化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

原子力発電をゼロのまま続けていこう

2020-04-17 | 再生可能E
連日コロナのニュースばかりです。命に係わる事象ですから仕方ないのですが、中にはどうでもいいような内容のものも多く、食傷気味です。

3/11が来るといつも思い出すのが東日本大震災の時のことと、原発事故です。今、「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を読んでいます。以前から思うのですが、原子力発電は廃炉並びに核廃棄物処理の技術が完成していないのだから、やっぱり使っちゃいけないんじゃないかと。原子力発電技術開発は続けるとして、廃炉技術が出来てから商業化するのが正しかったんじゃないかと。

福島第一原発事故以来日本の原発はほとんど稼働していません。電源構成比でいうと、原子力が最大だったのは2000年頃の34%です。当時はほぼ1/3の電気は原発で作られていた。残りは天然ガス26%、石炭18%、石油11%に水力8%です。


ところが2012年以降原子力は1%、0%、1%、2%、となり2017年度は3%でした。要は日本の原発はもう10年近くほとんど発電していません。その代わりになっているのが天然ガス40%(+14%)、石炭32%(+14%)、再生可能エネルギー8%(+7%)です。水力は-2%、石油も-2%です。石炭火力はCO2排出量が相対的に多いので、環境活動家からは目の敵にされますが、原子力が使えないのだからしょうがないでしょう。とは言えいつまでも多めに見てももらえないだろうから、石炭の32%を何かに変えていかなければ。

最有力は再生可能エネルギーですが、例えばさらに20%伸ばして合計28%にすることが可能でしょうか?
2018年のエネルギー基本計画(2030年の目標と思えばよい)では、以下のようになってます。
再生可能エネルギー:22~24%
原子力:20~22%
石炭、石油、天然ガス:56%(2017年度は82%)

化石燃料の内訳がないですね。依然として石炭は諦めないという事です。しかし石炭火力のCO2を減らすCCSの実現はいつくらいになるのでしょうか?
火力発電は発電量調整の意味からも今後とも主力になることは間違いありません。

原子力も諦めない。確かに代替手段はあるのか、と聞かれると困るのです。でも福島の二の舞はご免です。

原子力は使いたくない、石炭も減らしたいとすれば、残るは天然ガス、石油、再生可能エネルギーしかないです。再生可能エネルギーは一体どこまで伸ばすことが可能なのか、付帯設備(例えば蓄電池)を合わせてコストはどこまで下がるのかが知りたいところです。

日本の電力消費のうち、家庭部門と業務部門を合わせた民生部門は33.8%になります。もしこの部分を全て太陽光発電に変えて自分の電気で賄えるようになれば、大きく寄与できるはずです。大型マンションやビジネスビル、ショッピングモールの電気を全て自前の太陽光発電で賄うのは一見無理ですね。そこを何とか考えていけないかな。



風力発電、太陽光発電は石炭火力発電よりも安上がり

2020-04-13 | 再生可能E
気候変動と金融をテーマにしたイギリスのシンクタンク:Carbon Trackerのレポートです。ヨーロッパの、気候変動を主題にしている会社のレポートですから、ある程度割引いて読む必要はあるでしょうが、石炭火力発電が悪者になってます。世の中にはこういう報告もあるという事です。

(記事とは関係ない火力発電所)

 
要旨は以下のようです。
今現在のコストで計算すると、で風力・太陽光発電を新設する方が石炭火力発電所新設よりも安くつく。
更に運転中の石炭火力発電所の半分は、新設の風力・太陽光発電所よりも発電コストが高い。また2030年までには殆どの国で風力・太陽光発電の方が火力発電よりもコストが安くなる。これによって建設中、計画中の石炭火力発電を止めれば60兆円をセイブすることが出来る

再生可能エネルギーは出力制御ができないという欠点があり、これをレドックスフロー電池やリチウムイオン電池で蓄電することで補おうとしていますが、上記の試算にこの蓄電コストは含まれていません。また、よりコストが安いとされている洋上風力発電もカウントしていないとのこと。

石炭火力のコストには炭素税を含んでいるが、これを2021年で5ドル/トン、2040年で40ドル/トンと仮定している。
尚発電コストの計算は以下の通り。
発電平準化コスト=設備投資+石炭+炭素税+固定(運転・メンテナンス)+変動(運転・メンテナンス)
EUは炭素税が高いので比較的早い時期に風力・太陽光発電の方が安上がりになり、その他の国は風力・太陽光のコスト低下に石炭火力発電よりも安くなる。そして2030年には殆どの国で新設風力・太陽光が既設の石炭火力より安くなるという。

