ことばを鍛え、思考を磨く 

長野市の小さな「私塾」発信。要約力、思考力、説明力など「学ぶ力」を伸ばすことを目指しています。

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系統立てて覚える

2006年10月26日 | 学習一般
私の趣味の一つである「投扇興」では、扇を投げた後の扇と蝶(的)、枕(台となる箱)の位置関係により得点が決まります。
点数はマイナス20点からプラス50点まで...。

当然のことながらよく出る形は点数が低く、初級者は1試合10投しても0点や1点、せいぜい4点の技がほとんどです。
長くやっていても8点や11点が多くなるくらいで、30点とか50点はよほど運に恵まれないと出すことができません。
もっとも、ビギナーズラックで、初めてやった人が50点を出すことも珍しくはないのですが...。
(投扇興について詳しくは「ブックマーク」の(趣味のページ)を参照願います。)

で、競技をするためには、どういう形のときに何という名前の「役」になり何点貰えるか(これを「銘定」と言います)を覚えないと話にならないわけです。
初めは知っている人に一々判定して貰えば済みますが、自分が出した形が何なのか自分でわかった方が楽しいし、そうなれば行司(審判)もできます。

月例の練習会では皆さんに絵入りの銘定表をお渡しし、実戦の中で判定の仕方を詳しく解説しているのですが、面白いことに、すぐ覚えてしまう方と何ヶ月経っても迷っている方がいらっしゃいます。

私自身は何でもすぐに凝る方なので、ネットで調べたり、迷ったときはベテランの人にメールで相談したりして、あっと言う間に40種類(+加点バージョン8種類)の銘定を覚えてしまいました。

私の所属している流派では、それぞれの形に源氏物語の巻の名(ex.須磨、若紫、夢浮橋)が付いているので、その名が付いた由来(見立て)まで考えると記憶に残りやすくなります。(←かなりコジツケ気味のもありますが...)

そして何よりのポイントは系統立てて覚えること。
一つ一つバラバラに覚えていたのでは嫌になるし、試合中のとっさの判断にも支障を来します。

まず全体を大ざっぱに分けて代表となる銘定のもとにまとめます。
「絵合(えあわせ)」系(扇も蝶も落ちて重なる)、「御幸(みゆき)」系(扇が枕に立てかかる)など...。
あとは、何がどうなったら違う銘定になって得点が上がるのかを理解すればいいだけです。
よほど特殊な形だけは別に覚えなければなりませんが、これでよく出る形は完璧に記憶できました。
大会でも何とか行司を務めることができましたよ。

学校の勉強でも、覚えなきゃ始まらないことはたくさんあります。
図形の定義や定理、気体の性質、岩石の特徴、気候の特色、そして様々な歴史や公民の用語...。
もちろん漢字や英単語もそうですね。

すべてに言えることではないかも知れませんが、ここでもやはり一工夫があれば記憶の定着が違うのではないでしょうか。
概念の階層を分ける、大きくグループ分けする、そしてその中で共通点と相違点を明らかにしながら一つ一つの対象を配置する。
覚えるってつまり、頭に描いた絵図の中にそれぞれの居場所を見つけてあげることだと思うのです。

たとえば台形と平行四辺形の違いを明確にし、長方形、ひし形、正方形を平行四辺形の概念の中に位置づけする。
気体の性質なら、まず水によく溶けるか否かで分類し、さらに空気より重いか軽いかで分ける。
言葉を覚えるときは類語や反意語もついでにマークする。

こんなことを心がけるだけで勉強の能率は違ってくるのではないでしょうか。
何も○○式などという記憶術に頼らなくても、一般的なレベルでの覚える作業は、工夫次第で誰でも得意になれる気がします。
その工夫の仕方をアドバイスするのも私たちの役割の一つなんでしょうね...。


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鼻濁音が消えていく

2006年10月19日 | ことば・国語
長野県は「鼻濁音保有地域」なのだそうです。
先日の信濃毎日新聞で読みました。
え?そうかぁ?...というのが正直な感想でした。

仕事柄、子どもとの会話が多いわけですが、鼻濁音を使っていない子が100%に近いと思います。
いつも意識しているわけではないので、見過ごしているだけかも知れませんが...。

たとえば「午後」の場合、正しくは初めの「ご」と後の「ご」は違う発音になります。
1つ目は[go]ですが、2つ目は[ŋo]になるのです。

鼻に抜ける感じ...これが鼻濁音ですね。

本来は語頭以外のガ行音節は、共通語では鼻濁音になることが多いそうです。
「小学校」「はがき」「いそぎんちゃく」「はまぐり」「雪化粧」などなど...。
でも現状ではこれらの言葉、ほとんどが[g]で発音されていませんか?

