企業システム・レビュー・ネット

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◇企業システム◇ベネフィット・ワンが約345万会員向けシステムをOSSで構築

2008-11-10 14:40:55 | ユーザー

 【ユーザー】レッドハットは、企業の福利厚生業務のアウトソーシングサービスを行うベネフィット・ワンが、08年9月末にリニューアルした福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」の会員向けポータルサイトの新システムにレッドハット製品が採用されたと発表した。今回、新システムに採用されたレッドハット製品は、アプリケーションサーバー「JBoss Enterprise Application Platform」およびLinuxOS「Red Hat Enterprise Linux」で、約345万人の会員向けサービスを支える大規模なオープンソースのシステム事例となる。 (08年10月28日発表)

 【コメント】LinuxはOSS(オープンソースソフトウエア)のOSとして企業システムに徐々に市場を拡大している。そしてその利用分野も、これまでは特定のアプリケーションに限定されてきたが、現在では基幹システムに採用が進み、金融機関での勘定システムでの稼働実績が出始めるところまで拡大を見せている。今後、この傾向はさらに進展し、企業システムの基幹システムにLinuxOSが使われることが当たり前のようになる時代も近いと思われる。

 このような中で今回ベネフィット・ワンが約345万人の会員向けサービスのシステムに「Red Hat Enterprise Linux」および「JBoss Enterprise Aplication Platform」を採用したことは、OSSがもう十分に企業システムの基幹システムでの利用に耐える
ことを実証したケースとして需要なユーザー事例となろう。

 レッドハットとしてはアプリケーションサーバー「JBoss Enterprise Application Platform」の全面採用のケースとしても貴重なユーザー事例となった。特に今回Webフロント以外に、バックエンドの業務システムにおいても同製品が合計10台以上の
サーバーで使われていることを見ても、大規模なシステムにおける同製品の今後の普及に弾みが付くことが予想される。「先進的テクノロジーを低価格で導入可能なところにOSSのメリットがある」ことをベネフィット・ワンは指摘している。(ESN)


◇企業システム◇イベント情報

2008-11-07 09:08:43 | イベント/セミナー情報

 

                       <イベント情報>


HP Open system seminar
レガシーマイグレーションで変える!基幹システム今後の在り方とは

会場:日本HP市谷本社4階 セミナールームB

日時:08年11月10日(月) 午後2時~5時30分

主催:日本HP

 現在、いかに効率良く、メインフレームによる基幹システムを変化に柔軟なシステムへと移行していくのかが、企業の課題となっている。その解決策として、レガシーマイグレーションが注目されている。限られたリソースの中で実現するためには「リホスト」によってオープン環境へと迅速に移行し、将来の企業ITのシナリオを描く手法こそが最適となる。今セミナーでは、レガシーマイグレーションを行い、保守生産性に優れたシステムを実現するための効果的な手法を紹介する。


◇企業システム◇OSSベンダー2社が協業

2008-11-05 16:48:54 | アプリケーション

 【アプリケーション】オープンソースCRMとKSKソリューションズは、OSS(オープンソースソフトウエア)の米ペンタホ社製BI(ビジネス・インテリジェント)ソフト「Pentaho Open BI Suite」を活用したソリューションの販売を開始した。オープンソースCRMは、OSSの米シュガー社製SFA/CRMソフト「Sugar CRM」をベースとしたBIシステムのニーズが高まっていることから、今回、KSKソリューションズと共同で、Sugar CRMとPentaho Open BI Suiteを組み合わせたソリューションの販売を開始したもの。 (08年10月30日発表)

 【コメント】OSSは当初、Linuxに代表されるOSでの普及からスタートし、MySQL、PostgreSQLのようなデーターベースソフト、Apachなどの開発ツール、さらにはSugar CRMソフトなど業務ソフトなどへとその用途を順次拡大させており、ユーザーも拡大の一途をたどっている。OSSの魅力の一つはコスト削減である。通常のパッケージソフトはコストが高く、例え他の要件を満足させる製品でも、ユーザーが導入できない場合も少なくない。また、OSSはソースが公開されていることから、セキュリティ対策などの手をいち早く打つことが可能になる。さらに、OSSの下では大手ソフト企業も中小ソフト企業も、技術力さえあれば大きな格差なく、自由に開発体制を組むことができる。

 OSSはこのような特徴を有するため、今後あらゆるソフトへの普及が見込まれている。今回、Sugar CRMとPentaho Open BI Suiteが組み合わされて提供が開始されたことは、企業システムでの新しいOSSの展開として注目される。つまりOSS同士の組み合わせで業務アプリケーションを組むことによって、従来型のパッケージソフトを組み合わせて使うより、大幅にコストを下げることが可能となってくるからだ。今回の米国のサブプライムローン問題によって日本の経済環境は今後厳しさをさらに増すことが予想される。こうなるといかにコスト削減を実現するかという課題に各企業とも真剣に取り組まねばならない。このためにも企業システムに、いかにOSSを取り込むかが今後の焦点になってこよう。(ESN)


◇企業システム◇SRA OSS日本支社が米エンタープライズDB社のマスターリセラーに

2008-11-03 15:52:13 | DB

 【DB】SRA OSS日本支社は、オープンソースのデータベースソフト「PostgreSQL」をベースに、Oracle互換機能などを提供している米エンタープライズDB社の「Postgres Plusシリーズ」のマスターリセラーとなった。同時にOracleデータベースからのマイグレーションサービスを開始する。 (08年10月29日発表)

 【コメント】米エンタープライズDBの「Postgres Plusシリーズ」は、①Oracleデータベース機能を持つ「Postgres Plus Advannced Service」と②PostgreSQLの使いやすさを増した「Postgres Plus」の2種類のソリューションからなる。SRA OSS日本支社は、これまでPostgreSQLをベースとしたPowerGresを開発・販売してきたが、今回、これにPostgres Plusを加えることによって、OracleデータベースユーザーがOSS(オープンソースソフトウエア)のデータベースソフトPostgreSQLへの移行の際のコストを最小限に抑えることを可能にした。

 これに先立つ08年10月にNTTは、米エンタープライズDBとPostgreSQLの機能拡張と普及促進で包括的パートナーシップを締結した。具体的には①大規模な分散データベース環境を実現できるレベルにまで拡張性や可用性を向上させる機能開発②NTT事業会社や一般企業ユーザーへの普及促進での協業―がその内容。

 現在オープンソースDBは、サン・マイクロシステムズのMySQLとPostgreSQLの2つが有力製品として注目を集めている。2製品とも技術的にはOracleデータベースと遜色のないところまできていると言われているが、現在Oracleデータベースの牙城を壊せるところまでにはなっていない。その理由の一つは、オープンソースデータベースのサポート・サービス体制の不明確化が挙げられてきた。ところがここにきて、MySQLがサン、PotgreSQLがNTTおよびSRA OSS日本支社と、サポート・サービスの母体がユーザーにとって明確になったことで、この問題も解消されたといってよいであろう。Oracleデータベースからの移行の際のコストの問題も、今回NTTに続きSRA OSS日本支社がユーザーへの全面サポートを表明したことによって、一挙に解決のメドがたった。

 これによって、いよいよOracleデータベースとオープンソースデータベースとの一騎打ちがスタートラインについたと言うことができる。(ESN)