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ディーゼル車を見直そう

2006-12-15 | 省エネルギー
今年8月にベンツから新しいディーゼルエンジンの乗用車が発売されました。かつてガソリン価格が1リットル80円とか70円台だったころ、ディーゼル乗用車はそれなりに売れていました。新車販売台数の割合では96年に2.4%でした。ところが2004年には0.1%を下回っています。確かに4WDのランクルタイプ以外でディーゼル乗用車を見かけることはほとんどありません。

ガソリン価格と軽油価格にそれなりの値段差があった時代には、長距離通勤の人は燃料代を考えて少々車体価格が割高でもディーゼル車を購入していました。しかし、石油業界の規制緩和によってガソリンの価格が120円から80円台くらいに下がった90年代なかば以降、ガソリンと軽油の価格差がなくなりディーゼル車の経済有利性がなくなりました。一方、排気ガスのNOxが多い、PMと呼ばれるすすがでる、振動・騒音が大きいなどの欠点が目に付くようになり、減少していきました。

しかし、欧州は逆で2004年にはおよそ半分の新車がディーゼルです。ディーゼルは燃費がよく温暖化ガス排出が少ないことが評価されているからです。また、欧州ではシティ軽油といって比較的排気ガスのきれいな軽油(簡単に言えば日本での灯油)を使用していることもあります。

ディーゼル車の燃費はガソリン車よりも30%くらい良いといわれています。そこでこの利点を生かすために、排気ガスや振動軽減のための技術が開発されています。

95年にデンソーが開発したコモンレールと呼ばれる技術はその代表です。燃料を超高圧で噴射することで細かい霧状にし燃焼を完全にすることで、燃費向上や排ガス、騒音を改善できます。1600気圧という高圧の燃料をノズルから噴射するための容器がコモンレールです。これに電子制御による噴霧技術を組み合わせて最新車種では1サイクル中に5回の噴霧を行うそうです。

排ガス浄化のためには特殊フィルターが開発されています。さらに排ガス循環装置により、温度を下げた排ガスを吸入空気と混合させ、燃焼温度を下げてNOxを低減する技術もあります。

日本でディーゼル車が見直されるかどうかは、ガソリンハイブリッドに対抗できるだけの高燃費、低燃料代を実現できるかどうかにかかっています。

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