[g]と[ŋ]では聞いたときに違いがあります。
[ŋ]の方がソフトな、優しい感じがしませんか?
気になり出すと[g]の連発ははものすごく耳障りです。

実は私自身も、以前に比べたら圧倒的に鼻濁音の使用が少なくなっています。
普通に喋っていると[g]になっていることがほとんどです。
これはいったいどうしてなんでしょう?

テレビやラジオで鼻濁音を耳にする機会が減っているのかも知れません。
きちんとした訓練を受けたアナウンサーならともかく、いわゆるタレントや芸人の喋りには[g]音があふれているような気がします。
大声でわめくには、上品な[ŋ]より[g]の方がインパクトがあっていいのでしょう。
ひときわ音量が大きくなることが多いCMも、一役買っていると言えそうです。

さらに、日常会話に外来語が増えたことも、鼻濁音減少の一因となっていると思います。
たとえば「エレキギター」「プレイガイド」「オウンゴール」などは、日本語では一つの熟語のように扱っていますが、元はもちろん two words です。
従って、英語で考えれば当たり前なのですが、日本語では語頭でないのにすべて[g]音になっていると考えられるわけです。
この言い方が本来の日本語にも波及してきたとは考えられないでしょうか...。

かくして大人から鼻濁音が消えていけば、自然の結果として子どもも使わなくなります。
初めから[g]音だけで育つ子が増え、やがて鼻濁音は絶滅へ...。

共通語の母胎は東京であり当然鼻濁音も普通に使われていたはずですが、今では衰退が著しく、高年齢層に残るのみだそうです。
信州も同じようなものでしょう。
感情的には残したい思いですが、この流れは変わりそうもありません。

ちょっと皮肉な提案ですが、英語の発音指導で[ŋ]を復権させるというのも手ですね。
king や thing、ping-pong など、普通に読ませれば間違いなく[g]で発音します。
日本語には無頓着でも英語のリスニングや発音には熱心な子もいるので、ここで[g]と[ŋ]の違いを意識させるのはどうでしょう。

皆さんの地域ではどうですか?
ご自身は?お子さんは?
...各地の情報をお待ちしています。


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語彙を高める教材

2006年10月12日 | ことば・国語
語彙を豊かにするために最も有効なのは読書だと言われる。
確かに本を読んでいる子はそうでない子に比べて言葉を知っている。
しかし中には、本は好きだが語彙は貧弱という子も存在する。
読書の対象が狭い範囲に限られている場合が多いようだ。

従来のように読書を勧めるだけでいいのだろうか?
たとえ本が好きでも、言葉の微妙な使い分けを会得するまでに至るためには、幅広いジャンルの膨大な量の読書が必要になる。
まして本を読む習慣のない子に対しては、スタートラインに並ばせるだけでひと苦労であり、道のりは長いと言わざるを得ない。

既存の教材でも語彙力アップを謳ったものはある。
しかしその多くは単に短文の穴埋めをする、あるいは短文作りをするといった形式で、肝心の言葉の意味についてはお座なり程度の説明があるだけだ。

これではその場では解けても、本当にその言葉のニュアンスを掴んでいるとは言い難いのではないか。
前後の文脈との関係で、ここではこういう言葉が適切だというレベルまで持って行けないものか...。
さらに以前の記事「辞書に頼る前に」でも触れたように、すぐ辞書を引くのではなく、ある程度意味を推測する力も育てたい。
そうすれば、辞書を引いたときにもその場に適確な意味を見つけやすいはずである。


ずっとそんな観点から、新しい語彙増強教材が作れないか考えてきた。
まだ試作の段階だが、今日はその一部をご紹介したい。

著作権の関係で漱石の「坊っちゃん」を題材にしている。
今の子どもたちには難解な表現も多いかと思う。
自分から読んでみようという子は少ないのかも知れない。
しかし、だからこそ、半ば強制的にでも名作に触れさせたいという思いで採用した。

以下はよく知られている「坊っちゃん」の冒頭部分についての教材である。
問題の前に1000字ほどの文章を読ませている。

------------------------------------

a・親ゆずりの無鉄砲で子供のときから損ばかりしている。 

問1:「無鉄砲」とはどういう意味だと思いますか。前後の文脈から想像してみましょう。
   次の中からイメージに近いものに○を付けなさい(いくつでも可)。

 ( 慎重な  かわいい  むちゃくちゃ  よい子  ガキ大将  行動的 )  