現在世界中で計画中、建設中の石炭火力は499 GWであり、その設備投資額は60兆円を超える。

金融もテーマにしているので、投資機関に向けて以下のような提言をしています。
中国はコロナ後の景気刺激策を実行する際に、石炭火力発電の新設を止めて再生可能エネルギーへの投資に切り替える。ちなみに99GWが建設中で106GWが計画中となっている。
石炭火力発電への投資回収期間は15年から20年もある。将来不確実な石炭火力発電への投資を止め、風力・太陽光発電にした方が良い。

日本はというと、計画中の新設石炭発電所は3GWあり、運転中のものは45GW(4,500万kW)ある。
日本の総発電設備容量はおよそ25,000万kWですから、石炭火力は20%弱となってます。いわゆる電源構成比では石炭は30%以上あります。要は石炭火力発電所の能力は小さいけれども、目いっぱい発電してますという事です。

さて試算では現在のコストで比較して、新設の石炭火力よりも新設風力・太陽光の方が安いし、2028年には運転中の石炭よりも安くなる。
ちなみに2019年の新設風力発電コストは69-90ドル/MWh、太陽光は105~120ドル/MWh
新設の石炭火力発電コストは90ドル/MWhで運転中のそれは49~74ドル/MWh
太陽光発電よりも風力発電の方がまだコストが低いとは知りませんでした。

単位を換算すると、新設風力発電コストは7.6円/kWh~9.9円/kWh、太陽光は11.6~13.2円/kWh。
新設の石炭火力発電コストは9.9円/kWh、運転中のもので5.4~8.1円/kWhとなります。
ちなみに私たち一般家庭が購入している電気は会社によって差はありますが、ざっくり25円/kWhでしょうか。

風力・太陽光発電と送電線

2019-11-11 | 再生可能E
自宅に太陽光発電を付けて自宅で使う、地産地消ならぬ自産自消。このとき余った電気は電力会社が買い取るという制度の後押しもあって広く普及しました。この買取制度は10年期限なので、これから買い取ってもらえなくなった電気をどうしようという問題が大きくなってくるようです。

それとは別にビジネスとして大型太陽光発電、風力発電をして電気を電力会社に売るという計画が、電気を送る送電線が足りなくなったので出来なくなるという事態も発生していると。

確かに北海道稚内地区には大型風力発電機が早い段階から建てられました。もっと建てられるそうですが、電力大消費地の札幌圏に送る送電線が足りないのでこれ以上はできないという話は以前から言われてました。

電気は発電と消費が常にバランスしている状態で運用されます。電気は化石燃料のようにタンクに貯めておく事はできないからです。日本の電気使用量は2010年以降減少しているのに送電能力が足りないというのは、少々不思議です。

送電線の使い方にどうやらからくりがあるようです。送電線はどこかが切れても電力は供給できるようにネットワークになっています。簡単に考えると予備を含めて常に二本を1セットでで運用するわけです。二本の送電線があるとすると、それぞれ1本は50%までしか使わない。残りの50%はもう一本が切れたときに使えるように余らせておくのが決まり。

更に送電線を使う権利は発電所ごとに割り当てられていて、これは早い順だという。発電事業は一度始めたら何十年も継続するものですから、送電線もその分確保しておく必要があります。また、電力の使用には波(ピーク時と平時)が有りますが、ピーク時に対応できるように送電線能力を確保しているそうです。

なので、後から後から風力や太陽光発電所ができると早い順に割り当てていた送電線の能力がどこかで足りなくなるということです。今は原子力発電所はほとんど止まってますが、その分の送電線を新しくできた太陽光発電所に割り当ててしまうと、いざ原子力発電所が再稼働(するのだろうか?)するときに、太陽光発電所を止めるというようなことになってしまう。それでは其の太陽光発電所の事業がたちいかなくなるので、最初から許可しないということだとか。

