【ユーザー】大手SI企業のTISは、フランスベッドメディカルサービス(FBMS)の基幹業務システムを、最新の仮想化技術であるVMware社の仮想化ソフトウエア「VMware Infrastructure3」とブレードサーバーを活用し、これまで13台あった既存のサーバーを4台に統合した。従来の後継機種への置き換えで移行を実施した場合と比べて、移行作業・再構築などの初期コストを約40%削減し、新システムを構築することに成功した。(08年6月24日発表)
【コメント】現在、多くのユーザーの関心を集めているのが仮想化ソフトである。これは各企業とも、従来のメインフレームによる一極集中の反発から、各部門に独自にサーバーを設置し、小回りの利くシステム構築を進めた結果、数多くのサーバーを社内に抱える結果となってしまったためである。あまりにサーバーが多いいとサポートが大変なことになるし、システム再構築の際、多くの労力を注ぎ込まねばならなくなってしまう。そこで仮想化ソフトとブレードサーバーを活用し、サーバー数の削減に手を付けようとしているのが現状だ。
既に多くの企業が仮想化ソフトを提供しているが、VMwareが業界での知名度ではトップをいく。最近ではマイクロソフトが参入してきたし、オラクル、さらにはシトリックスがXenを買収しOSSの仮想化ソフトとして今後どこまで市場を伸ばせるかも注目される。実はVMwareもストーレージの大手ベンダーであるEMCに買収され、今ではEMC傘下の仮想化ソフトベンダーとして活動している。ただ、このことを強調することはしない戦略らしく、VMwareのホームページを見てもEMCの文字は見えない。マイクロソフトまで仮想化ソフト市場に参入してくる現在、VMwareがEMC傘下に入ったことは経営基盤の強化という面からは評価できるのかもしれない。
今回のTISのFBMSへの仮想化ソフト+ブレードサーバーによるシステム再構築の発表で注目されるのは、13台あったサーバーを4台に削減し、後継サーバーへの移行に比べ約40%初期コストを削減できたと、具体的数字で表した点だ。仮想化ソフト+ブレードサーバー導入については、これまで技術的な成果はいろいろと言われてきたが、コスト面での具体的発表はなく、果してうまくいくのであろうかというのが平均的ユーザーの感覚ではなかったかと思う。今後は続々と仮想化ソフト+ブレードサーバー導入の成果発表がなされるものと期待される。(ESN)