では、辞書で意味を確認してみましょう。

〈辞書の定義〉無鉄砲 =「どうなるか先のことをよく考えず強引に事を行うこと。
                また、そのさまや、そのような人。」



問2:言葉の意味がわかった上で、aの文を言い換えてみましょう。
   できるだけ別の言葉を使うこと。

 (                                    )


問3:次の語群の中で「無鉄砲」とほぼ同じ意味のものはどれでしょう。
   また、ほぼ反対の意味(相反する意味)の言葉はどれでしょう。
   それぞれ二つずつ選んで(  )の中に書きなさい。

   用意周到・向こう見ず・慎重・まじめ・無謀・凶暴・無意識

   同じ意味 (       )(       )
    反対の意味(       )(       )


問4:次の各文の空欄に当てはまる、最もふさわしい語を語群から選んで書き入れなさい。
   なお、「無鉄砲」以外の語句の意味は〈辞書の定義〉欄のいずれかです(順不同)。

   ア・若さに任せて(       )する。

   イ・あいつは(       )だから、何をしでかすかわからない。

   ウ・いい大人なのに(       )な行動を取る。

   エ・悪に対して(       )に立ち向かう。


     無分別  無鉄砲  勇敢  猪突猛進  

  〈辞書の定義〉

   ・「一つのことに向かって、向こう見ずに猛烈な勢いで、つき進むこと。」
   
   ・「分別がないこと。思慮がなく軽率なこと。また、そのさま。」

   ・「 勇気があり、危険や困難を恐れないこと。また、そのさま。」
 


問5:次のそれぞれの語句を使って、三十字以内の単文を作りなさい。

  ア・勇敢

    (                                         ) 


  イ・命知らず(「死を恐れないで事をすること。その人。」)

    (                                         )

------------------------------------

ざっとこんな感じである。
言葉を鍛える問題もまだ続くが、せっかく名作を使っているので、語彙を高めるためだけに用いるのはもったいない。
後には文章の背景を読む問題も登場する。
ご要望があればまたご紹介したいと思う。


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敬語の新分類

2006年10月04日 | ことば・国語
これは黙ってはいられない。
...昨日の新聞記事を見てそう思った。

文化審議会国語分科会の敬語小委員会(長い!)が、現在「尊敬・謙譲・丁寧」と三分類されている敬語を、新たに五つに分類する指針案をまとめたという。
え?!五つも種類があるの...?!

これまでの三つの他に、新しく「美化語」が登場!
「お酒」「お化粧」など「上品さを表すための言葉」をそう呼ぶそうだ。
すでに一部の教科書にも採用されているという。
ま、これはわかりやすいからいいだろう...。

何だかわからないのがもう一つの新分類。
これまでの「謙譲語」が二つに分かれ、「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」となっている。
区別は、Ⅰが「動作の対象となる相手への敬意を表す」言葉、Ⅱが「自分の動作などを丁重に表現する」言葉である。

例として挙げられたものを見てみよう。

<謙譲語Ⅰ>
「伺う」「申し上げる」「存じ上げる」「拝見する」「頂く」「(相手に対する)お手紙、ご説明」

<謙譲語Ⅱ>
「参る」「申す」「存じる」「いたす」「小社」「愚見」



違い、わかりますか?
私はわかったような、わからないような...。
「伺う」に対する「参る」、「申し上げる」に対する「申す」などは理解しやすいが、では「拝見する」をⅡではどう言うのか、「いたす」をⅠでは何と表現するのか...。
両方あるとは限らないのか...。

そもそも、なぜ細分化する必要があるのかがわからない。
敬語の使い方の指針だというが、かえって混乱することになるのではないか。
尊敬語と謙譲語さえ満足に使い分けられない若者(とは限らないが...)が、謙譲語ⅠとⅡを自在に操れるとは考えられないのだ。

今回の指針案には、いわゆる「マニュアル敬語」や上司に対する「ご苦労様」「お疲れ様」などについての意見も盛り込まれていて、それなりに評価できる部分もあるようだが、やはりこの五分類化には抵抗がある。

近い将来、テストで「次の謙譲語をⅠとⅡに分けなさい」などという問題が出るようになり、「覚えなきゃいけないこと」がさらに増えたりしないよう願うばかりである。


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