でも電気使用量は変わらないのだから、送電線で送られている電力も変わらないはずです。もっとうまい利用方法ないのでしょうか? AI君、考えてください。

Amazonを偽ったメール

2019-11-11 | 再生可能E
おれおれ詐欺にかかる年齢には少し早いが、メール詐欺には掛かってしまいそうです。

毎日Amazonにご登録の情報の確認という題名のメールが届きます。差出人はアマゾンのアカウントではありません。迷惑メールフォルダーに仕分けられているものもあるのですが、何通かは迷惑メールフィルターをすり抜けて受信箱に届きます。

開いてみるとレターヘッドにアマゾンプライムのマークが貼ってあって一瞬本物のように思ってしまいます。差出人のアドレスが怪しいことや、期限が切れたというメッセージにも???なので、指定のWebを開くようなことは無いのですが、紛らわしいことこの上ないです。

ググってみるとこの手のメールはアマゾンによく似たログインページに誘って、クレジットカード情報を盗むという手口らしいです。それで成りすまして買い物とかするんでしょうね。気をつけましょう。

ノーベル化学賞おめでとうございます

2019-10-10 | 再生可能E
今年はないのかなーと思ってましたが、吉野さんおめでとうございます。カーボンファイバーとLiBはもらっていいよね、と思ってましたが、素晴らしいことです。民間企業に務めていたこともあって、吉野さんの人柄が良いですね。

物理学賞の業績を聞いてもさっぱりわからないことがありますが、LiBは文句なく理解しやすいですね。だって携帯やパソコンは毎日世界中の人が使ってますから。

思い返せば20数年前、炭素材料を売ってくださいと言ってあの会社のイオン二次電池事業推進部の部長さんが工場に来ました。リチウムイオン電池の負極にしたいということです。どれくらい使用量があるんですか?まずは数十トン、いや10トンかな。量産になったらどれくらいですか?500トンくらいでしょうか。それじゃ当工場の一日の生産量が半年分ですね。なんて話をしたのを思い出しました。

当時家庭用ビデオカメラがどんどん小型化されてましたが、LiBではなかったと思います。Libになってホント手のひらサイズというか、手の中サイズになりました。後はノートパソコンの小型化ですね。

LIBは今や中国に生産量では負けてますが、もっともっと性能の良い製品を日本で作り出して欲しいものです。

クワガタ

2016-07-16 | 再生可能E
今日お昼頃団地のエレベーター前の通路でクワガタを発見。
何でこんなところにいるの?という感じですが、生きて動いています。

団地の広場を見ると、幼稚園くらいの子供がお爺ちゃんと虫かごを持って遊んでいます。
それではと思い、クワガタを捕まえてその子にあげました。

わーい、クワガタだ、おじさんありがとう、と言ってもらえました。
おかーさんにも見せようと、その子はとても嬉しそうです。

たまに良いことをするのもいいものです。 単なる偶然ですが。

それにしてもあのクワガタはどこから来たのだろう。 団地内には結構たくさん樹木が植わってますが、クワガタが自然に生息するほどの環境ではありません。 この春まで団地内の樹木や広場を大掛かりに改修工事していたので、他所から運び込まれた土の中に幼虫がいたのかもしれません。

クワガタさん、元気であの子と遊んでね。

太陽光発電の入札制

2015-05-18 | 再生可能E
久しぶりの書き込みです。

再生可能エネルギーの買取制度、特に太陽光発電の買取価格が高過ぎることは以前から指摘されていました。
42円/kwhでしたっけ。風力発電に比べてずいぶんと高いので制度がいつか破綻するのは時間の問題でした。

太陽光発電で一番気になっていたのは、これって貧乏人からお金を集めて裕福層に還元する制度になってしまっていることです。個人の住宅に太陽光パネルを設置している人はどう見ても裕福層ですよね。貧乏人はいくら補助金があっても設置できません。補助金は裕福層から沢山集めた税金から出るのでいいのですが、電力会社が逆ざやになっている買取価格を広く一般消費者から徴収できることです。貧乏人も裕福層も電力使用量にそんなに違いはありません。しかしほぼ一律、正確には同率で電気料金に特別徴収としてその逆ざやが上乗せされてます。これって、貧乏人から裕福層にお金が集まっているということですね。

まー、かつて世界一だった日本の太陽光パネル関連会社のシェアを再びあげようという意図もあったかもしれませんが、其の通りになっているのかどうか疑問です。

太陽光発電の普及率を向上して生産・発電コストを低減するためのFeed in tarrifでしたが、新聞記事はその効果を全く検証していないように思われます。

再生可能エネルギーの比率の目標が20%と言うのはが何となく現実離れしていると思うのは小生だけではないと思います。

博士論文

2014-03-29 | 再生可能E
割烹着を着たリケジョが昨今話題になっていますね。近頃は彼女の書いた博士論文にもいろいろと批判がありますが、いわゆる一般の人には良く分からないことも多いです。

曲がりなりにも科学、あたしの場合は技術かもしれないが、それで飯を食ってきた身から感じたことをつらつかと。

SATP細胞は本当に出来ていたの?

