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◇企業システム◇NTTデータがグリーンITを実現する空調システムの提供を開始

2009-01-05 13:07:05 | システム運用管理

 【システム運用管理】NTTデータは、データセンターの環境改善を実現する空調システム「免震装置一体型アイルキャッピング」を09年1月から提供を開始する。これは既存のデータセンターが抱える問題(サーバー機器の高密度化による発熱の増加に対し、非効率な冷却がもたらす大きな環境負荷/地震発生時のサーバーラックへの影響など)を一挙に解決し、空調の効率化やBCP(事業継続)を推進することができる。アイルキャッピングは日東工業、免震装置はエーエスにおいて製造する。アイルキャッピングは、ラック列間の通路を壁や屋根で区画し、IT装置の給気(低温)とIT装置からの排気(高温)を物理的に分離して効率的な空調環境を実現する気流制御技術で、NTTファシルティーズが商標登録中。 (08年12月18日発表)

 【コメント】グリーンITは09年の焦点の一つになることは間違いあるまい。これは世界同時不況の波を日本のほとんどの企業が被っている現状で、コスト削減が喫緊の課題となっているからだ。株価は今年の春、遅くても夏には底を打つことが予測されているが、その後直ぐに上昇に反転するかというとなかなかそうは言えず、世界同時不況はかなりの期間、世界の経済環境を低迷させることが予想されている。こうなると各企業ともコスト削減が大きな課題として浮上する。中でもIT関連は多くの電力を食うことから、真っ先に槍玉に挙げられることは避けられない。また、米国のオバマ新政権の切り札は、グリーン・ニューディール政策と言われており、この流れは必ず日本にも押し寄せてくることから、グリーンITにどう取り組むかで評価が下される傾向が急速に高まろう。

 こんな中、NTTデータは「免震装置一体型アイルキャッピング」の発売に踏み切った。これは、サーバーラックと屋根、扉を一体製品として構築し、サーバー列間の通路を区画することで冷却された空気とIT機器からの排気を物理的に隔離する。この区画されたサーバーラック間の通路内部の気密性を高め、サーバー群が必要とする風量に合わせた適正風量で空調機を制御することができ、サーバーラックをむらなく冷やすことができる。また、地震の入力加速度を1/8-1/10程度に低減できる。これらにより必要最小限の電力で空調を行い、コスト削減を実現させることができる。さらに耐震性を高めることで事業継続性も実現することができる。

 今回NTTは、「免震装置一体型アイルキャッピング」は単に外部に販売するだけでなく、自社のセンターに導入することにしている。これにより、その有効性を身をもって体験するわけで、ユーザーにとっては信頼度が高まる。さらにNTTデータのユーザーの1社である小田急電鉄のデータセンターの一部に同製品を導入し、共同で導入効果の検証を行うことにしている。この検証結果は一般に公表してほしいものだ。(ESN)