映画と音楽そして旅

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(CD雑記帳) テネシー・ワルツ(1)  (パティ・ペイジ)

2006-01-05 12:52:06 | 音楽
      THE TENNESSEE WALTZ   (Patti .Page)
 二年ほど前の紅白歌合戦のこと、私のお目当てはあの「浪速のおばはん歌手」こと綾戸千絵でした。彼女はピアノを自ら弾きながら、いきなりハスキーな声で歌い始めました。
 I  remember the night and Tennessee Waltz
「あれっ歌詞の順番が違うやん‥」と私は慌てました。一しきり歌うと
 I was dancing with my darlning To the Tennessee Waltz
と通常の歌い始めの歌詞に戻り、とりあえず私はホッとしました。でも彼女の本職はジャズ歌手だったこと‥ジャズは必ずしも音譜に拘らない、即興演奏を生命にすることをやっと思い出しました。彼女のアドリブ歌唱法は続きます。
ラストのThe beatiful Tennessee Waltz の部分では「Tenne Tenne Tenne」と繰り返すなど、独特の歌いっぷりで私は圧倒されて仕舞いました。
 
 彼女の出番が済むと私は録画してあったテープの音声と、原曲のCDとを聞き比べてみました。勿論今まで聞き慣れたパティ・ペイジの方が、耳ざわりは良いのは当然ですが綾戸流アレンジも独特の味があってええなぁ‥
 などとこんな馬鹿みたいなことを繰り返している内に時は過ぎ、結局は紅白どちらが勝ったのかよく判らないまま、2003年は静かに去って行きました。
 
 若い頃に幼少時代を過ごした、大阪の叔父の家へしばしば遊びに行きました。そこには私より三才ほど年上の従姉がいました。彼女が毎日ほど歌っていたので、私も自然と聞き覚えてしまったのが「テネシー・ワルツ」でした。(勿論、今では殆ど忘れて仕舞いましたが‥)
 敗戦からまだ数年足らず‥現在と比べると貧しい時代でしたが、平和のお蔭でアメリカ文化が洪水のように流れ込んできました。その中でも音楽の世界では「ジャズは現代の流行病か!」と云われる程、アメリカの流行に敏感でした。
 その前から笈田敏夫、ナンシー・梅木、ペギー・葉山などの、本格ジャズ歌手はいましたが、特定のフアン層に限られていたため、日本語の歌詞をつけた江利チエミの「テネシー・ワルツ」は、ジャズ・ポピュラー・ソングとしては爆発的なヒットになりました。
 それからは先ず日本語盤がヒットしてから、原語盤が聴きたくなり買いに走る‥という逆転現象がしばらく続くことになります。
 今から考えると従姉も私もこんなレコード会社の、営業上の策略にうまうまと乗せられた年代でした。
 でもいくら貧しくとも気分的には、充実した時代だったのでは‥と思います。