専門外なので全くわかりません。単純に出来ていたらいいねー、というしかありません。

博士論文がコピペ?!

どんな論文でもそうですが、いわゆる序章というはじめの部分で、自分の研究を一口でアピールします。
これまでどんな研究、論文発表がなされてきたか、今何がわからなくてどんなことができたらいいと考えられるか、そして自分の研究は何を見つけてどんなことが出来るようになったかを書きます。

過去の研究を整理しなければならないので、普通はこの序章を書くのに過去の論文をたくさん(100とか200とか)読んで、それをまとめます。ですから博士論文を書くのに一番時間がかかり労力を費やすのがこの序章です。第2章以降はこれまで自分がやってきて既に学会誌に論文発表したものを書き直すだけなので、実はそんなに時間もかかりません。

そういうわけで同じ分野の博士論文の序章の内容が同じなるのは、ある意味当然です。でも他人の文章、例えば先輩の博士論文の序章を丸写しというのはアウトですよね。

それから彼女の英文の博士論文の序章をネットで見つけてちょっと見てみましたが、引用文献が全くない。早稲田の論文の書き方はこういうものなのでしょうか?

ネイチャー投稿論文取り下げ?

いわゆる技術雑誌にもランクがあります。誰が決めたわけじゃありませんがね。その分野の業界が出している雑誌、日本の学会誌、アメリカなど海外の学会誌、そしてネーチャーです。たとえばある工場の職場のQCサークル活動でこんな工程改善をやりました、というような投稿は業界の技術雑誌に乗ります。
もちろんだから次元が低いというつもりは毛頭なく、そのような改善の積み重ねが今の日本の技術力を支えているわけです。

STAP細胞の論文が話題となったのはネーチャーに載ったからです。もちろん理研が記者会見まで開いて宣伝したからです。

雑誌に論文が載るには、査読といわれるその研究分野の専門家がその論文を読んで審査をします。ですから、全くのデタラメでは査読者が納得してくれません。

例えそれが間違っていたとしても一度査読を経て論文誌に掲載されたんですから、そのまま残しておいたらいいじゃないですかね。もし間違っていてもその間違いが後世にまで残るということが、論文投稿者への警鐘にもなるように思います。

私、原発再稼働に賛成です

2012-09-22 | 再生可能E

2030年に原発が無くなればいいね、という意見には「そうですね。」と同意します。

しかし2030年に原発は廃止するということには
1)その時の電力供給はどうなるの?
2)廃止した原発はどう処分するの?
3)廃止した時の社会状況、電力料金などはどうなっているの?
これらの疑問に対する答えがないのならば
到底賛成はできません。

小生はかつて原発には懐疑的でした。 
原発の発電コストは3円/kWhで安いといいますが、核廃棄物処理を含めたコストは明らかではありません。 
絶対安全と言いながら設置した市町村に莫大な補償金を払っているのはなぜか。 
核燃料を輸入しているにもかかわらず原子力発電は国産のエネルギー(水力発電と同じ)と政府はみなしている、ことも胡散臭いです。 
核燃料リサイクル技術は本当に完成するのか。 
いろんな情報がいわゆる原子力村の人々以外に開示されない、
など その理由はたくさんあります。

しかし、今ある原発をこのまま全て停止しておくことには反対です。 30%もの電力供給を担ってきた手段を突然放棄することの危険のほうが大きいからです。 勢い石油、石炭、天然ガスの輸入量を増やすこととなり、それはそれでリスクが大きくなります。(地球温暖化の議論は差し置きます) 原発をこのまま停止してしまったら、寿命の来た原子炉を解体する技術開発も出来ません。

