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玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

秋の七草

2018-08-21 16:24:27 | 秋の花 冊子
秋の七草は奈良の都で選ばれたものですが、その7種類を見るとまちがいなくススキ群落の植物です。今でも春日山の森は鬱蒼とした常緑広葉樹林で、秋の七草はこういう森林には生えません。つまり森林を伐採して刈り取りを繰り返す場所に生える野草です。その意味では野草ではあるが、人の管理下に生える植物だと言えます。
具体的にはハギ、キキョウ、ハフジバカマ、クズ、ススキ、ナデシコ、オミナエシですが、フジバカマは大陸からの外来種とされ、分布も関東以西です。これを除くと6種ですが、そのすべてが玉川上水に生育することが確認されています。ただし、オミナエシ、キキョウ、カワラナデシコはごく局所的にあるだけなので、野生なのか、花好きの人が良かれと思って移植したのか判断がつきません。
いずれにしても、東京の住宅地に囲まれ、交通量の多い道路に沿って流れる玉川上水に秋の七草があることは奇跡的なことだと思います。
 ただし、私たちは有名な秋の七草やきれいな花があるという理由だけで玉川上水を守ろうというのではありません。それらを含め、さまざまな草花が命をつなぐ場所としての玉川上水に価値があると考えています。

わかったこと1

2018-08-21 16:22:18 | 秋の花 冊子
私たちは2017年4月から12月まで毎月30キロメートルを歩きました。玉川上水の南北を歩いているので、その倍ということになりますが、片側が歩けない場所もあり、一人では歩ききれないこともあり、実質的には50キロメートルほどです。それでも450キロメートル歩いたことになります。2018年はメンバーが増えて同じ距離を歩きましたから、通算で900キロメートルということになります。これは東京から直線距離で、西なら下関を超え、北なら札幌を超える距離です。これを歩いたのですから、もちろん一人二人ではできることではありません。文字通り、チームプレーの成果であり、生物保護を目指した活動のあり方としても価値あるものだと思います。

ワレモコウ

2018-08-20 14:36:25 | 秋の花 冊子
バラ科ワレモコウ奥の多年草。ワレモコウという名前の響きは一度聞いたら忘れないが、由来はよくわからないらしい。漢字では吾亦紅と書き、これも印象的である。名前だけでなく花も「これが花?」と思えるほど個性的だし、葉も特徴的なので、花がなくてもすぐにわかる。これがバラ科に属すということも意外感がある。サクラやキイチゴなどに代表されるような、5枚の花びらが開いて咲くというイメージのバラ科の花とはほど遠く、花弁のないごく小さな4枚の萼片でできた皿状の花が集まって赤紫色のつぶつぶとして茎の先端にポチポチとつく。時に高さ2メートルほどにもなる。葉は楕円形で、縁に独特のギザギザがあり、複葉を作る。玉川上水では明るい場所に生え、全体としては限定的である。












ワレモコウに来たベニシジミ


ワレモコウで訪花昆虫を待つアズチグモ






エッセー
 花というイメージから随分離れたポンポン。 トンボが良く似合う。住田景子

 訪花昆虫の調査をした時に、この花にやって来る虫をひたすら待ったことがあるのだが、結局虫は一匹も来なかった。花につかまって獲物を待ち伏せていた小さなクモも私もすっかり落胆したのを覚えている。豊口信行

 花に注目しがちですが、はっぱの形もそれに負けないくらい独特です。沖縄のお菓子「ちんすこう」を思い起こします。リー智子

ユウガギク

2018-08-20 14:35:25 | 秋の花 冊子
キク科シオン属の多年草。玉川上水で見るユウガギクは花の色が白い。花の直径は2.5センチメートルほどで、シラヤマギクよりは大きく、舌状花が多い。茎から枝を出すが、下側から出る枝ほど長く、花は水平に着く傾向がある。花の数は少なくパラパラと着く印象がある。その印象から「優雅」というのかもしれない。葉はよくある野菊の葉だが、鋸歯が深く切れ込んで、羽状となる。ノコンギクと似ているが花の断面を見ると冠毛がないので区別がつく。
 玉川上水にはよく見られ、明るい林から草地にかけて見られる。












宮元


ユウガギクにとまるヒラタアブ


総苞 お椀のような形


断面 冠毛がほとんどない





スケッチ

エッセー
 野菊らしく素朴でたくましいというのがノコンギクとすれば、ユウガギクは楚々として繊細さがあります。どちらも同じようなところに生え、よく似ているのですが、ノコンギクに比べると遠慮がちに生えているような気がします。高槻成紀

 調査に参加して、お花屋さんに行かずとも野にはたくさんの可愛らしい花があると知りました。この花もその1つです。「小さな花束にして誰かに贈れたらいいのに、でも柵の中なものは採ってはいけないんだよね」と思いながら見ています。

ヤマハギ

2018-08-20 14:34:25 | 秋の花 冊子
マメ科ハギ属の半低木。萩というのはマメ科を代表するような広い意味の名前で、ヤマハギはその代表で低木である。ただヌスビトハギやネコハギのように、草本でもハギの名前がつくマメ科は少なくない。低木の萩にもいろいろあるが、玉川上水ではこのヤマハギが代表的である。小さい花を房状につけ、それが背丈ほどある低木から密生すると見応えがある。シジミチョウなどのチョウやハチが集まる。
 花はマメ科に典型的な蝶形花で、5枚の花弁からなる。中に雄しべに包まれためしべがあり、昆虫は左右の翼弁を開くようにして吸蜜する。葉は楕円形で、3枚の小葉からなる複葉。玉川上水ではススキがあるような明るい場所で見られる。ハギとしてはキハギもときどき見かける。


 

 

 

 

 

 


果実

 


エッセー
山歩きの時によく見かける花の中でも初夏のフジ、秋のヤマハギはとくにきれいです。これは尾根筋のアカマツ林に多いと思います。そのヤマハギが玉川上水でもきれいに咲いているのは、周辺地域よりもやや冷涼な環境だからではないかと思います。佐久間 信和

はっぱの長丸がならんだところ、わけなく好きです。リー智子