「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

生態学の数理モデル入門―『学んでみると生態学はおもしろい』:「ブクログ」より移行

2020年01月11日 | Science
☆『学んでみると生態学はおもしろい』(伊勢武史・著、ペレ出版)☆

  以前から気になっていた本だったが絶版だったのでアマゾンマーケットプレイスにて購入。すばらしい生態学入門書である。生態学には若い頃からそれなりに関心を持っていたので、ごくごく断片的な知識はあるつもりだが、まとまったかたちでの生態学の本を読むのはたぶん初めてではないかと思う。
  著者の専門が「陸上生態系のシュミレーションモデリング」という数理モデルを駆使する分野であることもあってか、入門書とはいえ言葉の羅列で終わらず、必要に応じてきっちりと数式を用いた説明がなされている。数式のレベルは簡単な微分方程式だが、著者自身の言葉を借りれば「たとえ数学が苦手な人でも独学で理解できる」というコンセプトで書かれているので、中学レベルの方程式と関数がわかれば、十分に理解は可能だろう。
  とはいえ根気よく取り組む必要がある。評者にしても、仕事などで生態学の知識を必要としているわけではないので、時に応じて読み返さなければアタマに定着はしないだろう。また本書は生態学の解説だけでは終わらず、環境問題の取り組みへと無理なく接続されているところもすばらしい。
  著者の伊勢武史さんは「まえがき」でも少し触れられているが(さらに検索すればもっと詳細な情報もすぐに得られるが)少々変わった経歴を持つ研究者である。その経歴が本書の読み易さと質の高い内容に反映されているように感じる。なお本書執筆時は兵庫県立大学准教授だったが、現在は京都大学で研究を続けられているようである。

  


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読書備忘録―002 | トップ | 【編集後再掲載】―『星の使者』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Science」カテゴリの最新記事