これまでの原子力行政で良いとは到底思っていませんが、それでも原発の再稼働に賛成します。


風力発電機の大型化

2009-07-26 | 再生可能E
再生可能エネルギーのかなでも、現状でコストが安い風力はその大型化が進んでいるようです。現在では発電能力2MW級がもっとも大きなものらしい。2MWといえば2,000kWです。このような大きな風車が一基だけで立てられることは無く、ウィンドファームになるのでしょうから、10基から数10基がまとめて稼動するはずです。ということは、総発電能力は2万kWから10万kWになります。これはほとんど、中型の水力発電所に相当します。

いやーたいしたものです。その風車の大きさはといえば、風車を支える支柱は高さ80メートル、風車の羽根の半径は40mにも及ぶといいます。ここまで大きくなると風車を製造するのも大変ですが、それを輸送したり設置したりする工事も大掛かりなものになります。

風車の建設場所が港から程近い海岸線ならば良いのですが、風が良く吹くのは山の上が多くなっています。ということは港から80mの長さの支柱を特殊なトラックを使って山の上まで運ぶ必要があります。一般の道路でこれだけ長いものを箱バルトころは限られるでしょうから、運搬ルートや運搬の時間設定など思いもよらないことがあるそうです。

カーブを曲がりきれないので、植木を切り倒して道を拡張するとか、そうまでしなくても反対車線に思いっきりはみ出し丸から、交通規制を敷くことは当然のようです。

既設の林道なんかは通れませんから、専用に道路を作るところも出てくるそうです。確かに建設後も、メンテナンスや交換用の羽根などを運ぶことになるでしょうから、道路は必要なんですね。

さらに、ナセルという羽根の付け根の部分には発電機やギヤなので大型機械が入っています。羽根や支柱に比べるとその大きさは、輸送の邪魔になるようなことはありません。しかし、重さは半端じゃなくなります。で、輸送中に橋が落ちないような重量に分割して設計しているそうです。
橋が落ちるほど思いたいと、設置場所でクレーンで吊り上げられるのかという問題も出てきますね。

そんなこんなで、大型風車を設置するにはいろいろな技術が必要になってくるというわけです。

色素型太陽電池

2008-01-27 | 再生可能E
色素型太陽電池が注目されています。これは、現在主流の半導体タイプと異なり、印刷技術を利用して製造できるため、コスト低減が大きいからです。また、曲げることもできるので、設置場所の制限が少なくなり、利用範囲が広がること、透明なので窓ガラスなど、住宅だけでなく自動車にも利用できます。ただし、いまだ開発段階で発電効率が低い。研究の進展が期待されます。

再生可能エネルギーの中でも太陽光発電は筋のいい技術です。特に風力発電と比較してみるとよく分かります。小型でも大型でも基本的に発電効率は変わりません。コストも大きくは変わりません。小型でも私用できることは、設置できる場所が増えますし、景観に特別に配慮することも要りません。問題はコストだけです。

現在の太陽光発電の実力はどれくらいなのでしょうか?住宅用には3kWタイプが標準のようです。計算を簡単にするために1kWきぼでかんがえます。設置面積は6-10m2程度。戸建て住宅を考えれば邪魔にならない大きさです。

年間の発電量は1,000kwh強、一般家庭の一月の電力消費量が300kwh程度ですから、3-4か月分に相当します。価格は年々下がってはいますが、2005年末で65万円/kWです。電池の寿命を20年、金利4%で計算すると発電単価は45円/kWhです。

電力会社から購入する電気の価格は27円/kWhですから、まだまだ高いといわざるを得ません。現在主流は結晶系シリコンタイプですが、アモルファス(薄膜)タイプでは、製造コストが下がります。ただし、アモルファス系は発電効率も下がってしまうので、発電単価が下がるというところ浜で言っていないようです。ますますの技術開発が必要です。

ところで、アモルファス系のエネルギーペイバック期間は1年、結晶系は2年です。電池の寿命は20年ですから、エネルギーセイブ、つまりCO2抑制の観点からは大きく貢献するといえます。日本は太陽電池製造では世界一ですから、ますますこの分野を強化していくことはよいことです。

太陽光発電

2007-12-01 | 再生可能E
原油価格が100ドルに届こうとする勢いです。マイカーに入れるガソリンの値段がじわじわと上がっていくことで、そのことが実感できます。二度にわたるオイルショックの時のような、パニックにはなっていませんが、どこまで上がるのだろうかという素朴な疑問がわきます。

