「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

『光と祈りのメビウス』

2005年09月18日 | Yuko Matsumoto, Ms.
『光と祈りのメビウス』(松本侑子・著、筑摩書房)  ごくまれに同じ本を二冊買うことがある。といっても、一冊は単行本であり、もう一冊はその文庫本だ。たいていの文庫本には解説が付いていて、その解説を読みたいがために買うことが多い。白紙の心で読むのが読書の王道だという考えかたもあるだろう。しかし、解説を読むことによって、その本と自分との間に水路のようなものができて、自分なりにその本の咀嚼が進むこともある . . . 本文を読む
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『さよならダーウィニズム』

2005年09月10日 | Science
『さよならダーウィニズム』(池田清彦・著、講談社)  彼と親しくなったのは、ある大学院を受験しようと勉強会などに参加したのがきっかけだった。大学では社会学を専攻したとかで、自分から見れば人文社会科学関係の知識が豊富で、さらにコンピュータ(IT)にもなかなか詳しかった。政治にも一家言を持っていて、その面でも刺激を受けることが多かった。初対面で親しくなってからさほど日をおかないうちに、彼は「世界は何か . . . 本文を読む
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『がんから始まる』

2005年09月01日 | Life
がんから始まる(岸本葉子・著、晶文社)  もう亡くなってから10年くらいになるだろうか、ある意味で両親以上に世話になった女性がいた。女性というよりは、自分のなかでは血のつながっていないお婆ちゃんのような存在で、とても働き者の人だった。子どもの頃から、その人が自分のことを評して、よく「魂の古い子」だといっていた。いわれた本人は意味もわからず怪訝な感じがしたものだが、あまり悪い気はしなかった。その人の . . . 本文を読む
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