回遊草(KAI YU SO)

さすらいの乙男妄想オヤジの妄想ブログ。あらゆるジャンルのカワイイを中心に浮気中?でも、惚れてるのはやっぱり「ミク」かな?

『沸騰都市』サンパウロ~富豪が空を飛ぶ~

2009-02-07 19:11:10 | Weblog
私は「肉体労働者」で、大型の製造機械の「裏方」をしています。ほんのちょっぴり「危険」で、意外に「汚い」ところもあって、けっこう「キツイ」、いわゆる「1.8K」?wな職場で、中国人や日系ブラジル人たちといっしょに仕事しています。彼らは、日本人より真面目に働いています・・・。

そんな中のパートナーのアミーゴから、先週の月曜の朝に“見た?”と聞かれたのがこの番組でした。(NHK特集)
日曜にやったらしいのですが、見ていませんでした。ところが、その日のTV欄をチェックしていたらそのげつようの深夜に「再放送」があったので、録画しました。

「目からウロコが落ちる」というのは、このことかと思いました。


ブラジルに対するイメージが変わりました。

「サンパウロ」は「南半球最大の都市」で、人口は「1700万人」で東京よりも大きな都市です。
番組の冒頭で紹介された人気の商売は「防弾車」の改造です。金持ちが増え、中南米名物の「誘拐」から身を守るためです。ベンツやポルシェなどに混じって一番人気の「車種」は、「トヨタ・カローラ」です。その方が「目立たない」からです。そう言われると、妙に「リアル」でした。

けれど、本当の「富豪」はそんなものには乗りません。

その理由のひとつは、安全の他に「スピード」です。

急激に発展したので、道路や鉄道といった「交通インフラ」が遅れたうえに、一気に「中間層」が増えて「車」が溢れているのです。片側7車線もある外周道路が「70km・80km」と渋滞するのです。
(ちなみに、かつては「世界最大」と言われた貧富の格差が、今や「中間層」が国民の「過半数」になったのだそうです。)

だから、サンパウロの富豪たちは「空を飛ぶ」のです。サンパウロの空を行き交う「ヘリコプター」はおよそ「400機」で、個人所有ではニューヨークを抜いて世界一なんだそうです。「へリポート」も約「300基」で高層ビルや公共施設にはほとんど付いています。資産価値が上がるのです。

個人所有の他に、何人かでシェアしたり(“最新の「7億円」のヘリも5人でシェアすればひとり「1億4千万円」ですから、お得ですよ”みたいな…!!!)「会員制ヘリタクシー」もあってその会社は年に25%の成長なんだとか…。
車なら1時間15分かかる距離も、ヘリなら「5分」で行けるのです。


ブラジルも「金融危機」で痛手を受けました。去年11月8日に「G20」が開かれましたが、開催地がどこだったか覚えている日本人が何人いるでしょう?

実は「サンパウロ」だったのです。

開催国を代表してブラジルの「ルーラ大統領」は、金融危機の影響を認めながらも、強気な姿勢を崩しませんでした。



「サンパウロの繁栄」を支えているのは、「世界最強」のブラジル農業です。穀物・大豆・果物・畜産などどれも世界有数の生産力を誇っているのです。


そして、今いちばん「熱い」のが「バイオエタノール」なのです。

それは、サトウキビやトウモロコシのしぼり汁を発酵させて、エタノールを精製するのです。アメリカと世界1、2位を争っていますが、気候的に家畜飼料と競合するアメリカのトウモロコシと違って、サトウキビは世界的に供給が安定していて、「食料」と競合しないのです。

「エタノール」はガソリンのように「有害」ではないし、なによりも植物が空気中のCO2を固定して作るので、燃やしてもCO2が「増えない」のです。
そして、石油のように資源に限りがあるわけではないのです。毎年、「作る」ことが可能なのですから。

しかも、ブラジルの農地は、「耕作可能」なうちの4分の1しか使ってないのです。「熱帯雨林」を除いても「2億ha」(日本の総面積の「5倍以上」)も残っているのです!!!

そんな「エタノール」長者のひとりが、貧しいイタリア系移民の三代目の「ビアジ」氏です。

彼は広大なサトウキビ畑を持つ「農場主」というだけではありません。
2代目の父親の代にサトウキビの栽培目的を「砂糖」から「エタノール」に切り替えたことが「富豪」への第一歩だったのです。

今や周辺に30もの精製工場を持ち、コーヒー栽培の貧しかった農民たちを引き寄せ、今ではブラジルでトップクラスの納税額を誇る豊かな「街」を作ったのです。広大なサトウキビ畑の中に、突然と高層ビルの建ち並ぶその「街」の大通りには、彼の「父親」の名がついているのです。