過去のオイルショックのときに、脱石油が叫ばれました。そして石油代替燃料の開発を国を挙げて実施してきました。確かに、今日発電にはほとんど石油は使用されず、天然ガス、石炭、原子力が主体になっています。しかし化石燃料に頼っていることには代わりがありません。

これに対して近年は温暖化防止の観点から、脱石油ではなくて脱化石燃料が必要となってきています。そのためには再生可能エネルギーの利用拡大が重要です。原子力を化石燃料と捕らえるかどうかは議論の分かれるところですが、温暖化抑止に貢献するとは考えられます。安全対策を十分に採って利用していかざるを得ないことは明白です。

さて再生可能エネルギーの中でも太陽光発電は意外と筋がいいのでは、と思われます。すべてのエネルギーは太陽をその源泉にしているのですから、直接太陽光から発電できれば効率的と考えられます。

流行のバイオエネルギーもその元は太陽光です。バイオエネルギーも地域によっては大いに活用可能なのでしょうが、食料とエネルギーをトレードオフすることになってしまうようでは、筋がいいとはいえません。

太陽光は世界中の万人に平等に降り注いでいます。地域的に偏在しているわけではありません。したがって国産のエネルギーですから、大いにこれを利用することは好ましいわけです。また、太陽光発電にかかわる技術・産業野中で重要な地位を占めることができれば、これを輸出することで貿易にも貢献できます。

確かに緯度の高い場所では太陽の高度が低いので、降り注ぐ太陽光の量が少ないという事実はあります。しかし、石油のようにまったく産油国以外では生産できないエネルギー源と比べれば、万国に平等といっていいでしょう。

北海道の稚内では大規模太陽光発電の実験が始まっているそうです。確かに緯度は高いので太陽光の量は本州よりも少ないといえるそうですが、平均気温が低く太陽電池の発電効率が高くなるので、本州に引けを取らない十分な発電量が得られるそうです。

一方、世界の石油会社を見るとシェル、BP、CHevronなど、太陽光発電に力を入れている会社が多くあります。きっとこれらの会社も太陽光発電の将来性を大いに評価しているからでしょう。

さて現在太陽光発電はどれくらい利用されているのでしょうか。IEPの太陽光発電プログラムの報告書からいくつかのデータを拾ってみました。

2006年に世界(といってもこのプログラムに参加している20数カ国)の合計発電量は150万kW増加して570万kWになったそうです。これは設置容量で実際の発電量とは異なりますが、大体北海道電力の総発電量に相当するくらいでしょうか。そう表現すると馬鹿にできない量です。

2004年までは日本が一番多かったのですが、2005年以降はドイツに一位の座を明け渡しています。日本の太陽光の発電量は170万kWです。政府の2010年の目標値は480万kWですから、目標達成のためにはもっとがんばらなければいけません。

一人当たりの設備容量で見るとドイツは35W、日本は13Wになっています。ドイツの4人家族を考えると140Wは太陽光発電になります。夜間のベース電力消費量は200W程度ですから、140Wはずいぶんと大きな数値といえます。もっとも太陽光発電だから夜は発電しない、と突っ込まないでください。量的な比喩なわけですから。
日本とドイツがダントツに多くて、三位はスイスの一人当たり4Wです。エネルギーを最も多く消費しているアメリカは2.1Wに過ぎません。

これらの太陽電池はその大部分が系統連携されています。太陽光発電や風力発電はほしいときだけに電気をつり出すというわけにはいきません。特に風力発電は本道に風任せですから、風力発電の変動に合わせて、火力発電や水力発電量を調整しないといけません。太陽光発電も変動はしますが、夜は絶対に発電しない、わけで風力よりは変動が少ないといえるんじゃないでしょうか。天気予報の発達とあいまって、発電量の予測精度も上げっていくと考えられます。
ですから、系統連携するには太陽光発電の方がちょっとはましといえます。

太陽電池の生産は日本が48%、ドイツが27%でアメリカは10%に過ぎません。しかし、2006年は前年の2倍になっていますので、今後どんどんと増えていくでしょう。石油会社が本気になっていることも後押ししています。また、この統計に含まれていない中国、台湾も延びており、中国はアメリカを抜いて3位になっているそうです。

