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木質ボイラー禁止条例

2006-12-21 | 再生可能E
バイオマスを分散エネルギー源として使っていくとこんなトラブルも発生することがあるという例です。ニューヨークタイムズのサイエンス欄より。

一台5,000ドルのウッドボイラーが飛ぶように売れている。昨今の原油高騰により暖房用燃料の価格も上昇していて、木質を使うことで暖房費が節約できるからです。また再生可能エネルギーの利用は中東原油への依存度低下にも寄与するという大義名分もあります。

このウッドボイラーは本来農場の住宅用に作られたもので、3.6mの煙突を有する屋外設置型です。木質を燃料にボイラーで温水を作りこれをポンプアップして地下配管で住宅まで引き込みます。住宅の暖房と給湯に利用できるというものです。

しかし、これを街中で使用する人が増え公害問題になっているそうです。燃焼空気の量が足りないと大量の煙を発生させ、微粒子を生じます。悪臭を放っているという苦情も町や県に殺到しました。中には木質原料だけでなく家庭ごみや家具などを燃やす輩もいるとか。

この様に健康障害を引き起こす物質を排出していることが明らかになって、町や県の条例で学校や民家から300m以内での使用を禁止するところも出てきました。隣家から300m離れていればよいということですが、住宅地にあっては実質禁止ということです。中には無条件に全面禁止とする自治体もあるようです。

米環境局も何もしないわけにはいかず、離隔距離、煙突の高さに関する規制を作ることになりました。また、ボイラーメーカーに対して微粒子の発生を低減するよう改良の要請を出しています。

ウッドボイラーそのものは利用価値が大いにあるものですが、その利用や管理にはそれなりの配慮が必要です。バイオマスの利用がそく温暖化ガス排出削減につながるという安易な考えは禁物です。

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