三代目のビアジ氏は、今やブラジル政府からも「エタノール業界」のリーダーを任されるまでになったのです。



今から35年前に「石油ショック」による石油価格の高騰でブラジルは大打撃を受け、数千%のインフレに苦しみました。ブラジル政府は、広大な農地に目を向け莫大な補助金を投資して、世界がまだ見向きもしなかった「エタノール」開発を始めたのです。それが、1975年に始まった「国家アルコール」計画なのです。

当時、視察に来た各国は、その計画の成功を信じていませんでした。

地道な努力が報われたのは、「イラク戦争」での再びの石油価格の高騰でした。ブラジル国内での、「エタノール」の普及に一気に拍車がかかりました。

今では、ガソリンスタンドでは「ガソリン」と「エタノール」の両方が売られ、新車の9割を占める「フレックス車」と呼ばれる“どちらも使える車”で給油することができるのです。エタノールの燃費はガソリンの7割ですが、価格は6割なのです。

エタノールは、「国産」であり、エコにもなるし、誇りを持って選んでいるようです。



ビアジさんの共同経営者の一人である日系の「新垣」さん(80)は、1万5000haのサトウキビ畑と2つのエタノール工場を持ち、売上げは「100億円」を越えています。(ビアジ氏は、どれだけ稼いでいるんだ!!!

“ゆっくり、しっかり”が経営哲学の新垣さんは、とてもアットホームな経営者でランチも労働者と同じテーブルを囲み、それぞれの近況を聞きながら共に喜びを分かち合っています。そんな時の彼の言葉です。

“わたしは、世界経済の動向をとても心配していたんだ。危機の影響がないとみんなが言ってくれて、うれしいよ。とても、感謝しているよ。みんな本当にありがとうね。だって、会社は私のものではない。みんなのものだ。あなたたちみんなだよ。この会社が私たちを支えているんだ…”

彼はまた、リポーターの“どうして、こんなに成功したんですか?”の問いに、こう答えています。

“成功ですか? まだ頑張ってる、成功じゃないよ。成功できたらね、やめますよ( ̄ー ̄)ニヤリ …”

ブラジルには、世界中から集まった移民の子孫が住んでいます。そんな様々な「顔」の労働者たちがみな活き活きと働いています、彼の工場では。


ブラジルの繁栄をもたらしたのは、決して「投資マネー」ではありません。
(皮肉なことに、このシリーズの第1回に取り上げられた「沸騰都市」は「ドバイ」でした。放送は、去年の5月のことでした…。)

確かに一時は「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国など)の一員として「投資マネー」が集まりましたが、今は拡大する中間層の購買力(内需)に期待しています。


貧しい農民出身の「ルーラ大統領」は、金融危機に対しても、国民に買いたいものは買って欲しいと呼びかけます。

ブラジルは、ずっと長い間買いたいものが買えない時期があり、ようやく今車を持つ夢が見られる時代が来た、労働者が給料で家族の暮らしを良くするのは喜ばしいことではないか、それでこそブラジルは成長し続けるのだ、他の国がキリギリスのようにのんびり歌っていた時に、我々はアリのようにあくせく働き蓄えてきたじゃないか、だから我が国はだいじょうぶなのだ、と・・・。

彼の「支持率」は80%を越えているそうです。

“消費をへらすな!”という大統領の号令に応えるために、州では銀行に資本注入して「ローン」の貸し渋りが起こらないようにしました。


結婚23年目にして、初めて「車」を買ったパン職人のソウザさん夫婦が出ました。子どもたちが独立したのを機に、念願の車を手に入れたのです。72万円の中古車を60回ローンで買ったのです。月の収入が7万円の中、2万3千円のローンは大変だと思いますが、彼らは土日も休まずアリのように働くから大丈夫さと笑うのです。

渋滞で新聞を配る女性のいちばんの関心は子どもの教育で、夢は「家」を持つこと、それに「車!」も…。

この国には「夢」と「希望」が溢れています。



「ビアジ」氏の元へ、意外な投資の話が持ち込まれました。「中東」のオイルマネーです。石油とエタノールは「敵対」しているのではないそうです。石油と混ぜて使うことによって、石油の「寿命」も延びるのです。

もうひとつ、新たな動きがありました。

「ルーラ大統領」が主催する【バイオ燃料国際会議】に、世界中から「100」を越える国から政府関係者や投資家が集まりましたが、その中でも目立っていたのが「アフリカ諸国」です。サトウキビが栽培できるし(実際に栽培している国もあります)、あとは【精製技術】さえあれば「エタノール」を生産できるのです。

ルーラ大統領もビアジ氏も、それらを提供する用意があると明言しました。

それにより、従来の石油中心(アメリカ&中東)のエネルギー地図が変わる、言い換えれば世界の「力関係」にも変化が起こる可能性があるのです。

ブラジルとアフリカによる「南半球」が、新たな「勢力」になる可能性があるのです。

環境問題に高い関心を持つEUは、ブラジルからのエタノールの輸入枠の拡大を検討しているというニュースがありました。





ただ、【日本】だけがこの【エタノール】に無関心なのです・・・














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