最近、「盆棚」についての会話を個人的に楽しんでいる。
ボンダナ、まるで知らない人が音だけで聞いたら、バンダナか何かと間違えられそうである。
我々の地域、特に宇和盆地では、お盆の行事にコレは欠かせない。多分、いわゆる精霊棚(しょうりょうだな)の一種なのだろうが、こうしたやり方が、果たしてどの位のエリアで広がっているのか、岡目八目はまだ知らない。
松山や東予あたりではあまり聞かないから、これはやはり南予独特の行事なんだろうか。それでは、宇和島藩、大洲藩領域か。
いや、それも定かではない。大体こうした行事ごとは、自分の家の流儀が本来だと、誰もが疑うことなく思っているフシがあって、ある時に違う流儀を見たり、たまたま聞いたりした時のみ、気が付く世界でもある。
我が家のものも、父の代からそうしてあったので、ただただソレと同じようなやり方を、父が他界して後継承しているに過ぎない。事実、ある時近くの親類の家に用事があり、その家の盆棚を見る機会があって、初めて違うタイプがあることを知った。別に大したことではないのだが、手前の笹竹と盆花(赤萩)のアーチ部分は、その家では鳥居のようなタテとヨコの構えであった。思えば、上部の注連縄もその方が張りやすい。
父がそうしていたから、何も思わなかったが、家によってはその家の流儀が色々とありそうである。
丁度やってきた帰省中の同級生(近くの集落)に聞くと、その家では、注連縄は上方ではなく、台の所に回すようにしているとか。
いずれにしても、昨日の夕方、家の前で迎え火をたき、その火を蝋燭に移して、ご先祖様と一緒に家に入り、この盆棚にお迎えする。この棚には、従って、先祖の戒名を書いた繰り札(くりふだ)を並べてお盆の三日間は、お料具をお供えし、ご先祖を祀る。
今朝は、毎年の恒例であるが、檀家寺の和尚が各家を回ってくるのを待ち受けて、読経をしてもらい、帰りにお布施をお渡しする。そして明日の夕方、送り火をして、祖先の霊が墓へと戻ってゆく。
その後、三日間使用した盆棚を片付けて、こうした一連のお盆行事が終わる。それがこの辺りのならいであり、その家の長男(家長)の仕事でもある。いや待て、お料具は連れ合いの仕事である。