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ことばを鍛え、思考を磨く 

長野市の小さな「私塾」発信。要約力、思考力、説明力など「学ぶ力」を伸ばすことを目指しています。

歴史教育を考える

2005年12月13日 | 学習一般
歴史の苦手な子は多い。
覚えなければいけないことがたくさんある。
全体の流れや因果関係を考えればわかることもあるが、人名・事件名を始めとする最低限の用語は覚えなければどうしようもない。
おまけに難しい漢字も少なくない。

歴史に全く興味を持てない子に、ただ「興味を持て」と言っても難しい。
「そんな昔のことを知ってどうする?」としか考えられない生徒に、歴史を学ぶ意味を説いても大した変化は期待できないであろう。

そう言えば、今ベストセラーになっている「佐賀のがばいばあちゃん」(by島田洋七)にこんなセリフがあった。
歴史苦手と言う洋七少年にばあちゃんが言った一言。
「過去にはこだわりませんと書いとけ!」.....いいなぁ.....。

そもそも、人類の誕生から現代までを通史的に追って行くという、今の歴史教育のあり方に問題があるのではないか。
これだけ長期間の内容を限られた授業時間内でこなそうとすれば、表面的かつ無味乾燥なものにならざるを得まい。
世界史となればそこに地理的な広がりも加わるのだから尚更である。

さらに、小学校で一通り流れを学んでおきながら、中学校でまた同じ内容を少し詳しく学習する
高校でも同様にすべての時代のことをもう一度学び、今度はかなり詳しくなる。
高校で世界史を取る場合は多少違うだろうが、何とも能率の悪い学習法に思えて仕方がない。

他の国の歴史教育も同じようなものなのだろうか。
最近読んだイギリスの教育に関する書物によると、「シックス・フォーム」と呼ばれる公立の学校(16~17歳対象)では、歴史の授業は近代ヨーロッパ史のほんの一部とイギリス史の17世紀前半20年ほどを扱うだけだという。
そのかわり、この限られた地域、時代に関しての様々な見方のテキストを読み、考察を深め意見を書くそうだ。
他の地域や時代については、ここで体得した学び方、考え方を元に各自が興味のあるものを学習すればいいという捉え方だ。→「教育とは-イギリスの学校からまなぶ」

日本でもこんな歴史の授業ができないものか。
小学校で通史を学んだら、中学ではある特定の時代いくつかに絞って、様々な観点から総合的に学ぶという方法は取れないものだろうか。
その時代に対する異なった評価の意見を読んだり、庶民の生き様がありありとわかる資料に共感したり.....。
そんなわくわくする授業を実現するためには、カリキュラムの大胆な改革が必要であろう。

中学で無理なら高校からでもいい。
大学になって初めてそういう学習が可能になる現状では、結局歴史の真の面白さを知らないまま、「暗記科目」という印象だけで学生生活を終えてしまう人も多いのだと思う。
もったいないことだ。
単なる知識の詰め込みでは「ものしり」人間を増やすだけである。

さらに言えば、単にもったいないだけでなく、歴史に学ぼうとしない人間の増加は危険なことでさえある
NHKの「その時歴史が動いた」のような、感動を伴う学びを多くの子どもたちに体験させたいと切に思う。


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15 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
暗記科目 (テツ)
2005-12-13 14:12:13
こんにちは。



私も最初は暗記科目でしたね。果てしなく覚えることが多くて....。前へ進むこと大切ですが、過去を振り返り、何かを感じ取り、応用することも、いかすことも重要ですよね。

失敗はできるだけ繰り返さない。してはいけない失敗は...してもいい失敗は、経験としていくらでもすべきです。

歴史教育を変えるとですか?難しいっすね。
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Unknown (SHIN)
2005-12-13 15:58:45
こんにちわ。



歴史・・・・・

理系の僕にとっては、かなり苦手な科目でしたねぇ(+_+)

考えても答えがでてこないことに、妙に抵抗があって、

暗記暗記!って感じで苦手でした。



でも、『歴史』って、『国語』と呼ばれる科目と同じで、

一つの科目としてくくるのも問題なのかもしれません。



外国では、専門課程を学ぶときは、

まず歴史から入るらしいです。

物理の歴史。

ガリレオ・ガリレイ⇒ニュートン⇒アインシュタイという歴史の流れ。

などと。

量子力学の歴史の流れ、みたいなものを少しかじってみましたが、面白かったです。



歴史も、どのような背景の中で、

そのようなことが起こっていったのか。

これを考えるところに面白みがあるのですかね。

それを教えられる歴史教育が本格的にあると良いですね。
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Unknown (院主です)
2005-12-14 08:51:05
人によっていろいろ違いがありますね。

私は地理は暗記科目として嫌っていましたが、歴史は「物語」として感じていたので、暗記という印象はまったくなかったです。

落語を一度聞くと大体憶えるという特技(?)が役立っていたのかもしれません。



ただ一度日本史の先生の授業が、高校生の私にはひどく退屈で一時は嫌いになりかけたことがあります。もしかしたら今聞けば、ワクワクするような面白い講義だったかもしれません。何でもそうですが、年齢にあわせた話の仕方がされるかどうかで、興味の持ち方が変わりますね。
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Unknown ()
2005-12-14 16:43:55
テツさん、毎度です。



してもいい失敗としてはいけない失敗、うーん、そうですね。思わず自分の来し方を振り返ってしまいました。哲学的....。
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Unknown ()
2005-12-14 16:46:33
SHINさん、ありがとうございます。



歴史を国語や英語と同じように道具として考えるのは面白いですね。歴史を教えるのではなく歴史「で」教えるということですね。参考にさせてもらいます!
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Unknown ()
2005-12-14 16:49:36
院主さん、ありがとうございます。



私はよく一人旅に出かけていたので、むしろ地理の方が物語性が感じられて好きでした。



落語すぐ覚えられるのは驚異です!昔けっこう古典落語読んだけど、全然覚えてないなぁ.....。
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こんばんは♪ (yumin)
2005-12-14 18:39:18
歴史が大の苦手だった私と娘。苦手意識はなくなりました!それは、教科書の事実だけではなく、ちょっと踏み込んでみたからです。歴史的背景を知ると歴史がとてもおもしろくなりますよね!桐さんのアドバイスのおかげというのも多分にあります。感謝!今日も「その時歴史が動いた」が、楽しみで~す。うららんは、何と社会の成績オールAAをとってきました!快挙です!もちろん、初めてのこと。得意の英語よりも成績が良かったなんて、奇跡です!これからも、学校の表面的なものプラスαで、親子共々がんばります
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Unknown ()
2005-12-15 11:45:01
yuminさん、ありがとうございます。



うららんちゃん、やりましたね!素晴らしい!

親子で楽しみながら実力もつくなんて最高じゃないですか。私のアドバイスなんか関係ありませんよ。こちらの方こそいろいろ学ばせて頂いているんですから.....。さらなる今後に期待しています。
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Unknown (JackAmano)
2005-12-15 23:22:12
院主さんが書いておられたように、歴史は人間ドラマとしてみると、かなり面白いもんだと思います。ストーリー性を漢字ながら覚えると歴史って一番楽しい学科になるように思います。地理も同様。地理と歴史も切っても切れないもんですから、一緒に物語で教えるようなカリキュラム作るのも面白いかもしれませんね。
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Unknown ()
2005-12-17 11:43:23
Jackさん、毎度です。お忙しそうですね。



地理と歴史、一緒に物語で学ぶ教材、面白そうですね。参考にさせていただきます。ありがとうございました!
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