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◇企業システム◇NECが基幹業務向けLinuxソリューションを強化

2008-11-17 17:00:02 | システム開発

 【システム開発】 NECはこのほど、基幹業務向けLinuxソリューション「エンタープライズLinuxソリューション for MC」を強化し、販売を開始した。同ソリューションは、インテルXeonプロセッサー搭載の「Express5800/スケーラブルHAサーバ」をベースとしたミッションクリティカルなLinuxシステム(MC Linux)を実現する。これにより従来、官公庁、金融、テレコムなど、UNIXシステムやメインフレームで構築されていたMCシステムを、MC Linuxで代替が可能になる。 (08年11月10日発表)

 【コメント】メインフレームコンピューターやUNIXサーバーは、企業の基幹システムに使われており、その安定性の良さなどから、ユーザーからの信頼は厚い。しかし、最近のITに進展の速さは、過去の技術的蓄積をも一挙に飲み込む程の勢いで急速に広がってきている。このまま過去のシステムの蓄積の上に安住していては、競合企業とのシステム格差が拡大し、ビジネス展開をする際のネックとなりかねない状況が生まれようとしている。今回NECが打ち出した“基幹業務向けLinuxソリューションの強化”戦略は、満を持して発表したものでり、ある意味ではメインフレームコンピューターやUNIXサーバーの終焉を意味するのかもしれない。

 過去長年にわたって強化してきたLinuxの基幹システムへの適用プロジェクトがいよいよ最終段階に差し掛かり、可用性にしてもサポートサービスにしても十分に対応可能段階に達したといっても過言ではなかろう。さらに、メインフレームコンピューターやUNIXサーバーからのマイグレーションツール類の準備も整った。

 日本のコンピューター利用は米国に比べ大きく遅れているといわれてきた。その一因はメインフレームではIBM、UNIXではサン、HP、IBMなどがOSをがっちりと握り、日本勢としてはいかんともしがたい状況が長く続いてきたからである。しかし、アプリケーションソフト自体は、日本で開発された、例えば金融ソフトの方がキメが細かく、優れていると一部では評価されてきている。Linuxは全世界標準のOSであり、メインフレーム、UNIX、さらにはPCなどのように一メーカーの独占ではなくなる。これはメーカーばかりかユーザーにとっても一在遷宮のチャンスなのだ。

 これまで、日本の情報産業は何故自動車産業のように世界へ拡大できないのかといわれてきた。ところがLinuxの基幹システムへの普及により、世界へと飛躍できる可能性が出てきた。自動車産業は電気自動車化するとコモデティ化して技術の優位性が保てなくなるといわれている。そうなると日本の自動車産業は将来衰退するかもしれない。それに代わりえるものはLinuxなどのOSSを軸とした情報産業だ。今回のサブプライムローン問題を見ても分かるように、米国が先を行っているように見えても、実はそうでないということだって少なくはないのだ。(ESN)