禅宗の名刹“大法寺”。
名僧禾山(かざん)和尚を輩出したこの寺は、佐田岬半島界隈の独特な景観である青石の石垣で造成されている。積み方は俗に“落とし築(づ)き”と呼ばれる緑泥片岩の性質を利用したもので、鋭角に組むその技法は、今ではもう築く石工職人は居ない。
また、この地方では石工のことを“えばさん”と呼び、土木に関係した年配の方くらいには通じるかも知れない。今となっては、殆ど死語に近い言葉。
なお、岡山県出身の有名な木彫家平櫛田中(ひらくしでんちゅう)も、かつて禾山和尚の元に参禅し、その縁で和尚が大笑いをしている様を彫った“かか大笑”という名作が残されている。