいは20分の一くらいに価格は引き下げないといけないですね。
それにしても着々と定置用燃料電池システムは進歩しているという感です。

コンビニで燃料電池フィールド実証試験

2005-09-29 | 水素
新日石は都内のコンビニで燃料電池(三菱重工との共同開発)のフィールド実証試験を始めた。ここまでなら過去にも同様な実証試験は行なわれています。
今回、新しいのは燃料電池の排熱でお湯を沸かすのではなく、吸収式冷凍機用(矢崎総業製)の熱源として利用することです。
燃料は灯油で発電出力は10kWと家庭用の10倍になっています。

燃料電池の用途先としては、電気と同時に熱も利用できるところが望ましい、というか熱を使い切れない場所は駄目でした。その熱はお湯という形にしかなっていなかったので、これまでコンビニに燃料電池を設置したところでは、用も無いのに従業員が一生懸命お湯を使って掃除をしていたようです。お湯が一杯になると燃料電池はそれ以上発電しない設定となっており、電気だけ使うことはできなかった。用はあまり、有効活用できていなかった。

この熱を吸収式冷凍機に使えると使用量はぐっと伸びます。いわゆる空調機ですから。24時間営業のコンビニは一日中、電気を使い続けていますので燃料電池も動きっぱなし状態になり、電池にとっては好都合です。
燃料電池システムの価格の問題はありますが、エネルギー効率的に大規模発電所からの電力のみを使った場合に比べて、どれくらい良くなるのか早く知りたいものです。

燃料電池自動

2005-06-07 | 水素
2002年に小泉首相が手を振って乗っていた燃料電池自動車が世に出てから、すでに3年目になる。
燃料電池自動車は水しか排出しないので、環境に優しい。
確かにそうですが、水素をどこから持ってくるのか、どうやって自動車に積み込むかが問題です。

水素エネルギーなどという人がいますが、そんな種類のエネルギーはありません。
エネルギーの形態は、熱、電気、運動、位置、内部などに分類されますが、水素エネルギーなどという分類はありませんから。
石炭・石油から水素へというキャッチコピーも目にしますが、これもおかしい。
石炭・石油は地面を掘れば出てきますが、水素は出てきません。いわゆる一次エネルギーではありません。一時的なエネルギーといえるかもしれませんが。

燃料電池自動車は、車両効率が高いので将来の技術として注目されています。ただし水素をどうやって作るかです。もちろん、化石燃料から水素をつくる道筋はあります。しかし、現状の技術では、わざわざ水素を作って燃料電池自動車を動かすよりも、プリウスのようなハイブリッド自動車を利用した方がエネルギー効率はいいのです。
ホンダのCMもいっているじゃないですか。CO2削減は燃費向上により達成される。それにはハイブリッドですよと。これはとっても正しいと思います。

水素のもうひとつの課題は、気体燃料なので扱いにくいということです。液体燃料には慣れているのですが、気体燃料はこれまで扱っていないのでいろいろと難しいことがあります。また、気体燃料はエネルギー密度が小さいという問題もあります。

2010年、後5年後には5万台の燃料電池自動車を走らすのが政府の目標のようです。プリウスの開発者は笑っているでしょう。プリウスは発売開始から7年かかってやっと累積販売5万台に達したそうです。ガソリン燃料の車なのに7年もかかった。水素スタンドなど試験的にほんのちょっとあるだけのこの状況で、後5年後に一台1億円もする燃料電池自動車が5万台も走るようになるのでしょうか。
そして、それがCO2削減の方策というのでは、あまりに心もとない。

もっと、泥臭く省エネルギーを進めなければと考えてしまいます。