「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

新たな興味―『ピーターラビットのおはなし』

2010年06月07日 | Arts
☆『ピーターラビットのおはなし』(ビアトリクス・ポター・さく・え、いしいももこ・やく、福音館書店)☆

  ピーターラビットのアニメはテレビで何度も見ている。とくにどうということもない話だが、愛らしいウサギたちを見ていると、こころが休まる気がした。昨年『自然再生』を読んだとき、イギリスの湖水地方のことが書かれていた。ピーターラビットや原作者のビアトリクス・ポターについても触れられていた。ポターはナショナル・トラスト運動にも関わり、イギリスの自然保護活動を推進した一人でもあったようだ。そんなポターが書いたピーターラビットの原作を読んでみたくなった。
  日本語版の『ピーターラビットのおはなし』は文庫型の小さな本である。アニメと同様、話の筋にむずかしいところは何もない。おかあさんウサギの言いつけを守らずに、ピーターはマグレガーさんの農場に入り込む。マグレガーさんに見つかったピーターは命からがら農場から逃げ帰る。ただそれだけのお話しである。ピーターのおとうさんウサギはマグレガーさんの農場で事故にあい、マグレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまったというくだりがあるが、見方によってはそこだけ少々ショッキングな感じがしないでもない。
  原作は1902年の刊行だから、100年以上も読み継がれていることになる。この小さな物語が一世紀以上もの間、なぜ愛されてきたのか不思議な感じがする。単純化されたお話しが、子どもや読む者のこころにすっと入り込むからだろうか。そして何よりも、ポターの描いた絵が繊細で、この上なく愛らしいからだろうか。ポターは少女時代から植物や動物の観察を続け、スケッチを描いていたという。ポターの絵は観察眼の賜物にはちがいない。
  ポターはピーターラビットの物語に何を託したのだろうか。ピーターラビットと彼女の自然保護活動には、どのようなつながりがあるのだろうか。ロンドン生まれの彼女が、なぜ後半生を湖水地方で過ごしたのだろうか。そもそもビアトリクス・ポターという女性は、いったいどのような生涯をおくった人なのだろうか。新たな興味がわいてきた。
  

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1 コメント

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私も好き!! (Akae☆)
2010-06-23 00:42:20
ピーターラビット大好きです
あっ、でも何で好きなのか深く考えたことないなぁー。
いまでも絵本持ってます。
「ミス・ポター」という映画がありますよ。
「シカゴ」に出演し、「コールド マウンテン」でオスカーに輝いたレニー・ゼルウィガーがポターの役です
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