太陽電池は液晶技術と密接に関係しているそうで日本のメーカーが大きなシェアを占めています。社絵が高い順にシャープ、Q-CELL(ドイツ)、京セラ、三洋電機、三菱電機と続きます。
風力発電技術は北欧の会社が強いのですが、太陽電池では俄然日本のメーカーががんばっています。このようなことからも太陽電池を推進していくことは国益にもかなうといえます。

木質ボイラー禁止条例

2006-12-21 | 再生可能E
バイオマスを分散エネルギー源として使っていくとこんなトラブルも発生することがあるという例です。ニューヨークタイムズのサイエンス欄より。

一台5,000ドルのウッドボイラーが飛ぶように売れている。昨今の原油高騰により暖房用燃料の価格も上昇していて、木質を使うことで暖房費が節約できるからです。また再生可能エネルギーの利用は中東原油への依存度低下にも寄与するという大義名分もあります。

このウッドボイラーは本来農場の住宅用に作られたもので、3.6mの煙突を有する屋外設置型です。木質を燃料にボイラーで温水を作りこれをポンプアップして地下配管で住宅まで引き込みます。住宅の暖房と給湯に利用できるというものです。

しかし、これを街中で使用する人が増え公害問題になっているそうです。燃焼空気の量が足りないと大量の煙を発生させ、微粒子を生じます。悪臭を放っているという苦情も町や県に殺到しました。中には木質原料だけでなく家庭ごみや家具などを燃やす輩もいるとか。

この様に健康障害を引き起こす物質を排出していることが明らかになって、町や県の条例で学校や民家から300m以内での使用を禁止するところも出てきました。隣家から300m離れていればよいということですが、住宅地にあっては実質禁止ということです。中には無条件に全面禁止とする自治体もあるようです。

米環境局も何もしないわけにはいかず、離隔距離、煙突の高さに関する規制を作ることになりました。また、ボイラーメーカーに対して微粒子の発生を低減するよう改良の要請を出しています。

ウッドボイラーそのものは利用価値が大いにあるものですが、その利用や管理にはそれなりの配慮が必要です。バイオマスの利用がそく温暖化ガス排出削減につながるという安易な考えは禁物です。

ソーラーサービスモデル

2006-10-30 | 再生可能E
CO2排出抑制のため太陽光発電を検討しても、初期投資が大きすぎて投資回収ができないという問題にぶつかります。初期投資がゼロで、運転管理費もかからずに太陽光発電を設置することができ、炭素排出量削減を実現できると同時に、自らのエネルギーロストを削減できる方法があるようです。

日本でいうエネルギーサービスプロバイダー(EPS)に似ているモデルです。
カリフォルニアにあるGMの部品倉庫の屋根には年間150万kWh発電量(稼働率約20%とすると900kW)のソーラーパネルが設置されています。設置したのはGMではなくて、DEERS(Developing Energy Efficient Roof Systems)という会社です。Deersは投資家から資金を集めてそのお金でソーラーパネルを設置しました。

GMはDeers社から9-10セント/kWhで電力を買います。(通常系統電力よりも安い一定価格か、一定割引率で10年の契約を結ぶようです。)この価格は電力会社からの買電よりも安いのでGMは電気代を年10%削減できるそうです。Deers社はカリフォルニア州から再生可能エネルギー(CO2削減)発電ということで税免除や税還付を受けることができ、その結果として安く電力を売ることができます。GMからは長期(10年)にわたって一定の電力販売収入が得られるので、投資家からみると20%の高リターンは期待できませんが、AAA債権と同程度のリターンを10年間という長期にわたって受け取れるので悪い話ではありません。

同様の事例として、GEがサンディエゴの23の学校にソーラーパネルを設置、Whole Food Market社の店舗や倉庫にSunEdison社(ゴールドマンサックスが出資)がソーラーパネルを設置し10%の電力を供給、Staple社のカリフォルニア配送センターにSunEdison社が280kWのパネルを設置し全使用量の15%の電力を賄う、などがあります。

いいこと尽くめのようですが気をつける点もあります。エネルギー価格は今後とも上昇するという前提ですから、10年間の間に系統電力料金が下がってしまうと買う側はメリットがなくなります。ソーラーパネルの発電効率の悪い場所、つまり日照条件の悪い地域には適用できません。さらに免税や税還付といった再生可能エネルギーに対する優遇政策を実施している州のみが対象になります。

どこでも適用可能というわけではありませんが、太陽光発電の導入を促進する良い仕組みです。